畜産動物の福祉 アニマルウェルフェア

「目指すのは地域循環型養豚」 神奈川県南足柄 こぶた畑

2015/06/24

相原 海さん、佑子さん夫妻が運営するこぶた畑は神奈川県南足柄の山の上、梅や蜜柑の木が枝を茂らす坂を上り、カボチャやナスなど無農薬野菜が実をつける小さな畑を通りすぎた先にある。

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(放牧場に放されている母豚。右奥には泥場もあり、元来きれい好きな豚が泥浴びをすることもできる。)

相原さん夫妻手作りの開放式豚舎では年齢別に分けられた豚たちが遊んでいる。
床には地域の樹木から出る剪定枝などからできたチップが敷き詰められてある。 チップは糞尿を吸収しそれを微生物が分解することで腐葉土のようになる。臭 いもほとんどなく、発酵熱で一定の温度に保たれた柔らかいチップの上で豚たちは一年を通して快適に過ごすことができる。

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地域循環型養豚をめざすこぶた畑では、えさも牧場に生える青草と、地域から出たものを使う。米ぬか、おから、ひじき、大豆、そば打粉やうどんくず、菓子 くずなどもある。それらを発酵させ、粉状にしたものを与えている。
「えさはこの地域の食を反映している」と佑子さんは言う。地域の食品残さを使用するため完全な有機ではないが、配合飼料に頼らずともミネラルやビタミン はここから供給できる。

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(地域から出た食品残さを発酵させた餌)

佑子さんが養豚の可能性を感じたのは専門学校で育てていた豚のえさに学校給食 の残飯を与えているのを見たとき。
残飯の処理には焼却などの手間や時間がかかるが、それを豚は食べてくれる。そ の豚肉は人間の栄養になり、排泄物は微生物に分解されて土に還る。
「豚はもともと隙間産業として成り立っていたもの」と海さんは言う。
一昔前まで農家の庭先で残飯や畑から出た野菜くずなどで飼われていた豚は、人間とともに地域循環の中の一部だった。

「こぶた畑が重きを置くのは現在の市場で価値があるとされるものとは別のもの」と海さんは言う。
豚は通常3~4週間程度で離乳し6か月ほどで出荷されるが、こぶた畑では約40日 の離乳期間をもうけており出荷にも8か月近くかける。豚の数も相 原さん夫婦二 人の目のとどく頭数を目安にしているため、母豚も含めて約30頭ほどが飼育されているのみだ。畜舎の肥育スペースも一般的に20頭ほど入れるところを5頭程度に抑えている。
雑食性や病気への抵抗力、母豚の保育能力など、豚の本来の力をより無理なく利用する飼養形態が、飼育環境の充実にも繋がっている。

一頭に十分なスペースが確保されているこぶた畑では、過密飼育によるストレスからくる異常行動の一種である尾かじりもないため、尾切りも行う必要はない。母豚にも放牧場など十分なスペースが与えられており、妊娠・分娩ストール も使用していない。よく食べ、自由に運動できる環境下で、母豚は子豚が圧死しないように気を配るなど面倒見もよくなるという。発酵飼料や緑餌によって、 豚が本来持っている病気に対する抵抗力を強めるため抗生物質やワクチンを使うこともない。


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(好物の草を食べる子豚たち。青草を食べることで免疫力も高まるという。)

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(餌に勢いよく群がる子豚たち)

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(放牧されている母豚)

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(青草を食べる母豚)

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(豚舎の中で休む母豚:妊娠中)


いま、牧場の周りにひろがる蜜柑畑や植生林の中には国産の需要が減少で放棄さ れてしまったものも多い。こぶた畑がメンバーでもある「あしがら農の 会」では耕されなくなった田や茶畑を手入れすることによって自分たちが食べる分だけの食料を自給するという活動も行っている。

「日本の農業にはやれることがたくさんある。市場原理とは別のところで、これだけのことができるというモデルになることができれば」と海さんは言 う。
こぶた畑では人間と畜産動物が元来保っていた関係を思い出させてくれると同時 に、日本の農業の可能性も大いに感じさせてくれる。

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(豚舎から顔を出す子豚。風通しがよく陽も差し込む開放式豚舎は糞尿などの臭いもほとんどない。)





レポート:さかもとよしこ

こぶた畑の参考URL https://traveltheproblem.com/tours/77


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