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孵化業界に、雛の圧死や窒息死の廃止を求める

産まれてすぐの雛の殺処分というと、採卵鶏のオスの殺処分を思い浮かべる人が多いでしょう。でも、採卵鶏だけでなく肉用鶏(ブロイラー)でも、産まれてすぐの雛の殺処分が行われています。

肉用鶏の孵化場でも、未熟な雛。黄味が体にこびりついている雛、ヘソがよごれている雛、足が悪かったり炎症を起こしている雛などはその日のうちに殺されます。

雛は毎日毎日孵化場で産まれています。

一日に産まれる雛の数から割り出すと、一日に国内で殺される雛は、概算で、採卵鶏の場合260,000羽程度、肉用鶏の場合21,000羽ほどです*。これらの雛の殺し方として、上から上へ詰めて窒息死・圧死などという方法で殺処分する、ということが広範囲で実施されています。上から上へ積み重なる死体で雛はどんどんぺちゃんこになり、雛同士の熱でびっしょり濡れます。すぐには死なず、じわじわと死に至ります

バケツに詰め込まれる雛。日本の孵化場

日本種鶏孵卵協会にこの問題について質問したところ、「会員各社がそれぞれの立場で取り組んでおり、協会は統一した方針を出しているわけではない」との回答でした。そのため国内孵化場のうち15カ所の会社にこの問題について質問書を出したところ、以下の結果でした。

㈱福田種鶏場、米久おいしい鶏㈱、㈲岩村ポートリー、㈱トマル、㈱カントウ

回答無し(催促しても回答がいただけなかった)
「質問書は捨てた、回答はしない」と回答した一社を含む
2社日本種鶏孵卵協会に聞いてほしい
1社日本種鶏孵卵協会の方針に従っているのでどうすることもできない
1社「日本食鳥協会」や「日本種鶏孵卵協会」との連携に沿って対応している
1社日本種鶏孵卵協会で、法律に適合するひなの殺処分方法の方針を固めるのが良いと思う。殺処分機の導入費用への補助も必要ではないか
1社今後ガス殺処分の導入を検討している
1社問題意識はあるが対応できていない
1社ガスによる雛の殺処分機の情報があればほしい
1社孵化場にアニマルウェルフェアは関係ない。圧死でも問題ない。ガス殺処分は導入する金がない。経済動物だから仕方ない。みんなやってる
1社現在ガス殺処分を行っている。(アニマルライツセンター注 ただし方法については不明)殺処分方法を業界内で共有できないかという問いには、「自社の情報が漏れることになるのでできない」

これらの回答を受けて、2021年2月11日、一般社団法人 日本種鶏孵卵協会に次の通り要望書を提出しました。

*要望書の中で、もっとも苦しみの殺し方は酸素が1%以下に削減された、アルゴンを使用する方法であると記載していますが、苦しみが少ないだけで、「安楽殺」ではありません。なぜなら安楽殺には、麻酔薬の過剰投与しかありませんが、コスト面からそのような高価なものは使用してもらえません。飼料などに再利用する場合は麻酔薬の残留も問題になります。また一羽一羽大きさも違えば呼吸量も異なるため、できるだけ安楽に殺そうと思えば個体ごとに観察しながら殺すしかありませんが、上述した通り一日に殺される雛の数は膨大です。どう転んでも、雛たちには「まとめて殺される」という方法しか残されていません。

要望書

一般社団法人 日本種鶏孵卵協会 御中

お世話になっております。
2020年8月からやり取りさせていただいております、産まれてすぐの雛(採卵鶏の雛と肉用鶏の雛。以下同じ)の殺処分について、以下の3点を要望致します。

1 現行の圧死や窒息死といった、雛の非人道的な殺処分方法を廃止し、法令に遵守した人道的な殺処分方法に切り替えていく方針を、協会内外に対して明示すること。
2 雛のより人道的な殺処分方法に関する海外の知見、及び海外の殺処分機器に関する情報を収集し、それらの情報を会員間で共有すること。
3 集めた情報を元に、雛のより人道的な殺処分への移行の取り組みを開始すること。

本要望は、単に採卵鶏における卵内雌雄鑑別への移行を求めているのではなく、採卵鶏の雛及び肉用鶏の雛に対して、現在広範囲に行われている、圧死や窒息死といった殺処分方法の改善を求めています。
この問題について、昨年、貴協会からは、「会員各社がそれぞれの立場で取り組んでおり、協会は統一した方針を出しているわけではない」とのご回答をいただきました。
そのため当法人は、国内孵化場(採卵鶏及び肉用鶏)の内、15社に、2020年11月から12月にかけて次の質問をさせていただきました。

・より人道的なガス殺への切替の計画はございますか?
・ガス殺への切替が難しい場合、その理由をお知らせください。

その結果、次のような回答となりました。

回答無し 5社
日本種鶏孵卵協会に聞いてほしい 2社
日本種鶏孵卵協会の方針に従っているのでどうすることもできない 1社
「日本食鳥協会」や「日本種鶏孵卵協会」との連携に沿って対応おりました 1社
日本種鶏孵卵協会で、雛の殺処分方法の方針を固めてはどうか。殺処分機の導入費用への補助も必要ではないか 1社
今後ガス殺処分の導入を検討している 1社
問題意識はあるが対応できていない 1社
ガスによる雛の殺処分機の情報があればほしい 1社
アニマルウェルフェアは関係ない。圧死でも問題ない。ガス殺処分は導入する金がない。経済動物だから仕方ない。みんなやってること 1社
現在ガス殺処分を行っている。殺処分方法を業界内で共有することは自社の情報が漏れることになるので、できない 1社

自社の方針を貴協会に委ねている会社が4社。また別の1社は協会としての方針が必要ではないかとの考えでした。
中にはガス殺処分の導入を実際に検討している会社が1社ありました。また検討には至っていないものの、問題意識があったり人道的な殺処分方法についての情報が欲しいという会社もありました。

その一方で、5社は回答をいただけず、また別の一社は「みんながやっていることであり、圧死でも問題ない」という認識でした。

以前のやり取りの中で申し上げたことと重複しますが、新たな情報も加えて、現行の圧死・窒息死などの殺処分方法の法令上の問題点をお知らせします。

「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、「動物愛護管理法」)第 40 条に規定する動物を殺す場合の方法については、「動物の殺処分に関する指針」(平成7年7月4日総理府告示第 40 号)において、動物を殺処分しなければならない場合にあっては、化学的又は物理的方法により、できる限り殺処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認されている通常の方法によることが規定されているところです。

また、昨年6月から改正動物愛護管理法が施行されました。改正動物愛護管理法はより厳格化されています。この改正をうけて、北海道十勝総合振興局は淘汰する牛の殺処分方法をより人道的なものにするための通知を出しています(化製場まで連れて行って殺処分するのではなく、農場内で殺処分してから運ぶようにと言う内容です)。

2019年には「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の農場内における殺処分に関する指針」が農林水産省から通知されています。同指針もまた、直ちに意識喪失状態に至るようにするなど、出来る限り苦痛の少ない方法により殺処分を行うことを求めています。

2021年1月21日には、環境省、農林水産省が「農場における産業動物の適切な方法による殺処分の実施について」を通知しました。通知には次のように記載されています。
『令和元年度の法改正により、昨年6月から動物のみだりな殺傷や虐待に関する罰則が大幅に強化されたことや、動物愛護管理部局と畜産部局等との連携強化が明示されたことも踏まえ、関係部局が連携して、日頃より、産業動物の適切な取扱いの確保及び虐待等の防止に係る事業者への指導助言や情報共有の徹底を図るとともに、適切な方法による殺処分が行われていない事態や飼養保管が適切でないことに起因して産業動物が衰弱する等の虐待を受けるおそれがある事態が認められたときは、速やかな改善を求め、改善の意志がない場合は、警察への告発を含めて厳正に対処するよう御対応願います。』

「農場における産業動物の適切な方法による殺処分の実施について」https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/attach/pdf/animal_welfare-73.pdf

圧死や窒息死を継続し、改善を行わないことは、告発を含めて対処しなければならない重要問題と考えられます。しかしながら現状、窒息死・圧死が孵化業界では広範囲に継続されている状態です。

個々の孵化場への聞き取りでは、貴協会が統一した方針を示し、人道的な殺処分方法の導入に具体的な取り組みを勧めることが、改善への有効な手段となるだろうと感じました。
雛の苦しみの少ない殺処分については、諸外国ですでに実用化されています。雛の殺処分時の苦痛についての、諸外国の科学的知見を集め、諸外国の雛の殺処分機のメーカーに問い合わせて、より人道的な殺処分方法について、情報を集めてください。
すでに雛のガス殺処分を導入している会社もありましたが、その具体的方法については不明です。科学的根拠に基づかない恣意的なガス殺処分方法の導入では雛の苦しみを減らすことはできません。人道的な殺処分は、鳥インフルエンザの殺処分の時に実施されるような、中の様子も見えない、濃度も測ることができないバケツに家禽を積み重ねて上から二酸化炭素ガスを注入すれば良いというものではありません。
産業レベルで実用可能なもっとも苦しみの少ない方法は酸素が1%以下に削減された、アルゴンを使用する方法です(二酸化炭素ガス単体では雛に嫌悪感をあたえます)。また鳥インフルエンザ発生時に行われているようなバケツの中に家禽を上から上へ積み重ねるという方法はガス殺ではなく窒息死の可能性があります。日本も加盟するOIE(世界動物保健機関)第7.6章 「疾病管理を目的とする動物の殺処分」の、次の記述にも反します。

第7.6.12条の2(ガス殺について記述された部分)
コンテナ又は装置は、過密にならないものとし、お互いの上に登ることによる動物の窒息を防止する措置が必要である。

現在孵化場で行われている、法令に抵触する殺処分方法を廃止する方針を公表し、諸外国の情報を収集し、一日も早く、より苦しみの少ない方法への移行に取り組んで下さい。

毎日孵化場で産まれてすぐに殺処分される雛の数は30万羽近いと推定されます。これだけの雛が苦しみの多い方法で日々死に至っていることを鑑みると、喫緊の課題です。

ご多用中恐縮ですが、当法人の要望3点につきまして、ご回答いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。


起立困難の雛や弱っている雛も、産まれてすぐに殺処分される

下の写真2枚は海外の孵化場 AndrewSkowron / OpenCages

トップの写真は海外の孵化場 Farm Transparency Project Eggs Exposed Male chicks shredded alive at the hatchery 

*鶏ひなふ化羽数(鶏ひなふ化羽数データ収集調査結果) 一般社団法人日本種鶏孵卵協会資料の餌付け羽数から推定

2 Comments

  1. 移住者 2021/02/16

    大前提として『人間』が生きていくうえで家畜産業は欠かせません。
    もしも、この世に、鶏肉、豚肉、牛肉、卵がなくなったら、あるいわ食べられなくなったらどうしますか?
    きっと誰もがしたくてしている作業ではないと思います。
    いずれ失われていく命を『人間』が生きていく為に 仕方ないことなのではないでしょうか。
    処分の仕方に問題があると訴えるなら他にどんな方法が良いのでしょうか。教えて欲しいです。

    ところでこの数字を少しでも減らせられるとしたら どう思いますか?参考にまで皆様のご意見聞かせて下さい。

    返信
    1. その大前提自体が誤っている可能性もあります。少なくとも今食べている量は全く不要というよりも、食べすぎて様々な場所に害が出ている状態で、このままでは持続可能ではまったくありません。どうしても食べたいという欲望が抑えられないのであれば、年に1度、月に1度程度でいいのではないでしょうか?
      また方法はこのようなページなど、検索いただけると出てきます。https://www.hopeforanimals.org/eggs/427/

      返信

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