牛乳-ミルク

乳牛の一生

2016/11/18

乳用の牛とは


人間と同じで、牛の乳も子供を産まなければ出ません。牛の繁殖はほぼ100%人工授精でおこなわれてます。
乳用に飼育される牛は、生後13~16ヶ月で初めての人工授精が行われます。10か月の妊娠期間を経て、出産、搾乳がはじめられます。より効率よく乳を搾り取るために、出産後1~2カ月で次の人工授精が行われます。雌の牛たちは、人工授精→妊娠・出産→搾乳→人工授精→妊娠・出産・・と繰り返されます。分娩前の2か月ほどの乾乳期間を除いて、乳用の牛はずっと乳を搾り取られていることになります。
牛の寿命は本来20年ほどですが、牛乳のために飼育される牛たちは、乳量が少なくなり生産性がおちる生後5,6年目に出荷され、と殺されます。
日本の乳用牛の平均除籍産次は2012年で3.5産(*1)。除籍とは牛舎から牛が出ていくことです。出ていく先は、別の農家に売られる場合もありますが多くの場合は屠殺場です(*2)。乳用牛のライフサイクルはとても速いものになっています。使い捨てと言っても過言ではありません。

乳を搾られ続けたあとの牛の肉は硬く、安値で取引され、加工食品の原料や、肥料や革製品などにも利用されています。
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(右写真は日本の酪農場。すべての牛がつながれています。2013年撮影)

*1 家畜改良事業団「乳用牛群能力検定成績のまとめ」
*2 酪農だよりひろしま 「牛が牛舎から出て行った理由がわかりますか?」~検定成績表の除籍理由を活用しよう!~
 

牛乳と聞いて、広々とした草原で草を食む牛の姿を想像する方もいるかもしれませんが、実際には日本の酪農で放牧はほとんど行われていません。日本の搾乳牛の72.9%の主な飼養形態が「つなぎ飼い」です。(*1)ほとんどの乳用牛は牛舎内での繋ぎ飼いで、ご飯を食べるのも糞をするのも寝るのも同じ場所で、一生の多くの時間を過ごします。
牛は自分の舌が届かない部分をほかの牛に舐めてもらいます。舐めてもらいたい部分を相手の牛の口元に持っていき打診すると、相手の牛は一分間くらいその部分を舐めてやります。もっと舐めてほしいときは再び相手に打診し、5分から10分も舐めてもらうこともあるそうです。そうやって舐めてもらっている間、牛は目を半開きにして気持ちよさそうにウトウトし、心拍数も低下しているそうです。しかし繋がれたままの牛には相手の牛に打診することも、舐めてやることもできません。糞が定位置で落ちるよう、繋ぎひもは短く、方向転換すらできません。

放牧は牛だけではなく、畜産業者にとってもメリットがある
管理しやすいという理由から日本での主体的な飼育方法となっている「つなぎ飼い」ですが、実際には放牧のメリットは多いのです。下記は2016年10月28日全国農業新聞に掲載されていた北海道の集約放牧酪農を紹介している記事です。 「牛が健康になって衛生費が減少、牛の供用年数が伸び繁殖率も高まる。飼料代も大幅に削減できて経営コストが低減。給餌や畜舎清掃などの省力効果も大きい。 草地の管理も、採草だけなら5年ごとに必要な草地の更新が、放牧・採草を繰り返すことで不要。」 「同牧場の一頭当たり年間搾乳量は約6千キロで道平均の3分の2だが、所得率は大きく上回る。農水省の試算によると、夏場の6か月の放牧で、舎飼いに比べて約2割(1頭当たり16万円)のコスト低減効果がある。」
*1 畜産技術協会 平成26 年度国産畜産物安心確保等支援事業(快適性に配慮した家畜の飼養管理推進事業)乳用牛の飼養実態アンケート調査報告書

乳牛の出産

テレビなどで牛の出産を、人間が手伝っているシーンがありますが、本来自然界では、牛は自力で子供を産むことができます。実際に完全放牧酪農を行い、自然繁殖自然分娩を行っている酪農場では牛は自力で出産します。
人間が牛の赤ちゃんを胎内から引っぱり出してあげなければならないのは、牛舎で、畳一帖分のスペースで繋ぎ飼育され運動不足で力のない母牛に、出産する体力と筋力がないからにほかなりません。
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乳量の増加

乳牛の品種「改良」の結果、年々一頭あたりの乳量は増加しています。日本の乳用牛の年間平均乳量は8000kg。中には20000kg以上出すスーパーカウなどもいます。本来子牛のために必要な乳量は、年間数百キロ程度です。肉用牛の年間平均乳量が1000kg(*1)ということを考えれば、乳用に飼育される牛が、乳量確保のためにどれだけ過酷な品種改変を行われてきたかが分かります。
この品種改変は乳用牛に大きな負担を与えています。高泌乳量の牛ほど第四胃変位や乳房炎、跛行などの病気になりやすいと言われています。自分自身に必要なカルシウムまで、大量の乳と一緒に排出されてしまうことは、起立不能にもつながっていると考えられます。起立不能牛(へたれ牛)はカルシウム治療などをして治らなければ、と殺されます。

写真:起立不能牛(日本2013年撮影)
撮影者が近寄ったとき、驚いたのか立とうと試みても立つことができなかったそうです。

*1 2013年「ウシの科学」
 

断角・除角

牛の性質をおとなしくさせる、飼育者が怪我をするのを防ぐといった目的で行われます。角の切断(断角)もしくは、角を根元から焼切る除角が行われます。
角の表面は爪と同じで硬くて痛みを感じませんが、角の中には神経と血管が通っており、角の切断の際には、血が噴き飛ぶこともあり、断角・除角は牛に大きな痛みを与えます。
角の断角・除角は、乳牛の85.5%以(*1)に行われています。

断角・除角についての詳細
http://www.hopeforanimals.org/animals/ushi/00/id=438

*1 畜産技術協会 平成26 年度国産畜産物安心確保等支援事業(快適性に配慮した家畜の飼養管理推進事業)乳用牛の飼養実態アンケート調査報告書
 

子牛と母牛の引き離し
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子牛には母牛の乳を吸いたいという激しい欲求があります。しかし牛乳を早く生産ラインにのせるために、子牛は産まれてすぐに母牛から引き離されます。母牛から引き離された子牛は一頭一頭が個別の檻の中で飼育されるか、つなぎ飼いされるのが一般的です。
本来子牛は1時間に6000回、母牛の乳を吸いたがる生き物です。その多くはたんなるおしゃぶりに過ぎませんが、子牛の精神の安定に欠かせないものと言われています。その乳を吸いたいという強い欲求をかなえられず母牛から引き離された子牛は、仲間のオス牛の睾丸や柵の出っ張り部分など、乳首に似たものに飛びつくという異常行動をおこします。
雌牛もまた、子牛への強い愛情を持っています。

「母牛は子の体をなめると親子の情がうまれ、哺乳するとさらに強まり、半日でも同居した親子を引き離すと、互いを求めて鳴き、特に母牛は2~3日、子を求めて激しく咆える」(1998年「家畜行動学」より)

「イギリスの動物保護団体RSPCAの畜産動物部、主任研究員のジョン・アヴィジニウスは、我が子を取り上げられた母牛が、少なくとも6週間にわたって嘆き悲しむ姿を見たという。子牛が連れ去られると、母牛はすっかりうちのめされた様子で畜舎の外に向かい、我が子を最後に見た場所で何時間も子供を呼び続けた。力ずくで動かさない限り、彼女はその場を離れようとしなかった。6週間が過ぎても、母牛は我が子と別れた場所を見つめ、ときには畜舎の外でしばらく待っていた」
(2005年「豚は月夜に歌う」より)

右写真は2013年日本


牛の生態については、下記の書籍を参照
・「黒い牛乳」中洞 正著 
・「アニマルウェルフェア」佐藤 衆介著


牛のミルクは人間には必要ない



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