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鳥インフルエンザで使われた私たちの税金 今季は200億円か?

鳥インフルエンザの発生が続いている。一番新しい発生は2021年3月13日、栃木県で発生したもので、この農場で今シーズン国内52例目、発生都道府県数は18にまたがることとなった。

今季、これまでに鳥インフルエンザで殺された家禽(鶏、アヒル)の数は9,660,819羽にのぼる(2021年3月23日時点)。

コチラの記事でも知らせたが、鳥インフルエンザの殺処分は安楽死などという穏やかなものではない。鳥たちは虐殺といってもよいような方法で殺される。52例目の栃木県の殺処分に従事したという作業者は次のように言っている。

「今日この殺処分された鶏を機械で埋めてきました。鶏舎からは逃げる残党を追い回す音が聞こえて、埋めるときには死にきれなかった鶏が動くフレコンを見ながら機械で作業をしました。手が震えて、涙が出て…」

フレコンとは家禽を埋却するときに使うものだ。下の動画(https://youtu.be/x0AonznSmno)が分かりやすいだろう。鳥たちはまずバケツに詰め込まれ、ガスが注入される、その後鳥たちは大きなバッグ(フレコン)に移され、油圧ショベルを使ってフレコンごと埋却される。そのフレコンが動いていたというのは、生きたままで鳥たちが埋められたことを意味する。

生きたまま埋却。これは動物福祉以前の、非人道的で信じがたいことだが、今季、他の農場でも生きたまま家禽が密閉容器に移動されるところを私たちは確認している。

許しがたい行為だが、私たちは、この作業への従事者を責めているわけではない。このような残酷な行為への責任は、当法人を含めたすべての国民にあると考えているからだ。なぜならば、お金を出してこれらの作業を行わせているのは私達国民一人一人だからだコチラの記事でも書いた通り、農場での鳥インフルエンザ発生時の殺処分は、私たちの税金で行っているのだ。

実際にどれだけのお金が使われているのか?

今季の費用はまだ分からないため、今季ほどではないが、広範囲で鳥インフルエンザの発生が相次いだ2016-2017年にかけて、鳥インフルエンザに、どれだけのお金が費やされたかを見てみよう。この時の発生は9都道府県にまたがり、殺された家禽の数は1,705,552羽にのぼった。

※この表は、2016-2017年にかけて鳥インフルエンザが発生した、9都道府県への情報開示請求により得た金額をまとめたもの。

項目内容

費用

殺した家禽の手当金(農場へ支払われる)1,190,329,327
廃棄した汚染物品(飼料や卵など)の手当金(農場へ支払われる)92,928,657
家きんや糞、汚染物品の埋却・焼却に要した費用(人夫費、運搬費、投光器やフレコンなど資材費など)440,042,826
家畜防疫員(獣医師)及び作業員旅費* 31,431,969
殺処分した家禽に支払われる評価額を決めるために選定された評価人の手当と旅費 5,683
雇い入れた獣医師の手当 258,200
薬品購入費、鳥インフルエンザ検査費など*

(パコマやアストップなどの消毒薬、消毒用エタノール、石灰、殺処分用及び備蓄用の炭酸ガス、動物用生物学的製剤など)

313,985,760
衛生資材購入費*(防疫衣、長靴、ゴム手袋、ゴーグル、マスクなど)809,870,089
消毒に要した費用(鳥インフルエンザ発生時に設けられる消毒ポイントの設置やその警備、鳥インフルエンザ発生による農場個別の消毒費用など)422,973,380
鳥インフルエンザの発生により、移動制限がかかった周囲の農場への補償費用(家禽を出荷できなくなったことにより増加した飼料費、売り上げの減少費、通常の屠殺場や化成場へ運搬できなくなったことによる運送費の増加分、卵の保管費、初生雛の殺処分による損失など)75,601,590
合計 3,377,427,481

※*については、鳥インフルエンザ発生時に使われた費用だけでなく、通常の防疫費として支払われた鳥インフルエンザ予防対策費用(モニタリングなど)が一部含まれる。
※手当金については、実際に支払われた費用ではなく県から国への「申請額」が開示された都道府県が3つあった。これについては「申請額」を費用として計算した。
※「殺した家禽の手当金」については「個人への補償のため金額はお教えできません」として「申請額」も「費用」も明示されなかった都道府県が1つあった。これについてはアニマルライツセンターが、その都道府県における殺処分羽数から概算を算出した。また同県は「移動制限がかかった農場への補償費用」および「廃棄した汚染物品(飼料や卵など)の手当金」についても開示しなかった。そのため同県におけるこれらの手当金は表に含まれていない
※家畜防疫員旅費については、鳥インフルエンザに特化した旅費の集計情報がない都道府県が2県あった。そのためこの2県の家畜防疫員旅費は表に含まれていない

2016-2017年にかけて、鳥インフルエンザでじつに34億円近くの費用が使われていることがわかる。この時殺された家禽の数は1,705,552羽。
今季はその約5.7倍の9,766,589羽が殺されている。殺される家禽の種類や周囲の農場の損害額により費用は異なるが、2016-2017年に要した費用から推定すると、今季の費用は200億円ほどになるのではないだろうか。
忘れてはならないのは、この費用を出しているのが私たちに他ならないということだ。鳥一羽を殺すごとに支払われる手当金、鳥を殺すガス代、鳥を埋めるための油圧ショベル、鳥を詰めて密閉するペール缶。ガス殺するビニール袋、フレコン、すべて私たちが支払っている。家禽を生きたまま埋却しているのは私達一人一人なのだ。

鳥インフルエンザ発生時には、「防疫」の観点から、短時間で何万羽もの鳥を殺すことが要求される。一羽一羽鳥が死んだかどうか確認してから埋める、という動物福祉以前の、最低限の当たり前のことすらできないのが現実だ。これを「仕方がないこと」で終わらせるのか、それともこういった非人道的な行為が容認される根本的な問題に目を向けるのか。それは家禽の苦痛がこれからも続くか、終止符が打たれるかの分かれ道となる。

生きたまま埋める。鳥をこのような最低のところにまで貶めることとなった根本的な問題は、動物搾取が前提の「畜産」というシステムにある。しかし畜産は本当に必要な産業なのだろうか?
代替肉市場は史上空前の勢いで広まり、私たちの選択肢も広がっている。鶏肉や卵がなくても美味しい料理はいくらでも作ることができるということに目を向けてほしい。動物を食べるのを止めれば、終わりのない苦痛と縁を切ることができるのだ。

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