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卵内雌雄鑑別、EUはすでに約1億1千万羽で実施

合理的で、しかも社会的にも良い技術というのは、社会に浸透するのも早い。採卵鶏のオスひよこを生まれたその日に殺すという不必要な苦しみは、世界中が取り組む社会課題だ。この解決策として導入がすすむ”卵内雌雄鑑別”技術の浸透が、EUでは急速に広がっている。

すでに2018年ルクセンブルク、2022年ドイツとオーストリア、2023年フランス、2026年イタリアで生後1日目の採卵鶏のオスひよこの殺処分が禁止となっている。また法的禁止はないもののノルウェーとスイスは卵内雌雄鑑別技術が導入済みだ。米国でも2024年12月に卵内雌雄鑑別されたひよこが孵化し、その卵はこの夏頃から店頭に並ぶ予定だ。

そのような中で、着々とオスひよこ殺処分無しの卵が増え続けている。Innovate Animal Agの調査によると、EUでの卵内雌雄鑑別の市場浸透率は26~30%であり、EUの3億9,300万羽の採卵鶏(商業利用のみ)のうち1億230万羽~1億1,790万羽が卵内技術によって性別判定されているとする。市場浸透率はこの1年で急速に伸びているそうで、その要因は卵内雌雄鑑別の制度が飛躍的に改善しているためだとしている。たった3年で26~30%に到達したという成長率は相当早い。ChatGPTほど早くないがiphoneやLEDやカラーテレビやインターネットよりよっぽど早いと報告では述べられている。すぐにこの技術が業界の主流になることは明白だろう。

ノルウェーでも、2023年に卵内性別判別を導入し、市場浸透率は現在20~25%に及んでいる。1~2年でこの割合に達するのは驚異的だ。卵内雌雄鑑別がアニマルウェルフェアの観点だけでなく、合理的であることを示しているように思う。

スイスでは国内の2つの主要な孵化場が導入済みであるという。

このような激動の中、日本はどうか。
EUで1億1千万羽がすでに生後1日目の殺処分なしだが、ちょうどその数は日本の1年間でのオスひよこの殺処分数と同じだ。残念ながらまだ卵内雌雄鑑別の導入は実現されていない。

技術が原因なのか?実はそうではない。すでに人間の手による雌雄鑑別の速さや精密度は、超えているのだ。人間の手による鑑別の精密度は95% 熟練した場合は98%になることもあるが疲労によりブレもあり、さらに長時間従事できないため、限界がある。しかし機械は精密度は同程度~やや上回る程度であり、さらに長時間従事が可能だ。人間の手でやる場合はオスひよこを殺すという不必要で残酷な虐待が発生し、さらにはこの雌雄鑑別技術を習得するための犠牲まである。

日本も、国をあげて、この卵内雌雄鑑別技術の導入を行うべきだろう。多少の補助金は出ていても、それだけでは足りない。さらなる後押しが必要だ。そして、日本国内の技術がいまだ人間の手を超えられない程度しかなくて遅れているのであれば、海外からの技術誘致などのサポートが求められる。

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