畜産動物の福祉 アニマルウェルフェア

発行されたJGAP認証、やっぱりアニマルウェルフェアは守れない

2017/06/18

4月1日、東京オリンピック・パラリンピックの調達基準に含まれたJGAP(農場規範の認証)の基準がパブリックコメントを経て発表されました。
必須でなかった項目が必須となった点や、パブコメを経て輸送時のアニマルウェルフェアが追記されるなどの改善点もみられました。しかし、私たちの懸念どおり、ゆるいアニマルウェルフェア基準となりました。
 
JGAP認証の中のアニマルウェルフェアがどのように規定されているのか、見てみましょう。

アニマルウェルフェアに関連する管理ポイント

  • アニマルウェルフェアを含めた飼養管理の責任者を置かなくてはならない
  • アニマルウェルフェアを含む方針・目的を文書化すること
  • JGAPの自己点検を年1回以上実施し改善したことや改善しなくてはならなず、経営者はその状況を把握し改善指示を記録すること
  • 外部委託管理においてもアニマルウェルフェア上のルールを契約に含まなくてはならない※農場運営、食品安全、家畜衛生、環境保全、労働安全、人権の尊重については除く
 

畜産に関する基準詳細

番号

レベル

管理点

適合基準

取組例・備考(①や②の数字は適合基準に対応した番号)

2.1

必須

責任および権限

①下記の責任者を確認できる組織図がある。

 1)経営者

 2)農場の責任者(経営者または経営者から農場管理を委任された者)

 3)商品管理の責任者(出荷する家畜・生乳・鶏卵に関する食品安全および商品の異常・苦情対応に責任を有する者)

 4)飼料生産・管理の責任者(飼料および飼料添加物の品質管理に責任を有する者)

 5)飼養管理の責任者(家畜衛生、アニマルウェルフェア、動物用医薬品、注射針の管理に責任を有する者)

 6)廃棄物等処理の責任者(家畜の死体・排せつ物、敷料、動物用医薬品等の廃棄物等処理および環境問題の苦情対応に責任を有する者)

 7)労働安全の責任者(作業中のけが、事故の発生を抑制することに責任を有する者)

 8)労務管理の責任者(農場内部の職場環境、福祉および労働条件(労働時間、休憩、休日、賃金)に責任を有する者)

②経営者は、上記の責任者に必要な権限を付与し、この基準書のどの管理点を担当させるか明確にしている。

③経営者は、農場内に上記の責任者を周知している。

①責任者は兼任でもよい。

②例えば、組織図を作業場に掲示している。

2.2

重要

方針・目的

①経営者は、農場運営の方針・目的を文書化している。方針・目的には、家畜衛生、食品安全、労働安全、人権・福祉、環境保全、アニマルウェルフェアに関する法令の遵守および農場管理の継続的改善を含む。

②経営者は、上記の方針・目的を農場内に周知している。

②例えば、方針書に経営者が署名して、作業者の見えるとこ

ろに掲示する等がある。

5.1

重要

放牧※放牧がなければ適応外

放牧は、事前に家畜の健康状態、放牧施設および草地等の状況を確認してから実施している。

放牧の事前確認において、例えば、以下の情報を把握している。

・放牧地の石等によるけがをした家畜の有無

・害虫によるストレスが増加した家畜の有無

・放牧特有の疾病に罹患した疑いのある家畜の有無

・直射日光による放射熱や風雨等の影響を受けた家畜の有

・牧柵や飲水設備の破損の状況

・牧草の生育状況

・有害植物の繁殖状況

7.1

必須

「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」に基づいた対応

「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」に基づいた対応が行われてい るかについてチェックリスト(附属書Ⅲ)を活用して、飼養環境の改善に取り組んでいる。 

「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」および当該指針に基づくチェックリストは、公益社団法人畜産技術協会が、OIE(国際獣疫事務局)のアニマルウェルフェアに関する規約(コード)で各畜種の生産システムに関する規約等に準拠して、乳用牛、肉用牛、豚、採卵鶏および肉用鶏についてそれぞれ作成している。

7.2

必須

家畜の輸送

家畜の輸送に当たっては、アニマルウェルフェアに配慮するとともに、家畜の衛生管理ならびに安全の保持および家畜による事故の防止に努めている。

家畜の輸送を外部委託している場合は、管理点9.1の「外部委託管理」を遵守している。

9.1.1

必須

外部委託先との合意

農場は外部委託先と契約を結んでいる。農場と外部委託先との間で交わされた契約文書は下記の内容が含まれている。

①農場の経営者名、住所および連絡先

②外部委託先の名称、所在地、連絡先および代表者名

③外部委託する業務(工程)およびその業務(工程)に関する食品安全上、家畜衛生上およびアニマルウェルフェア上のルール

④上記③について農場が定めたルールに従うことの合意

⑤契約違反の場合の措置に関する合意

⑥外部から審査を受ける可能性があることおよび不適合がある場合には是正処置を求める可能性があることについての合意

なお、農場と外部委託先が契約文書を交わせない場合には、外部委託先が公開・提示している文書(約款等)を農場が確認することで契約文書として代替することができる。

③例えば、6.生産工程におけるリスク管理のリスク評価を農場と外部委託先が一緒に行い、食品安全と家畜衛生のルールを作っている。

JGAPでいう外部委託とは、畜産物の生産工程に直接係わる作業を外部の事業者に委託することであり、例えば、畜舎の洗浄・消毒、家畜の搬出・輸送等がある。

 

13.4

必須

飼養管理の責任者

①飼養管理の責任者(管理点2.1参照)は、家畜の飼料給与・飼養環境・家畜衛生の業務を統括している。

②飼養管理の責任者は、下記に取り組んでいる。

 1)自分の担当するJGAPの管理点について学習したことを説明できる。

 2)家畜衛生やアニマルウェルフェアに関する知識を向上させる努力をしている。

②例えば、下記の方法がある。

1)JGAP指導員であり指導員証を示せる。または、JGAP指導員からJGAPに関する指導を受けて学習し、その内容を説明できる。

2)「飼養衛生管理基準」や「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」、農場HACCPの考え方、動物用医薬品の使用・保管に関する制度、獣医師からの助言に基づく傷病に罹患した家畜の確認方法等について外部の専門家または行政機関の実施する研修や指導または自己学習・資格取得で知識を向上させる。

 

 ※アニマルウェルフェアに関連する部分のみ抜き出し
※全文はこちらからご確認ください。

だいぶゆるやかな基準ができあがった

 基本的に、JGAPのアニマルウェルフェアは、「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」チェックリストをチェックすることだけを必須としており、その中身について言及していません。
つまり、このチェックリストをチェックし、改善に努めることとなっているのみで、チェックリストがたとえ成績が悪かった場合でも問題はないという状況になってしまっています。しかも基本的にすべてのチェック項目が”やっていてあたりまえ””やっていなければ虐待てきであろう”とかんがえられるものばかりが並んでいます。
「いいえ」が1つ以上ある場合は不適格であるとするなどの基準がない状態であるこのJGAPには、アニマルウェルフェアを担保する力、又は消費者が信頼を寄せる根拠は無いと考えて良いでしょう。
 
さらに、欧米や中国と異なり、日本には実効性のある法規制がありません。現在の動物愛護法は畜産動物に関してはやや死法(しほう)気味であり、例えば水を飲ませず衰弱させる行為が意図的に行われていても、法は機能していません。
殺処分方法も同様です。弱った鶏や豚は治療ではなく処分されていきますが、その処分方法についてJGAP(「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」)が参照するのは動物の殺処分方法に関する基準(環境省)です。御存知の通り、この基準は大変ゆるやかであり、実行力、強制力もなく、どんな方法でも許されてしまうような基準です。
 
さらに屠畜は含まれないため、仮にすべてのチェック項目が「はい」であり、農場内で虐待が行われていない状態であったとしても、屠畜場に着いてからは別であるという点も忘れてはならない点です。
 

これから変えなくてはならないのは動物愛護法

畜産物に関するJGAPは農林水産省から1億円の予算がおり、基準や仕組みづくり、普及に関してとりくまれているものではありますが、あくまでも一般の認証であり、強制力はありません。農家が全てこのJGAPを取らなくてはならないわけではありませんし、上記の通りのゆるやかな認証基準ではJGAPをとったからと言って保証されるものでもありません。
消費者が信頼を寄せるために必要なことは、実行力があるかどうかです。
動物愛護法を、私たちが提案する形で改正することにより、実行力が出てくることになり、最低限虐待、暴力を防げるように、または摘発できるようになります。
農林水産省や農協や暴力を行なっていない通常の畜産関係者とて、虐待的な飼育を行う畜産業者と一緒にはされたくないはずです。
そのためにも、”実効性のある法律”が必要なのです。
動物愛護法改正にむけて請願署名(国会議員を通じ、議会に提出する署名)を行っています。
署名にご協力ください。
署名用紙のダウンロードはこちらから


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