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ケージフリーそしてミートフリーマンデー「SDGs経営を完全なる武器に」㈱Innovation Design

ケージフリーそしてミートフリーマンデー「SDGs経営を完全なる武器に」㈱Innovation Design

㈱Innovation Designは、アニマルライツセンターのケージフリー&エッグスマートキャンペーンの呼びかけに対し、首都圏で経営する3店舗において、将来にわたって平飼い卵の使用を約束する、ケージフリー宣言をしました。

もともとレストランに対するコンサル業をしていた同社が、自分たちの思いを形にするしようと直接店舗経営にのりだしたのは昨年のことです。かねてよりSDGsに造詣深い同社代表が飲食業に関心をもったのは、フードロス問題がきっかけでした。始まりは規格外で捨てられる野菜を「ReFOOD」として再生し商品化したこと。さらに2019年のおわりには経営する3店舗(kigihaishopKITCHEN MANE※1を「サスティナブルレストラン協会」※2に登録、SDGsを理念とするレストラン経営をスタートさせたのです。

SDGsは2015年に国連サミットで採択された17の目標と169のターゲットで、これをを経営理念に掲げる企業が現在日本でも増えつつあります。実際、スーツの胸にカラフルなSDGsバッジをつけた企業人を街でよく見かけるようにもなりましたし、今でこそまったくSDGsに関心のない企業のほうが少ないと思われます。しかしボランティア活動ではなく本業において、SDGsを組織に落とし込み経営統合する、いわゆるSDGs経営を標ぼうするほどの先進企業は、日本ではまだ限られていると言わぜるをえないでしょう。

ともすると日本社会では中小企業はSDGsに関係ないという浅薄な認識も横行するなかで、Innovation Design社は大企業にはないフットワークの軽さで、勉強会を何度も開催し、SDGsに目線を合わせ社会的価値を生むビジネスを模索するトレーニングをしてきました。その一貫として経営する全てのレストラン飲食店を「サスティナブルレストラン協会」に登録、同協会がレストラン・飲食店を評価する際に地球環境や人権・労働をチェック項目としていることにちなんで、今後いちばん何に力を入れて3店舗を経営するかを決定するプレゼン会議を社をあげておこないました。プレゼンは思い切って全店舗休業したイベントとしておこなわれ、その発表者の一人が、今回、ARCのケージフリー&エッグスマートキャンペーンに応募してくださった薄井マネージャーです。そして彼女がこの機会に同社から与えられた調査テーマが「ケージフリー」でした。

ケージフリーまでの道のり

じつのところ薄井マネージャーは、それまでブライダルを専門としており、それまでまったくアニマルウェルフェアについて着目したことはなかったそうです。なのでせいぜいケージフリー卵は高級できっと美味しいのだろう?ぐらいに思いつつ、アニマルライツセンターの公式サイトを閲覧し、卵の真実、バタリ―ケージの実情を知ると大きな衝撃を受けました。そして驚きながら「ケージ卵とケージフリーの卵の違いを知ってるか?」とキッチン担当者に尋ねると、彼らもケージフリーという名称は知っていたが、今なぜ世界中のキッチンの卵がバタリ―ケージからケージフリー飼育の卵に変わりつつあるのか、その理由までは知らなかったそうです。

ケージフリーについて勉強すると、薄井マネージャーは今回のプレゼンは単なる発表におわらず、社員一人ひとりの心に届く大変意義ある機会になると思いました。しかし恐ろしい写真やひどすぎる実態をはたして仲間に伝えてよいものかとも悩んだのです。そこでケージフリー農場でのびのびと飼育される採卵鶏の写真をたくさん使うことにして、しかしバタリ―ケージに閉じ込められた鶏の恐ろしい現実もまったく知らせないわけにはいかないと覚悟をしました。そして意を決してプレゼンに臨み、彼女は社員全員にアニマルライツセンターが提供する辛い写真や映像をしっかり見てもらいました。その間は場内が静まり返ったといいます。その結果、薄井マネージャーの発表が最も優秀であったとして、同社は今後のレストラン経営方針をケージフリーと定め、今回宣言するに至りました。

ところで、日本で畜産動物の実態が認知されにくい原因の一つに、現実を知った人が、自分の心に一種のブレーキをかけ、他の人に知らせることをためらう心理があると思われます。「あなたが食べている卵はじつはこんなに残酷に生産されているよ」と教えたら、相手が傷つくのではないかと恐れる気持ち。そして相手がかわいそうだから真実を見せない教えられないと心にブレーキをかけてしまうのは、じつは優しさなどではなく相手に対する無関心であり、むしろ酷薄さだと思います。畜産動物は食べ物であって、大切な人や仲間が生きる糧だと思うなら、どうか相手に本当のことを教えてあげてください。そして知ったうえで、どうすべきか考えてもらうのです。

Innovation Design社はそれまで日常的に相当量の卵を使用してきたと思われますが、過去のコスト計算に縛られず、即ケージフリーの決断ができました。それは「あるべき未来からの逆算」で問題を解決する、SDGsの考え方が社内に浸透していた成果であるかもしれません。採卵鶏の苦しみをそのままにしていいと思う人はいないのはずなのに、どうしても現状を変えられないと縮こまる人や企業こそ、すべての常識が覆ったこの2020年から、SDGs的思考を取り入れて今の行動を決めてほしいと願います。閉塞した現在に、未来からの光をあてるのは今です。

次なる進化が続く

ケージフリー移行を決めたこのコロナの期間、Innovation Design社の歩みはさらに止まることはありませんでした。同社はサステナブルデザイン室を発足。メンバーはなんと社員全員です。全員がサステナブルデザイナーの肩書をもって、今後同社がおこなう全ての取り組みの判断の軸を「地球のためになるか」どうかで決定するそうです。そしてその決定の一つが経営する3店舗における「ミートフリーマンデー」の開始です。ケージフリーに続いてミートフリーマンデーが始まることで、キッチン担当者はさぞかし頭を悩ませているものとおもいますが、テナントの関係で休業や時短営業を余儀なくされていたこのコロナの時期は、担当者がじっくりと力を蓄える時期にもなったそうです。Innovation Design社にとって、2020年10月は実質的な再始動であり新規スタートとなります。現実的にまだ日本ではケージフリーとミートフリーマンデーの両方を経営の柱とするレストラン・飲食店は珍しいですし、同社が描くサスティナブルデザインが、当分、この時代の先端を駆けることは間違いないようです。

※1 ㈱Innovation Designが経営する3つの店舗

現在店舗はコロナ禍の影響を受け、通常営業ではない可能性があります。来店の際は店舗へご確認ください。

●KIGI(キギ)@溜池山王
ホームページ http://kigi-tokyo.com
インスタグラム https://www.instagram.com/kigi_tokyo/?hl=ja

●haishop (ハイショップ)/ haishop cafe(ハイショップカフェ)@横浜みなとみらい
ホームページ http://haishopjapan.com
インスタグラム https://www.instagram.com/haishop_japan/

●KITCHEN MANE(キッチンメイン)洋食フレンチ@横浜みなとみらい
http://mane-restaurant.com

※2 サスティナブルレストラン協会
https://foodmadegood.jp/

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