LOADING

Type to search

OIE動物福祉規約「アニマルウェルフェアと豚生産システム」

2018年5月25日、OIE(世界動物保健機関)は、陸生動物規約の中の動物福祉規約「アニマルウェルフェアと豚生産システム」を可決した。例によって日本政府は最終版の日本語訳を公開しないため(審議途中の仮訳と最終版は異なる点が多数あります。)アニマルライツセンターで翻訳を行い、公開する。

世界の最低限の基準として、このコードの内容は守るべきであるが、往々にして日本の状況は追いついていない。書かれていることの多くの基準に、日本の養豚業は対応できていない。この動物福祉規約には、強制力はないが、日本を含む世界の人々の安全性を守るためにも必要なものであり、時間とお金をかけて(日本も相当にかけている)審議しているものであり、なにより日本はOIEに批准している。畜産農家の方は、ワンヘルスの重要性を正しく理解し、このコードを守る義務があることに気がつき、最低限この内容を守ることができるよう、努力をしてほしいと思う。

※アニマルライツセンターでの仮訳であり国が訳した正式なものではありません

第7.13章 アニマルウェルフェアと豚生産システム

第7.13.1条

定義

商用豚生産システムは、商業的に取引される豚(Sus scrofa)又は豚肉の生産のために行われる豚の繁殖、育成及び管理の一部又はすべてを含む作業を目的としたシステムと定義される。

本章の目的上、管理とは、農場レベルでの管理及び家畜飼養管理者レベルでの管理と定義される。農場レベルでの管理では、人材の管理(飼養管理者の人選、訓練を含む)及び動物の管理(舎飼及び飼養管理の最善の取組、ウェルフェアの手順の実施及び監査)はすべてアニマルウェルフェアに影響を与える。家畜飼養管理者レベルでの管理では、よく発達した飼養管理の技術及び動物の世話をするための知識が求められる。

本章の目的上、環境改良とは、正常な行動の促進、認知活性化、異常な行動の軽減のために、動物の環境の複雑さ(たとえば、飼料探索の機会、群による舎飼)を高めることと定義される。改良提供の目的動物の身体的及び心理的状態を向上するものとする。

本章の目的上、常同性とは、欲求不満、反復的な対処の試み、又は中枢神経系の機能障害によって引き起こされる反復的な行動である。明らかな目的又は機能がない、異常な行動の一連として発現するる。ストレスのある状況に応じた、恒久的な中枢神経系の機能障害は、環境のその後の変更又はその他の処置を行っても、発症した常同性が治らないかもしれないことを意味することがある。豚に通常観察されるいくつかの常同性は、かじるふり、石かじり、舌遊び、歯ぎしり、棒かじり、床なめ等として観察される。

本章の目的上、無関心とは、通常は反応を喚起するような刺激に対して、反応するのをやめることを意味する。さらに、無関心な行動は、活動低下、興味又は関心の欠如(すなわち、無関心)及び感覚又は感情の欠如(すなわち、無感動)によって示される、異常な又は不適応の行動として説明されている。

本章の目的上、反抗的な行動とは、闘争状態で現れる行動の連続体であり、攻撃、防御及び服従又は逃走の要素を含む。関連する行動は、接触(噛む、押す等)又は非接触(体の姿勢や身振りによる威嚇等)を含む場合がある。攻撃的な行動は、反抗的な行動の要素の一つである。

本性の目的上、「遊び行動」は特定の神経内分泌学的反応と楽しみを持っているという外観によって特徴付けられる。 それはしばしば新規のものや予測不可能な刺激によって促され、探索に関連づけられる。動きの多様性を高め、予想外のストレスの多い状況に対処する能力を高めることにより、予想外の状況に動物を備えさせるよう機能する。 動物は遊びの中で意欲的に予期せぬ状況を探し作り出し、動きをことさらに緩めたり、自分自身を不都合な立場に置く。

第7.13.2条

適用範囲

本章は、商用に飼養されている豚の生産システムのウェルフェア面に関する問題を取り扱う。捕獲された野生の豚は考慮外とする。

第7.13.3条

商用豚生産システム

商用生産における豚生産システムには以下のものがある。

1.屋内型システム

このシステムでは、豚は、屋内で飼養され、飼料、水などの動物が最低限必要とするものの提供を完全に人に依存している。豚舎の種類は、環境、気候条件及び管理システムによって決まる。動物は群又は個別で飼養される。

2.屋外型システム

このシステムでは、豚は、居住場所又は日陰のある屋外で飼われ、収容場所や日陰の利用に関してある程度自律しているが、飼料、水などの動物が最低限必要とするものの提供を完全に人に依存していることもある。豚は、通常、育成ステージによって囲い又は放牧場の中で飼養される。動物は群又は個別で飼養される。

3.複合型システム

このシステムでは、豚は、屋内及び屋外の生産システムのさまざまな組み合わせにより管理される。

第7.13.4条

豚のウェルフェアの基準(測定指標)

以下の結果に基づく基準(又は測定指標)、とりわけ豚の状態に基づく基準は、アニマルウェルフェアの実用的な指標になり得るものである。本指標及びその適切な閾値の使用は、豚が管理されるさまざまな状態(地域的な違い、群れの健康、豚の品種、交配状況、気候)に合わせて適合されるものとする。提供される資源やシステムの設計にも配慮が払われるものとする。設計及び管理がアニマルウェルフェアに影響を与え得ることを考慮すると、これらの基準は両者の効果を監視する道具とみなすことができる。

1.行動

ある種の行動、たとえば遊びまわることや特定の鳴き声などは、良好なアニマルウェルフェア、及び豚が健康であることを示す指標であると考えられる。

ある種の行動は、アニマルウェルフェア及び健康上の問題を示している場合がある。そのような行動には、突然の不動状態、逃走を試みること、飼料摂取量や飲水量の変化、運動行動又は姿勢の変化、横臥時間の変化、姿勢及び行動パターンの変化、呼吸数の変化、あえぎ呼吸、咳、ふるえ、身の寄せ合い、高音での鳴き声と鳴く回数の増加、敵対的行動の増加(攻撃を含む)、常同症行動の増加、無気力さの増加、又はその他の異常な行動の増加がある。

常同症を引き起こす環境は、アニマルウェルフェアの低下も招く。一般的には、常同症はアニマルウェルフェアが劣悪であることを示唆するものと考えられるのだが、常同症とストレス間の関連性があまり見受けられないような事例もいくつか存在する。たとえば、欲求不満が引き金となったストレスは、もし常同症行動が潜在的な原因を軽減させれば、ストレスがいくらか改善される可能性がある。従って、あるグループの中で、常同症行動を行う個体は、そうでない個体よりも、うまく問題に対処している可能性がある。それでもやはり、常同症は動物にとっての何らかの問題が現存していること、もしくはすでに解消したが何らかの問題が過去にあったことを示唆している。他の指標と同じく、常同症だけを他の指標から隔絶した状態で測定指標として用いる場合には、注意するものとする。

2.罹病率

伝染性又は代謝性の疾病、跛行、産後又は術後の合併症等、損傷及びその他の罹病の割合は、一定の閾値を超えた場合には、群レベルのアニマルウェルフェアの状態を示す直接的又は間接的な指標になることがある。疾病又は一連の徴候の原因を理解することが、潜在的なアニマルウェルフェア上の問題を発見するために重要である。乳房炎、子宮炎、肢蹄の問題、成熟母豚の肩の潰瘍、皮膚病変、呼吸器及び消化器の疾病及び繁殖性疾病はまた、豚にとって、とりわけ重要な動物衛生上の問題でもある。体型、跛行、損傷等の評価システム、及びと畜場/食肉処理場で収集された情報が、さらなる追加情報となり得る場合もある。

臨床及び死後の病理学的検査は、いずれもが疾病、損傷、アニマルウェルフェアを損ねるおそれのあるその他の問題の指標として活用されるものとする。

3.死亡率及び淘汰率死

死亡率と淘汰率は、生産寿命の長さに影響し、罹病率と同様に、群レベルのアニマルウェルフェアを示す直接的又は間接的な指標になることがある。生産システム次第では、死亡及び淘汰の原因、その時間的・場所的発生パターンの分析をすることで、死亡及び淘汰率を推定できる場合もある。死亡率及び淘汰率、及びその原因(判明している場合)は、定期的に(毎日等)記録され、モニタリング(毎月、毎年等)に利用されるものとする。

剖検は死亡原因の確定に有益である。

4.体重及び体型の変化

成長期の動物では、期待される発育速度から外れた体重変化、特に急激かつ極端な体重の減少は、不十分なアニマルウェルフェアと健康の指標である。

許容範囲を超える体型、又は群の中の個々の動物の体型に大きな変動が見られる場合、アニマルウェルフェア及び健康、成熟した動物の繁殖効率が損なわれていることの指標になる場合がある。

5.繁殖効率

繁殖効率が、アニマルウェルフェア及び動物の健康の状態の指標になる場合がある。その品種又は交配種に期待される標準値と比較して繁殖効率が悪いということが、アニマルウェルフェアの問題を示している場合もある。

例としては以下のものをあげることができる。

  • 低い受胎率
  • 高い流産率
  • 子宮炎及び乳腺炎
  • 低い一腹あたりの産出数(産子の合計)
  • 低い生存産子数
  • 高い死産数やミイラ胎子数
6.外観

外観は、動物の健康及びアニマルウェルフェアの指標になりうる。ウェルフェアが損なわれていることを示唆する外観の特性には、以下のものがある。

  • 許容範囲を超えた体型
  • 外部寄生虫の存在
  • 異常な皮膚の質感又は脱毛
  • 糞による過度な汚れ
  • 日焼けも含む皮膚の変色
  • 異常な腫脹、損傷又は病変
  • 分泌物(たとえば、涙の汚れを含む、鼻、目からの分泌物)
  • 肢蹄の異常
  • 異常な姿勢(たとえば、背中を丸める姿勢、頭を下げる姿勢)
  • 削瘦及び脱水症状
7.取扱時の反応

不適切な取扱又は人との接触の欠如が、豚に恐怖と苦悩をもたらす場合がある。人への恐怖は、不十分なアニマルウェルフェアの指標になりうる。指標には以下のものがありうる。

  • 移動させられた時や家畜飼養管理者がふれあってきた時に示す顕著な取扱者からの回避及び異常な又は過剰な鳴き声等のような、人と豚との関係が希薄であったことの証拠
  • 取扱時にすり抜けようとする又は倒れてしまう豚
  • 挫傷、裂傷、骨折等の取扱中の損傷
8.跛行

豚は、さまざまな伝染性及び非伝染性の筋骨格障害に影響を受けやすい。これらの障害は跛行や歩行異常を引き起こすことがある。跛行や歩行異常の豚は、飼料や水に届くのが難しくなる場合があるし、苦痛及び苦悩を感じる場合もある。筋骨格異常は多くの原因(遺伝、栄養、衛生、床の性質及びその他の環境及び管理の要因等)によって起こりうる。歩行の評価システムがいくつかある。

9.飼養管理上の処置による合併症

飼養管理を円滑化し、市場又は環境の要件を満たし、人の安全を向上し又はアニマルウェルフェアをる守るために、外科的去勢、断尾、切歯、牙切り、個体標識、鼻輪、蹄の処置等の痛みを伴う又は潜在的に苦痛な処置が豚に行われる。

ただし、これらの処置が適切に実施されない場合には、アニマルウェルフェア及び動物の健康が不必要に損なわれることもある。

これらの処置に関連する問題の指標には以下のものがある

  • 処置後の感染、腫脹
  • 処置後の跛行
  • 苦痛、恐怖、苦悩又は苦しみを示す行動
  • 罹病率、死亡率及び淘汰率の増加
  • 摂食量及び飲水量の減少
  • 処置後の体型及び体重減少

第7.13.5条

勧告

豚の高度なウェルフェアの確保は、システム設計、環境管理、動物飼養管理(責任ある畜産及び適切な飼養を含む)といった複数の管理要因に依存する。これらの要素が一つ以上欠けている場合には、どのようなシステムであっても、深刻な問題が生じる場合がある。

第7.13.6条から第7.13.27条では豚に適用される措置の勧告が示されている。

第7.13.6条から第7.13.24条までの各勧告には、第7.13.4条から得られる動物の状態に基づく関連基準(又は測定指標)が含まれている。これら以外の基準(又は測定指標)については、適切な場所や適切な時に使われるのであれば、それらを排除するものではない。

第7.13.6条

職業訓練

豚は、十分な人数の、動物のウェルフェア及び健康を維持するために必要な能力、知識及び適性を集合的に有している十分な数の人によって世話されるものとする。

豚に対し責任のあるすべての者は、その責任に応じて、公式な訓練や実際の経験を通じて能力を有しているものとする。これには、豚の取扱い、栄養、繁殖管理技術、行動、バイオセキュリティ、疾病の徴候並びに、ストレス、痛み、不快等のアニマルウェルフェアの低さの指標及びその緩和に関する理解や技術を含むものとする。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):取扱時の反応、外観、行動、体重及び体型の変化、繁殖効率、跛行及び罹病、死亡率及び淘汰率及び飼養管理上の処置による合併症

第7.13.7条

取扱及び検査

豚の取扱いと世話に対して積極的な姿勢を持つ家畜飼養管理者は、陽性のウェルフェア成果をもたらし得る。動物が人間に近付くまでの時間の長さ、逃れる距離の短さ、又は人間と積極的に触れ合おうとすることといった現象により、この成果が示され得る。

豚は、飼料、水といった基本的なものの提供を人に完全に依存している場合、ウェルフェア及び健康の問題の特定のため、少なくとも一日一回検査されるものとする。

動物によっては、さらに頻繁に検査を受けるものとする。たとえば、分娩した豚、新生子、離乳したての子豚、新たに混合された未経産雌豚及び成熟雌豚、病気にかかった又は損傷を受けた豚及び異常行動(尾かじり等)を示している豚がこれに該当する。

病気にかかった又は損傷を受けていることが確認された豚は、できるだけ早い機会に、有能な家畜飼養管理者による適切な治療を受けるものとする。家畜飼養管理者が適切な治療ができない場合には、獣医師による処置が求められるものとする。

豚の取扱いに係る勧告は、第7.3章にも見られる。とりわけ痛み及び苦悩を与えるおそれのある取扱補助器具(たとえば、電気突き棒)は、他の方法が失敗して極端な場合であって、当該動物が自由に移動でき、取扱補助器具から離れることができるときにのみ使用されるものとする。電気突き棒の使用は避けるものとし(第7.3.8条第3項参照)、も同じ動物に繰り返して使ってはならず、乳房、顔、目、鼻、耳、肛門性器等の敏感な部位を突くべきではない。

突然の移動、大きな音又は視覚的コントラストの変化に豚を曝すことは、ストレスや恐怖の反応を防ぐため、可能な場合には最低限に抑えるものとする。豚を不適切又は攻撃的に扱うべきではない(たとえば、蹴られる、投げられる、落とされる、上を歩かれる、1本の前足や耳又は尾をつかまれる又は引っ張られる)。取扱中に苦痛を受けた豚は直ちに看護されるものとする。

豚は必要な場合にのみ拘束され、適切かつ手入れの行き届いた拘束装置のみを使うものとする。

よく設計され、整備された取扱設備は、適切な取扱を促進する。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):外観、行動、体重及び体型の変化、取扱時の反応、繁殖効率、跛行及び罹病、死亡率及び淘汰率

第7.13.8条

痛みを伴う処置

外科的去勢、断尾、切歯、牙切り、個体標識、鼻輪等の処置は豚に対して行われることがある。これらの処置は訓練を積んだ人員のみが実施するものとし、飼養管理を円滑にするため、また市場又は環境の要件を満たすため、人の安全の向上又はアニマルウェルフェアを守るために必要な場合のみ行われるものとする。

これらの処置は痛みを伴う、又は苦痛をもたらす可能性がある。これらの処置は、動物への痛み、苦痛及び苦しみを最低限にする方法で行われるものとする。

このような処置に関するアニマルウェルフェアを強化するための選択肢には、国際的に認識されている「3つのR」、代替(Replacement)(たとえば、雄豚を去勢する代わりに、未去勢雄豚又は免疫的去勢豚の使用)、削減(Reduction)(たとえば、必要な場合のみの断尾及び切歯)、改善(Refinement)(たとえば、獣医師の勧告又は監視の下での鎮痛又は麻酔の提供)等がある。

卵巣摘出は、麻酔及び長く続く鎮痛なしには実施するべきではない。豚の卵巣の機能を可逆的及び効果的に抑制する免疫学的医薬品が利用可能である。免疫学的な発情期の防止は、卵巣摘出を避けるために奨励されるものとする。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):飼養管理上の処置による合併症、罹病率、死亡率及び淘汰率、異常行動、外観、体重及び体型の変化

第7.13.9条

飼料、水の給与

いかなる飼養管理システムでも豚が必要とする飼料や栄養の量は、気候、飼料の栄養組成や品質、豚の週齢、性別、遺伝、大きさ及び生理状態(たとえば、妊娠、泌乳、成長)、健康状態、成長率、過去の摂餌レベル、活動及び運動のレベル等の要因によって影響を受ける。

すべての豚は、以下の目的のために、適切な量及び質の飼料及び栄養を毎日提供されるものとする。

  • 健康を維持すること
  • その生理的要求を満たすこと、かつ
  • 飼料探索と採餌行動の要求を満たすこと

飼料及び飲水の給与は、過剰又は傷つく競争を防ぐ方法で提供されるものとする。

豚が胃潰瘍になることを最小限にとどめることを意図した飼料(たとえば、食物繊維を増やしたり、未加工のタンパク質を減らす、など)を給与するものとする。

すべての豚は、豚の生理学的要求に適合し、かつ豚の健康に有害な汚染物質のない、飲用に適した水の適切な供給を利用できるものとする。給水機の水流量は、豚の週齢、生産過程での段階、及び環境状況に応じて設定されるものとする。

豚がある程度自律的に飼料の選択を行えるような屋外型システムでは、利用可能な天然飼料の供給量と豚の収納密度が見合うようにするものとする。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):体重及び体型の変化、外観(削瘦、脱水症状)、行動(飼料・飲水場所での反抗的な行動及び尾の噛みつきのような異常行動)、死亡率及び淘汰率、罹病率

第7.13.10条

環境改良

動物に提供される環境には、正常な行動(たとえば、探索行動、鼻で地面を掘るといった飼料探索、飼料以外のものをかじったり噛むこと、社交的交流)を促進し、異常な行動(たとえば、尾、耳、肢、脇腹へのかみつき、偽咀嚼、鉄柵へのかみつき、無気力な行動)を減らし、身体的・精神的状態を向上させるために、複雑性、操作可能性、認知作用への刺激物が提供されるものとする。

豚は、物理的及び社会的環境の向上を通じて、豚のウェルフェア向上を目的とした環境改良を提供されるものとする。例としては以下のものをあげることができる。

  • 豚が、飼料(食べられる物質)を探して発見でき、噛みつくことができ(噛める物質)、鼻で地面を掘ることができ(探索可能な物質)、物質をいじることができるような、十分な量の適切な物質。目新しさもまた、提供された物質への興味を保つ上で重要な点である。
  • 豚をグループ飼いするか、あるいは個飼いの場合は、他の豚と視覚的・嗅覚的・聴覚的に接触できるようにする、といった社会的な環境改良。
  • 良好な人間との接触(たとえば、機会があるときに、定期的かつ直接の物理的接触を行う。この接触行為は肯定的な出来事を連想させる行為であり、給餌する、なでる、さする、掻く、話しかける、が含まれ得る)。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):外観(損傷)、行動(常同性、尾のかみつき)、体重及び体型の変化、取扱時の反応、繁殖効率、跛行及び罹病、死亡率及び淘汰率

第7.13.11条

異常行動の防止

豚生産においては、適切な管理手順によって防ぐ又は軽減できる異常行動が多くある。

これらの問題の多くは多要因によるものであり、発生を軽減するには環境全体やいくつかの管理要因の検査が必要である。これらのいくつかの行動の問題の発生を軽減しうる管理手順には以下のものをあげることができる。

1) 口を使う常同症(たとえば、棒かじり、偽咀嚼、過剰な飲水)は、環境改良の提供、給餌時間の延長、飼料中の繊維含有量又は飼料探索用の繊維質飼料の増加によって、軽減することができることがある。

2) 尾の噛みつきは、適切な改良物質及び適切な飼料(ミネラル又は必須アミノ酸の不足を避ける)を提供すること、密飼いや飼料・水の競争を避けることによって軽減できることがある。他の考慮すべき要因には、動物の特性(品種、遺伝、性別)や社会的環境(群の大きさ、混合した動物)、全般的な健康、温度の快適さ及び空気の性状がある。

3) ベリーノージング(訳注)及び耳なめは、離乳時期を遅らせること、飼料の急激な変化を避けるために離乳前に子豚に飼料を給与することによって軽減できることがある。(訳注):子豚を母豚から早期に離乳することによる発現する問題行動の1つであり、鼻を使い他の子豚の腹部を持ち上げ母豚の乳房を探すような行動。

4) 外陰部の噛みつきは、飼料及び水を含むリソースの競争を低減し、群れの頭数を減らすことによって軽減できることがある。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):外観(損傷)、行動(異常行動)、罹病率、死亡率及び淘汰率、繁殖効率、体重及び体型の変化

第7.13.12条

舎飼(屋外型生産システムを含む)

豚を収容する新たな施設を計画又は既存の施設を改修する場合には、アニマルウェルフェア及び動物衛生に関して設計上の専門的な助言が求められるものとする。舎飼システム及びその構成要素は豚の損傷、疾病は及びストレスのリスクを軽減するような方法で設計され、建築され、定期的に検査され、維持されるものとする。畜舎は安全、効率的、人道的な管理や豚の動きを可能にするものとする。豚が天気の悪い状態にさらされる可能性がある場合は、温度のストレスや日焼けを防ぐための収容場所を利用できるものとする。

病気の豚や損傷を受けた豚又は異常な行動を示す豚を隔離し、処置し、観察するための隔離された囲い又は区域を設けるものとする。動物によっては個別に保つ必要がある場合がある。隔離された区域は、動物が必要とするすべてのもの(たとえば、横臥している動物や歩行困難な動物、重大な傷を負った動物には、追加の敷料又は代替の床の表面が必要な場合がある。また、水と飼料が手の届く場所にあるものとする。)を備えているものとする。

豚は通常の舎飼システムにおいて繋がれるべきではない。

良好なアニマルウェルフェア及び健康の成果は舎飼システムの範囲内で得られる。そのシステムの設計や管理は適正なアニマルウェルフェア及び健康の成果を得るために重要である。

成熟雌豚及び未経産雌豚は、他の豚と同様に、社会的な動物であり、群で生活することを好むため、妊娠した成熟雌豚や未経産雌豚はなるべく群で飼われるものとする。未去勢の雄豚は、個別の囲いに収容する必要がある場合がある。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):外観(損傷)、行動、体重及び体型の変化、取扱時の反応、繁殖効率、跛行及び罹病率、死亡率及び淘汰率第

第7.13.13条

空間的ゆとり

空間的ゆとりは、横臥、立位、摂餌及び排せつのためのさまざまな空間を考慮して管理されるものとする。飼育密度が、豚の通常の行動及び横臥して過ごす時間に悪影響を与えるべきではない。

不十分で不適切な飼養スペースはストレスと損傷を増加させ、成長率、飼料効率、繁殖性や行動(歩行運動、休息、摂食、飲水、反抗的な行動や異常な行動)に悪影響を与えることがある。

1.群飼型

床の空間は、多くの要因(温度、湿度、床の種類、給餌システム)と相互に作用しあい、豚のウェルフェアに影響することがある。すべての豚は同時に横臥することができ、起立し、自由に動けるものとする。全ての動物が飼料・水を利用することができ、横臥と排せつの場所を分けることができ、攻撃的な動物を避けるための十分な空間を提供するものとする。

群飼システムでは、潜在的な攻撃者を避ける又は逃げるための十分な空間及び機会を提供するものとする。

異常に攻撃的な行動が見られた場合には、可能であれば、空間的ゆとりの増加やバリアを設ける、又は攻撃的な豚を個別に飼育する等の是正措置がとられるものとする。

豚が給餌の選択に関して多少自律している屋外型では、飼養密度と利用可能な飼料の供給が釣り合っているものとする。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):体重及び体型の減少又は変化、反抗的な及び異常な行動(尾の噛みつき等)の増加、損傷、罹病率、死亡率及び淘汰率、外観(たとえば、体表上の過剰な糞の付着)

2.個体別のおり・囲い

豚は、必要な場合のみ個別のおり・囲いで飼われるものとする。個別のおり・囲いの中では、豚が起立、回転、横臥が自然な姿勢で快適に行うことができ、排せつ、横臥、給餌の区域を分離するために、十分な空間が提供されるものとする。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):異常行動の増加(常同症)、罹病率、死亡率及び淘汰率、外観(たとえば、体表上の過剰な糞の付着、損傷)

3.ストール及びクレート

給餌、妊娠、授精用ストール及び分娩用クレートは、豚が以下の行動をとれるように適切な大きさであるものとする。

  • ストール又はクレートの壁にぶつかることなく、自然な姿勢で起立する
  • 上の棒に触れることなく、自然な姿勢で起立する
  • ストール又はクレートの両端に同時に触れることなく、起立する
  • 隣の豚を邪魔することや他の豚によって損傷されることなく、体の側面を下にして快適に横臥する。ただし、給餌のみを目的としたストールの場合はこの限りではない。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):外観(たとえば、損傷)、異常行動の増加(常同症)、繁殖効率、跛行及び罹病率、死亡率及び淘汰率(たとえば、子豚)

第 7.13.14 条

床、敷料、寝床の表面

熱ストレスを防ぐためにスプリンクラー又はミスターが使用される可能性がある状況を除き、すべての生産方式において、豚には、水はけが良く、乾燥した、快適な休息場所が必要である。

屋内生産システムの床管理は、豚のウェルフェアに大きな影響を与える可能性がある。床材、敷料、寝床の表面及び舎外の囲い地は、良好な衛生状態、快適さを確保し、疾病と損傷リスクを最小限に抑えるため、このような確証が得られる状況に清掃されるものとする。過剰な糞の集積は休息に適していない。

床は、滑り及び転倒を最小限に抑え、蹄肢の健全性を増進し、蹄の損傷のリスクを軽減するように設計されるものとする。

舎飼システムにすのこ構造が含まれている場合には、すのこの板と隙間の幅は、損傷を予防するため、豚の蹄のサイズに合ったものにするものとする。

床の傾斜は、飼槽からの 排水を可能にし、水がたまらないものであるものとする。

屋外型システムでは、豚は、良好な衛生状態を確保し、疾病リスクを最小限に抑えるため、囲い又は放牧場間で移動させるものとする。

敷料又はゴムマットが提供されている場合は、敷料又はゴムマットは清潔で乾燥した快適な横臥場所を豚に提供するように維持されるものとする。

結果動物の状態に基づく基準(又は測定指標):外観(たとえば、損傷、体表上の糞の付着、滑液包炎)、跛行、罹病率(たとえば、呼吸器障害、生殖器系感染症)

第 7.13.15 条

空気の性状

空気の良好な性状及び換気は、呼吸器の不快、疾病及び異常な行動のリスクを低減するため、豚のウェルフェア及び衛生上重要である。塵、毒素、微生物、有毒ガス(たとえば、動物のふん尿の腐敗によって生ずるアンモニア、硫化水素、メタン)は、屋内型システムでは問題となる。

空気の性状は、舎飼型の管理及び畜舎設計に強く影響される。空気の組成は、動物の飼養密度、豚の体格、床、敷料、ふん尿の管理、畜舎設計及び換気システムに影響される。

特に若齢の豚にとって、乾燥しすぎない適切な換気は、豚の効果的な放熱、ふん尿の貯留システムからのものを含む畜舎内の流出ガス(たとえば、アンモニア及び硫化水素)及び塵芥の抑制のために重要である。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):罹病率、死亡率及び淘汰率、外観、行動(とりわけ呼吸数、咳及び尾の噛みつき)、体重及び体型の減少

第 7.13.16 条

温度環境

豚は、想定される状況に適応する品種及び豚舎が用いられる場合には、とりわけ広範な温度環境に順応できるが、温度の急変が、高温又は低温ストレスを引き起こすことがある。

  1. 高温ストレス

豚の高温ストレスのリスクは、気温、日射、相対湿度、風速、換気率、飼育密度、屋外型システムでの日陰や水たまりの利用可能性等の環境側の要因、品種、週齢、体型等の動物側の要因による影響を受ける。

より重い豚は、与えられた温度によって、より熱ストレスをうけやすい。

家畜飼養管理者は、高温ストレスが豚に引き起こすリスク、対応が必要になるかもしれない高温と湿度に関する閾値を理解するものとする。家畜飼養管理者は、高温ストレスのリスクが非常に高い水準に達する場合には、追加的な飲水の提供を優先し、屋外型システムにおける日陰や水たまり、扇風機の提供、飼育密度の緩和、水を使用した冷却装置(しずく又は霧)、現地の状況に応じて適切な冷却装置の設置を含む緊急時行動計画を定めるものとする。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):行動(摂食量及び飲水量、呼吸数、あえぎ呼吸、横臥の姿勢及びパターン、反抗的な行動)、外観(体表上の糞の付着、日焼け)、罹病率、死亡率及び淘汰率、繁殖効率

  1. 低温ストレス

低温の状況が、豚、とりわけ新生子豚及び若齢豚並びに生理学的に問題のある豚(たとえば、病気の豚)のウェルフェアを損ねるおそれがあ る場合には、このような条件からの保護が与えられるものとする。保護は、 断熱、敷料の追加、暖房用マット又はランプ、屋外型システムでは自然又は人工的な居住場所によって与えることができる。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):罹病、死亡率及び淘汰率、外観(起毛)、行動(とりわけ異常姿勢、ふるえ、身の寄せ合い)、体重及び体型の変化

第 7.13.17 条

騒音

ストレス 及び恐怖を抑制するため、突然又は大きな騒音に豚を曝すことは、可能な範囲で、避けるものとする。換気扇、給餌装置その他舎内又は舎外の機器は、 騒音を最小限にするように建設、設置、操作及び維持されるものとする。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):行動(たとえば、逃走、異常又は過剰な鳴き声をあげる)、外観(たとえば、損傷)、繁殖効率、体重及び体型の変化

第 7.13.18 条

照明

舎飼システムでは、すべての豚がお互いに見え、周りを視覚的に調べ、その他の正常な行動パターンを示し、職員が豚の適切な観察のために明確に見えるのに十分な光のレベルとする。照明の管理体制は、健康及び行動の問題を防ぐようにするものとする。照明の体制は24時間周期とし、十分に連続した暗い時間と明るい時間(それぞれ6時間以上が好ましい)を含むものとする。

人工的な照明源は豚にとって不快にならないような場所に置くものとする。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):行動(跛行)、罹病率、繁殖効率、外 観(損傷)、体重及び体型の変化

第 7.13.19 条

分娩及び泌乳

成熟雌豚及び未経産雌豚は、分娩前に分娩舎に順応するための時間を必要とする。営巣の材料が、可能であれば分娩の少なくとも1日前に成熟雌豚及び未経産雌豚が利用可能であるものとする。成熟雌豚及び未経産雌豚は、出産予定時期に近くなったら頻繁に観察するものとする。成熟雌豚及び未経産雌豚によっては分娩時に補助が必要なので、十分な空間及び職員が必要である。

分娩舎はまた快適さ、暖かさ、及び子豚の保護を提供するものとする。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):死亡率及び淘汰率(子豚及び成熟雌豚)、罹病率(子宮炎及び乳腺炎)、行動(落ち着きのなさ、どう猛さ)、繁殖効率、外観(損傷)

第 7.13.20 条

離乳

離乳は、母豚及び子豚の双方にとってストレスがかかる時期であり、良好な管理が求められる。離乳にかかる問題は、一般的に子豚のサイズや生理学的成熟に関するものである。離乳子豚は、子豚への疾病の伝染を最小限にするため、成熟雌豚が飼育されている場所から離れた、清潔で消毒された豚舎に移動するものとする。

子豚は、疾病管理目的で獣医師が別の方法で勧告する場合を除き、週齢又はそれ以上で離乳されるものとする。早期の離乳システムは、子豚の良好な管理及び栄養が必要となる。

離乳を 4 週齢又はそれ以上に遅らせることは、腸管免疫、下痢の低減及び抗菌剤の使用 の低減等の利益をもたらす場合がある。

週齢にかかわらず、低体重の子豚は追加の世話が必要であり、共通の飼養区域に移せるようになるまで、特別な囲いの中で小さな群で飼養されることは効果がある。

新たに離乳された子豚は疾病に感染しやすいので、高水準の衛生予防計画書の順守及び 適切な食餌が重要である。子豚が離乳される場所は、清潔で乾燥しており暖かいことが確実になっているものとする。

すべての新たに離乳された豚を、離乳後2週間は体調不良又は異常なストレスの兆候がないかどうか監視するものとする。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):子豚の死亡率及び淘汰率、罹病率(呼吸器疾病、下痢)、行動(ベリーノージング(注1)及び耳なめ)、外観(損傷)、体重及び体型の変化

第 7.13.21 条

混合

なじみのない豚との混合は、優越順位を確立するための闘争行動に繋がるため、混合は 可能な限り最小限に抑えるものとする。 混合する際は、攻撃を低減するための戦略を実施するものとする。動物は、混合後は観察され、ストレスと損傷を最小限にするために、攻撃が激しい又は長引く場合は、介入するものとする。

過剰な闘争及び損傷を防ぐための措置としては以下のものをあげることができる。

  •  追加の空間及び滑らない床の提供
  •  混合前の給餌
  •  混合区域での床の上での給餌
  •  混合区域でのわら又はその他の適切な改良材の提供
  •  視覚的バリアの設置等による、逃走や他の豚から隠れる機会の提供
  •  可能な場合、既になじみのある動物との混合
  •  若齢動物は可能な限り離乳後すぐに混合する
  •  1又は少数の動物を大きな確立したグループに混合するのを避ける

結果 動物の状態に基づく基準(又は測定指標):死亡率、罹病率及び淘汰率、行動(反抗的な)、外観(損傷)、体重及び体型の変化、繁殖効率

第 7.13.21 条

遺伝学的選択

特定の場所又は生産方式に合った品種又は交雑を選択する場合には、生産性及び成長率のほかに、ウェルフェア及び健康が考慮されるものとする。

品種改良、たとえば、母性行動、子豚の生存力、気質、ストレスや疾病への抵抗性、尾の噛みつき、攻撃的な行動の低減を向上させる選択を行うことで、豚のウェルフェアを向上させることができる。社会的行動に関連した遺伝的特性を繁殖プログラムに含めることは、負の社会的相互作用を低減し、良好な社会的相互作用を増加し、群飼いされている動物に大きな良好な効果をもたらすことがある。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):外観、行動(たとえば、母性及び反抗的な行動)、体重及び体型の変化、取扱時の反応、繁殖効率、跛行、罹病率、死亡率及び淘汰率

第7.13.23 条

捕食動物及び害虫からの保護

屋外型と混合型では、豚は捕食動物から保護されるものとする。

実行可能な場合には、豚はまた、過剰な数のハエ及びカ等の害虫から保護されるものとする。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):罹病率、死亡率及び淘汰率、行動、外観(損傷)

第7.13.24 条

バイオセキュリティ及び動物の健康

1.バイオセキュリティ及び疾病予防

バイオセキュリティプランは、動物群のあり得る最高の衛生状態、利用可能なリソース及び社会基盤並びに現在の疾病リスクに応じて、また OIE リスト疾病の場合には、陸生コードに見られる関連の勧告に従い、設計、実施及び維持されるものとする。

当該バイオセキュリティプランは、病原体のまん延に係る以下の主な感染源及び感

染経路の管理に焦点を当てるものとする。

  •  動物群への導入(特に異なる導入元から)を含む
  •  精液
  •  その他の家畜、野生生物及び害虫
  •  衛生業者を含む人
  •  輸送手段を含む設備、器具及び施設
  •  空気、給、精液、飼料及び敷料
  •  排せつ物(堆肥を含む)、ごみ及び死亡畜処理

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):罹病率、死亡率及び淘汰率、繁殖効率、体重及び体型の変化、外観(疾病の兆候)

a) 動物衛生管理

動物衛生管理は、群における豚の健康及びウェルフェアを最適化するものとする。それには、疾病及び当該動物群に影響する健康問題(とりわけ、呼吸器系、繁殖性及び胃腸の疾病)の予防、治療及び管理が含まれる。

疾病及び健康問題を予防及び治療するために、獣医師の診察に基づき考えられた有効なプログラムが整備されるものとする。当該プログラムには、バイオセキュリティ及び検疫の手順書、代替豚の馴化、ワクチン接種及び良好な初乳管理、生産データ(たとえば、雌豚頭数、年間当たり1頭の雌豚当たりの子豚数、飼料要求率、離乳時の体重)、罹病率、死亡率、淘汰率及び獣医学的治療の記録が含まれるものとする。それは、家畜飼養管理者によって更新されるものとする。記録の定期的な監視は、管理の一助となり、速やかに対応すべき改善点を明らかにする。

寄生虫による負荷(たとえば、内部寄生虫、外部寄生虫及び原虫)、昆虫及びげっ歯類の管理に関しては、監視、管理及び治療のためのプログラムが適宜実施さ れるものとする。

跛行は、豚にとって問題である。家畜飼養管理者は、蹄及び爪の状態を監視し、跛行を予防する措置をとり、蹄の衛生を保全するものとする。

豚の飼養の責任者は、疾病、苦痛、苦悩又は苦しみの初期における特有の症状(たとえば、咳、流産、下痢、運動行動の変化、無感情の行動)並びに摂餌及び飲水の減少、体重及び体型の変化、行動の変化又は外観の異常等の非特定症状を承知しているものとする。

リスクが高い豚に対しては、家畜飼養管理者によるより頻繁な観察が必要になる。家畜飼養管理者は、疾病、苦痛、苦悩又は苦しみの存在を疑う又は疾病若しくは苦痛の原因を改善できない場合には、獣医師その他資格あるアドバイザー等訓練を受けた経験を有する者に適宜助言を求めるものとする。

歩行困難豚は、治療、回復又は診断のため絶対的に必要な場合を除き、輸送又は移動されないものとする。その場合の移動は、引きずり、又はさらなる苦痛、苦悩又は損傷の悪化を起こすような持ち上げ方を避ける方法により、慎重に行われるものとする。

家畜飼養管理者は、第7.3章に規定されるとおり、輸送の適合性を評価する能力も有しているものとする。

慢性的な疾病又は損傷の場合で、治療が失敗した若しくは実行可能でない、又は回復が見込めない(たとえば、自力で起立不能又は摂餌若しくは飲水を拒絶する豚)、又は重篤な痛みを伴う時には、当該動物は、第7.6章に従い、可能な限り早く人道的に殺処分されるものとする。

動物の状態に基づく基準(又は測定指標):罹病率、死亡率及び淘汰率、繁殖効率、行動(無感情な行動)、跛行、外観(損傷)、体重及び体型の変化

b) 疾病発生に備えた緊急時計画

緊急時計画は、緊急の疾病発生に直面した農家における管理であって、国家プ ログラム及び獣医サービスの勧告と適宜整合しているものとする。

第 7.13.25 条

緊急時対応計画

豚生産者は、電気、水又は飼料の供給システムの機能停止が、アニマルウェルフ ェアを損ねるおそれがある場所では、緊急時計画を 整備するものとする。

当該計画には、不具合を検出する警報器、予備用発電機、主なサ ービス事業者の連絡先情報、農場の貯水能力、水運搬サービスの利用、適切な農場内飼 料保管及び代替飼料の供給が含まれる場合もある。

緊急時の予防措置は、結果ではなく、原因に基づきとられるものとする。警報及び予備用システムは、定 期的に点検されるものとする。緊急時計画は、 文書化され、すべての関係者に伝達されるものとする。

第 7.13.26 条

災害管理

災害(たとえば、地震、火事、洪水、吹雪、台風)の影響を最小限に抑え、緩和するための計画が施行されているものとする。

のような計画には、避難手順、高台の確認、緊急備蓄飼料及び水の供給、必要に応じた淘汰及び人道的殺処分が含まれる場合がある。病気又は傷ついた豚の人道的殺処分手順は、当該災害管理計画の一部とされるものとし、第7.6条の勧告にしたがうものとする。

緊急時対応計画の参照は、第7.13.25条に見ることができる。

7.13.27 条

人道的殺処分

疾病の又は損傷した動物を不必要に生かすのは受け入れられない。そのため、疾病又は 傷ついた豚に対しては、当該動物を治療するか又は人道的殺処分するかを決定するため、 すみやかな診断が行われるものとする。

動物の人道的殺処分の決定及びその手順自体は、能力のある者が請け負うものとする。

豚の苦痛を与えない殺処分の受け入れられる方法の詳細は、第7.6章を参照のこと。

家畜飼養施設は、農場での人道的殺処分について文書化された手順及び必要な設備を整 備するものとする。職員は、各クラスの豚に適した人道的な殺処分手順について訓練を 受けるものとする。

人道的殺処分の理由には、以下のものがある場合がある。

  •  重度な削瘦、歩行不能又はそのおそれのある虚弱な豚
  •  立ち上がろうとせず、摂食又は飲水を拒絶し、又は治療に反応しない、重度の損傷 豚又は歩行不能豚
  •  治療の甲斐ない容態の急速な悪化
  •  緩和できない深刻な痛み
  •  慢性的な体重の減少を伴う多関節感染症
  •  生き延びる可能性のない未熟子豚又は衰弱を引き起こす先天性障害を持つ子豚
  •  災害管理対応の一部として

 

※翻訳:アニマルライツセンターボランティアチーム(Ikuro Oshima)

Tags:

You Might also Like

Leave a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *

暴力的または攻撃的な内容が含まれる場合は投稿できません

SHARE