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2018年6月8日、衆議院環境委員会にて、堀越啓仁衆議院議員(立憲民主党・市民クラブ)が質問に立ち、環境省、農林水産省に対して畜産動物福祉(アニマルウェルフェア)についての取り組みを促しました。

堀越議員はと畜場でOIEの動物福祉規約に違反している事例が見られることと、厳密には動物愛護管理法にも違反しているのではないかと指摘しました。

その事例として、

  • 鶏を処理する食鳥処理場で鶏を生きたまま壁に打ちつける、死に至らずもがき苦しんでいる子を放置している、鶏を処理するときにシャックルにたたきつける
  • 豚のと畜場でスタンガンを執拗に押し当てる

などの行為を挙げ、これらの行為が動物愛護の観点から指導が行われないことを指摘しました。

さらに、この2日前の厚生労働委員会で指摘された牛や豚にと畜前長時間に渡り水を飲ませないという問題についても引用され、これらが動物の習性を考慮しているとは言い難いと指摘しました。

 

一方で、環境省、農林水産省、厚生労働省の3省が担当者会議を行っていることを評価し、この取組の内容を質問されました。

亀澤自然環境局長

産業動物の適正な取扱いの推進に関する実施状況を共有するために、環境省では、農林水産省、 厚生労働省とともに定期的な打合せを行っているところでございます。前回の打合せにおいては、産業動物のアニマルウエルフェアに係る最近の対応ですとか、動物愛護団体からの要望等について、関係省庁間での共有を図ったところでございます。

さらに中川環境大臣からは動物愛護管理法の中で規定されている内容がそのまま述べられた後、

産業動物の適正な取扱いがなされるよう必要な対応について意見交換するなど、関係省庁と連携を強化してまいりたいと考えております。

と、一応の取り組みはなされることが確認できました。

環境省は動くのか?

環境省はたしかに担当者会議を開きはじめており、この店は評価できる点です。

しかし、この答弁から、アニマルライツセンターは希望をまったく見出すことはできないと考えています。先日の厚生労働大臣の答弁では、動物福祉については環境省が管轄であると述べられていますが、国際基準に全く追いつかない(追いつく意思もない)動物愛護管理法では、なにもできない、なにもやらないということとほぼイコールに聞こえます。そして、現在の環境省の動物愛護業務のほとんどすべてが犬と猫に費やされており、と畜場、農場での動物愛護、または動物福祉を管理監督する能力も意思もほとんどないのです。

動画は下記衆議院のサイトで見られます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=48254&media_type=fp

畜産動物の苦しみをなくしたい、減らしたいと考えてくださる方へ

 

議事録

堀越委員 ありがとうございます。

次に、やはり動物福祉の観点からなんですけれども、屠畜場や食鳥処理場での動物愛護管理法の遵守について伺いたいと思います。

産業動物に関するアニマルウエルフェアというのは、当然ですけれども、輸送に関しての所管は農林水産、そして屠畜に関しては厚生労働が所管になっているというふうに承知をしておりますが、動物愛護管理法に関しては環境省が所管であるというところでありますので、その点から質問をさせていただきたいと思います。

まず、畜産や屠畜場の実際の現場については、動物福祉の観点から述べさせていただきますが、端的に言えば、動物愛護管理法や動物福祉に関連した指導が、畜産、屠畜に関しては自主的になされているとはとても言えない状況であるというふうに思います。地方行政の動物愛護担当職員はおりますが、動物愛護の観点で屠畜の現場あるいは畜産現場に入ることは当然ありますが、動物愛護管理法に関連する指導は行われていない状況があるのではないかと言わざるを得ない状況だというふうに思います。

というのも、やはり、厚生労働省が管轄しているエリアにおいて、OIE規約に違反する行為が多数見受けられるからなんですね。また、ある意味では、このOIE規約に違反するということは、これは動物愛護法に厳密には違反しているという状況があるというふうに思います。

ある食鳥処理場では、鶏を処理する処理場ですね、鶏を生きたまま壁に打ちつける、あるいは、さらに、死に至らずもがき苦しんでいる子を放置している、こういうことも多々あるように見受けられます。また、鶏を処理するときに、シャックルという、逆さづりにして両足を固定して、そしてコンベヤーのように運ばれていって、そして殺されるわけなんですが、そのシャックルという装置にたたきつけるなどの行為が見受けられるというのが確認されております。

また、豚にスタンガンを執拗に押し当てて、そして誘導する。豚は感じないわけはありません。人間でもアリにかまれれば痛みを感じるので、動物も同様に、痛みも苦しみも感じます。

ですので、こういった現場が今まさに起こっているというところはぜひ承知をしていただきたいというふうに思います。

また、鶏に関しては、生きたままゆでられる、こういった例も非常に多くあります。これは一カ所で起こっていることではありません。大変心苦しい、インターネットやテレビの報道などでも一部最近は出るようになってきましたが、国民の皆さんの目に触れる機会も非常に多くなってきております。

また、他方で、これも私は非常に問題だと思うのは、屠畜場、豚や牛が屠畜される現場において、最終的に水が飲めない状況、飲水の装置ですね、豚であれば大体一日に十リッターから十二リッター飲むと言われています、そして、牛に関しては二十リッターから三十リッターぐらいの水を飲むと言われています、二十時間以上も水が全く飲めない状況で最期を迎える、そういう屠畜の現場が大半なんですね。私たち人間にとって考えれば、ちょっとあり得ないような状況が今まさに起こっているというところであります。

実際、飲水の設備が、牛を処理する屠畜場であれば四九・六%しか普及していない、そして、豚を処理する屠畜場では一三・六%。とても、アニマルウエルフェアあるいは動物福祉の観点から見過ごせるようなものではないというふうに思います。

しかし、厚生労働省が、新設及び改築等が行われる屠畜場の飲用水設備の設置についてということで通達が出されているんですが、新設及び改築等なので、今実際稼働している屠畜場に関しては言及しないというところになっておりまして、これは、OIEの福祉規約の中にもありますように、動物の屠畜で常時適切な水が飲めることを定めているということは、飲水が断たれている状況は、適正な飼育とも、その習性を考慮しているとも言いがたいわけであります。

さらに、飲水の設備があったとしても、係留しているところが過密な状態になっています。非常にストレスフルな状況なんですね。その中に、二十時間も、最大では二十七時間係留する屠畜場もある。多くが二十時間以上係留される可能性があるとしています。飲水の設備を早急に配備をするか、あるいは係留時間そもそもを上限を定める、こういったものが非常に必要だと思います。

これは、当然ですけれども、先ほどお話しさせていただいたように、厚生労働省所管ではありますし、輸送に関しては農林水産が所管になると思いますので、そういった点においては、動物福祉といえばやはり環境省であるというふうに思います。

その中で、環境省がすばらしい取組をされております。この動物愛護管理法に関して、環境省、厚生労働省、農水省三省で、動物福祉に関する担当者会議を行うというふうに承知をしています。

そこで、この件に関して質問をさせていただきますが、産業動物に関して、先述のように、非常に複雑な枠組みとなっております。しかし、関連するどの省庁にも動物福祉の理念を共有しながら、実効性のある施策を講じる必要があると思います。その上で、環境省が主体となって開催している担当者会議、私は非常にすばらしいと思います。評価をさせていただきます。

そこで、産業動物の動物福祉、この担当者会議が発足された経緯、そして目的、今後の展望などについて、お考えを教えていただければと思います。その上で、これは繰り返しになりますが、中川環境大臣の方から、動物福祉に対する意気込みを伺えればと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

産業動物の適正な取扱いの推進に関する実施状況を共有するために、環境省では、農林水産省、厚生労働省とともに定期的な打合せを行っているところでございます。

前回の打合せにおいては、産業動物のアニマルウエルフェアに係る最近の対応ですとか、動物愛護団体からの要望等について、関係省庁間での共有を図ったところでございます。

堀越委員 ありがとうございます。

先ほど述べさせていただいた、私たちの体をつくっている豚さんや鳥ちゃんの命というのは、亡くなるからといって最期まで乱暴に扱ってはいけないんだということ、尊厳を持って接しなければいけないんだということは屠畜の現場にも言えることだと思います。

ぜひ、その点で、環境大臣、よろしくお願いします。

中川国務大臣 産業動物を含む動物の取扱いにつきまして、動物愛護管理法は、基本原則として、動物の飼養の目的の達成のために支障を及ぼさない範囲で必要な健康の管理等を行うとともに、動物の種類や習性等を考慮した飼養環境の確保を行わなければならないことを規定しております。

また、環境省では、産業動物の適正な取扱いを確保するために、飼養者等が遵守すべき産業動物の飼養及び保管に関する基準を一般原則として定め、衛生管理や安全の保持、導入、輸送に当たっての配慮、危害防止などに努めるよう求めているところでございます。

環境省では、動物愛護管理法の基本原則に加え、同法に基づく各種基準で、飼養、保管に当たって衛生管理や安全保持に努めることや、できる限り動物に苦痛を与えない殺処分方法を用いることが求められていることを踏まえ、産業動物の適正な取扱いがなされるよう必要な対応について意見交換するなど、関係省庁と連携を強化してまいりたいと考えております。

堀越委員 環境大臣、ありがとうございます。

動愛法というと、犬、猫の殺処分ゼロというのが浮かんでくるんですが、畜産動物やいわゆる産業動物に関しても、この動愛法はしっかり向き合っているんだということは、なかなか実は知られていない事実なのではないかなというふうに思います。そういった中で、先ほどの環境大臣の御答弁、非常に心強いところであります。

先ほど申し上げた動物の扱いに関しては、本当に氷山の一角です。生きたまま焼かれてしまう鶏もおります。豚に関しては、麻酔をしないで尻尾を切られる、歯を抜かれる、こういった状況も、今現場の中ではまさしく起こっております。

私たちが生きていくのに本当に大事な命をささげてくれる畜産動物の命を大事にするということ、これはやはり先進国としては重要なことでありますし、東京オリンピックで海外のアスリートが皆さん日本に来られる、そのときに、日本の畜産のアニマルウエルフェアのレベルというのがやはり世界レベルからしても低いという状況を目にされれば、これは世界に拡散されてしまうような状況にもなると思いますので、こういったところも、環境省がぜひリードをして是正をしていただければというふうに思います。

また、屠畜場で働いておられる労働者の皆さんの負担を軽減するにも、この動物福祉という概念は非常に重要であります。

例えば、先ほど、鶏を逆さづりにしてつるすという作業、生きた状況でそうするのは非常に大変ですが、今、最終的に、絞めるというか、気絶を一旦させる、そういうのが工程の中に一旦盛り込まれれば、ガスによって眠ってしまったその鶏をつるすという作業は非常に労働者の環境としても負担が軽減されるというような見方もありますので、動物の習性や動物の福祉というものを屠畜や畜産の現場に盛り込むことによって、効率的な、そして経済損失も少ない、そういった処理の方法が行えるのだということもあわせて、環境省、そして農林水産、厚生労働の中で一体となって議論を進めていただけるように、担当者会議の中では積極的な議論を進めていただくことを切に切望させていただきたいというふうに思います。

そうしましたら、時間も間もなくなってしまいます、ちょっと一問飛ばさせていただきます。

実は、この件に関して、農林水産の予算委員会の分科会で私は質問させていただきまして、食鳥処理場に夜間放置されてしまう、輸送されて処理されるまでの間、非常に狭い、ぎゅうぎゅうのコンテナの中で、鶏が生きたままぎゅうぎゅう詰めにされている状況で放置されている、夜間、二十時間近くも放置されてしまうという、長時間の放置について質問させていただきましたが、農林水産大臣の方から、各食鳥処理場に通達を出されたということは承知をしています、本当にこれはありがたいというふうに思っております。私個人も喜んでおりますが、動物愛護を進めている、活動をされておられる国民の皆さんも、本当に喜ばしいことだということで私の方にも声をいただいております。

この件に関して、三月二十六日にその通達が出されたわけですけれども、その後二カ月たちますが、どのような改善策がなされているのか、また、現在改善は進んでいるかどうかを伺いたいと思います。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

食鳥処理場におきまして、委員御指摘のように、夜間を中心に成鶏が長時間放置されるような状況の防止、改善に資するよう、農林水産省では、本年三月、関係団体等に対しまして成鶏の計画的な出荷を促す旨の通知を発出しますとともに、食鳥処理場を所管する厚生労働省に対しても周知を依頼したところでございます。

この通知の発出後、その趣旨を徹底させていただきますために、農林水産省におきまして、関係団体の広報誌によりまして通知の内容を会員の方々に紹介されるよう働きかけ、周知徹底を図りますとともに、生産者団体あるいは成鶏処理事業者団体との間での意見交換を通じまして、計画的な出荷の必要性についての共通認識を醸成する、こういった取組を進めてきたところでございます。

今後とも、関係方面と連携させていただいて、通知の趣旨のさらなる徹底を図ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

堀越委員 ありがとうございます。

ぜひ、このあたり、これからまた時期的には暑い時期になってきます。最期を迎えるときに飲水もできないというぎゅうぎゅう詰めの状態で鶏が最期を迎えるということは、当然ですけれども、先進国としてはあってはいけないというふうに思います。

また、先ほどもお話しさせていただきました東京オリンピックの際には、オリンピックの選手村で扱う食材に関してはOIEの基準にのっとった、アニマルウエルフェアの観点のもと飼育された食材を使うんだということを決定しておりますので、今アニマルウエルフェアの観点からかけ離れた屠畜や畜産の方法、こういったものを進めていってしまえば、先ほども言いましたように、国際社会からやはり乗りおくれてしまうということ、それから、今ある日本の優良な、いい畜産物を海外に輸出するという選択肢、これを広げるためにも、海外基準にのっとった動物福祉の概念のもと飼育される、そういった取組も非常に重要であると思います。

狭いケージの中で長時間放置されていると、当然、生きた状況ですから、上から卵が降ってきたり、それが割れて大変ウジが湧くというような、そういう状況もあるというふうに確認されております。ぜひ、このあたりについては、先進国として全力で環境省、厚生労働省、農林水産省一体となって進めていただくことを再度切に願わせていただいて、私の質問を終了とさせていただきたいと思います。

ありがとうございました。

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