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人獣共通感染症の要因-畜産 国連環境計画レポート

新型コロナ(covid-19)を機に、次にいつ発生するか分からない人獣共通感染症(動物と人間の間で伝染する病気)への対策が急務となっている。

新型コロナ(covid-19)、ニパウィルス、日本脳炎、豚インフルエンザ、鳥インフルエンザ、エボラ出血熱、SARS、ジカウイルス、これらはすべて動物を介して人に伝播する、人獣共通感染症だ。

ヒトの既知の感染症の60パーセント、およびすべての新興感染症の75パーセントが人獣共通感染症だと言われている。

これまで知られていなかった新興の病原体が、ヒト社会に突如として出現すると、ヒトが免疫を獲得していないために大流行を引き起こす危険性が高い。それは今の新型コロナの状況に表れているだろう。
さらに人獣共通感染症の場合、ヒトから病原体を駆逐できても、動物がそれを保持している限り、いつまたヒトに感染するかはわからないという危険がある。

アニマルライツセンターはこれまで、人獣共通感染症の要因が畜産にあると言ってきたが、先日同じことを示すレポートが発表されたので、これに関わる部分を抜粋して紹介したいと思う。

レポートは2020年7月6日に、国連環境計画(UNEP)と、国際家畜研究所(ILRI)により発表された。各国の研究機関、大学と共に作成されたもので、タイトルは「次のパンデミックの防止-人獣共通感染症と伝染の連鎖を断ち切る方法(Preventing the next pandemic – Zoonotic diseases and how to break the chain of transmission)」

家畜化された動物種は、人と平均19(5〜31の範囲)の人畜共通感染ウイルスを共有し、野生動物種は人と平均0.23(0〜16の範囲)ウイルスを共有します。当然のことながら、歴史的な人獣共通感染症または現在の人獣共通感染症に関与する大多数の動物が、接触率の高い家畜(畜産動物、家畜化された野生生物およびペット)というのは合理的です。(11ページ

そして、動物に感染する病原体の約80%は「マルチホスト」で、時々、人間を含むさまざまな動物宿主間を移動し、野生動物由来のものが「家畜」を通してヒトへ感染することもあると書かれている。

レポートはさらに、人獣共通感染症の主要な人為的要因の一つに、「動物性タンパク質の需要の高まり」とそれにともなう「持続不可能な集約畜産」をあげている
高所得国では、動物性食品の消費量にはあまり変化がない一方、低中所得国では動物性タンパク質消費が増加しており、過去50年間で食肉生産(+ 260%)、牛乳(+ 90%)、卵(+ 340%)の強力な成長をとげているそうだ。そしてこの傾向が今後続いていくと書かれており、これが集約畜産の拡大、人獣共通感染症リスクの増加につながると言う。

動物性食品の需要の増加は、集約畜産と工業化を促します。農業、特に畜産の集約化により、遺伝的に類似するたくさんの動物を作りだしました。これらは多くの場合、高い生産性を求めて飼育されます。その結果、家畜は互いに非常に接近した状態に保たれ、多くの場合、理想的な状態ではなくなります。そのような遺伝的に均質な宿主集団は、遺伝的に多様な集団よりも感染に対して脆弱です。遺伝的多様性があれば、病気に抵抗できる個体を含む可能性が高いためです。
貧しい国では、畜産は都市の近くで行われることが多く、バイオセキュリティや基本的な飼育慣行はしばしば不十分であり、動物の排泄物の管理も不十分で、抗菌薬がこれらをカバーするために使用されるという追加のリスク要因があります。
1940年以来の、ダム、灌漑プロジェクト、工場型畜産などの農業集約策は、ヒトに発生した感染症の25%以上、人獣共通感染症の50%以上に関連しています。さらに、農地の約3分の1が動物の飼料に使用されています。一部の国では、これが森林減少を引き起こしています。(15ページ

森林伐採もまた人獣共通感染症のリスクとなる。

森林破壊、野生生物の生息地の分断は、「家畜」と野生生物の接触を促進します。(16ページ

レポートでは地球温暖化もまた人獣共通感染症のリスクとなるという。なぜなら暖かい気温は昆虫やマダニなどの媒介者の数と分布を増加させるから、ということだ。しかしその地球温暖化の主要な要因のひとつもまた現代の集約畜産にあることは多くの人が知っている通りだ。

もちろん、このレポートは集約畜産だけに人獣共通感染症のリスクがあるといっているわけではない。野生動物の利用、旅行や貿易の増加、新しい道路や鉄道を含むインフラストラクチャ開発、都市化の拡大など要因は様々だ。

だが、忘れてはならないのは、人獣共通感染症が外部からやってくるものではなく、私たちがそれを招く原因を作っているということだ。私たちの動物タンパクの消費が、人畜共通感染症の主要リスクとなっているという事実は目の前にある。

動物性食品から得られる栄養素はすべて植物性食品からの摂取が可能だ。動物性に変わる植物性タンパク質市場は近年拡大し、私たちの選択肢は広がっている。
抗生物質耐性菌、地球温暖化、動物虐待、水質汚染・・。畜産業が抱えるリスクは多い。さらに「人獣共通感染症」が加わった。新型コロナではもう一つ、劣悪な環境で働かされる「労働者からの搾取」もあぶりだされた。

これらのリスクを回避できるかどうかは、私たちがスーパーで、どの食品を選ぶのかということにかかっている。

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