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卵は不健康:安くても食べない方がいい理由

カバー写真はWikimediaより

 

安くて1個たった10円でも買える鶏の卵、特に日本では栄養があるとよく言われますが、本当に食べた方が良いものなのでしょうか。

日本では一人当たり年間337個もの卵を消費していて、世界第二位です(2018年時点1)。
1日1個も食べていないと感じるかも知れませんが、お菓子やマヨネーズなど、原材料名を見ると多くの食品に隠れています。

生でも食べられる日本の卵:卵自体の質が良いわけではない

 
卵を生でも食べる文化があるのは日本くらいです。
生で食べられるということは日本の養鶏が優れていると思ってしまう人もいますが、実際は海外と比べ恥ずかしいほど遅れています
通常、卵を生で食べることの一番の危険は食中毒を引き起こすサルモネラ菌です。
日本ではその対策として卵はパックされる前に洗浄されています。賞味期限も海外と比べて短い2週間とされています。
実は卵は洗ってしまうと殻の表面にあるクチクラという保護膜がとれてしまい、逆に菌などが中に入り易くなります。
なので、洗浄されている卵(日本で売られている卵のほとんど)は扱いを余計に気をつけるべきです。食べないのが一番安全でしょう。
 

サルモネラ菌:400個に1個に付いている?

農林水産省の調査によると市販の卵2000パック中、5パックの殻からサルモネラ菌が検出されました2
つまり、400個に1個の割合で殻がサルモネラで汚染されていたということです。
 
卵の殻のみがサルモネラに汚染されていたとしても、菌が殻を通過して卵の中に侵入する可能性があります。
卵を生で食べたり、卵を扱った手で食器や他の食材に触れたりすれば、菌が体内に入りうるでしょう。
家畜の腸内のサルモネラは、抗生物質が効きにくい耐性菌が増えているのでますます危険です3
 

殺虫剤:残留濃度基準が一番緩い日本の卵

多くの国では違法となっている殺虫剤が日本の養鶏場では使用されています。
ワクモというダニの駆除の為に、日本の多くの採卵養鶏場では毎月殺虫剤がケージと鶏たちに吹きかけられています。そこで産み落とされる卵にも付き、目には見えませんが小さな穴(気孔)がたくさん開いている卵の殻の中にも入っていくでしょう。
 
ネグホン4という駆除剤はその97%の成分がトリクロルホンですが、トリクロルホンは人間にも有毒過ぎるためアメリカでは1995年に食料や飼料関係での使用禁止、 EU、ブラジル、ニュージーランド、アルゼンチン、インドなどでも完全に禁止になっています5
 
ボルホ6という駆除剤も使われていますが、その主要成分プロボクスもEUでは禁止7、カリフォルニアでは癌を引き起こす化学物質として指定されています8
 
まだ各国で禁止はされていないスピノサドという化学物質もワクモの対策に使われていますが、2019年にはその残留濃度の検出値が日本から輸出された卵において高すぎたため台湾によって輸入が差し止めされたことがありました。
殆どの国の鶏卵のスピノサド残留農薬基準は0.05ppm以下(香港では0.01ppm)ですが、日本だけなんとその10倍の0.5ppmまで許されています9
しかも、以前は日本でも0.05ppmだったのが、ここ10年の間に世界の流れとは逆に緩くなっています10
 
それと関連しているのか、千葉県畜産総合研究センターが2015年に日獣会誌に出版した論文によると、日本では殺虫剤が効かなくなっているようです:
「 ヨーロッパでは近年殺虫剤の使用が大幅に規制され,薬剤に対するワクモの抵抗性出現の報告を目にすることはなくなった。しかしながら,わが国での市販殺虫剤に対する抵抗性の出現率は,2007~2013年では 2003~2006年に調査した結果に比べ,ジクロルボスを除く他の薬剤ではさらに増加している。11
これは、ヨーロッパと比べ日本ではどれだけの殺虫剤が使われているのかを示しているのでしょう。
 

コレステロール:卵が健康というのは嘘

卵自体の栄養はどうなのでしょう。特に日本では卵は健康だという情報が飛び交っていますが、本当でしょうか?
 
卵のカロリーの60%は脂肪分です。
そして何よりも、日本で一般的に売られている卵一個には250㎎ものコレステロールが含まれています12
 
卵が健康に良いか悪いかについてはたくさんの矛盾した研究結果が今まで出ています。一方では卵の摂取量と様々な病気の関連が統計的に示されています。もう一方では卵摂取と病気の関連は見つからなかったという結果も多数あります。後でも説明するように卵業界が関わっていることが多いのです。
 
一つ否定できなくなっている事実は血液内のコレステロール濃度と循環器疾患(しっかん)が密接に繋がっていることです。
循環器疾患とは心臓病や脳血管疾患(脳卒中)などの血管の詰まりや破裂によって突然起こる疾患のことです。
循環器疾患は日本人の死因として癌についで2番目です13
日本人の4人に1人は循環器疾患で死んでいます14
 
2019年3月に出版された3万人近くの人口を13年~22年もの間監視した調査によると、1日のコレステロール摂取量が250㎎(日本の卵1個分)多くなるごとに循環器疾患の確率が14±7% 高まっていました。これはコレステロール以外の栄養素、食生活、肥満度、喫煙習慣などの影響を引いた後でも統計的に優位な結果だったので説得力があります。15
 

Zhong et al, 2019 15

 
同調査で卵の摂取量と循環器疾患の確率も調べられていますが、卵のコレステロール値と比例した結果が出ています。
つまり、コレステロール250㎎含む卵を一日1個余計に摂取するごとに循環器疾患の確率が平均14%ほど高まるのです。
 
コレステロールを最も多く含む代表的な食べ物は卵です。
しかし、卵の摂取が血液内のコレステロール濃度とは関連していないという有意な研究結果が一つも出版されていないにも関わらず16、そういう主張がインターネット上では無数に出回っています。
 
また、卵の摂取とコレステロールについて出版された調査は、1960年代以前は全く卵業界から資金を受けていませんでしたが、それ以来着々と増え、2010年代には60%もの研究結果が企業の資金を使って出されたものとなっています16
 

Barnard et al, 2019 16

卵摂取とコレステロールの関連について出版された論文の約9割が、卵が血液中のコレステロール値の上昇をもたらしたと報告しました。それにも関わらず、企業が資金提供をした研究の49%(29個もの論文)ではコレステロール値の上昇は悪くないものだという結論を主張しました16。近年の代表的な資金源は、例えば American Egg Board (全米卵協議会)であり、同協議会の「資金は卵の販売に必要な研究・教育・宣伝を支援している」と表明しています17
科学雑誌に出版された論文でさえも解釈に充分注意しなくてはいけません。

 
卵は確かにたんぱく質やビタミンなど豊富です、卵はひよこになる為の栄養素なのですから。
しかしここまで人間への害が証明されているコレステロールを大量に摂ってまで食べる必要は全くありません。
私たち人間は豆類・穀物・野菜などから同じ栄養素を、コレステロールを全く無しで摂れるからです。
 
卵の平均摂取量が世界第二位の日本人の間で循環器疾患が死因第二位だというのは驚くことではないのかも知れません。
 

卵は癌とも関連している23

日本人の死因第一位の癌はどうなのでしょう。
癌で日本一多いのが大腸がん18ですが、34ヵ国のデータを分析した研究によると、卵の摂取と大腸がんによる死亡が統計的に有意な関連を持っていました19
 
日本人男性で2番目に多い前立腺がん18に関しては、ハーバード大学の研究によると、卵を摂取すればするほど死に至る前立腺がんにかかる割合が高まっていました。卵を週2.5個以上食べる男性は、週0.5個以下の男性と比較すると、前立腺がんでの死亡率が約2倍ありました。20
 

卵は死亡リスクとも関連している

2020年7月に発表された論文は、16年間で416,104人のアメリカ人を対象としたコホート研究の結果、動物性タンパク質を、わずか3%を植物性タンパク質におきかえるだけで、死亡リスクが男女とも10%減少。(心血管疾患は男性で11%、女性で12%減少)、特に卵を植物性タンパク質に置き換えると、男性では24%、女性では21%、死亡リスクが低いことがわかりました22
 

最後に

卵は、少なくとも日本では乳幼児の食物アレルギーの中で断トツに多く、食物アレルギーのあった東京都の乳幼児(全体の21%)の8割が卵によるアレルギーを示しました21
東京都の乳幼児の6人に1人は卵アレルギーがあったということです。人間が食べるのには適していないのではないでしょうか。
 
そして、自分の健康に関心がなかったとしても、日本の卵1個はケージの中に閉じ込められた雌鶏一羽の24時間の苦しみです。
選択肢は私たち一人一人にあります。
 
 

 

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