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海外の規制:ブタの妊娠ストール

(2019.9.10更新)

海外での妊娠ストールの規制の動きは、非常に早いものになっています。

OIE

2018年5月25日、OIE(世界動物保健機関)は、陸生動物規約の中の動物福祉規約「アニマルウェルフェアと豚生産システム」を可決しました。この新規章第7.13.12条には次のように書かれています。

成熟雌豚及び未経産雌豚は、他の豚と同様に、社会的な動物であり、群で生活することを好むため、妊娠した成熟雌豚や未経産雌豚はなるべく群で飼われるものとする。

このように妊娠ストールが好ましいものではないということが、国際基準に明記されました。
日本もOIE加盟国のひとつです。この基準は妊娠ストールを禁止するものではありませんが、できるだけ母豚を群れ飼育することがが、日本も求められることになります。

EU

EU理事会指令(Directive01/88/EC, EU 適用)で、2013年1月1日から妊娠ストールを禁止
※種付け後4週間までと、分娩1週間前以降を除く 

EUは10年以上の準備期間をもうけて、この規制を施行しました。
「種付け後4週間までと分娩一週間前以降を除く」とありますが、すべての期間において妊娠ストールを廃止しようというプレッシャーがEUでは続いています*1。イギリスやスウェーデンのように、例外なくすべての期間において妊娠ストールを禁止している国もあります。
また、日本ではほとんど行われていませんが、ヨーロッパでは母豚を屋外で放牧している農家もいます。EUでは約10%、英国では約40%が屋外飼育だということです*3。
*1 PIG PROGRESS「When to mix sows in groups?」http://www.pigprogress.net/Sows/Articles/2015/12/When-to-mix-sows-in-groups-2708671W/ 
*2 Highlighting the differences – how UK welfare standards compare with our competitors BY ALISTAIR DRIVER ON MAY 5, 2017 http://www.pig-world.co.uk/news/highlighting-the-differences-how-uk-welfare-standards-compare-with-our-competitors.html
*3 alic2017年8月号「EUの養豚・豚肉産業~多様な産地と経営体~」参照

スイス

交配後および出産前の限られた期間をのぞき、妊娠ストールの使用を禁止*
* Voiceless Briefing: Sow Stalls November 2012 “There is an urgent need for a national ban on sow stalls.”

米国

フロリダ(2008),メイン(2011),ロードアイランド(2013),オレゴン(2013), アリゾナ(2013)でストール禁止
カリフォルニアは2015年までに、コロラドは2018までに、ミシガンは2020年までに、マサチューセッツは2022までに、オハイオも2025年までに廃止

ニュージーランド

「Pigs Animal Welfare (Pigs)Code of Welfare 2010」のなかで、2015年以降禁止。

オーストラリア

オーストラリアの豚肉業界は、2017年までに自主的に妊娠ストールを廃止することを決定。 Australian Pork Limitedの2014年の報告では60%がストールフリーに*。 * MEDIA RELEASE TUESDAY 4 MARCH 2014「No stalling on more space for Australian sows」

カナダ

2014年3月、カナダの国立動物福祉協議会(the National Farm Animal Care Council)が豚の飼育について新たな基準を発行、2014年7月1日以降にたてられた施設は、グループ飼育でなければなりません。そのため今後は集団飼育に切り替えを行っていくと考えられます。

南アフリカ共和国

業界が2020年までの妊娠ストール廃止を目標にしている*。
* Retail giants take the lead in animal welfare http://mg.co.za/article/2014-10-06-retail-gaints-take-the-lead-in-animal-welfare

ブラジル

”2005年に「5つの自由」を盛り込んだアニマルウェルフェアに関する基本原則がOIE基準にもうけられたことを契機に、2007年、「動物福祉に関する連邦法案」が策定されました。この法案は、国全体でアニマルウェルフェアに関して規制を設けるもので、妊娠豚の群飼養の義務付け、採卵鶏のケージ飼いの禁止などが盛り込まれていました。残念ながら議会で賛同を得られず不成立となりましたが、これはアニマルウェルフェア法制化に向けたはじめての動きとなりました*1。
2013年9月末には、Associação Brasileira dos Criadores de Suínos(ブラジル豚ブリーダー協会)の要求により、Conselho de Ministros da Câmara de Comércio Exterior(貿易閣僚会議)は母豚の群れ飼育で使用される電子給餌システム の関税を14%から2%へ、付加価値税を17%から5.6%へ引き下げることを決定。
これにより母豚の群れ飼育への切り替えを促進させることになりました*2。
*1 畜産の情報 2018年11月号 ブラジルにおける採卵鶏を中心としたアニマルウェルフェアの取り組みに関する一考察 調査情報部 佐藤宏樹、新川俊一
*2 Progress for pig welfare in Brazil ABCS conquista redução de ex-tarifário para importação de maquinário

企業の動き

企業の動きはさらに早く、60以上の多国籍食品企業が妊娠ストール廃止に同意しています。

世界第1位の食肉加工会社JBS(ブラジル)

2015年、2025年までに妊娠ストールを禁止することを発表
JBS to Phase out Gestation Crate Housing for Breeding Pigs from Entire Supply Chain
http://www.hsi.org/news/press_releases/2015/11/jbs-gestation-crate-announcement-111615.html?referrer=https://www.google.co.jp/
畜産の情報 2018年11月号 ブラジルにおける採卵鶏を中心としたアニマルウェルフェアの取り組みに関する一考察 調査情報部 佐藤 宏樹、新川 俊一

世界第2位の食肉加工会社タイソンフーズ(アメリカ)

サプライヤーに母豚の拘束飼育廃止を推奨しており2017年6月時点で34%の母豚が拘束飼育されていない。2017年末にはこの数字は47%になるだろうと予測している
tysonfoSOW HOUSING http://www.tysonfoods.com/media/position-statements/sow-housing

世界第3位の食肉加工会社萬洲国際(中国)

子会社のスミスフィールド・フーズにおける妊娠ストールを2022年までに廃止すると発表
The Business Benchmark on Farm Animal Welfare 2015 Report
http://www.bbfaw.com/media/1338/bbfaw-2015-report.pdf
スミスフィールド・フーズ 2014年度末で、妊娠豚檻を70%以上廃止。
Smithfield Foods announces progress on sow housing
http://www.globalmeatnews.com/Industry-Markets/Smithfield-Foods-announces-progress-on-sow-housing

世界第5位の食肉加工会社BRFブラジルフーズ(ブラジル)

2014年に、2026年までに妊娠ストールの全面禁止を発表
畜産の情報 2018年11月号 ブラジルにおける採卵鶏を中心としたアニマルウェルフェアの取り組みに関する一考察 調査情報部 佐藤 宏樹、新川 俊一

世界第6位の食肉加工会社ホーメルフーズ(アメリカ)

自社養豚場で2017年までに妊娠ストール廃止を発表
“Hormel Foods—Maker of SPAM—Announces Plans to Eliminate Gestation Crates”
http://www.humanesociety.org/news/press_releases/2012/02/hormel_foodsmaker_02022012.html?referrer=https://www.google.co.jp/

穀物メジャーのカーギル社

2017年までに、自社・契約農家の妊娠豚ストールを全廃を決定
Cargill Announces Major Shift from Controversial Pig Cages
http://www.humanesociety.org/news/press_releases/2014/05/cargill_shift_gestation_crates.html?credit=web_id86162551

世界最大級のホテル企業、ヒルトン・ワールドワイド

世界19ケ国のホテルが2018年までに妊娠ストール廃止を発表
Hilton Worldwide Commits to Improving Animal Welfare in Supply Chain http://www.humanesociety.org/news/press_releases/2015/04/hilton-improves-animal-welfare-standards-040615.html#.VSL-7sF22lo.twitter?referrer=http://t.co/yN8bCzaCN3

ウォルマート(アメリカ)

2015年 妊娠ストール廃止をサプライヤーに求めると発表(期限はなし)
Walmart Policies and Guidelines
http://corporate.walmart.com/article/position-on-farm-animal-welfare

食品サービス会社Compass Group USA(アメリカ)

妊娠ストールは2017年までに廃止すると発表。
Compass adopts new animal welfare policies
http://www.charlotteobserver.com/news/business/article30018168.html

スターバックス(アメリカ)

2014年12月 妊娠ストールの段階的削減を発表
Animal Welfare-Friendly Practices(Updated: 12/18/14)
http://globalassets.starbucks.com/assets/313ef95924754048b3ca8cea3cc2ff90.pdf

ケロッグ(アメリカ)

2015年10月 2025年末までにサプライチェーンから妊娠ストールを排除すると発表
Kellogg Company Broadens Commitment to Animal Welfare, Will Source 100% Cage-Free Eggs by 2025
http://www.prnewswire.com/news-releases/kellogg-company-broadens-commitment-to-animal-welfare-will-source-100-cage-free-eggs-by-2025-300168891.html

Grupo Toks(メキシコ)

国内に226のレストランを持つメキシコのGrupo Toksが、2022年までに妊娠ストールの豚の肉を排除すると発表。メキシコのレストランでは初の取組です。
First Mexican Restaurant Chain Commits to Crate-Free Pork
http://www.thepigsite.com/swinenews/42217/first-mexican-restaurant-chain-commits-to-cratefree-pork/

Sodexo(フランス)

世界80ケ国に拠点を持つフランスのソデクソが、2022年までに米国で妊娠ストールを廃止すると発表。
Sodexo Cracks its Commitment to Buy Cage-Free Eggs and Open Sow Housed Pork in the U.S.

Betagro(タイ)

タイ第二位の食肉企業Betagro が妊娠ストール/分娩ストールを段階的に廃止すると発表。分娩ストールの廃止も決定したというのはかなり画期的だ。
https://www.hopeforanimals.org/animals/buta/00/id=555

CP Foods (タイ)

世界で三番目に大きい豚生産会社CFPは、2017年のサステナビリティレポートの中で、2020年までにタイ国内の母豚を個別飼育から群れ飼育へ切り替えること、また海外拠点でも2028年までに切り替えを行うことを目標に掲げた。(同社は自社養鶏場のケージフリーも目標に掲げている)
Every Mouthful is Meaningful… for Sustainable Life Sustainability Report 2017

2019年の報告ではタイ国内で約67.3%、海外で約14.9%の農場で妊娠ストールから群れ飼育への切り替えが行われたということです。
CP Foods aims to produce more healthy food from stress-free animal farms By THE NATION

トップスマーケット(タイ)

タイ最大のスーパーマーケットであるトップス・マーケットが2027年までに妊娠ストールからの豚肉を廃止すると発表。
Thai supermarket chain pledges to end sow confinement

Tesco Lotus(タイ)

タイ全土に2000の店舗を持つ小売業者Tesco Lotusが2027年までに妊娠ストールからの豚肉を廃止すると発表。(同時に2028年までにケージフリーの卵に切り替えることも発表)
Sep 3, 2019 Thailand: Tesco Lotus bans crate use in packaged pork

Frimesa (ブラジル)

2017年10月16日、ブラジルで4番目に大きい豚肉加工会社FrimesAが、2026年までに妊娠ストールを廃止すると発表。
SUÍNO CERTIFICADO FRIMESA

Qinglian Food Company(中国)

中国の食肉加工会社Qinglian Food Companyが、2025年までに母豚の拘束飼育(妊娠ストール)を廃止することを発表しました。同社は7000頭の母豚を所有しています。
Cages for one million Chinese pigs pulled By Oscar Rousseau
Qinglian Food, China’s pioneer for sow group housing

Yangxiang(中国)

母豚90,000頭を飼育するYangxiangが建設中の、7,9,13階建て豚舎ビルでは、母豚は妊娠ストールではなく群れ飼育される施設となっています。
Yangxiang aims high with sows on many floors

Gastronomía y Negocios(チリ)

250以上のレストランを持つチリのGastronomía y Negociosが妊娠ストールの廃止を発表
Chilean restaurant company Gastronomía y Negocios commits to improve hen and pig welfare in supply chain

そのほか、マクドナルド、ウェンディーズ、バーガーキング、サブウェイ、ダンキンドーナツ、スターバック、ケロッグなどが妊娠ストール廃止を発表しています。
*いずれの企業も日本拠点はのぞきます。
Food Company Policies on Gestation Crates Below is a list of the 60+ major food companies with policies to eliminate gestation crates, followed by quotes from each regarding their policy. http://cratefreefuture.com/pdf/Gestation%20Crate%20Elimination%20Policies.pdf

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