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2020年 改善されない「夜間放置」 養鶏会社の対応

アニマルライツセンターは2018年から採卵鶏の長期保管の問題に取り組んできた。採卵鶏はブロイラー(肉用鶏)とは違い、食鳥処理場(鶏の屠殺場)に搬入されてから屠殺されるまで、夜間にわたる長期の保管が行われているからだ。

水も餌もなく、不衛生で、頭をもたげることもできない狭いケージの中での長時間にわたる保管は、アニマルウェルフェア上の大きな問題がある。この問題は国会でも取り上げられ、2018年3月26日、省庁から改善を促す通知が出された。
だがその後もアニマルライツセンターの調査では状況が改善されていないことが確認されたため、再度国会でこの問題について取り上げてもらったところ、2018年8月、厚生労働省により実態調査が行われる運びとなった。
その調査結果が2018年11月に公表され、それによると食鳥処理場で、約半分が12時間以上保管されていることが分かった。この保管時間に輸送時間は含まれていないので実際にカゴに収容されている時間はこれよりさらに長い。本調査では輸送時間含めて最大で4日間もカゴに収容されているケースも明らかになった。

保管時間ロット数
3時間以内87
3時間超6時間以内13
6時間超12時間以内12
12時間超24時間以内71
24時間超48時間以内25
48時間超72時間以内3
72時間超2
不明5
合計218

この調査を受けて2018年11月15日に周知の事務連絡、及び2019年3月にも再度改善を求める通知が出された。

だがそれで状況は改善されただろうか?

状況は改善されたか

アニマルライツセンタは2019年3月に通知が出されてからも、単発的に食鳥処理場の調査を行った。その結果、1施設をのぞいて夜間放置(前日搬入翌日屠殺)があったという状況だった。

A施設:2019年11月14日 夜間放置有

B施設:2019年11月14日 夜間放置有

C施設:2019年8月21日、2019年12月26日 夜間放置有

D施設:2019年8月21日 2019年12月26日 夜間放置有

E施設:2019年12月26日 夜間放置有

F施設:2019年12月26日 夜間放置なし

2020年調査

単発の視察では状況がつかみづらいため、2020年に入ってからは手分けして3施設の保管状況を調査することにした。結果は次のとおりだった。
*赤色は休日*時間は17時前後。休業日は昼過ぎ。

G施設

曜日保管の有無
202039
2020310
2020311
2020312
2020313
2020314×
2020315
2020316
2020317
2020318
2020319×
2020320金(祝)
2020321
2020322
2020323
2020324
2020325

結果をみると、翌日が営業日であれば、どの日も夜間にわたる保管ありという状況になっている。さらに3月21日は翌日が休業であるにもかかわらず搬入されており、鶏は翌々日までカゴの中で屠殺を待たなければならない状況だった。

H施設

曜日保管の有無
202038
202039
2020310
2020311
2020312
2020313×
2020314×
2020315
2020316
2020317
2020318
2020319×
2020320金(祝)×
2020321×
2020322
2020323
2020324

H施設も、翌日が営業日であれば、どの日も夜間にわたる保管ありという状況になっている。

I施設

曜日保管の有無
2020312
2020313×
2020314×
2020315
2020316
2020317
2020318
2020319
2020320金(祝)
2020321×
2020322×
2020323
2020324
2020325
2020326

I施設は、3月22日を除き、翌日営業日であれば、どの日も夜間にわたる保管ありと言う状況だった。

これらの結果を見る限り、食鳥処理場で長期保管を起こさせない配慮はみられない。採卵鶏処理場はブロイラー処理場に比べて圧倒的に少ないという物理的な要因(ブロイラー屠殺場110施設に対して、採卵鶏屠殺場は31施設)があるにせよ、ブロイラーの屠殺数が年間6億羽に対して採卵鶏が1億羽と言うことを考えると、度を超した連日の夜間保管のように感じる。

養鶏企業は、長期保管にどう対応しているのか

厚生労働省がおこなった実態調査をみると、長期保管が発生する大きな要因として「養鶏場側の協力が得にくい」ということが挙げられてる。採卵鶏屠殺場が31施設しかなく長距離運転を強いられ、さらに農場の大規模化が進んで一度の出荷羽数が数万と言う実態を考えると、確かに食鳥処理場だけの努力では長期保管を避けることは難しいだろう。

さらに、より利益の出る時期に出荷したいという、養鶏場側の思惑があるだろう。卵価が下落すると成鶏更新・空舎延長事業が発動される。この時期に出荷すれば、養鶏場は1羽あたり210円という奨励金をもらうことができる。業として利益を得ている以上、より利益を得られる時期に出荷したいというのは当然のことだろう。だがそこにアニマルウェルフェアが欠けるようなことがあってはならないはずだ。

アニマルライツセンターは2020年に入ってからも長期保管が続いているという実態をうけて、大手の養鶏企業7社に、長期保管を避けるための取り組みを行っているかどうか確認した。

A社:長時間保管しなくてもいいような仕組みを確立している

B社・C社:長期保管を避けるために、食鳥処理場側に協力する体制ができている

JA全農たまご株式会社(多くの生産農家の卵を扱っている):コンプライアンスを遵守しているとのことであったが、長期保管をしない取り組みをしているか、生産農家に長期保管を避けるようお願いしてもらえないか、についてはノーコメントであった。

伊藤忠飼料株式会社・株式会社八千代ポートリー・株式会社アキタフーズ:回答をいただけなかった。

少なくとも大手養鶏企業のうち3社は、アニマルウェルフェアの意識を持っていたり、食鳥処理場側へ協力するという考えであった。
だが残る4社は明確な回答が得られなかったり、催促しても回答が得られないという状況だった。省庁からの改善を促す第1回の通知が出されてから2年が経過していることを考えると、問題意識が希薄だと言わざるを得ない。

だが一方的に養鶏会社側が悪いとは言えない。私たち動物保護団体にも責任がある。啓発が不十分なのだ。全国で採卵養鶏会社は2000戸を超える。引き続きこの問題に取り組んでいかなければならない。

消費者の皆さまへのお願い

消費者の皆さまにはお願いがある。卵の消費量を抑えてほしいのだ。可能なら食べるのを止めるという選択をしてほしい(止めても栄養学的には問題はない)。
長期保管が続く根本的な原因は鶏の数が多すぎるということだ。日本人の一人当たり卵消費量は世界2位。一人当たり年間337個もの卵を消費していている。これをもし、一人週に一個程度に抑えたなら、長期保管される鶏の苦しみが劇的に減ることは間違いない。

もう一つは、関係省庁への意見だ。各省庁(厚生労働省、農林水産省、環境省)が改善促す通知を出してから2年以上が経過している。国民として、アニマルウェルフェアを著しく損なう状況がこれ以上続かないよう、改善を促してほしい。

環境省
※分野は「7.自然環境・自然公園」です
https://www.env.go.jp/moemail/

厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/form/pub/mhlw01/getmail

農林水産省
https://www.contactus.maff.go.jp/voice/sogo.html

二晩にわたって食鳥処理場に保管される鶏。

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