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赤い皮膚の鶏。2017年、日本で撮影された映像です。

Cadaver 放血不良 Japan

真っ赤な皮膚になってしまう理由は、屠殺の際に首を切るのに失敗し、血が抜けず、生きたまま熱湯で茹でられたためです。
つまり、この写真に写っているのは、生きたまま熱湯で茹で殺された鶏の死体です。
日本ではこの赤い皮膚の鶏は「放血不良」として食肉には出来ず廃棄されます。つまりこれは「事故」であり、彼ら彼女らの命も、苦しみも痛みも、なかったことのように「廃棄」されます。

どのような苦しみか

スタニングなし

日本の食鳥処理場(鶏の屠殺場)の多くは、スタニングという電気ショックやガスで意識を失わせることなく、首(頸動脈)を切ります。この方法はEUでは違法です。この場合、鶏は逆さ吊りに懸鳥され、そのままオートキラーと呼ばれる機械式のナイフで首を切られるか、人の手によってナイフで首を切られます。
意識があるためバタバタと羽を動かし、首を必死でもたげたりしてしまうと、オートキラーから外れ、浅く首を切られる、または首を切られないことになります。一部であるが死体を確認する映像を見ると、多くが浅く首を切られています。放血時間は2~3分ですが、その間意識を保ち、一部を切られた痛みに耐えることになります。

その後、懸鳥されているため拘束状態で約60度の熱湯に入れられ、熱さと痛みの中で、熱傷または窒息により死亡します。熱湯に入れられた際、拘束されている足をバタバタと動かす様子が観察されます。また、米国タイソン・フーズの食鳥処理場で9年間働いた元従業員は「鶏は叫び、蹴り、その眼球が頭から飛び出す。“the chickens scream, kick, and their eyeballs pop out of their heads.”」*2と語っています。

スタニングあり

世界的に一般的な方法であり、一部の日本の食鳥処理場が行なっている方法は、電気水槽に鶏の頭をダイブさせることで意識を失わせてから、首を斬るという方法です。この場合、首を切られ失血していく数分間の苦しみはない可能性もありますが、スタニング後すぐに絶命させられない場合は意識を取り戻している可能性があります。さらに、低電圧であると意識が失われていないことが多いとも言われ、また鶏が電気水槽の上を通る際に首をもたげたりすると意識のあるまま首を切られることになり、この失敗は決して少なくないため、欧米ではガスによるスタニングへの切り替えが進んでいます
前述の通り、スタニングは死亡させているわけではないため、時間が経つと意識を取り戻します。そのため、熱湯に入れられたときに放血されていなければ、スタニングなしの場合と同様の苦しみを味わうこととなる可能性が高いといえます。

国際基準と動物愛護管理法

OIE動物福祉規約 第7.5章「動物のと殺」では以下のように規定されています。

 

第7.5.7条

意識がある又は生きた鳥が、熱湯処理タンクに入ることがないよう、あらゆる努力がなされること。

すべての動物は、両頚動脈の切開、又は両頚動脈が発生する血管の切開(胸部刺殺等)によって放血されること。ただし、使用するスタニング方式によって心停止が引き起こされた場合には、アニマルウェルフェアの観点からは、これらすべての血管の切開は必要とはされない。

作業者は放血の間中、動物を観察し、検査し、動物にアクセスことができるものとする。意識を回復する徴候を示す動物は、再びスタニングすること。

血管切開後は、少なくとも30秒間、又はいかなる場合であっても全脳幹反射が停止するまで、動物に対し熱湯処理又は加工処理を行わないこと。

また、欧米では最終確認のために熱湯タンクの前にチェックを行う人が立っており、死亡しているかどうかの確認を行いますが、日本では行われていない、またはそのチェック品質が低すぎるという状況です。その質の低さは犠牲数に現れています。

日本の法律(動物の愛護及び管理に関する法律)に照らしても、これは動物虐待にあたります。

第五章 雑則
(動物を殺す場合の方法)
第四十条 動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない。
となっており、また動物の殺処分方法に関する指針でも、
第3 殺処分動物の殺処分方法
殺処分動物の殺処分方法は、化学的又は物理的方法により、できる限り殺処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認されている通常の方法によること。
となっており、生きたまま熱湯で茹で殺すのは、社会的に容認されている方法ではないことは明白です。

犠牲数

事故の割合はブロイラー(精肉用の鶏)で0.05%、成鶏(卵用に使われ加工肉用に殺される鶏)で0.19%、合計では0.0648%です。非常に小さな割合であるため誤差の範囲のように聞こえます(2016年度)*1

しかし、数で見てみると様相は異なります。

ブロイラー346,354羽、成鶏152,538羽、合計では498,892羽が、生きたまま熱湯で茹で殺されました(2016年度)*1。その数は下記表の通り、減少しておらず、この5年間増加し続けています。

ブロイラー(精肉用の鶏)*1
ブロイラー処理羽数放血不良数割合
2016年688,710,264羽346,354羽0.05%
2015年694,024,847羽279,195羽0.04%
2014年671,902,214羽269,600羽0.04%
2013年662,766,539羽253,392羽0.04%
2012年658,300,815羽214,333羽0.03%
2011年598,856,749羽210,894羽0.04%
2010年627,510,071羽221,735羽0.04%
2009年641,609,356羽409,145羽0.06%
2008年641,209,894羽274,143羽0.04%
2007年633,049,424羽291,114羽0.05%
2006年629,287,721羽283,925羽0.05%
2005年615,889,029羽328,810羽0.05%
2004年596,816,353羽297,439羽0.05%
2003年598,856,749羽326,312羽0.05%
成鶏(卵用に使われ加工肉用に殺される鶏)*1
成鶏処理羽数放血不良数割合
2016年80,608,044羽152,538羽0.19%
2015年82,893,024羽136,798羽0.17%
2014年77,812,176羽118,417羽0.15%
2013年75,892,071羽107,615羽0.14%
2012年77,263,165羽109,279羽0.14%
2011年81,113,315羽103,497羽0.13%
2010年82,794,418羽125,354羽0.15%
2009年78,840,431羽141,718羽0.18%
2008年79,269,084羽140,485羽0.18%
2007年80,477,819羽183,891羽0.23%
2006年73,792,062羽152,543羽0.21%
2005年73,285,268羽147,459羽0.20%
2004年73,038,134羽126,050羽0.17%
2003年81,113,315羽133,848羽0.17%
合計*1
処理羽数 合計放血不良数割合
2016年769,318,308羽498,892羽0.0648%
2015年776,917,871羽415,993羽0.0535%
2014年749,714,390羽388,017羽0.0518%
2013年738,658,610羽361,007羽0.0489%
2012年735,563,980羽323,612羽0.0440%
2011年679,970,064羽314,391羽0.0462%
2010年710,304,489羽347,089羽0.0489%
2009年720,449,787羽550,863羽0.0765%
2008年720,478,978羽414,628羽0.0575%
2007年713,527,243羽475,005羽0.0666%
2006年703,079,783羽436,468羽0.0621%
2005年689,174,297羽476,269羽0.0691%
2004年669,854,487羽423,489羽0.0632%
2003年679,970,064羽460,160羽0.0677%

世界と日本

この「放血不良」は、英語で”Cadaver”や”red skin”、”pink skin”、”cherries”などと表現されます。
UKとスウェーデンではその「事故」は法律違反でもあり、ゼロであることが必須であり、もはや統計をとっていないようですが、米国は統計をとっています。米国は鶏の処理羽数が日本の10倍に上り、屠殺のラインのスピードも早く、スピードの速さが事故の原因であるとも言われています。しかしそれでも、この10年間で、米国で生きたまま茹で殺された鶏の数は急激に減少し、10分の1までになり、0.00673%*3になっています。

日本=0.0648%(減少傾向なし) 米国=0.0067%(大幅減少中) であり、日本は米国の9.6倍生きたまま熱湯で茹で殺す割合が高いのです。

米国 鶏の放血不良の羽数 *3
処理羽数放血不良割合
2007年9,035,620,0001,535,0620.01699%
2008年9,075,261,0001,136,0520.01252%
2009年8,790,478,000854,1790.00972%
2010年8,658,603,000888,8960.01027%
2011年8,683,643,000856,0150.00986%
2012年8,576,194,0007291890.0085%
2013年8,648,756,000701,7520.00811%
2014年8,666,662,000680,1610.00785%
2015年8,822,692,000678,6280.00769%
2016年8,909,014,000599,5970.00673%

チェックを徹底し品質を上げることと、スタニングをガスに切り替えることで、改善は可能です。ましてや、日本は米国の10分の1の屠殺数であり、またラインのスピードも遅く、UKなどと同様にゼロにできるはずです。
50万羽が生きたまま熱湯で茹で殺されるという壮絶で、かつ、無用な最期を迎えていること、厚生労働省及び業者の意識の低さの表れであり、怠慢です。

Cadaver 放血不良 Japan

Cadaver 放血不良 Japan
*1 厚生労働省 食肉検査等情報還元調査 2016年度 http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/113-1.html
*2 https://www.youtube.com/watch?v=QUEVr-zI1oQ
*3 USDA http://usda.mannlib.cornell.edu/MannUsda/viewDocumentInfo.do?documentID=1497

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