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世界的に牛乳消費が減少・代替乳が増加

2017年12月エーリック(農畜産業振興機構)「畜産の情報」によると、『世界の乳代替品の販売額は、2015年に137億米ドル(1兆5618億円)となった。北米は、これらの製品において世界でも大きな市場の一つであり、全世界の30%を占めているとされる。主な乳代替品には、アーモンドミルクや豆乳のほか、カシュ―ミルク、ココナッツミルク、麻ミルクがある。米国では、アーモンドミルクなどの消費増によって飲用乳のシェアが低下傾向で推移している』

別の記事(Rose Flavoring and a Wine Shortage: These Are the 4 Food Trends to Watch in 2018)は、Euromonitorによると、米国ではミルクの代替としてアーモンドミルクが過去5年間で45%増えて、現在米国市場の7%を占めていると言います。

ヨーロッパでも同様の傾向にあります。2019年8月エーリック(農畜産業振興機構)「畜産の情報」は『欧州委員会が2018年11月に公表した報告書「REPORT FROM THE COMMISSION TO THE COUNCIL AND THE EUROPEAN PARLIAMENT“on the development of plant proteins in the European Union”」によると、人が摂取する植物由来のたんぱく質の増加は、西欧・北欧を中心にEU各地で見られるという。また、今後増加が見込まれるのは、食肉と牛乳・乳製品の代替製品市場であり、それぞれの年増加率は14%、11%となっている。』と報告しています。

2020年3月エーリック(農畜産業振興機構)「畜産の情報」によると、2019年EU農業アウトルック会議における講演によると、「EUの2019年飲用乳売上量は約290億リットルであるが、西欧を中心とした消費者離れから2019年から2024年の間に約10億リットル減少する一方、植物性由来飲料は需要が高まり4億8800万リットルの増加見込み」だといいます。

下の表はエーリック(農畜産業振興機構)のレポート「2021年5月号欧州における食肉および乳製品代替食品市場の現状」から引用

米コーネル大学の農業経済教授のAndrew Novakovicは牛乳の消費は1940年代後半にピークを迎え、ここ数年では2010年の約240ポンドから2015年には約120ポンドに急激に減少したと指摘しています*4。

2019年のレポートによるとイギリス人の4分の1(16歳から24歳の子供の場合は3分の1)は植物由来の牛乳を飲んでいます*14。

日本でも、牛乳の消費量は減少傾向にあります。

平成 27 年度「牛乳・乳製品の消費動向に関する調査 報告書*2」によると『牛乳を毎日飲む』1999年の45.6%から2015年には34.5%に減少しています。一方で豆乳の消費量は増加しています。日本豆乳協会のデータ*3によると、1999年に45,459kgだった豆乳製品の生産量が2015年には313,999kgと大幅に増えています。

エーリック(農畜産業振興機構)が2021年1-3月にかけて日本を含む8か国で行った調査「各国における乳製品代替食品の消費動向」によると、「牛乳・乳製品を喫食しない層(牛乳・乳製品を「全く喫食しない」と回答した人)の割合は米国が14%と最も高く、次いで日本が12%、ドイツが10%となった」「牛乳・乳製品を喫食しない理由を見ると、多くの国で「味が好きではないから」「健康・安全面などの理由」の割合が高かった。また「環境への負荷が大きいと思うから」に注目すると、多くの国で1~2割となった一方、インドネシアは2%と最も低かった。続いて「動物がかわいそうだと思うから」に注目すると、ドイツや米国の割合が2割超と高かった一方、インドネシアは5%と最も低かった。「健康・安全面などの理由」を見ると、ブラジルが38%と最も高かった一方、日本、中国は18%と最も低かった。」
また、今後の乳製品代替食品の喫食頻度の意向は、「増やしたい層(「増やしたい」「やや増やしたい」の合計)の割合が、いずれの国でも減らしたい層(「減らしたい」「やや減らしたい」の合計)を大きく上回っている」

乳消費の減少に伴い、乳代替市場に参入をはじめる企業や、倒産する企業

動物を殺した肉に替わる代替肉の市場が拡がりつつありますが、乳製品についても同様の傾向があります。
大手食肉会社が代替肉市場に参入しはじめているのと同様に、2016年にダノン社が、アーモンドミルクのブランド『Silk』を保有するホワイトウェーブ社を、また同年、大豆やアーモンドなどの飲料や植物性デザートを展開する欧州の主要な乳製品代替食品ブランドであるアルプロ社も買収*19するなど、大手乳業会社が非酪農企業を吸収・合併することで乳代替品分野に参入する動きがみられます(2020年5月、ダノン社は「2025年までに世界中で植物ベースの売上高を約50億ユーロに倍増する」と述べています*16)。
スターバックスはアーモンドミルクやココナッツミルクなどの非乳飲料のラインナップを拡大しています*11。

米国東海岸最大の乳製品メーカーの一つとして首都圏700万人に牛乳を供給してきたElmhurst Dairyも消費の減少を理由に2017年に乳業部門を停止、その後、植物性ミルクの会社として再出発を果たし、アーモンドミルク、オートミルクが大ヒット商品となったと言います。2019年11月、カリフォルニア州でもっとも古くから酪農業を営んできたGiacomazzi Dairyは、125年の乳業の歴史を閉じて、アーモンドミルク事業に転向することを決めました*12。

2019年11月、米国最大の酪農企業米国最大の酪農生産者ディーンフーズが破産を申請。その裏には乳の消費の減少があります。ディーンフーズもまた代替乳へ参入する動きはありましたが、あまり積極的なものではなかったことも、破産の要因かもしれません*8。続いて2020年1月6日には、米国大手牛乳販売企業Borden Dairy Companyも破産を申請。同社CEOはその理由を「大豆、米、ナッツミルクなどの乳製品の代替品のブームと生乳の価格上昇による」と述べています*10。

酪農からアーモンドへ転向する農家もいます。

カリフォルニア州の酪農事情について話してくれた関係者によれば、同州では酪農家戸数が減少し続けているが、離農する人の他にアーモンド農家に転向する人がみられることが懸念されるとのことであった。なぜならば、アーモンド農家は酪農経営よりもはるかに少ない労働力で高い収入が得られるとのことであり、労働面や金銭面からすれば、酪農家を続ける理由が見当たらないとのことであった。エーリック海外情報 畜産の情報 2020年6月号 米国における乳用牛の輪番交配の取り組み

牛乳は体に必要な飲料ではない

カナダ政府の食事ガイドは年を追うごとに乳不要なガイドラインに変更されていっています。過去には乳製品は必ず掲載されており、1982年版までmilk and milk productsとして4分の1を占め、1992年版でmilk productsとして大人は2~4杯飲むと記載されています。しかし2007年版では「milk products」が、「Milk and Alternatives」に変わり豆乳などが入りました。そして2019年版では、1例として低脂肪牛乳は含まれているものの、基本的に「水」と変更になりました。

酪農による環境負荷

2020年の米国農業貿易政策研究所(IATP)の報告書は、世界最大の酪農企業13社による温室効果ガス総排出量は、世界第6位の経済大国である英国の総排出量と同じだと報告しました*15。

オランダでは畜産動物のふん尿に多く含まれるリン酸塩の排出量が2015年、2016年と2年続けてEUの基準を上回りました。そのため環境対策として「リン酸塩排出削減計画」を策定。この計画には「頭数削減計画」「営農中止計画」「飼料削減計画」が盛り込まれまれました。その結果、2016年から2017年にかけて、飼養頭数削減、営農中止、飼料中のリン酸塩削減が求められた結果として、総飼養頭数の1割を超える経産牛13万頭、子牛を含む未経産牛15万頭が淘汰され、約600戸が営農を中止しました*9。

2021年6月、世界15カ国以上で事業を展開する金融サービス業、Legal&General Investment Managementが、気候変動リスクへの対応が不十分であると判断した中国のトップ乳製品国有企業の中国蒙牛乳業を含む4社の持ち株を売却する予定であることを発表しました。また、以前に一度売却したクローガ―社を、森林破壊の方針と開示の改善、および気候への影響が少ない植物ベースの製品を促進する取り組みがおこなわれたことで再度復活させました。 Legal & General Divests From U.S. Insurer AIG Over Climate Policies

また、酪農大国ニュージーランドでは、持続可能性の対策を本格化させた14年以降の集乳量の増加率は、それ以前よりも小さくなり、21年以降はほぼ止まるという見通しが示されています。エーリック 2021年8月号 COVID-19影響下のEU酪農の現状

今後の乳製品代替市場の予測

飲料だけではありません。乳製品を使わない植物由来のバター代替品ファババター(FabaButter)も、全米で購入できるようになっていますし*5、アメリカのスタートアップ企業Eclipse Foodsのように牛乳のタンパク質構造を再現した牛乳の味わいとそっくりな100%植物由来のアイスクリーム「Eclipse Icecream」を開発した会社もあります(2019年11月)。2020年、シンガポールを拠点とし、肉や魚介類の植物性代替食品を開発するGrowthwell Groupは800万ドルを資金調達しました。同社は2021年にはひよこ豆ベースのミルクやアイスクリームなどの新製品も開発する予定だといいます*13。ナタリー・ポートマンは植物性ミルクのOATLY(オートリー)へ、ウォルト・ディズニーは、会長のボブ・アイガーは同じく植物性ミルクのスタートアップ Perfect Dayに投資しています*17。

OATLY(オートリー)
ヨーロッパとアジアの20か国以上でOatlyブランドの製品を販売している同社は、2021年2月株式の上場を申請した*18。

市場調査会社 Markets and Markets社は、乳製品代替市場(大豆、アーモンド、ココナッツ、米、オーツ麦、ヘンプ)は2018年の173億ドルから、2023年には296億ドルに成長するという予測を発表。アジア太平洋地域は予測期間中に最大の市場シェアを保持すると予測されています*7。

シンクタンクのRethinkXもまたレポート「Rethinking Food and Agriculture 2020-2030」(2019年)の中で、アメリカの植物性タンパクの産業が急速に拡大するだけでなく、今後15年間で動物タンパク産業に匹敵するものになり、牛乳の需要については2035年までに90%減少すると予測しています。

牛乳は体に悪い」という論文が出るたびに「そんなことはない」という理論を展開し乳拡大をはかってきた日本のJミルクでさえ、今年3月に「急成長する植物由来乳製品代替品の市場と海外大手メーカーの動向」というレポートを発表。「植物性乳代替品へのシフトは今後も続くだろう」と述べています。

代替乳だけではありません。培養肉・代替肉も同じです。2040年には「肉」市場における培養肉・代替肉の占める割合は60%になり、現在の畜産由来の肉は実に40%にまで低下するだろうといと言われるほど拡大しています。代替乳や代替肉・培養肉に比べて遅れてはいるものの、代替卵も着実に拡大しています。

動物への配慮から乳製品を拒否する動き

2017年3月エーリック「畜産の情報」によると、EUにおける飲用牛乳の消費は、この10年間で1人当たり5リットル減少しているそうで「これは乳糖不耐症の存在やライフスタイルの変化の他に、動物由来製品の摂取に反対する消費者が増えていることもある」と書かれています。

2017年11月8日のalternet記事*1は「酪農業界はVEGAN活動家がこの業界の脅威であると認めた―牛乳のもつ健康、動物福祉、環境への悪影響を消費者が認識するにつれ、酪農業界は危機的状況に陥る」というタイトルで、ベルファストのイベントに集った英国、中国、日本、オーストラリアの乳業界のボスが、VEGANが乳製品に対して提示する「神話や恐怖の話」への懸念を表明したことをレポートしています。

近年酪農業での動物への残酷な扱いがつぎつぎと暴露されており、業界が危機感を感じていることが伝わってっきます。

ビリー・アイリッシュやホアキン・フェニックスのような著名人も、酪農業での虐待に警鐘をならしています。事実が明らかになるにつれ、健康面だけではなく、動物の権利の観点から乳製品から植物性ミルクへの切り替えを選択する人も少なくないことが伺えます。

*1Dairy Industry Admits That Vegan Activists Are a Threat to Its Existence https://www.alternet.org/food/dairy-industry-admits-vegan-activists-are-threat-its-existence
*2平成 27 年度「牛乳・乳製品の消費動向に関する調査 報告書」独立行政法人 農畜産業振興機構
https://www.alic.go.jp/content/000124616.pdf
*3日本豆乳協会データベース http://tounyu.jp/database/chousa.html
*4Large Dairy Company Ditches Dairy after 90 years and Starts Producing Plant-Based Milks Instead
*5 本物に劣らない植物由来の「バター」 ひよこ豆のゆで汁から開発 20190321
*6 特集 金脈眠る未来の食、「ビーガン関連株」に大相場の気配 <株探トップ特集>2019.7.3
*7 Dairy Alternatives Market by Source (Soy, Almond, Coconut, Rice, Oats, Hemp), Application (Milk, Cheese, Yogurt, Ice Creams, Creamers), Distribution Channel (Supermarkets, Health Stores, Pharmacies), Formulation and Region – Global Forecast to 2023
*8 Dean foods’ bankruptcy highlights investment risks in animal agriculture FAIRR
*9 海外情報 畜産の情報  2020年1月号 オランダ酪農乳業の現状と持続可能性(サステナビリティ)への取組み~EU最大の乳製品輸出国の動向~ 家畜由来のリン酸塩排出量、EU基準を下回る(オランダ)
*10 Borden Becomes Second Big U.S. Milk Producer to File for Bankruptcy Bloomberg January 6, 2020 08:40 AM
*11 Starbucks expands vegan selections with new oat milk, almond milk and coconut milk signature drinks Jan 07, 2020 
*12 アメリカ、牛乳離れの一方で植物由来ミルクが急拡大する事情と最新トレンド 2020/01/21
*13 Alternative meat maker Growthwell raises $8m in Temasek-led round
*14
Britain turns its back on the dairy industry as a QUARTER of people now drink plant-based milks PUBLISHED: 18:47 BST, 19 July 2019 | UPDATED: 01:33 BST, 20 July 2019
*15 Emissions from 13 dairy firms match those of entire UK, says report
*16 Danone Essential Dairy and Plant Based moves into new chapter in North America
*17 OCTOBER 22, 2020Disney’s Bob Iger invests in animal-free dairy startup Perfect Day
*18 Plant-based milk company Oatly confidentially files for IPO PUBLISHED TUE, FEB 23 20217:30 AM ESTUPDATED TUE, FEB 23 20218:25 AM EST
*19 海外情報 畜産の情報 2021年5月号 欧州における食肉および乳製品代替食品市場の現状

 

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