「バタリーケージ飼育をしないのは、鶏本来の習性を尊重したいから」
春夏秋冬の檀上さんはそのように言う。
人の都合ではなく「鶏都合」で飼育する、それが檀上さんの考え方だ。
春夏秋冬の鶏は屋内と屋外を自由に行き来できる。鶏たちは好きな場所で砂浴びをし、屋外の草をついばみ、日向で羽根を広げて虫干しする。
飼育密度は、1羽当たり1㎡以上の広さを確保している。その広さは写真で確認いただきたい。
体が大きく、とさかが立派なのはオス。
オスがいるのは「有精卵」として売るためではなく、群れの安定を保つためだ。
「危険を知らせて見守り統率するオスが、鶏の社会には必要」と檀上さんは言う。
食べ物は自然界において本来鶏が食べるだろうというものが給餌される。一般的なバタリーケージで与えられる高カロリーの濃厚飼料ではなく、自家製の発酵飼料、腐葉土、無農薬の野菜、放牧場に咲くヒマワリなどを食べて鶏は育つ。
自由に歩き回り本来の習性が発揮できる環境は、鶏の免疫力を高め、春夏秋冬では抗生物質だけでなく、ワクチンも一切使われていない。「自然治癒力に任せる」檀上さんはそういう。
養鶏をはじめてから今まで、病気が感染して大量に死んだということは一度もない。
成鶏を導入する農家もいるが、檀上さんは「親鶏から引き継いだ免疫力がある孵化後10日間のうちに大地にいる様々な菌に触れさせ、感染しても発病しない状態を目指すことが大事」だと、鶏を初生ひなの段階から導入している。
ひな達は、近くの山の腐葉土から作られた発酵床の上で飼育される。
(育すう時に与えられるミルワームめがけて、勢いよく走り寄るひなたち)
もちろんデビークもしていない。「鶏都合」で飼育しているからだ。クチバシを切られては、地面を思うようにつつけないし野菜を噛み切ることもできなくなってしまうからだ。
「鶏を不幸にしてまで利益を上げたいとは思わない。」
アニマルウェルフェアの立場を明確にする檀上さんは、自分がきちんと管理し、自らが最後の最後まで責任を持てる数しか飼育しない。90数羽で飼育される鶏たちは生き生きと、鶏本来の姿を私たちに見せてくれる。
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自然養鶏場 春夏秋冬
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