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小さな犠牲者 ウズラの卵とその実態

小さなウズラの卵。その卵を産むウズラもとても小さい。手のひらに乗るくらいの大きさしかなく、保護した時の体重は100gしかなかった。

保護した「廃うずら」日本

「うずらの水煮」「味付けうずら」。うずらの生卵もスーパーで販売されている。でもそのウズラがどんな風に飼育されているのか、知っている人はあまりいないのではないだろうか?じつはウズラも鶏と同じように、バタリーケージ飼育されている。床は卵が転がりやすいように傾いた金網でできており、四方も金網だ。ケージの中には隠れ場も砂場も、なにもない。

ウズラの飼育方法も鶏の飼育方法も五十歩百歩で、どちらも同じように非人道的だ。

写真は「廃うずら」にされたばかりのウズラだ。
「廃うずら」とは産卵率が落ちて生後1年程度で殺処分されるウズラのことを言う。写真を見れば、産まれて一年、どれだけ過酷な一生を送ってきたのか分かるだろう。この二羽の体重は、それぞれ100gほどしかなかった。採卵用に飼育される日本ウズラの体重は140gほどと言われている。100gという体重からも、どれだけ毎日体を酷使して卵を産み続けてきたのかを推し量ることができるだろう。

保護した「廃うずら」日本

廃うずらたちは皆、写真のように羽がボロボロで擦り切れて地肌が見えてしまっている。これを「換羽」と思う人もいるかもしれないので念のために言っておくが、これは換羽ではない。換羽でこんな風に個体差もなく一様に擦り切れたように地肌がつるつるに禿げたりはしない。ネットで猛禽類の餌として販売されている廃うずらがたくさんいる。検索してもらえばいずれも地肌がツルツルで禿げあがっていることが分かるだろう(産まれてすぐに殺された雛ウズラも通信販売されているが、廃うずらと間違えないようにしてほしい。産まれてすぐに殺された雛ウズラのほうは羽毛が生えそろっている)

なぜこんな風にボロボロになってしまうのかは、ウズラがどんなふうに飼育されてきたのかを知れば明らかになる。

以下、養鶉場の写真について:
Jo-Anne McArthur / We Animalsと記載のある写真はWE ANIMALS MEDIAから、Compassion in World Farmingと記載のある写真はCompassion in World Farmingからそれぞれ許可を得て使用した。それぞれ台湾、ヨーロッパの写真である。国内の養鶉場の写真は、インターネットを検索すれば最近のものを含めてたくさん出てくるので、ぜひ検索してみてほしい。

うずらの飼育環境

写真はうずらの飼養衛生管理マニュアル 平成21年11月 愛知県から

うずらは、孵化して40~50 日齢で性成熟を迎え、産卵を開始する。産卵期にうずらが収容されるバタリーケージは次のような仕様となっている。

一羽当たりの飼育密度

60-70㎠程度(愛知県うずらの飼養衛生管理マニュアル2009年による)(90㎠のところもある)
1羽当たり8㎝×8㎝~9㎝×9㎝程度という狭小スペースで飼育されているということになる。

一つのケージの収容羽数

通常30羽を収容(25羽や50羽の場合もある)

何段ケージを積み重ねているのか

8-10段のバタリーケージ飼育。 
9段以上になると飼育者の頭より高い位置にあることになり、管理が困難。しかも一羽140g程度ととても小さいウズラが多羽飼育するのだ。日々の目視確認さえ難しいだろう。

A dead quail still in her cage on the top row of cages at a farm. Taiwan, 2019.

 

An industrial quail egg farm Taiwan, 2019

ケージの高さ

通常12㎝(愛知県うずらの飼養衛生管理マニュアル2009年による)ただし、ケージは傾斜しているため、場所によっては高さが11㎝、あるいは15㎝のところもある。(天井を高めにした20㎝の養鶉場もある。)

An industrial quail egg farm.

 

2015-2016ヨーロッパの養鶉場 ©Compassion in World Farming

床の網目のサイズ

1.8㎝×1.5㎝程度(ある養鶉場のサイズ。他の養鶉場は不明)うずらの足指の長さが3㎝程度であることを考えると、足に対して網目は大きすぎる

床の傾斜 

約4度~8度程度。採卵鶏と同じように卵が転がりやすいように床が傾斜している。当然だが一生斜めに傾いた床の上での暮らしを強いられることはウズラにとって苦痛となる。

*「うずらの飼育環境」については、アニマルライツセンターが情報収集したものをまとめたものである。バタリーケージの仕様は養鶉場ごとに少しずつ違うため、記載とは異なる養鶉場もあるかもしれないことに留意してほしい。

飛び跳ねて天井にぶつかる

ケージの高さを「通常12㎝」と書いたが、これは異様な低さだ。立って首を少し伸ばせばすぐに天井にぶつかってしまう。このように低い天井にしている理由は「ジャンプできないように」だ。

野生うずらは「渡り」をする。その野生から「家畜化」されたうずらもまた飛ぶ能力が高い。3-4m軽く飛びあがることもあれば、距離にして20mくらい飛んで移動することもある。加えてうずらは野性が強く残っており人馴れしにくく、畜舎に人が入ってくると怯えて羽をばたつかせて飛び跳ねる。その時に天井が高いと頭をぶつけて怪我することがあるという。それを防ぐために天井が異様に低くされている。だがこれほどの低さでは「首を伸ばす」という通常行動さえできない。「ジャンプ」することも「飛ぶ」うずらの通常行動の一つなのだから、それができないのも問題だろう。

それに、天井を低くしたことでジャンプして頭をぶつけて怪我をすることは無くなったかもしれないが、それでも怯えて逃げようとジャンプを試みることには変わりがない。廃うずらの頭が一様に禿げているのは、天井に何度もあたったこととも無関係ではないだろう。

保護した「廃うずら」日本

うずらの育種「改良」

うずらも鶏と同じように卵をたくさん産むように育種「改良」されてきた。採卵鶏と違うのは、世界中の採卵鶏のほとんどがオランダのヘンドリックス・ジェネティックス社とドイツのEW Group(Erich Wesjohann Group GmbH)の2社による育種「改良」でつくりだされ、そこから日本を含め世界の養鶏場に供給されているのに対して、日本のうずらの育種「改良」は、日本で行われてきたということだ。

野生のうずらを家禽化し、明治時代に産卵を目的とした生産性の向上が図られた結果、日本うずらは海外のうずらに比べて産卵成績が抜群に高くなった。1羽の雌は年間250個もの卵を産む。多産卵の日本うずらは、海外でも注目され、中国やブラジルなど多くの国に輸出され、各国で大量に繁殖が行われている。

年間250個。野生のウズラが1年にたまごを7~12個程度しか産まないことを考えると、いかに産卵数を追求した育種「改良」が行われてきたのかが分かる。産卵率を追求した育種「改良」もまた、廃うずらの羽が禿げてボロボロになっていることと無関係ではなかろう。自分に必要なカルシウムまで卵と一緒に大量に排出しなければならないのだから。

An industrial quail egg farm.

 

体に比べて異様に大きな卵を産み続けなければならない

成ウズラの体重は約140gで、産む卵は10~13g。これは体重比で8%以上ということになる。人間で例えると体重50kgの女性が毎日4kg以上の子供を産み続けるというようなものだ。

鶏の場合は卵の体重比3-4%なので、比べてみると、うずらの負担の大きさが分かる。
(鶏が楽だというわけではない。採卵鶏はウズラ以上に徹底した育種「改良」が行われており産卵能力を限界まで高められており、それは体の代謝に負担をかけ、骨粗鬆症やそれに伴う骨折などの生産疾患で鶏を苦しめている。産卵能力を強化されたことで鶏の生殖器障害のリスクも高まっている。詳細はコチラ)。

ボロボロに禿げる理由


バタリーケージから保護した鶏(2016年日本)うずらと同じようにボロボロだった

少し採卵鶏のことを話すが、採卵鶏も出荷時(生産性が落ちて屠殺する時)には羽が禿げボロボロになっている。その要因として考えられるのは、

1.卵をたくさん産むように品種改良され、必要なカルシウムを卵にとられているから

2.鶏舎で「光線管理」が行われ、毎日産卵させられるから。自然界では照明時間短くなれば産卵をあまりしなくなる。しかしそのような鶏の体の都合に合わせて卵を産まなかったり産んでもらったりしては困る、という理由で行われるのが光線管理だ。

3.太陽の光で羽の虫干しができない

4.砂浴びで体を清潔に保つことができない

5.自分の欲求を何一つ叶えることのできないバタリーケージの中で、ストレスから自分の羽を抜いたり仲間の羽を抜いたり突いたりしてしまう。

光線管理を含め、上記五つともすべてウズラに当てはまる要因だ。加えてうずらに特徴的なのは次の3点だ。

    • 体に対して大きな卵
      上述したように、体の大きさに対する卵の比率が大きい。これだけの大きさの卵を毎日産み続ければカルシウムの排出も相当なものになるだろう。
    • 多羽飼育
      鶏が1ケージ2羽、1ケージ9-10羽などで飼育されるのに対して、ウズラは1ケージ30羽(50羽もある)という多羽飼育。その分ストレスがたまり、互いのツツキが激しくなることが考えられる。オスほどの激しい闘争はなくても、ストレスから弱いウズラを突いてしまうこともある。これも羽毛がなくなる要因だ
    • 飛び跳ねる。
      前述したようにもともとウズラは渡りをするため、飛ぶ能力が高い。人が畜舎に入って来た時、他のウズラにつつかれたとき、大きな音がしたとき、うずらは怯えて飛んで逃げようとする。そうやって天井や四方の金網に何度も体をぶつけ続けて禿げることが考えられる。

ウズラがボロボロになる条件は十分すぎるほどあると言える。

オスは処分

うずらの雛が孵化するのは約17 日目だ。孵化したのがオスであれば、採卵用鶏種のオスと同じように、殺される。非人道的な殺し方であることも採卵用鶏種のオスと変わらない。うずらのオスは産まれてすぐにビニール袋に入れて窒息死などさせた後で、堆肥にそのまま混ぜられたり、動物園の餌や、猛禽類の餌として販売される(通販サイトでは、体重7gほどの産まれたばかりの冷凍うずら雛が販売されている)

野生が残っている

ウズラには野生の部分が多く残っている。それはバタリーケージでウズラが苦しむもう一つの要因といえるだろう。ウズラはとにかく警戒心が強く人に馴れにくい。これまで鶏を何度か保護したが、どの鶏も、人に対して極端に怯えるということはなく、おそくても1週間ほどもすれば人に馴れて餌を催促した。だがウズラは違う。保護して数週間たっても人が近寄るとうろたえて飛び上がり隠れ場所を探して逃げ回った。人が見ていると食べるのをやめて小屋の中に逃げ込んだ。移動させるために抱き上げると足で手のひらを蹴って1mほども飛び上がって逃げた。

ウズラは近交退化(近親交配を続けると繁殖能力が低下したり、不利な形質がでること)の影響が出やすいといわれており、遺伝的多様性を保つために、定期的に他の農場からウズラが導入されてきた。野生のウズラのような飛翔力が保持されているのも、人馴れしないのも、鶏ほどの異常な選択的繁殖が行わなかったことと関係あるのかもしれない。近交退化を避けるためのある程度制限された選択的繁殖により、ウズラは、鶏ほどの生産疾患の苦しみからは逃れることができたかもしれない。だが野生が残っている分、人の管理下に置かれて生涯通常行動の自由を奪われることは苦しみの大きな要因となる。

ウズラがもう少し大きければおそらく家畜化されることはなかっただろうと思う。これほど飛び跳ねて怯えやすく人への拒否反応が強い動物を家畜化するのは人にとっても不都合だ。だがウズラはなんといっても140gと小さい。あまりに小さいためどんなに怯えて暴れても御しやすかったのだろう。

保護した「廃うずら」日本

An industrial quail egg farm.

 

2015-2016ヨーロッパの養鶉場 ©Compassion in World Farming

淘汰

ここでいう淘汰とは「廃うずら」として生後1年程度で出荷する時の淘汰ではない。日々の淘汰のことだ。鶏の場合、卵を産めなくなった鶏や、立てなくなった鶏は日々淘汰されている

だがウズラの場合はこの日々の淘汰というのがあまり行われていない。上述したようにケージが8-10段と積み重なっており見えづらいことや、多羽数の高密度飼育に加えて体が鶏に比べて非常に小さいため、目視での確認がしにくいということもあるだろう。死んでいても気が付きにくい。そのためウズラたちは長期にわたり死体と一緒にケージの中で暮らさなければならないこともある。

稀に淘汰されることもある。ある養鶉場は、淘汰対象のうずらをケージから出して地面に投げるという方法で殺す。そのあとは堆肥に投入される。

屠殺方法 屠殺されたあとどうなるのか

屠殺方法は非人道的だ。

  • 袋に詰めて窒息死、圧迫死
  • 水に沈める
  • 背骨を折る
  • ガス殺

ガス殺はこの中ではマシだが、ガス濃度が測れる殺処分専門の機械を使っているわけではなく、鳥インフルエンザの時の殺処分のように、雑にガスを注入するだけで一羽一羽の生死の確認をおこなうわけではない。(そもそも二酸化炭素単体では安楽死とはいえない。アルゴンなどの不活化ガスを使用しなければ非常な苦しみを味わう可能性が高い)

窒息死、圧迫死、水没死、背骨を折るなどは論外だ。

こうやってバタリーケージに閉じ込められ、最後に殺戮とも言うべき扱いで殺されたうずらたちは、このあと猛禽類の餌や、動物園用の餌として販売されることもあれば、発酵処理をして堆肥にされることもある。

「廃うずら」が肉として販売されることはあっても、まれだ。うずらはとても小さい。そこからとれる「肉」はほんのわずかだからだ。

The factory farming of quails for their eggs. Taiwan, 2019.

 

国内の飼育羽数

他の畜産動物と同じく、うずらでも一戸当たりの飼養羽数が昔に比べて増加している。1棟5万羽、一つの養鶉会社が50万羽飼育しているようなケースもある。

だがうずら産業の人気は年々下がってきているように見える。

全国飼養羽数は1984年に846万羽だったが、2008年には約589万羽となり、2018年には約444万羽にまで減少した。飼養戸数はピーク時の1974年に1,556戸あったものが、1994年は100戸程度、そして2018年には30-50戸*程度に減少した。

*推定値。2018年の全国飼養羽数は4,400,178羽。うずら飼養羽数全国一位で全国シェア6割の愛知県の2019年うずらの飼養羽数は2,422,442羽で戸数が27戸。全国戸数のデータがないため、これらの数字から推定した。

うずらの卵は必要か?

この小さな鳥が体を張って産みだす10gの卵が私たちに本当に必要だろうか?単純な話だがウズラの卵の需要がなければ、ウズラはこのような惨い扱いをうけることもない。ウズラの卵で生計を立てている生産者の皆さんには申し訳ないと思うが、残酷な産業を支援しないという一人一人の倫理的な選択があれば、ウズラを苦しみから救い出すことができるのだ。

鶏の卵にすればいいのか?

ウズラの卵をやめて鶏の卵にしようという人がいるかもしれないので念のためにいっておくが、鶏の卵に変えても残酷なことに変わりはない。日本の養鶏場の9割以上(卵の個数でいえばほぼ100%)はうずらと同じバタリーケージ卵だからだ。平飼いの卵を選べばバタリーケージよりも苦しみは格段に減る。バタリーケージは鳥にとって拷問器具以外のなにものでもないからだ。だがたとえ平飼いの卵を選んだとしても虐待的扱いに加担していることは変わらない。平飼いであっても、過酷な育種改良オスの殺処分クチバシの切断、劣悪な飼育(工場型の、過密で薄暗く、床が網という平飼いも珍しいものではない)、非人道的な淘汰非人道的な屠殺から逃れることはできないからだ。

おりしも日本では今、鳥インフルエンザ広まっており、殺処分される鶏の数は600万羽に上ろうとしている(2021年1月13日時点)鳥インフルエンザで殺処分されるのは鶏だけではない。養鶉場の盛んな愛知県豊橋市では、2009年の2月末から3月上旬にかけて、7戸のウズラ農場で高病原性鳥インフルエンザ感染が確認され、約160万羽のウズラが殺処分された過去がある。

鳥インフルエンザにかかった家禽が見つかれば、一羽一羽の検査もせずに畜舎丸ごと殺処分する。そしてその殺処分に関わる膨大な費用には国費が使われる。殺した家禽の補償金だけでも膨大な額に上る。
家畜伝染病予防法の規則では、一羽殺すごとに家禽企業に手当金が支払われ、一羽当たりの限度額は鶏は800円(ウズラは200円)となっている。2020年末に千葉県いすみ市の養鶏場の鶏114万羽が殺処分されることになったが、この場合、限度額いっぱい支払われると9億1200万円が国費からこの養鶏企業に出ることになる。

殺しては国費を使い、殺しては国費を使い、というサイクルを十数年くり返し、命を軽んじ続ける産業は維持する価値のあるものなのだろうか。

脱たまごはそんなに難しいことではない。卵を使わないレシピは山ほどあるからだ。経済利用される「家禽」がどれだけ悲惨な生涯を送っているのか、その姿を見て想像してほしい。そして苦しみに加担しない選択をしてもらえたらと思う。

A dead quail still in her cage on the top row of cages at a farm. Taiwan, 2019.

2015-2016ヨーロッパの養鶉場 ©Compassion in World Farming

参照

第2章 うずらの生態及び飼養等に関する情報について 農林水産省

うずらの飼養衛生管理マニュアル 愛知県 平成21年11月

https://en.wikipedia.org/wiki/Japanese_quail

写真

WE ANIMALS MEDIA

Compassion in World Farming

*保護うずらたちの詳細はこちらをご覧ください

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