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鳥インフルエンザ 2020-2021年 安楽殺ではなく虐殺 証拠2 ”熱死””窒息死”

鳥インフルエンザ 2020-2021年 安楽殺ではなく虐殺 証拠1”現場調査”で、鳥インフルにおける家禽の殺処分が安楽ではなく虐殺であることを示したが、この記事では虐殺であるもう一つの証拠を残しておきたいと思う。

2021年2月27日「【国防最前線】想像絶する鳥インフル殺処分、自衛隊は噴き出す血で防護服を真っ赤に奮闘 日本はアニマル・ウエルフェア後進国」というタイトルで、今季猛威を国内養鶏場で猛威を振るっている鳥インフルエンザ発生時の殺処分の現場についてのレポートが掲載された。オムツをして殺処分作業に携わるなど過酷な現場であることが分かると同時に、このレポートには、殺処分についての生々しい描写があった。

殺処分のためには、まずファンを止めて換気を遮断する。鶏は1つのケージにぎゅうぎゅう詰めになっているので、窒息死するという。息も絶え絶えの鶏も死んだ鶏もポリバケツに詰め込む。ケージは何段も重なっているため、天井近くの高所まで上って鶏を引っ張り出す。ファンを止めるタイミングが早すぎると、鶏の腐敗が進みガスが溜まってゲージにくっついたり血が噴き出して、防護服が真っ赤に染まるのだという。

私たちはこのレポートを読み、大変驚いた。

この換気を止めるとい方法は、アメリカなどで鳥の大量殺処分を行う時に用いられている手法だ(豚の大量殺処分方法として用いられることもある)。そして非人道的な方法だとして非難されている方法でもある。それがまさか国内で行われているとは思ってもいなかったからだ。

私たちがこれまで把握していた鳥インフルエンザ時の殺処分は「二酸化炭素ガス殺」あるいは、発生させた泡で鶏を包み、気道を閉塞させて死なせる「泡殺鳥機*」であった。二酸化炭素ガスは家禽に嫌悪感があり意識を保ったままで呼吸困難で苦しむことが分かっているし、気道を閉鎖させるという泡殺鳥機もまた非人道的であることはいうまでもない。

しかし「換気を止めて殺す」はそれを上回る恐ろしい苦しみを家禽に与える。

*泡殺鳥機:泡で鳥の気道を急速に閉塞させ、死亡を引き起こす方法。泡に怯えて逃げまどう鶏の羽ばたきで泡が壊れて速やかな殺処分にいたらないという問題、水分含有量が高い泡(液体)で気道を閉塞させるという、結果として水没死と変わらない非人道的なものであるという問題がある。同じ泡でも、窒素を含有させた泡であれば苦しみは軽減される。この方法であれば泡の含水率は低く、窒息死とはならない。鶏が怯えて羽ばたくことで泡が壊れて窒素ガスが生成され、結果として窒素ガスへの暴露により死に至る。On-farm killing for disease control purposes (哺乳動物や鳥類は窒素などの不活性ガスの化学受容体を持たず、そのようなガスと接触すると嫌悪感を経験しない)ただし、日本では泡殺鳥機において窒素ガスは使用されていない。

換気を止めて家禽を殺した場合、家禽はどのように死に至るのか

  1. 鶏舎の換気扇を止めるなどして、鶏舎内外の空気の出入りをシャットダウンし、鶏舎を密閉する。
  2. 鳥の体温により、鶏舎の温度が上昇し、鶏舎内の酸素が低下する。
  3. この状態で数時間維持
  4. 最終的に高体温及び低酸素(窒息)により死亡

死までの時間

「理想的な条件」であっても、死に至るまでに約30分〜1時間

死に至るまでにかかる時間が30分~1時間であっても「理想的な条件」とされていることに驚くが、そもそも理想的な条件とは何だろうか?米国獣医師会(AVMA)は動物の大量殺処分のガイドライン(AVMA Guidelines for the Depopulation of Animals:2019 Edition)の中で「換気のシャットダウンによる殺し」について次のように書いている。

1時間未満で95%を超える死亡率を引き起こすレベルまで、気温を適切に上昇させる能力を備えた施設でのみ使用することを推奨する。目標は100%の死亡率であり、この目標を達成するには、追加の熱源またはCO2の追加が必要になる場合がある。

だが、このレベルの低い「理想的な条件」を達成することさえできるのかどうかは不明だ。断熱材やドア、窓、換気システムなどの鶏舎構造、および鶏舎に閉じ込められてる家禽の種類、数、体重は、鶏舎によって異なる。30分~1時間でじわじわとようやく死に至ることができる「幸運な」鶏はいるかもしれないが、1時間を過ぎてもな死ぬことができず苦しみ続ける鶏もいる。

2015年には米国家禽卵協会がノースカロライナ州立大学に資金提供をして、ケージに閉じ込められた鶏を「換気シャットダウン」し、そこに熱あるいは二酸化炭素を追加した場合、死ぬまでにどれだけの時間がかかるかという非人道的な研究をおこなったが、これによると、(熱や二酸化炭素を加えず)換気を停止した場合、家禽が100%安楽死することはなく、約4%が生き残ってた(死ぬまでにかかった時間は92分。熱を追加した場合は54分、二酸化炭素を追加した場合は12分)。

Project No. BRU007 Evaluating hen behavior and physiological stressors during VSD for the development of humane methodologies for mass depopulation during a disease outbreak

長時間かけて熱死あるいは窒息死させるという方法が残酷であることは議論の余地がない。当然のことだが、この「換気シャットダウンによる殺し」という殺処分方法に対して諸外国では怒りの声が上がっており、「他に方法がない場合」としながらもこの方法による殺しを認めているAVMAを市民は非難している。

Veterinarians question use of ventilation shutdown AVMA draws scorn over its qualified endorsement of method for depopulation June 30, 2020

Animal Welfare Institute(AWI)も次のような声明を発表している。

換気停止プロセスには数時間かかる場合があり、深刻な動物の苦痛をもたらす可能性があります。長期にわたる苦痛を引き起こすような方法で故意に死をもたらすことは容認できず、「安楽死」とはみなされません。動物を保護することを誓った獣医師を代表する専門の科学団体であるAVMAが、そのような不適切な方法で使用できるようなガイドラインにすることは、容認できません。

Ventilation Shutdown Used to “Depopulate” Farm Animals During Pandemic Causes Severe Suffering

なぜこのような非人道的な方法が用いられるのか

「換気シャットダウン」は非人道的な殺し方だ。素人でもわかる。にもかかわらずこの方法が行われ、さらにノースカロライナのように、換気シャットダウンで早く殺せる方法は何か?などの研究まで行われる理由はなぜなのか?それは、次の3点に集約される

  1. 換気をとめるだけ。金がかからない
  2. 手間がかからず早く終わらせることができる、労働時間の節約になる
  3. ウィルス排出の防止(と言われる。実際効果があるのかは不明)、作業者の暴露時間の短縮

ここに動物への配慮の観点はない。

1mmでも動物に配慮する気持ちがあるならそもそも「換気シャットダウン」などという方法で家禽を殺そうとは思いつかないだろう。鳥インフルエンザの殺処分では、「防疫」の観点から短時間(日本国内では、目安として屠殺は24時間以内、死体の処理(埋却焼却)は72時間以内*)で農場の家禽をすべて殺すことが求められており、それがすべてにおいて優先されている。

*「高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」令和2年7月1日

日本国内での鳥インフルエンザ発生時の「換気シャットダウン」

冒頭の記事を読み、これまで鳥インフルエンザが発生した国内30の都道府県に、鳥インフルエンザが発生した場合、農場の換気を止めるかどうかのアンケートを取った。

 1.ウィルスの拡大を防ぐ、および家禽を殺す目的で止めることがある2.ウィルスの拡大を防ぐという目的で止めることがある(「状況に応じて止めることが想定される」を含む)3.作業者の巻き込み安全のために、殺処分作業中に止める4.止めない(「未定」を含む)
換気扇114114

多くの都道府県が換気扇を止めるにしても、その目的は「ウィルスの拡散防止」だということが分かった。次に、換気扇を止めると回答した1と2の15の都道府県に、いつ止めるのかについて質問した。

 家きんに鳥インフルエンザの陽性が確認された時点作業員が鶏舎に入って殺処分を開始する時点未定
換気扇を止めるタイミング1113

問題となるのは、陽性が確認された時点で止めるケースだ。

この場合、殺処分が開始されるまでの数時間、換気が止められることになる。ただし、換気を止めたからと言って死ぬとは限らない。換気を止めて家禽が死ぬのは、ウィンドウレスの密閉型の鶏舎でかつ鶏の飼養密度が高い場合だからだ。さらに冬で外気温が著しく低ければ鶏舎の中は高温にならないため、死ぬリスクは低くなる。

陽性が確認された時点で換気扇を止めると回答した11の都道府県に、換気扇を止めることで家禽が死ぬかどうか質問した。

「死ぬ」あるいは「死ぬと思われる」死なない不明
245

「死なないと」答えた都道府県のうち、これまでの発生が密閉型ではない開放型鶏舎のみだった都道府県が1つ。のこりの3つはこれまで密閉型のウィンドウレス鶏舎で発生例がある都道府県だった。

「不明」の理由は、

  • その死体が熱中症による死体かどうか確認していない 1
  • ウインドレス型鶏舎については、発生経験が無く、不明 3
  • (止めることは想定しているが)これまでは実際に止めたことはない 1

回答を見る限り、ウィンドウレスの密閉型鶏舎であっても、外気温などの要因により死に至らない場合もあるようだ。

ただ、それが死なない程度の高温に家禽が耐えている状況ではないと言い切れるだろう。厳寒であれば高温で苦しむ可能性は低いと思うが、外気温は一定ではない。それに、ある都道府県が言っているようにそもそも鶏舎にある死体が熱中症によるものかそれ以外のものかの区別はつきようもないはずだ。何をおいてもスピードが優先されているのだから、そのような分別をする時間も設けられていない。「換気扇を止めても死なない」と言っている都道府県の回答をうのみにして、「鶏は苦しんでいない」と判断を下すのは早計だろう。

「換気扇を止めろ」は農水省の指示

冒頭で述べたように、実際に国内で、鳥インフルエンザ発生農場の現場で、換気扇を止められたことにより、恐ろしい死に方をさせられている鶏たちがいる。鶏をこのような目に合わせるリスクがある以上「換気扇を止める」という方法をとるべきではないだろう。しかしその責任を都道府県に負わせることは酷だ。なぜなら、都道府県は「換気扇を止めろ」という農林水産省の指示に従っているに過ぎないからだ。

換気扇を止めるかどうかは、周辺家禽農場の密集度などを勘案し、農林水産省が決定する。

この件について農林水産省 動物衛生課に電話で質問した。

なぜ換気を止めるのか?

「感染拡大を防ぐために行っている。近隣農家に粉塵・羽毛などにより、ウィルスが感染拡大する可能性があるから。」

換気を止めることで死に至る鶏がいるが。

「殺すために換気を止めているわけではないが、結果として死んでしまう事例があることは聞いている。」

国から換気扇を止めるという指示を出していることはまちがいないか?

「換気を止めるという指示を出すことはある。」

話をして、農林水産省は、何をさておいてもまず「感染拡大防止」を優先していることが分かった。「動物への配慮」など二の次三の次だ。

そもそもの話だが、それほどまでに農水省が重視している感染拡大防止のための換気扇のシャットダウンに、本当に意味があるのだろうか?これは今回問い合わせたある都道府県の職員が言っていたことだが、「換気を止めても、人が作業に鶏舎に入る時に開放しなければならない。どっちにしても同じではないか?換気扇を止めることに意味があるのだろうか?」

その職員のいうとおり、鶏舎の中の鶏を外に出して埋却や焼却する作業の時に鶏舎は開けっ放しになる。換気を止めていたとしても、ウィルスはその時に一気に放出される。コップに水をたたえていても、最終的にはひっくり返すのだ。「換気を止める」に何の意味があるのか私たちには理解できない。

だがそうはいっても農水省がそう言うならその指示に従うしかないだろう。「換気扇を止める意味があるのだろうか?」といっていた職員も「しかし、国から指示があれば換気は止める」答えた。

農林水産省へ質問書

2021年3月27日、アニマルライツセンターは農林水産省に次の通り質問書を送った。

私たちは動物の権利向上を目指して市民運動を行う認定NPO法人アニマルライツセンターです。

農場における鳥インフルエンザ発生時に、農林水産省から各都道府県に対して「家きん舎の換気を止める」という指示が出され、換気を止めた結果家禽が死に至るケースがあることについて、下記の二点を質問いたします。

ご多用中恐縮ですが、ご回答いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

1.鶏舎の換気を止めたとしても、どちらにしても家きんの死体を搬出する作業で家きん舎は開放されウィルスは拡散されます。家きん舎の換気を止めた場合、鳥インフルエンザウィルスの拡散防止にどれだけ効果があるのかを教えてください?

2.換気扇をとめて家きんを死に至らしめることが、国内法令及び指針及び通知に抵触してないかどうか教えてください。また抵触していないとお考えの場合はその根拠を教えてください。

ご参考:

「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、「動物愛護管理法」)第 40 条に規定する動物を殺す場合の方法については、「動物の殺処分に関する指針」(平成7年7月4日総理府告示第 40 号)において、動物を殺処分しなければならない場合にあっては、化学的又は物理的方法により、できる限り殺処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認されている通常の方法によることが規定されています。

2019年には「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の農場内における殺処分に関する指針」が農林水産省から通知されています。同指針もまた、直ちに意識喪失状態に至るようにするなど、出来る限り苦痛の少ない方法により殺処分を行うことを求めています。

2021年1月21日には、環境省、農林水産省が「農場における産業動物の適切な方法による殺処分の実施について」を通知しました。通知には次のように記載されています。
『適切な方法による殺処分が行われていない事態や飼養保管が適切でないことに起因して産業動物が衰弱する等の虐待を受けるおそれがある事態が認められたときは、速やかな改善を求め、改善の意志がない場合は、警察への告発を含めて厳正に対処するよう御対応願います。』

「農場における産業動物の適切な方法による殺処分の実施について」https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/attach/pdf/animal_welfare-73.pdf

今の鶏舎建設の傾向をみると、今後中小規模の開放型の鶏舎は潰れ、大規模で密閉式のウィンドウレス鶏舎が主流になることが想定される。
さらに1950年以降の、世界のH5,H7型高病原性鳥インフルエンザの発生状況をみると、当初は数年おきだったものが2000年以降は毎年各地で発生が報告されており、いまだに終息の気配はない。今年の異常な発生件数をみても、今後に収束に向かう希望が持てる材料も一つもない。
基本的に鳥インフルエンザは冬に発生することが多いが、それ以外の時期でも発生する。屋外の気温が高い時期に発生して「ウィルス拡散防止」のために換気がシャットダウンされれば、今よりもさらに恐ろしい事態になるだろう。

注意してほしいのだが、私たちは人道的な殺処分方法を求めているのではない。人道的というなら、二酸化炭素ガス殺も泡殺鳥機も前述したとおり人道的ではない。ただ「換気を止める」というような最悪の拷問的な虐殺を止めてほしいと求めているにすぎない。このような動物福祉以前の最低レベルなことを求めなければならないほど、家禽は最底辺に貶められて苦しんでいるのだ。

 

参考

RSPCA What are the animal welfare issues with mass killing of poultry using ventilation shutdown?

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