全国1,144人を対象に、オスひよこ殺処分と卵内雌雄鑑別技術に関する意識調査を実施
2026年7月30日
認定NPO法人アニマルライツセンター
認定NPO法人アニマルライツセンターは、日本の消費者を対象に、採卵鶏産業におけるオスひよこの殺処分と、その代替手段である「卵内雌雄鑑別技術」に関する意識調査を実施しました。
全国1,144人の有効回答を分析した結果、オスひよこの殺処分を知っていた人は19.9%にとどまる一方、説明後には73.9%がその卵を購入したいと回答しました。
認知度はまだ低いものの、多くの消費者が代替技術や商品の導入を支持していることが明らかになりました。
日本の採卵鶏産業では、卵を産まないオスひよこの多くが孵化後まもなく殺処分されています。一方、孵化前の卵の段階で性別を判別する「卵内雌雄鑑別技術」を利用することにより、この殺処分を回避することができます。
ドイツやフランスなどではオスひよこ殺処分の法規制や卵内雌雄鑑別技術の商業利用が進む一方、日本では確認されていません。そこで、日本の消費者がこの問題や代替技術をどのように受け止めているのかを把握するため、本調査を実施しました。
調査のポイントをまとめた図です。

以下では、それぞれの調査結果について詳しくご紹介します。
採卵鶏産業では、卵を産まないオスひよこの多くが殺処分されていることについて、「知っていた」と回答した人は19.9%、「知らなかった」と回答した人は80.1%でした。
この結果から、日常的に卵を購入・消費していても、その生産過程でオスひよこが殺処分されていることは、広く認識されていないことが分かります。
【グラフ:オスひよこ殺処分の認知度】

「メス鶏のみを育てるために、オスひよこが孵化直後に殺処分されることを容認できるかどうか」と尋ねたところ、「全くそう思わない」「そう思わない」「ややそう思わない」と回答した人の合計は65.6%でした。
オスひよこの殺処分の認知度は低いものの、現状を知った人の多くは否定的な意見を持つことが分かりました。
【グラフ:オスひよこの殺処分の容認度】
Q. このようにメス鶏のみを育てるために、オスひよこが孵化直後に殺処分されることを容認できると思いますか?

「オスひよこを孵化後に殺処分する代わりに、卵内雌雄鑑別技術を活用すべきだと思うか」と尋ねたところ、「非常にそう思う」「そう思う」「ややそう思う」と回答した人の合計は74.0%でした。
技術自体の認知度は高くないものの、内容を説明した後には、多くの消費者が導入を支持することが分かりました。
【グラフ:卵内雌雄鑑別技術の活用への支持】
Q. オスひよこを孵化後に殺処分する代わりに、卵内雌雄鑑別技術を活用すべきだと思いますか?

オスひよこの殺処分を伴わずに生産された卵が、普段利用するスーパーで販売されていた場合、「購入したい」とする肯定的回答は合計73.9%でした。一定の潜在需要があることが見込まれることが分かりました。
また、普段利用するスーパーでは販売されておらず、別のスーパーで販売されていた場合に、その卵を購入するため別のスーパーを利用したいとする肯定的回答は60.8%でした。
この結果は、卵内雌雄鑑別技術の導入が、消費者の商品選択や小売店の選択に影響を与える可能性を示しています。
【グラフ:購入意向】
Q. オスひよこを殺処分することなく生産された卵が、あなたの利用するスーパーで販売されていた場合、購入したいと思いますか?

【グラフ:別のスーパーの利用意向】
Q. 卵内雌雄鑑別卵が普段利用しているスーパーでは販売されておらず、別のスーパーで販売されていた場合、そのスーパーを利用したいと思いますか?

現在購入している卵と同等の品質・サイズで、卵内雌雄鑑別技術によってオスひよこが殺処分されない場合、10個入り卵1パックに対して追加で支払ってもよい金額を尋ねました。
その結果、10円以上の金額を選択した人は70.2%でした。最も回答が多かった価格帯は「50円」でした。
【グラフ:10個入り卵1パック当たりの追加支払意思額】
Q. 卵内雌雄鑑別技術によって雄ひよこが殺処分されない場合、10個入り卵1パックに対して、現在より最大でいくら上乗せして支払う意思がありますか?
(現在購入している卵と同等の品質・サイズであると仮定してください。)

オスひよこの殺処分が法律で禁止されている国があることを示した上で、日本でも法規制を行うべきかを尋ねたところ、肯定的な回答は合計69.9%でした。
消費者による商品選択だけでなく、国や業界による制度的な対応を求める意見も多いことが示されました。
【グラフ:日本における法規制への支持】
Q. オスひよこの殺処分が法律で禁止されている国(フランス、ドイツ、イタリアなど)もあります。日本でも法規制を進めるべきだと思いますか?

今回の調査では、オスひよこの殺処分や卵内雌雄鑑別技術は、まだ多くの消費者に知られていない一方、問題と代替手段を知った後には、約7割の消費者がオスひよこの殺処分を伴わない卵の購入意向を示しました。
卵内雌雄鑑別技術は、欧州を中心にすでに実用化されています。(世界の動向)
しかし日本では、現在、オスひよこの殺処分を伴わずに生産された卵の一般販売されておらず、消費者にはそのような卵を選択できる環境がほとんどありません。孵化場、鶏卵生産者、小売事業者、行政が連携し、技術導入や商品の流通が進み、消費者がオスひよこの殺処分を伴わない卵を選択できる環境が整うことを期待しています。
アニマルライツセンターは今後も、国内外の技術や制度に関する調査、関連企業・生産者との対話、消費者への情報提供を進め、オスひよこの殺処分を必要としない卵生産への移行を働きかけていきます。
全設問の集計結果に加え、回答者属性、一部のクロス集計などを掲載した調査報告書は、以下よりご覧いただけます。掲載していないクロス集計や追加分析については、お気軽にお問い合わせください。
📄調査報告書全文(PDF)を読む
オスひよこ殺処分・卵内雌雄鑑別技術に関する消費者意識調査(PDF・22ページ)
卵内雌雄鑑別とは、鶏卵が孵化する前の段階で、胚の性別を判別する技術です。オスと判別された卵を孵化工程から除外することで、オスひよこが孵化した後に殺処分されることを回避できます。現在、画像解析、分光法、MRIなど、複数の方式が開発・実用化されています。
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