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「食料・農業・農村基本計画」5年に一回。国にご意見を!

本改正は、パブリックコメントをへて、2020年3月31日に閣議決定しました。どのような改正内容になったかについてはコチラをご覧ください。

食料・農業・農村基本計画は、食料・農業・農村基本法に基づき、食料・農業・農村に関し、政府が中長期的に取り組むべき 方針を定めたものであり、情勢変化等を踏まえ、概ね5年ごとに変更することとされています(農林水産省サイトより引用)。

この計画には畜産分野ももちろん含まれています。
感受性のある動物を産業利用する場合には相当の配慮が必要なはずで、国際的にも畜産業において動物福祉は重要課題となっていますが、現行の食料・農業・農村基本計画には、GAP取得を促進すること※は書かれているものの、動物福祉は明示されていません。現在の計画には持続可能な農業(畜産業)を目指すことが強調されていますが、具体的な動物福祉への取り組みがなければ持続可能な農業は不可能なはずです。

また、今の工場型畜産は温室効果ガス排出、飼料作物のための森林破壊、抗生物質耐性菌鳥インフルエンザや口蹄疫や豚熱(豚コレラ)などの伝染病、動物への虐待など多くのリスクを抱えています。これらのリスクは広く認識されるようになり、より持続可能な食品システムである植物性タンパク質へ移行しようとする大きな世界の流れがあります。しかしそれも反映されていません。

食料・農業・農村基本計画は、政府が中長期的に取り組むべき 方針を定めたもので、大変重要なものです。2019年12月13日の時点で集まっているパブリックコメントは654件*。その中に動物への配慮に関わる意見は1件のみです(「放牧酪農にとって牛が歩きやすい道の整備も必要。こういったところも助成する仕組みがほしい」という意見)。

ぜひ皆様からも産業利用される動物の立場で、意見を届けてください。

JGAP(日本の認証)やglobalGAP(国際認証)といった畜産GAPには畜産動物福祉の基準があります。ただしJGAPの動物福祉はあってなきが如しの内容です。アニマルライツセンターはJGAPで動物福祉を担保することは不可能だと考えています。

(枠内、農林水産省サイトから転載)

国民の皆様からの意見募集について終了しました

新たな食料・農業・農村基本計画に関して、国民の皆様から、御意見・御要望を募集します。
国民の皆様の御意見・御要望を今後の議論に活用していきたいと考えておりますので、奮ってご投稿ください。

(1) 募集内容について

以下の分野について、200字程度で御意見・御要望を提出願います。

全般 / 食料自給率・自給力、食料安全保障 / 食の安全、消費者の信頼確保 / 食育、食文化 / 地産地消、6次産業化 / 農業経営、担い手 / 農業生産(水田、畑作、畜産、園芸、特産、その他)/ 人材育成、雇用確保 / 農村振興、中山間対策 / 農地、耕作放棄地対策 / 技術、環境 / 食品産業政策 / 農林水産物・食品の輸出 / その他 ※ARC注:複数の分野が提示されていますが難しく考えず、自分の意見がこれに該当すると思ったらその分野を選択してください。鶏のケージ飼育豚の妊娠ストール、牛の繋ぎ飼いの廃止屠殺場での動物福祉を求める場合、分野は農業生産(畜産)で良いと思います。

(2) 提出方法について

  1. インターネットからの提出
    次のアドレスをクリックし、提出フォームにより提出ください。
    https://www.contactus.maff.go.jp/j/form/kanbo/kihyo01月19日0906.html
  2. 郵便による提出
    次の宛先へ提出ください。
    〒100-8950 東京都千代田区霞が関1-2-1 農林水産省大臣官房地方課 (地方提案推進室)宛て (提出用紙はこちら(PDF:109KB)をご利用ください)

なお、各地方農政局等においても提出を受け付けています(意見等募集窓口はこちら(PDF:53KB)を御参照ください)

(3) 募集期間について

令和元年9月6日(金曜日)~令和2年2月末 17時00分必着 (郵便の場合は当日消印有効)

(4) 御意見・御要望の提出上の注意

提出される御意見・御要望の記述は、日本語でお願いします。
電話や口頭による御意見・御要望は、聞き間違い等を避けるため受け付けておりません。
氏名、年代、お住まいの都道府県、職業を明記してください。
法人や団体の場合は、団体名、担当者名を明記してください。
個人情報は、提出内容について確認させていただく場合を除き使用しません。審議終了後は適切に廃棄します。

アニマルライツセンターから提出した意見

全般 / 

畜産業での動物福祉向上を目指すことを明記すべき。国際評価による日本の畜産動物保護レベルはD。動物福祉の先進国ヨーロッパだけでなく中国、メキシコ、ブラジル、インド、タイなどよりも低いレベルにランク付けされており、アジアを含む諸外国で廃止が進む「豚の妊娠ストール」や「鶏のケージ」については廃止に向けた議論さえ行われておらず、さらに交付金でこれらの拘束施設が新設されるという由々しき状況にあります。

企業の畜産における投資リスク分析を行うFAIRR、畜産動物福祉のベンチマークBBFAWは近年日本企業の評価を行っています。FAIRRは日本ハム、プリマハム、日本水産の畜産動物福祉を「高リスク」と評価、BBFAWはイオンホールディングス、セブン&アイホールディングス、日本ハム、マルハニチロ、明治ホールディングスの畜産動物福祉を最低ランクとしています。真剣に動物福祉に取り組まなければ日本の食品は世界に通用しなくなる可能性があります。

食の安全、消費者の信頼確保 /

畜産業での抗生物質の予防投与を廃止する明確な計画を立て、その計画には動物福祉の向上も含めるべき。多くの科学者が畜産での抗生物質の大量使用が原因で耐性菌が拡がっていると考えています。OIEも畜産が耐性菌の重要な要因であると認識しています。また動物福祉の向上なしでの抗生物質削減は非現実的で、欧州議会も2018年10月に動物福祉そのものが動物の免疫力を上げ病気予防の効果を持ち、抗生剤の使用を減らすと決議しています。

当法人の調査では「動物福祉に配慮した肉や乳製品、卵製品の購入に、現在の平均的な価格と比較して、いくら多く支払うことが出来るか」という質問に「価格が高くなるのは受け入れられない」と回答したのは41.2%。残りは一定の金額を支払うと答えています(20.5%が1.3倍以上を支払うと回答)。動物福祉にお金を支払う用意のある消費者に応えるために、諸外国で見られる「動物福祉ラベル」の普及が必要だと考えます。

食育、食文化/

給食時の牛乳の飲用を減らし、米に合う日本茶の提供を行うことにより、日本型食生活の食育や和食の保護を行うべき。和食と合わないだけでなく、小学校1年生のアレルギーの原因の4分の1が乳であり、また東洋人の多くが乳糖不耐症であることを考えると、牛乳は日本型食生活にそぐわないと考えられます。

農業生産(畜産)/

豚の妊娠ストール廃止を目指すことを明記すべき。転回も不可能な檻への監禁は、動物福祉を著しく損なうとして諸外国で廃止が進んでいます。2018年に可決したOIEの規約「アニマルウェルフェアと豚生産システム」は「成熟雌豚及び未経産雌豚は、他の豚と同様に社会的な動物であり群で生活することを好むため、妊娠した成熟雌豚や未経産雌豚はなるべく群で飼われるものとする」としており、加盟国として群飼育の移行に取り組むべきです。

採卵鶏のケージ飼育廃止を目指すことを明記すべき。羽も広げることもできない狭いスペースに、鶏をその生涯にわたって監禁することは、どのような理由であっても正当化できません。諸外国は廃止の方向に向かっており、EUではすでに49.6%、アメリカでは19.6%がケージフリーに切り替わっています。アメリカでは2016年以降5州においてケージ卵の生産と販売を禁止する法律が制定されており、今後ケージフリーは加速すると予測されます。

ブロイラーの飼育密度の上限を設定すべき。日本の平均密度は1平方メートル46.68kg(約16羽)、最大で58.99kg(約22羽)です。このような過密は動物福祉を損ないます。さらに家畜伝染病予防法に基づく飼養衛生管理基準には「密飼いの防止」がありますが、人が入ることが困難になるほどの過密な鶏舎では伝染病のリスクも高まります。(参考:EU法では33kgが上限。海外では239の企業が30kg以下にすることを約束(2019年末時点))

乳牛の繋ぎ飼いの廃止、あるいは一定以上の放牧の義務化を検討すべき。行動を著しく制限するつなぎ飼いは跛行・足に関する病気が多く、動物福祉を損なう管理方法です。OIE動物福祉規約「アニマルウェルフェアと乳牛生産システム」には「家畜飼養者は、牛が繋がれている場合は、ウェルフェア上の問題のリスクが高まることを認識しておくものとする」とあります。繋ぎ飼いが主流の日本は、OIE加盟国としてこの問題を認識すべきです。

屠殺場へOIEの動物福祉規約を導入すべき。屠殺場で豚や牛に給水しない、12時間以上の係留でも給餌しない、スタンガンを常用、尾をひねる、蹴る、横になることの出来ない短い紐で長時間繋留する、などの日本の屠殺場で見られる行為はOIEの動物福祉規約に反します。日本食肉生産技術開発センターが策定した「動物福祉と生産衛生を考慮した家畜の係留・追込みおよびと畜についての指針」を屠殺場へ周知徹底させることも効果的だと思います。

食鳥処理場へ動物福祉を導入すべき。国会でもたびたび取り上げられながら解決していない採卵鶏の夜間放置の問題、生きたまま熱湯でゆでられる鶏が年間498,892羽(2016年)スタニング(気絶処理)なしでの首切断、福祉的なガス殺の導入がほとんど行われていないなど、日本では多くの課題が放置されています。(参考:イギリスではブロイラ―屠殺において71%がガス殺。アメリカ業界は2024年までに10〜49%がガス殺に切り替わると予測)

海外向けの畜産物には設けられている屠殺場食鳥処理場含む)での動物福祉要件が、国内向けの屠殺(食鳥処理含む)にはないという格差を是正すべき。輸出用の牛屠殺場では、牛への給水、長時間の係留には給餌などの動物福祉要件があるのに、国内消費向けの牛ではそれが行われていない。またEU向けの家禽処理場ではスタニング、その方法、意識の有無の確認まで必要とされているのに国内消費にはそれがないと言う状況です。

人材育成、雇用確保 /

畜産業における人手不足の一因として、動物の扱いを改善することを提案します。豚の麻酔なしでの去勢や断尾や、鶏を叩きつける、首を折るという方法での淘汰を見て「残酷だ」という理由で離職された経験を持つ畜産会社は少なくないと思いますが、麻酔なしでの去勢は製剤への切り替えが可能、断尾は管理方法の改善でしなくても済むものです。鶏の淘汰はガス殺に切り替えられます。会社の取り組み次第で雇用確保が可能です。

食品産業政策 /

基本計画にGAPの促進が書かれていますが、2017年に運用が開始したJGAP家畜・畜産物認証はただ農家がチェックリストにチェックを入れればよいような緩いもので、畜産GAPを促進するならGLOBALG.A.P.にすべきです。GLOBALG.A.P.であれば妊娠ストールの常用や鶏のバタリーケージは不可、ブロイラーの飼育密度の上限もあり動物福祉を数値で確保できるものになっています。JGAP認証では国際的な動物福祉基準を満たさず輸出ができなくなる可能性があります。

持続可能な農業施策には動物福祉の改善が必要であることを明示すべき。世界食糧安全保障委員会の専門家パネルの報告書「食糧安全保障と栄養のための持続可能な農業開発に関する勧告:畜産動物の役割(2016年)」や、国際金融公社の報告書「畜産事業における動物福祉の改善(2014)」は持続可能な農業開発に動物福祉が欠かせないことを示しています。さらに、SDGsの達成に取り組むことは動物福祉の改善に取り組むことと互換性があります。

畜産由来肉から植物性タンパク質(代替肉)・培養肉への移行を視野に入れるべき。工場畜産は拡大するタンパク質需要に対応できる持続可能な生産システムではないという認識から、世界的に代替肉市場が拡大し、培養肉開発が加速しています。ATカーニーは、2040年には肉市場における代替肉・培養肉の割合は60%になり、畜産由来肉は40%に低下すると分析します。オランダ・インド・欧州委員会は培養肉に、カナダは植物性タンパクに資金提供しています。

肉の消費を抑える施策を国として検討すべき。工場型畜産は温室効果ガス、飼料のための森林破壊、抗生物質耐性菌、豚熱などの伝染病、動物虐待など多くのリスクを抱えています。これらのリスクは広く認識されるようになっており、畜産のリスクを啓発し植物性タンパク質への移行をうながす投資家ネットワークFAIRRは、2197兆円分199名の投資家にサポートされています。中国は2016年に食事ガイドラインで肉の消費を50%削減することを推奨しています。

以上。


* 第84回企画部会(令和元年12月23日)配布資料 【資料4】国民からの意見募集 第81回企画部会(令和元年11月12日[資料3]新たな食料・農業・農村基本計画の検討における意見・要望

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