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命を扱う畜産農家は災害への準備はできているのか

畜産業は、日々動物を利用するとともに、死と隣り合わせの業だ。閉じ込められた動物たちは人間が給餌給水をやめればそれは死を意味する。不適切な扱いは虐待であり、雑な扱いでいちいち動物は苦しむ。畜産農家の采配一つ、気配り一つ、怠惰な心ひとつ、勇気のない行動一つで状況が決まり、動物たちは全てを支配されている。

日本は災害大国だ。地震も、水災も、台風もしょっちゅう来て、毎年のように大きな傷跡を残していく。ここ数年、「被災地」はどんどん増え続けている。

この2つのことを足し合わせて考えた時、畜産農家は通常の何倍も災害に備えなくてはならず、災害時には飼育する動物の数だけ、つまり通常の何万倍、何十万倍、何百万倍の責任がのしかかっていることを自覚しなくてはならないのではないだろうか。それだけ災害時の負担が増えることも、もちろん当然のことだと受け止めなくてはならないだろう。畜産業という大変責任の重い、動物を一方的に利用する職業を選んだ時点で、その責任から逃れることはできない。

いくつかの事例を見てみると、今の畜産業も行政担当者もその責任を認識しておらず、そのために災害が起きるたびにたいへんな動物の被害が起きていることに誰もが気がつくだろう。

台風15号による千葉停電 | 東日本大震災北海道地震アニマルライツセンターが求めること

事例を上げる前に、被災地の動物たち、人々の安全を祈り、また一日も早い復興をお祈りします。

千葉県台風15号被害

2019年9月9日に千葉県に上陸した台風15号により、千葉の全域に渡って停電、断水が起きた。
19日現在も停電している地域が残っている。様々な反省要因が報道されているが、多くの動物を飼育している畜産場では被害は多くの命に関わり甚大になった。

畜産動物はもともとがものとして見られている中であるため、こういった時真っ先に見捨てられる。

わたしたちも状況を把握しきれていないため詳細は書くことはできないが、この動画の養豚場の従業員は

「3日間、水なし、餌なし、かわいそう」

とつぶやいた。かわいそうと何度も繰り返しやさしい従業員なのだろう。わたしたちが求めれば豚に水もあげてくれた(なかったことに驚くが・・・)。
でも、人災であることは忘れている。

廃業を決意した養鶏場も報道されているようだ*4。バタリーケージ飼育であったようだが、鶏たちはどうなったのか・・・。
ファンが回らず暑さや湿気で多くの動物が死亡したようだ。
災害以前に、そもそも密閉空間に動物を詰め込んでいる現代畜産自体が問題であることに気がつくべきだ*5。動物自身が屋外で自由にしているのであれば、動物は涼しい場所を探し、穴をほり、逃れることができる。しかし密閉空間で空気が入れ替わらない場所にい続けるのは非常に苦しい。エレベーターに閉じ込められるようなもの、満員電車でファンが回らないような状態を想像すれば、苦しみの度合いも想像できるのではないだろうか。

東日本大震災

津波が来る時、動物たちは助け出してもらうことはできなかった。津波が去った後、逃げ出していた豚は殺された。

福島県の原子力発電施設が被災した後、動物たちは取り残され、多くの動物が餓死した。かろうじて牛は生き残ったものもいるが、多くの農家は殺処分し保証金を得ることを選んだ。そんな中でも一部の牛農家は日々警戒区域内に立ち入り、牛の世話をし続けた農家もある。多くの動物保護団体も警戒区域に立ち入り動物を救助し、またアニマルライツセンターも手伝っていた経験からすると、できないことは何もなかった。犬を見捨てられないからと避難しなかった民家もあったほどだ。

人の命が大事と多くの人が言うだろうが、畜産動物を襲ったのは自然災害ではなく人災だった。動物を餓死させた農家に足りなかったのは覚悟と責任感と少しの勇気だ。わたしたちはあの時見た壮絶な動物たちの死に様は到底受け入れられない。


2010年12月30日に栃木県で生まれたこの子牛は、震災の1ヶ月前に福島県にやってきてクレートの閉じ込められ、そのまま餓死した。バケツはひっくり返り、周辺は届かない緑の草。3ヶ月の赤ちゃんがたった一人ぼっちで、隣の赤ちゃん牛と触れ合うこともなく、慰め合うこともできず、死んでいった。死亡確認は翌年行われ、それまで放置されていたようである。


庭にはなされていた鶏の多くは生きていた。

北海道地震

地震の影響で豚舎が崩壊し、豚が死亡したという報道もあった*2。もちろんその多くが悲惨で苦痛の中で死亡したことは間違いないだろう。骨が折れたり、溝にハマって餓死したりが考えられる。他にも鶏舎が土砂に巻き込まれたなどもあったようだ。しかしこの地震で被害を拡大させたのは停電と断水だった。

数が少なければ問題なく手で絞れたであろうが、今の日本の乳牛飼育は飼育頭数が多い。そのため機械で搾乳しているのであろうが、機械が動かなければ、牛は乳房の張と痛みで苦しむ。乳房炎になり*3、淘汰される牛もいたかもしれない。またお乳が絞れないからという理由から水や餌の摂取制限が行われたようだ。非常電源を用意してあればよかったことであり、また水についても井戸水や近くの川などからの渇水を想定しておくべきであっただろう。

インタビューでは「肉質に影響する」「お乳がでなくなる」「残ったやつ(豚)をどうやって肉に仕上げていけるかをかんがえていかないと」など述べており、こんな畜産農家だけではないと信じているけれど、このインタビューから動物の福祉や命への責任は感じられない*1。

北海道はこの地震後、防災マニュアルを作成している。しかしその経験が全国に行き渡ることはなかったようだ。2019年9月の台風15号による被害では活かされているようにみえない。

アニマルライツセンターが求めてる災害対策

神奈川県との交渉の中で、アニマルライツセンターは何年も以下について求めてきた。しかし県の対応はままならず、国の動向を見て・・・などという。とくに畜産部門の担当者からは対策を取ろうという気持ちを感じられないまま、数年が過ぎている。

大きなことを求めているのではない、アタリマエのこと、最低限のことだ。

東日本大震災や熊本地震でも、産業動物への被害とその対策の遅れが指摘されているところである。実効的な災害対策が未だにどの都道府県でも策定できていない状況である。膨大な数の産業動物を抱えるために対策が取れず、動物が放置されがちであるが、放置するということは動物愛護の精神に大きく反する虐待的な状態になることを認識し、各自の対策、他地域や他の業者との連携、行政との連携が求められる。
1)神奈川県動物愛護管理推進計画の中で、産業動物の災害時の対策について「災害時における取扱いについて関係機関と情報の共有を図ります。」とあるが、どのような情報をどのように共有したか実績を提示すること。

2)自主的な災害計画を策定することを各生産者、業界団体指導すること。

3)行政として、最低限、災害時の安楽死処分の方法や手順等を策定すること。その際使用する安楽死方法は事前に意識を失わせまたその際に麻酔効果を得られる方法を利用した安楽なものであること。
アニマルウェルフェアに配慮した方法の徹底及び作業者へのアニマルウェルフェアの意義の周知は、動物はもとより、人間の精神的負担の軽減につながることを鑑み、安楽な方法として、人道屠畜協会策定の「疾病管理における殺処分」(日本語訳:アニマルライツセンター)を参考にし、アニマルウェルフェアに関する防疫対応のマニュアルを整備すること。

一方で農林水産省は各都道府県に任せていると述べてきた。環境省はペットにしか興味がない様子だ。

しかし、いつどこの災害でも結果が最悪な状態になってきたのだから、国が主導して対策を講じさせなくてはならない。今回崩れ落ちた豚舎は、まぁこれなら崩れるよね・・・といえる豚舎だった。多くの場合被害を受けるのは、経済力が弱かったり、対策にお金をかけていなかったり、情報収集をあまりしていなかったりする農家だと想定し、強制力をもつ対策を講じなくてはならない。

農林水産省はどのような方法があるのか具体的に事細かに示すべきだし、環境省はペットよりもなお一層ひどい動物福祉的課題が生まれていることを認識し動物愛護管理推進計画を具体化すべきだ。

そしてなにより、自分たちの手に余る数の動物を飼育しないことを徹底しなくてはならない。

この犠牲は、またつぎの災害で再び起きるだろう。
あなたがこのような産業になんの疑いもなく肉や卵や乳製品にお金を払い続ければ、何の改善もなく、犠牲は続いていくのだ。

取り残された豚

*1 https://www.youtube.com/watch?v=iMpvZqALfK0
*2 https://mainichi.jp/articles/20180918/k00/00m/040/094000c
*3 https://mainichi.jp/articles/20190303/ddl/k01/040/038000c
*4 https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000164343.html
*5 https://www.asahi.com/articles/ASM9D2GQZM9DUDCB001.html https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190912-00010001-ssnp-bus_all

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4 Comments

  1. Kimiyo Garey 2019/09/25

    アニマルライツセンターさん、
    どうか、今まだ生き延びている子達を助けてください。
    救ってください。
    負傷している子達、負傷で動けなくなっている子達を、
    早急に、救出してください。
    どうか、どうか、どうかお願いします。
    見ていられない。どうか救ってください。

    返信
  2. 田村千博 2019/09/27

    この豚さんはどうなりましたか?

    返信
  3. m 2019/09/29

    この動画を見て心を痛めた方、
    もしまだヴィーガンでなかったら、ヴィーガンになって下さい。

    人間が動物性食品を消費し続ける限り、この子達はいつもこうやって犠牲になります。
    ヴィーガンになって、この子達のような犠牲者を生み出さないようにしましょう。

    返信
  4. chine 2019/10/09

    この負傷した豚は撮影はされてもその後は救出されなかったってことでしょうか?
    訴えるのであれば
    悲惨な状況を撮影してる場合ではなく、
    救出されている映像の方がよっぽど
    メッセージ力があるのに
    日本から流れる映像は救出しない場合が多すぎる

    返信

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