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肉税を今のところ導入している国はありません。
しかし、たばこや酒や砂糖と同じように、肉に対しても税金を課すべきではないかという議論がはじまっています。これは畜産業が根本的に抱えるリスクが広く認識されるようになったためです。

2197兆円分の投資家ネットワークFAIRRによると「気候変動と人の健康への悪影響を減らすための肉の悪行税(Sin taxes:消費を抑えるべき製品への課税)は避けられそうにない」という。
 
畜産業から出される温室効果ガスは全世界の15%を占め、肉の消費は世界中で増加している。しかしこれが根本的に抑制されない限り気候変動を避けることはできない。 さらに言うと、多くの人々が既に肉を食べすぎて、健康に重大な損害を与え、巨額の費用を負担している。 また畜産業は水質汚染や抗生物質耐性などの他の問題を引き起こす。
 
FAIRRの新しい分析は、肉はたばこや炭素排出、砂糖と同じ道をたどり、消費を抑えるべき害のある製品として悪行税(sin tax)を課せられる方へ向かっていると論じている。この分析は、肉税はすでにドイツ、デンマーク、スウェーデンの議会で議論されており、中国政府は2016年に最大45%まで肉の消費を削減することを推奨していると指摘する。
 

「肉は環境にも健康にも悪い」という主張はすでに国際的な同意が得られています。

2016年の全米アカデミー紀要で公表された研究結果は、肉食を減らすことは全世界の死亡率を6-10%まで減らし温室効果ガスを30-70%まで削減することができると結論付けています*1
気候変動に関する政府間パネルは、レポート「Global Warming of 1.5 ºC*12」(2018年10月)の中で、「肉やその他畜産物の需要をターゲットにすることで、食品システムからの総排出量を減らすことができるという合意が高まっています」と示しています。
2018の6月のIATP(農業貿易政策研究所)の報告は、今後肉と乳の消費量が増え続けた場合、2050年には温室効果ガスの81%を畜産業が占めることになると指摘します*4

オックスフォードの研究者であるマルコ・スプリングマン(Marco Springmann)が率いる研究者たちもまた「食品システムは温室効果ガスの1/4以上に責任があり、80%以上が家畜生産に関連する」と言います*1。スプリングマンらもまた、世界各国の政府が赤肉および加工肉に税金を導入することを提案しています*2。この肉税により医療費172億ドルを相殺し、さらに年間20万人以上の死亡を予防することができるといいます。

スウェーデン農業科学大学の「スウェーデンの肉消費税」という調査は、牛肉、豚肉、鶏肉すべてに同時に税を導入すると、温室効果ガス、窒素、リン、アンモニアの排出を少なくとも27%削減できると見積もっています*9

肉税導入を協議する国

スウェーデン

2013年1月23日、欧州議会の農業委員会の審議において、スウェーデン農業委員会は食肉生産による環境への影響を減らすことを目的とした税を提案。 委員会の専門家は、より多くの野菜を食べることで環境と健康の利点があると述べました。

スウェーデン農業委員会は、消費者と企業による自発的な行動は、おそらく環境と気候の目標を達成するのに十分ではないと言います。彼らが1月22日に発表した報告書*10「自主行動は公共政策によって補完されなければならない」「スウェーデンだけでなくEUレベルでの肉税が解決策になるだろう」と述べています*11

デンマーク

大臣、および公的機関に助言する機関として法律の下に設立された諮問機関であるデンマーク倫理評議会は、2017年に、国が肉税を課すことを提案。デンマークは気候変動の脅威にさらされており「倫理的消費者」に頼るだけでは不十分だとしています。評議会の声明は、デンマーク人は食習慣を変えることを「倫理的に義務付けられている」と付け加え、牛肉を除きながら健康的で栄養価の高い食事を楽しむことに「問題はない」と主張します。

提案された税は最初は牛肉にのみ適用されますが、持続可能なライフスタイルを促進するために、税は今後数年で他の肉や実際にすべての食品に拡張され、気候変動に大きな影響を与えるものは最高の税率で課税します 。

イギリス

2019年1月、グリーン党議員のキャロライン・ルーカスは、英国の農業によって生じる温室効果ガスの排出を削減するために、政府はすべての肉に課税することを検討すべきと提案*5

ドイツ

2019年8月、グリーン党および社会民主党(SPD)の政治家は、地球温暖化を抑制し、動物福祉の改善に資金を提供するために、肉の消費税率を19%にすべきだと提案*6

これらの国では肉税の議論が始まっただけで、それが現実のものになったわけではありません。しかし持続可能な社会に向かって世界は動いており、あらゆる面で「持続可能」から遠いところにある畜産業への風当たりは強くなっています。

市場調査や経済分析、投資リスク評価などを行う金融情報会社のFitch Solutionsは2019年8月、肉税導入の動きについて分析したレポートを出しました*7

西ヨーロッパのいくつかの発展した市場に先導される、「政策」をつかって赤身肉の消費を阻止するという考えは、まだ初期段階にあるが、今後数年間にわたって食肉業界に砂糖税と同様の規制をしようとする高まりが想定される。

そして肉税の導入が求められる理由については、健康、環境、倫理面をあげており、倫理面については次のように述べています。

倫理的懸念

畜産業は、その動物の扱い方や集中的な農業方法について、特に世界中で650万人のメンバーを擁しているとされる動物の倫理的取り扱いのための人々PETAなどの組織から定期的に精査されている。

倫理的配慮は、消費者の意思決定においてますます重要な役割を果たしており、ドイツで提案されているように、議員が動物福祉を支援するために、税によって集められた資金の一部を使用することを誓約することは、一般からの支持を獲得する可能性が高い。

肉税導入を促進する連合True Animal Protein Priceも立ち上がっており、欧州議会に働きかけています。

日本も肉税導入を検討してはどうか

台湾やルーマニアの「ジャンクフード税」、ハンガリーの「ポテトチップス税」。アメリカのいくつかの自治体、メキシコ、フランスなど多数の国が「砂糖」に税を課しています。
日本ではこういった悪行税はありませんが、2015年に厚生労働省が発表した「保健医療2035提言書」には次のように書かれています。

公費(税財源)の確保については、既存の税に加えて、社会環境における健康の決定因子に着眼し、たばこ、アルコール、砂糖など健康リスクに対する課税、また、環境負荷と社会保障の充実の必要性とを関連づけて環境税を社会保障財源とすることも含め、あらゆる財源確保策を検討していくべきである。
この条件に照らし合わせば、日本でも肉税の導入は検討されるべき対象となりそうです。
 
アメリカのイリノイ州では2009年のビールとスピリッツに導入された税金により、その後2年間で飲酒運転による死亡が25%減少したそうです*3。またある論文は、メキシコでジュースの砂糖税を10%にした場合、国内で1,000億円もの医療費を削減できると指摘しています。
 
「肉」の悪行はアルコールや砂糖をはるかにしのぎます。健康を害し地球を破壊し動物を監禁して殺します。肉税の導入は多くのメリットを産みだす可能性があります。国民の医療費は年々増加し、地球温暖化は世界を揺るがす大問題となっており、さらに畜産は2050年までに年間1000万人を殺すと言われる抗生物質耐性菌の温床とも言われています。
 
FAO(国連食糧農業機関)は、世界の食肉消費はこの先2050年までにさらに73%増えるだろうと予測しています。肉税の導入を真剣に議論しなければ、何もかもボロボロになるかもしれません。

*1 All change in the aisles to entice us to eat more veg
*2 Health experts propose a red meat tax to recoup $172 billion in health care-costs
*3 Effects of a 2009 Illinois Alcohol Tax Increase on Fatal Motor Vehicle Crashes Alexander C. Wagenaar PhD, Melvin D. Livingston PhD, and Stephanie S. Staras PhD August 07, 2015
*4 Emissions impossible How big meat and dairy are heating up the planet
*5 Meat tax could be brought in to save the planet Gus CarterTuesday 17 Sep 2019
*6 Germany may introduce ‘meat tax’ to protect the environment 7 August 2019
*7 Meat Taxes: An Industry Risk To Watch Fitch Solutions / 12 Aug, 2019
*8 Danish proposal calls for tax on meat to fight climate change 06 March 2017
*9 WORKING PAPER 10/2012 Green consumption taxes on meat in Sweden Sarah Säll, Ing-Marie Gren
*10 Hållbar köttkonsumtion Vad är det? Hur når vi dit?(持続可能な食肉消費:それは何ですか、どうやってそこにたどり着くのか)
*11 Swedish experts call for tax to tame appetite for meat Henriette Jacobsen 2013年1月23日
*12 Global Warming of 1.5 ºC Chapter4参照

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