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終わらない豚コレラ、124,993頭の犠牲。養豚の限界

終わらない豚コレラ、124,993頭の犠牲。養豚の限界

124,993 *1

2019年7月までに豚コレラ(CSF)により殺された豚の数だ。
2018年9月、岐阜県の美濃ヘルシーポークというブランド名のついた豚を飼育する養豚場から始まり、もう10ヶ月だ。三重県にも広がった。
政府は何をしているのか。ただ殺し続ければ収まるというものではないし、また、補助金を出し続けるだけでも発生が抑えられるというものでもない。さらに税金を使って全額保証するという形で国民に損失をかぶせ続けることも、理解を得続けることはできないだろう。終息のためにワクチンを使うことを政府は拒否し続けているようだ。

一方、2019年5月に出されたOIE(世界動物保健機関)のレポート*2によれば、2016年から2019年(5月20日更新)の間に世界で2,530,969頭、アジアで1,711,677頭の豚がアフリカ豚コレラ(ASF)により殺された。アフリカ南部から始まり、東ヨーロッパ、1年半前に中国に拡大、モンゴル、カンボジア、ベトナム、北朝鮮に拡大している。東ヨーロッパでも終息しない状況が続いているがもっとも被害が甚大になったエリアはアジアだ。

オランダに拠点を置く世界的な農業組織向け金融機関Rabobankは、このアフリカ豚コレラにより世界の養豚情勢が変化するだろうとレポートしている*3。中国の養豚が50%減少する可能性も示唆されている。また、中国での豚肉消費も10~15%減少したと分析している*4。

集約的畜産の限界

人間も、自分の稼ぎと家で何人の人間が養えるのか、考えるだろう。動物を飼育するにしても、正常な判断ができる人であれば、多くの動物を飼育することが不可能で、キャパシティを超えると疾病がでたり、あっという間に不衛生になるということが容易に想像できるはずだ。

現代の集約的畜産=工場畜産は、常軌を逸した数の動物を詰め込む。
病気が出て当たり前。なんとかワクチンと薬で抑え込む。不衛生なのも当たり前で、毎日掃除をしても糞が取りきれることはないし、すぐさま汚物にまみれる。農場内で毎日毎日死ぬ動物が出続ける。消石灰やいろいろな種類の消毒薬や農薬が体中にかけられるだけでなく、目にも口にも入るような環境。日本のこれら工場畜産にアニマルウェルフェアはほぼないので、動物はストレスマックスでいつ何を発症してもおかしくない。
豚に限らない。鶏もだ。

国内で1年間に殺される豚の数は、1731万頭。12万頭の犠牲は0.7%に過ぎず、政府にとって、大規模な農家にとって、些細なことなのかもしれない。しかし、終息させられない日本の養豚業。

一頭1頭が恐怖の中で苦しんで殺され、その分だけどこかで需要が生まれ、多く犠牲になり、立て直しのために税金が使われる。毎週のように繰り返される豚コレラのニュースに、人々は動物の命の軽さに慣れていく。殺処分に従事する人は豚程度の大きさの動物を殺すことに慣れていく。
今の日本の畜産業の延長線上には持続可能という言葉はない。

そろそろ畜産業というものを考え直してもいいのではないか。

肉を食べなくても人は死なず、肉は嗜好品でしかないのだから。

 

*1 農林水産省、各都道府県の発表数による(発表時期により変動あり)
*2 http://www.oie.int/fileadmin/Home/eng/Animal_Health_in_the_World/docs/pdf/Disease_cards/ASF/Report_17._Global_situation_of_ASF.pdf (2019年5月20日更新のレポートより)
*3 https://research.rabobank.com/far/en/sectors/animal-protein/pork-quarterly-q3-2019.html?qsl_reqcnt=1 https://www.reuters.com/article/us-china-swinefever-pig/chinas-pig-herd-may-shrink-by-50-due-to-african-swine-fever-rabobank-idUSKCN1UP068
*4 https://research.rabobank.com/far/en/sectors/animal-protein/african-swine-fever-affects-china-s-pork-consumption.html
*5 https://www.hopeforanimals.org/environment/fairr/

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