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豚は一日体重 1kgあたり100mlの水を飲み、暑い日には3倍になるという。
屠殺場にくる豚の多くは体重約115㎏であるため11.5リットルの水が必要である。豚の体の55%を水が占めている*1。
豚は家畜動物の中でも水欠乏の影響を受けやすいという*2。

8時間給水が断たれた豚が非常にのどが渇いた状態になり給水を開始していても翌日0.92%の豚が死に、4.6%の豚が病気になったという研究もある*3。頭が震え口の周りに泡がつき、正常に立ったり歩いたりができない状態や、昏睡状態に陥り耳の内側が青くなっており、検死すると脳の一部が壊死するなどが観察されている。これは急性水分喪失症候群であり、食塩中毒でもある。 軽度の場合は喉の渇き、便秘、肌の炎症、食欲不振が現れ、重度の場合はうつ病や 皮質盲(失明をもたらす)をもたらし、顔面筋や耳の痙攣、横に倒れる、無意味な放浪、物にぶつかる、頭部の震え、犬座姿勢、手足をバタバタさせるなどの典型的な発作が起こる。

水が断たれる時間が長引き、塩分濃度が高まるほど症状はひどくなる。
24時間水が断たれた場合、塩中毒を起こす可能性がより高い。

OIE動物福祉規約等では給水は常時されているものとしており、12時間を超える場合は給餌しなくてはならない。
日本のと畜場では、屠殺場についてから24時間係留されることがあることがアンケート調査でわかっている。実際多くの屠殺場で前日午後の搬入が行われており、日曜日には午前中に搬入されることもある。輸送自体数時間に渡っていることもあり、また輸送される前には断食断水状態であることもある。そのため屠殺場に到着した時点で、すでに喉がカラカラの状態であると考えたほうが良いだろう。特に夏場は暑さと過密な詰め込みにより、激しい呼吸やあえいでいる状態が見られる。

屠殺場に到着した時にかけられる糞尿混じりのシャワーの水を舐め取ることでは、必要量を賄うことは到底不可能だ。
さらに、朝、夜間の糞尿を落とすためか、シャワーの水を再度かける場合があるが、塩分中毒による神経症状はこの時に発生する可能性が高まる。食塩中毒は、特に絶水された後に急に水を飲んだ時に、死亡したり、ひどい神経症状に陥るためだ。
つまり、水は常時飲める状態でなくてはならないのだ。たとえ8時間おきに水をかけたとしても、だめなのだ。

そもそも水の必要性は、改めて説明する必要はないほど、当たり前のことだ。これは福祉のためだけならず、健康、つまり安全性のためにも必要なことなのではないのか。
もし必要性がわからないというのであれば、あなたが24時間絶水絶食(食事から水分を取ることも動物はできない)することを想像すれば、それがもたらすのは、苦悩だけではなく、健康被害につながるのだということに、容易に気がつくのではないだろうか。

改善案

2つの改善策がある。

  1. 屠殺場の係留場所にすべて、常時飲水ができる設備を備えること
  2. 綿密な計画的な出荷を行い、屠殺場についたらすぐに屠殺すること

1の場合は厚生労働省が管理監督し導入させるべきであり、2の場合は農林水産省が出荷計画の立て方、考え方を指導するべきである。そして環境省はこれらに伴う動物の苦しみや健康被害について、指導すべきだ。

 

*1 https://porkcdn.s3.amazonaws.com/sites/all/files/documents/Youth/dehydration.pdf
*2 給水失宜による豚の食塩中毒の発生例 福井陽士 小川明宏 塚原涼子 新井鐘蔵
*3 https://vet.uga.edu/ivcvm/courses/afip/conf06/wsc20/c02.htm

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