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現在、大豆の生産は第1位米国32.7%、第2位ブラジル31.3%、アルゼンチン15%、以下中国3.6%がつづき*1、3カ国に集中している。1990年と比べると生産量は米国は2.28倍、ブラジルは5.76倍、アルゼンチンは5.14倍に増加した。

世界人口は1990年時点ですでに50億人に達していたのだから、そんなに大豆タンパクが増えているはなぜか?

大豆生産量の拡大は、畜産の拡大と比例している。大豆の多くは、飼料用、つまり畜産動物または養殖される水生動物に食べさせている。
大豆の75%は大豆ミール=大豆粕=大豆油かすになる*2。大豆粕(だいずかす)や大豆油かすといわれると大豆の副産物のようなイメージだが、大豆の主成分である。その部分の98%は畜産用資料になり、残り2%は大豆ミールから作られる加工食品になる。
大豆の19%は油であり、食用油や燃料としてなど利用され、人が直接消費したり豆腐などの大豆加工品になるのは6%に過ぎない*3。

飼料がどれほど環境に悪影響を与えているのか、見てみよう。

大豆増産は森林破壊の歴史

大豆の大規模農場は2001年から2004年の間にアマゾンの森林減少の17%を占め*4、森林減少の主要な要因になった*5。また、大豆生産の増加による森林破壊が裏付けられるようになり*6、グリーンピースなどの呼びかけにより、2006年7月以降、世界の大手大豆業者は、ブラジルのアマゾンで伐採された土地で栽培された大豆、強制労働を伴う農場の大豆を購入しないことに合意しモラトリアム化された。

これで一旦アマゾン地域の大豆生産による森林破壊は激減したが、以前に伐採された土地や放牧のために伐採していた土地を利用することになっていったため、大豆と森林破壊との関係性が断たれたわけではない。それでもブラジルのアマゾンの森林減少率は70%低下、大豆生産はそれだけ影響を与えていたのだ。

しかしそれ以外の地域での森林破壊は続く。
大規模な穀物メジャーはその土地にやってきて伐採し燃やし、大豆に適した気候(大豆は東アジア原産)ではないため、土壌を改変したり、遺伝子組み換え大豆を植えて、化学肥料と有毒なに除草剤グリホサートのような農薬を撒くという。その結果、地域の人々にとって重要な水資源を枯渇させつつあったり、地域の人々の健康すら害しているという*7。

例えばアマゾンのさらに南の方にあるグランチャコ

グランチャコ(Gran Chaco)はボリビア、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルにまたがっていて、推定3,400の植物種、500の鳥類、150の哺乳類、220の爬虫類と両生類が生息していると言われる生態系の宝庫だ(った?)。その森林の広さはアマゾンにも匹敵し貴重なエリアだ。

そこで、大豆生産のための森林破壊が起きており、ボリビア、パラグアイで顕著だ。森に頼って生きる先住民族も危機にさらされている。

ボリビアのグランチャコでは、2001年から2018年までの間に48300平方kmの森林を失った*8。その広さは福岡県と同じ程度の広さだ。しかも、2016年と2017年はこれまでで最も森林破壊が激しい。

パラグアイの変化さらに激しいといえる。2001年から2018年までの間に57,200平方kmが森林伐採された*8。パラグアイの国土は406,752平方kmであり、国土の14%に相当する面積の森林を失った。2019年、パラグアイの環境保護機関であるINFONAは、2017年8月から2018年8月の間にグランチャコで起こった森林減少の約4分の1が違法伐採である可能性があると発表している*9。

歯止めはなかなかかからない。アルゼンチン北部がこのグランチャコエリアであり南部はやや荒涼としていて森林のエリアはこのエリアに集中している。2001年から2018年までの間に57700平方kmの森林を失い*8、その貴重な森林をアルゼンチンは1990年から25年間で22%失ったという。大部分が大豆の大規模農業に変わった。さらには森林伐採の影響で水の吸収率が激減し、洪水を引き起こしているともレポートされている*10。

開発の様子の写真はこちらから。またはこちらから。なお記事内でターゲットされているのはヨーロッパの輸入だが、もちろん日本も他人事ではない。
日本は2017年にはパラグアイから10,9423,000トンの大豆ミールを、アルゼンチンからは124,772,000トンの大豆ミールを輸入した*12。日本も少なからず大豆をこれらの国から輸入し、さらにはブラジルやヨーロッパや米国などから大量の畜産物を輸入しているのだから。

念の為に付け加えておくが、森林を破壊された後は、大豆生産農場だけではなく、牛の牧場にもなっている。いずれも畜産業のために伐採されているのだ。

例えばアマゾンの隣にあるセラード

ブラジルのセラードとはアマゾンのお隣りにある熱帯サバンナのエリアを指す。このセラードは南米で第2の生態系を抱える豊かで希少なエリアだ。両生類150種、爬虫類120種、鳥類837種、哺乳類種161種が記録されているそうだ。地元の人々にとっては貴重な水源でもある。

ブラジル全体では2001年から2018年までの間に538,000平方kmの森林を失った。フランス一個分程度だ。セラードにかかるバイーア州(BAHIA)は2001年から2018年の間に31400平方kmの森林=岩手県2個分くらいを、マラニャン州(Maranhão)は46600平方km=スイス1個分くらいを失った*8。

セラードにあるトカンティンス(Tocantins)の森林喪失は、2017年だけでも東京都1個分に及ぶ。2017年、トンカンティンスで活動した大豆商社最大の会社は三菱商事の子会社であるAgrex do Brasilであった*13。Agrex do Brasilが扱った量はトカンティンスで生産された大豆の18%を占め、すべて輸出されたという。

そもそもこのセラードでの大豆生産などの土地開発は、独立行政法人国際協力機構(JICA)によって、日本とブラジル両政府とともに日本・ブラジル・セラード農業開発協力プロジェクト(PRODECER)として進められた。そしてそれが今のセラードの自然を壊滅的状況に追いやった。当時の思惑は知らないが、結果的には未来を食いつぶす事業であったと言えるだろう。JICA研究所のページにこのように書かれている

「世界の主要な穀物生産国の一つであり、2011年には世界最大の大豆輸出国にもなったブラジルはかつて、穀物の輸入国でした。1980年代、日本も協力した大規模な農業開発により、かつて不毛の地だった広大な熱帯サバンナ地域「セラード」が世界で最も生産性の高い農業地帯の一つへと生まれ変わり、状況が一変したのです。それは、熱帯地域で初めての近代的穀物農業の実現であり、「セラードの奇跡」とも呼ばれています。(https://www.jica.go.jp/jica-ri/ja/publication/booksandreports/post_20.html)」

なんてこった。
そもそも不毛の地という捉え方が誤りであったのではないか。産業を生み出したという意義を見出しているのはわかるが、地域の貴重なすばらしい生物多様性を破壊し、気候変動に加速をつける森林破壊というパンドラの箱を開けてしまった責任は重いのではないか。それを反省ではなく未だに称えるように書いているのはなぜなのか。高度成長期の考え方から生まれた損失は未だに続き、未来に禍根を残し続けている。

昨年来日したブラジルの活動家は、「モザンビーク・ブラジル・日本 3ヵ国民衆会議2018」(主催:3カ国民衆会議実行委員会)で、JICAの事業とそれにより広がった大企業による大規模農業により、現地の人々は土地を奪われ、水資源が激減し、開発に反対する先住民や活動家が殺されていると告発している*14。

前述の大豆モラトリアムをこのセラードに拡大すべきだという議論もでている*11。

しかし、結局は大豆を大量に利用する工場畜産を減らさなければ、どこかの森が犠牲になるだけだ。大豆モラトリアムを全世界に広げない限り、弱い国、法規制が整っていない国、先住民族のためであった森林などから消えていくことだろう。これまでがそうだったように。

未来から奪うもの

南米の国々のことだから日本の人々は関係ないなんて、もちろん誰も思わないはずだ。人類が失うもの、未来が失うものは大きい。

生態系の宝庫であるこれらの地域、多くの貴重な種が生息している。ジャガーであったり、大きなアリクイであったり、、、

生物多様性を保持するためには、その自然の連続性が重要だ。もはやセラードにこの連続性はなくなっている。切り貼りされた模様のようになっている。動物も戸惑い、生きることが困難になったことをもう身をもって知っていることだろう。

からっからになった大豆ミール(大豆粕)を、日本は2017年にはブラジルから190,802,000トン、2018年には352,15,000トンを輸入*12。飼料になる。更に日本が鶏肉の約半分を海外から輸入(特にブラジル)していることを考えれば、日本の大豆の間接消費=畜産物消費もこの森林破壊を大いに加速していることは間違いがない。

大豆を与えられて育ち皆さんの食卓にやってくる鶏肉、卵が、どれほどの犠牲伴っているのか、考え直し、食生活を見直さなくてはならない。
気候変動、森林破壊、生物多様性崩壊、それにともなう人権問題、様々な問題と工場畜産は一体だ。
むしろ工場畜産があるから、これらの問題が起きているのだ。

今の時代、あなたは多くの情報をインターネットで探すことができる。にもかかわらず、自分の食べているものは安心だ、日本企業が提供してくれる食べ物は考えられているはずだ、なんて言って、問題を無視することは許されないはずだ。

小さな子供を見るたびに、食卓の肉や卵を見るたびに、自分たちが行っていることを思い出してほしい。自分たちが気軽に食べる肉によって、この子どもたちの未来をうばっていることを。

 

最後に、日本人として日本を少し擁護したいと思う点は、日本がブラジルから輸入する大豆は2018年は559,853,000トンである。これには油も水分も含まれているため大豆ミールの輸入量との比較は難しいが、日本は効率の良い直接消費も多い。
また、国産大豆の醤油や味噌、遺伝子組み換えではない大豆ミートなどを選ぶことで、比較的簡単に森林破壊から遠ざかることもできる。

 

*1 http://www.fao.org/faostat/en/#data/QC(2017年データより)
*2 https://www.chathamhouse.org/sites/default/files/publications/research/2016-01-28-agricultural-commodities-brack-glover-wellesley.pdf
*3 https://www.onegreenplanet.org/animalsandnature/the-surprising-way-your-diet-can-fix-the-soy-and-deforestation-problem/ ・https://www.otsuka.co.jp/en/nutraceutical/about/soylution/encyclopedia/consumption.html
*4 https://www.researchgate.net/publication/6817119_Cropland_Expansion_Changes_Deforestation_Dynamics_in_the_Southern_Brazilian_Amazon
*5 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1523-1739.2005.00697.x  https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-9326/5/2/024002/meta
*6 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17181794
*7 http://www.mightyearth.org/avoidablecrisis/
*8 https://www.globalforestwatch.org
*9 http://www.bad-ag.info/nearly-a-quarter-of-chaco-deforestation-potentially-illegal-says-paraguay-enforcement-agency/
*10 https://www.greenpeace.org/international/press-release/20301/activists-expose-illegal-deforestation-linked-to-flooding-in-argentina/
*11 https://advances.sciencemag.org/content/5/7/eaav7336
*12 財務省貿易統計
*!3 https://chainreactionresearch.com/report/brazilian-state-of-tocantins-a-hotspot-for-cerrado-deforestation/ https://sidra.ibge.gov.br/tabela/1612#resultado
*14 https://www.ganas.or.jp/20181228cerrado/

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