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採卵養鶏において、卵を産まないオスの雛は産まれてすぐに殺処分されます。

日本卵業協会の鶏卵関係資料*5を見ると、日本では一年間に採卵鶏のメスが約1億出荷されていることが分かります。

メスとオスが生まれる確率が同じくらいだとすると、殺処分されるオスの雛は一年間に1億くらいということになります。メスであっても足が曲がっていたり体が弱かったり、奇形であったりするとやはり殺処分されますので、そう考えると、殺処分される雛の数はもっと多いだろうと思われます。

殺処分の方法

オスの雛の殺処分は次のような方法がとられています。

  • 袋に入れて窒息させる
  • 圧死
  • 生きたまま機械で粉砕

写真は卵を生まないオスの雛が廃棄されているところです。
コンテナの中に、不要な卵のカラといっしょに生きたままどんどん放り込まれ、積み重ねられるにつれて、下のほうの雛は圧死します。

(写真:Animal Equality)

海外ではこのオスの殺処分という行為を廃止しようとする動きが顕著ですが、日本ではこの問題について、議論がはじまってさえいない状況です。

それどころか、採卵鶏のオスの雛がどのような扱いを受けているか知らない人が多いのではないでしょうか。とくに日本では、畜産の実態が知られていないという現実があります。「アニマルウェルフェア」という言葉さえ、知っていると答えた人は、4.4%にとどまります*1
しかし諸外国の状況は違います。中国では「アニマルウェルフェア」という言葉を1/3の中国人がよく知っていると回答しています*6。欧米では消費者運動の結果、州レベルでのケージフリーが実現したり、企業がアニマルウェルフェアの高い目標を設定したりなど目覚ましい動きがあります。

採卵鶏のオスの殺処分の問題も例外ではなく、廃止しようとする動きがあります。

海外-オス処分の代替法

海外では、オスを殺処分しなくて済む方法として、産まれる前に胚の性別鑑定をしたり、卵肉兼用の鶏種を飼養することなどが検討されています。孵化前の鑑別方法としては後述するように様々な研究が行われており、すでに実用化されている例もあります。

卵肉兼用の鶏種については、オスの殺処分をしなくて済むだけでなく、卵肉兼用種そのものが動物福祉に配慮された種とも言えます。
ドイツのハノーバー獣医大学の研究では卵肉兼用のLohmann Dual種を使って試験したところ、メスの年間産卵数は従来の鶏と比べて50個減少、また肉用として飼育されたオスのほうは従来の鶏と比べて成長が二倍遅かったということです*7。生産効率だけを追求するならこの結果はマイナスとしてとらえられるかもしれません。しかし動物福祉の面からはプラスです。採卵鶏の卵の産卵数の多さ肉用鶏の急激な増体は、いずれも鶏に大きな苦痛をもたらし、動物福祉の大きな問題と考えられているものだからです。
研究はまたこの卵肉兼用種が穏やかで取り扱いが容易であることを見出しています。また従来の鶏が産卵の後期には羽毛の損失が激しかったのに対して卵肉兼用の雌鶏は羽毛が最後まで無傷で残っていたそうです。

オス処分 海外では廃止の方向へ

ドイツはもっとも取り組みの早い国と言えるかもしれません。ドイツでは政府レベルでこの問題が議論されています。

(2015年8月19日 18時15分 ニューズウィーク日本版より引用*3

ドイツの養鶏場では、毎年4500万羽ものひよこが破砕機で殺されている。育てても卵を産まないオスたちだ。
クリスチャン・シュミット独食料・農業相はこの”大虐殺”に歯止めをかけたいと考えており、卵がかえる前の性別検査の導入を検討している。(中略)
ドイツは、この慣行を廃止する最初の国になるかもしれない。2013年には西部のノルトライン・ウェストファーレン州政府が殺処分を禁じる条例を制定した。
条例は結局、ドイツの憲法で保障されている企業の権利を侵害しているとして撤回されたが、シュミットは諦めていない。2017年までに、全国的に禁止したいとしている。シュミットは100万ユーロを用意し、卵段階での性別検査の研究などに資金を投じている。

2016年6月9日には、アメリカ鶏卵生産者団体(UEP)が、2020年までにオスの雛の殺処分撤廃を目標にすると発表*4しました。アメリカの卵の95%がUEPにより生産されたものです。アメリカの動物の権利団体The Humane League の働きかけにより実現したこの決定は、国際社会の流れを変える大きな一歩になると予測されます。

企業レベルで廃止しようという動きもあります。ユニリーバHellmann’sは、孵化前に雌雄を判別する方法などで、この雄の廃棄を終了させることを発表しています*2

オス殺処分の代替手段開発に関するニュース

▼2016年10月27日、放牧卵を販売する会社Vital Farmsが孵化する前の卵の段階で雌雄鑑別する方法を開発
1年以内の実用を目指すとしています。
New technique may prevent the gruesome deaths of billions of male chicks

▼2016年12月16日、レーザーで簡単に「ひよこ選別」する技術を開発
『暖めはじめて4日目で判別可能に。普及すればオス雛の殺処分廃止も可能に』
独ドレスデン工科大学とリトアニア・ヴィリニュス大学の研究チームが、鶏の有精卵にレーザーを当て、雌雄を見分ける技術を開発しました。この技術では、孵卵器で暖めはじめて4日後の有精卵に赤外線レーザーを照射し、胚の中の血液の蛍光の具合からオスとメスを判別します。研究チームによると、380個の有精卵について試験をしたところ、93%の確率で正しくオスとメスを分類できたとのこと。
http://japanese.engadget.com/2016/12/16/4/

▼オスの雛処分を解決する方法を研究するSELEGGT社(ドイツ 2017年3月設立)が、胚が痛みを感じる能力を発揮する前に、孵化卵の性別を識別するための内分泌学的方法を開発。
http://www.seleggt.com/

▼2018年 カナダ政府が、オスの処分を減らすために $840,000の資金提供をすると発表
Farms.com Technology helps separate chicks by sex Jul 03, 2018

▼2018年10月 米国に拠点を置く 食糧農業研究財団(Foundation for Food and Agriculture Research :FFAR)が、ヒヨコが孵化する前に、卵の性別を正確かつ迅速に決定できる技術を開発するために、最大6百万ドルを提供
Prize funding for ovo-sexing breakthrough

▼2018年11月 ドイツSELEGGT社の技術を使った卵が実用化。
ベルリンのスーパーでこの技術を使って生産された卵が販売されるようになりました。
BY DEVEN KING ON JANUARY 3, 2019 Now available in Germany: ‘no-kill eggs’
殺処分されているオスのヒヨコ60億羽が助かる!?──孵化前の性別判断可能に

今後どうなるのか

ドイツではオスの殺処分を伴わない卵がスーパーで販売されるようにもなりました。しかし現在の技術は週に数万羽程度の小規模な孵化場において対応可能な技術であり、大規模孵化場で実用可能な技術はまだ開発段階にあります。
しかし技術の進歩は目覚ましく、2020-2021年ころには大規模孵化場でも対応可能になるかもしれないとも言われています。

産まれてすぐに「生産性が無い」という理由で殺処分する。動物搾取を象徴する典型的な例といえます。命に対する畏敬の念も感謝の気持ちもそこには見出せません。
動物の畜産利用を廃止すれば解決する問題ではあります。しかしそこに至るまでにかなりの時間を要することを考えると、代替法の開発は急務です。

日本は世界で2番目に卵の消費量が高い国です。この問題に対処しなければならない時期はもうとうの昔に来ているのではないでしょうか。

*1 https://www.hopeforanimals.org/animal-welfare/2018survey/

*2 GobalMeat 2014年11月「Poultry welfare coming to the fore – but not for all」
http://www.globalmeatnews.com/Industry-Markets/Poultry-welfare-coming-to-the-fore-but-not-for-all/?utm_source=Newsletter_SponsoredSpecial&utm_medium=email&utm_campaign=Newsletter%2BSponsoredSpecial&c=ZlsIu3XzqryQEXyRmo9P0Q%3D%3D

*3 http://news.livedoor.com/article/detail/10487661/

*4 Press Release 「United Egg Producers Announces Elimination of Chick Culling by 2020」
http://www.thehumaneleague.com/press_releases/uep/

*5 http://www.nichirankyo.or.jp/kaiin/kr02.htm

*6 2011年の南京農業大学の調査 China Is Ready for an Animal Welfare Movement

*7 Jun 3, 2019 What role for the dual-purpose chicken?

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4 Comments

  1. ogntks 2018/03/30

    >>2016年2月にアニマルライツセンターが民間の調査会社に依頼して行った調査(*1)では、麻酔なしでの体の一部の切断や拘束飼育など畜産の実態を知っていると答えた人はたったの8%しかいませんでした。

    >>しかし海外は違います。2014年9月のアメリカの動物虐待防止協会の調査によると、鶏肉について80%のアメリカ人が「人道的に飼育されたかどうかが重要」だと感じているそうです。

    比較の前提が違う。日本のケースは「実態を知っているか」という点であるのに対し、アメリカのケースは「・・・と感じている」というもの。

    記事の全体の内容は同意できるものの、ポジショントークの感が否めない。
    典型的なポジショントークですね。

    返信
    1. bhiro 2019/08/06

      で、あなたの意見は?
      批判することしかできないのですか?

      返信
  2. n 2018/12/16

    あと読み込み遅すぎ
    読ませる気ないの???

    返信
    1. bhiro 2019/08/06

      読み込むのが遅いという事と筆者が読ませる気がないというのは、全くイコールな関係にはない。なぜ、読み込みが遅いからという事が、読ませる意欲がないことに繋がるのか。
      論理が飛躍し、破綻していますよ。

      返信

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