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鶏を殺す補助金制度変更で、大手鶏卵企業は多額の金を得る

日本の卵の養鶏場はなぜかいつも需要を超えて卵を作りすぎる。そのために価格が下がってしまう。国は税金から価格が下がりすぎた分のお金を養鶏場に払わされ続けている。もうずっとそれを繰り返している。養鶏業者はもしかしたら”価格の優等生”と言われることに満足しているのかもしれないが、市民の貴重な税金の補助がないと経営が立ち行かない市場を作り上げている卵は、優等生とは程遠い。

この需要と共有のバランスを無視して、無計画に大量生産を続ける採卵養鶏業界は、卵を産ませている鶏を殺すことでバランスを取ろうと考えた。業界に言わせるとそれは”殺す”というのではなく”更新”というそうだ。その補助金事業の名前は「成鶏更新・空舎延長事業」だ。この事業の内容と、どのくらいの税金が使われているのかは下記の記事を見て欲しい。

・需給調整で殺される鶏たち-成鶏更新・空舎延長事業
・アキタが働きかけていた鶏卵生産者経営安定対策事業とは。2018-2019年には鶏1941万羽を殺し国庫から32億の奨励金

2020年度から、この制度が少し変更になった。この変更を働きかけていたのがアキタフーズの事件当時の代表である。

業界のため?自社のため?

アキタフーズ元代表の秋田善祺被告ら養鶏業界は「鶏卵業界のため」に、この制度の変更やアニマルウェルフェアを下げるためのロビー活動を行っていたようだ。その中の一つのトピックに「鶏卵生産者経営安定対策事業」があり、それが「成鶏更新・空舎延長事業」である。

業界自体もこの事業の改変を求めていたが、大規模になればなるほど支払われる金額が大きくなっていくことがわかった。

2021年1月26日の予算委員会で本多平直議員(北海道)が重要な指摘をしている。

本多平直議員
「アニマルウェルフェアの話ももっとやりたいけれども、実は本丸は補助金なんですよ。この大臣、200、200、100、もらった後、吉川大臣の下で卵の補助金の仕組みが大改正しているんです。最初、仕組みが難し過ぎて、私も勉強するのに一週間かかって、分からなかったけれども、農水省自身の試算をしてもらったんです。

同じ条件で2019年にもらえる額と2020年にもらえる額。卵の値段が安過ぎたとき、ちょっとかわいそうだけれども、鳥を早く殺して卵の数を減らして卵の値段を下げる、そのときに業者に出す金額。小規模の業者は134万円が136万円、ほとんど変わらないのに、中規模な業者は158万もらっていた話が何と251万円。こんなアップあるんですか。そして、アキタフーズのような大規模な会社はどうなったかというと、一年にもらえる金額が394万円から626万円。これは仮の数字を置いて農水省に計算してもらった数字。

しかし、実際にアキタフーズ社は、一九年と二〇年、同じ条件でどれだけ変わっているんですか、いくらもらっているんですか。我々国民の税金、50億この予算に入っていますけれども、アキタフーズに、一九年、二〇年、幾ら出ているんですか。」

野上国務大臣
「お答えを申し上げます。アキタフーズに幾らの補助金が出ているのかというお尋ねでありますが、これは個別企業に関する情報ですので、お答えは差し控えさせていただきたいと考えております。」

本多委員
「そういうふうに、しらばっくれていくのはいいですけれども、国民の税金です。そして、来週以降審議が始まる来年度の予算にもまたこの予算は入っています。本当に、業界のためと秋田さんは言っていますけれども、自分の会社のためなんじゃないんですか。大きな会社のためだけなんじゃないんですか、我々の税金。」

同じ方法で試算してみたら・・・

本多議員の答弁にあった試算は、大中小規模の飼育する鶏の10%の鶏たちをこの事業の中で殺した場合に得られる費用の試算であるようだ。

アキタフーズのような超大規模養鶏場=700万羽*を想定して同じ条件で試算したらどうなるのだろうか。おそろしいがやってみよう。

成鶏更新・空舎延長事業が発動された場合

改正前=5千512万円

改正後=8千766万円

になる。

計画外の屠殺が虐待を助長

これは税金から出されるものである。アキタフーズが使ったかどうかは問題ではない。アキタフーズのような大規模な農場が喜ぶ改正がなされたことももはやどうでもいい。なによりも動物として、この残酷な鶏を殺す事業を発動させないための、最後のたったひとつの抑止力が取り除かれたことが問題なのだ。

この狂った制度は、養鶏場にとっては、価格差補填の補助金ももらいながら、ちょっと産卵が落ち始めた鶏を計画より少し早く殺して、新しい鶏を入れる準備の時間を普段よりほんの少し時間をかけて行えばいいいだけなのだ。

空舎の期間が長くなることは鶏にとっていいことではないかと思う人もいるだろうか。しかし実際には、多くの養鶏場がもともと掃除と除菌のために2~3ヶ月空舎期間をもたせているのだ。短くいところでも1ヶ月は空舎期間を持っているところがおおいはずだ。

つまり普段の運用と何ら変わりがなく、ただ鶏の犠牲数が増えて、かつ税金が使われるだけの話だ。

そして、こちらの記事にある、屠殺場での虐待にはただただ悪化していく。

大規模な農場が、計画外の日に鶏を屠殺しようとすれば、とても屠殺場は受け入れきれないことは当然である。

農林水産省は屠殺場での鶏の長期間放置による虐待を改善するために計画的出荷をしてねと通知を出すとともに、計画外にいっぱい殺せばお金出すよと言っている。

こんなでたらめな政策があっていいものだろうか。

そもそも、鶏を殺して需給調整だと言っている事自体がでたらめなのだ。

政府はアニマルウェルフェアの消費者啓発は全く行っていない。消費者庁だって農林水産省に忖度をしてかアニマルウェルフェアについては押し黙っている。本来は、アニマルウェルフェアの重要性について消費者啓発を行い、飼育密度を下げてアニマルウェルフェアに配慮した鶏卵の生産に切り替え、そのぶん卵の量を減らし、価格を少しあげればいいのだ。

価格の優等生とおだてられて気がついていないのかもしれないが、要するに卵は、価値の低さが問題なのだから・・・

採卵鶏 補助金 動物虐待

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