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動物愛護管理法改正の議論がいよいよという時期になっている。私たちアニマルライツセンターとJAVA、PEACEの3団体は連携しすべての動物に対して実効性を上げる提案を行ってきた。すべての動物というと幅が広い。展示に使われる動物や、ペットなどのために繁殖させられ売買される動物、一般の家庭で飼育される動物、実験に使われる動物、危険であると言われる動物、そして最も議論が手薄で無視されがちなのが畜産に使われる動物。

私たちは最も数が多く、最も苦しみの量が多い畜産動物=法律用語的には産業動物について、少しでも暴力的な扱いがなくなるよう、動物愛護管理法の中に条項を入れ、実効性が上がることをもとめている。

現在、畜産動物は守られている部分ってあるの?

そもそも畜産動物が動物愛護法の対象動物に含まれていると思っていない人が多い。

業者・行政の意識の低さは、2016年にアニマルライツセンターが警察とともに改善させた鶏焼き殺し事例にあらわれている。

2016年9月22日、埼玉県の養鶏場(育雛業者)で鶏を生きたまま焼却炉に入れていることが判明し、警察に通報。警察が経営者を呼び出し生きたまま焼却炉に鶏が入っていることを確認、証拠写真を抑えた。 その場で警察が是正及び焼却炉に入れられた鶏の救出を指導したが、経営者は指導を聞かず警察を大声で攻め立てた後、生きた鶏を焼却炉の中に残したまま帰った。鶏は翌朝生きたまま焼かれたと思われる。

行政(動物指導センターと管轄の家畜保健衛生所)が指導に入った際には焼き殺していないとウソを述べた

アニマルライツセンターからのさらなる指導要請に対し、家畜保健衛生所と自治体畜産部は、動物愛護やアニマルウェルフェアについては指導できないと話した

警察は1ヶ月かけて法令を調べてから指導にのぞみ、「昔と今は違う」と伝え、鶏を扱う企業としてアニマルウェルフェアの認識がなければいけないと指導。

判明から1ヶ月半かかってようやくこの業者は生きたまま焼き殺すことを中止した。

農場で不要になった動物の殺処分方法は非人道的な方法が日常的にとられている。アニマルライツセンターが実態を把握することができたのはあくまでたまたまであり、内部情報があったためであり、極めて稀なことだ。つまりほとんど発見すらできない。そして、内部告発や複数の畜産農家からの話により、焼き殺すだけでなく、溺死させる、叩き殺す、高所から落とす、放置して餓死又は衰弱死させる、生きたままレンダリングに出すなどが行われていることがわかっている。

これらは現在、アニマルライツセンターはもとより、どの行政機関もほぼ把握できず、やめさせることができない。法律は機能しない。

あたりまえのことも守られない

⽜と畜場、50.4%が飲⽔できない *1
牛と畜場での飲水なしの係留時間最大24時間 *2

豚と畜場、86.4%が飲⽔できない *1
豚と畜場での飲水なしの係留時間最大30時間 *2

屠殺場にくる豚の多くは体重約115㎏であるため11.5リットルの水が必要である*3。8時間給水が断たれた豚は非常にのどが渇いた状態になり給水を開始していても翌日0.92%の豚が死に、4.6%の豚が病気になったという研究もある*4。 水が断たれる時間が長引き、塩分濃度が高まるほど症状はひどくなる。24時間水が断たれた場合、塩中毒を起こす可能性がより高い。 頭が震え口の周りに泡がつき、正常に立ったり歩いたりができない状態や、昏睡状態に陥り耳の内側が青くなっており、検死すると脳の一部が壊死するなどが観察されている。

飲水というアニマルウェルフェアの最も基本的な、あたりまえな項目。OIE動物福祉規約にも違反しているし、死亡が予測されるような状態に放置することは動物愛護法違反ではないだろうか。

しかし、動物愛護法は機能しない。

改善の兆しなし

採卵鶏が廃鶏にされたとき、長時間ぎゅうぎゅう詰めのコンテナの中、糞尿や卵まみれになりながら放置され、ゴミのような扱いをうける。
2018年3月にはじめて農林水産省や厚生労働省から改善通知が出された。通知から7ヶ月(2018年11月5日現在)、改善の兆しはない。
いつ調査しても、ハズレ無しで長時間放置が観察される。

殺す方法はいつまでたっても昔のまま

⽇本では気絶処理が⾏われない⾷⿃処理場が多い。

急速な失血によって動物を殺すことを意図した切断は、組織損傷を知覚するための防御侵害受容系を激しく活性化し、動物に痛みを感じさせる。 内因性オピオイド誘発鎮痛は、屠殺中にしばしば起こらないことが多い。 その結果、喉の切断中に動物が極度の痛みを感じる危険性が高い。 咽頭が切られた動物がまだ意識している間に、動物が不安、痛み、苦痛および他の苦しみを感じることができるので、深刻な福祉問題が起こりやすい。
ーEFSA “WELFARE ASPECTS OF ANIMAL STUNNING AND KILLING METHODS”

2本の頸動脈切断場合60秒、1本の頸動脈切断122秒、2本の外頸静脈切断185秒、1本の外形徐脈切断233秒かかる。
ーGregory and Wotton, 1986

頸動脈の切断のみのと殺は、死への時間を⻑引かせる。
ー英国農業·⾷品産業技術総合研究評議会(現バイオテクノロジー·Th物科学研究会議)1984年報告

動物愛護管理法(現行法)には、「 第四十条 動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない。」と書かれているが、無意味だ。完全に不適切で苦痛の軽減が全く考えられていない状態はいつまでも続くし、改善の兆しがない。

残り続ける残虐な方法

採卵鶏の強制換羽を行っている農場は66%。そのうち絶食法は80.6%、絶水絶食法は5%。
強制換羽を行うことにより、死亡するニワトリが一定数必ずでるが、その死因は衰弱や餓死であり、動物愛護法にも違反する。絶水まで行う農場が残っていることは問題であり、そもそも代替手段があるにも関わらず絶食法・絶水絶食法が一般的に行われている事自体問題だ。これらに対し行政機関が改善のために動かないという理由がわからない。

代替手段があり、多くは移行しているのに残り続ける残虐な方法。実効性のある法律がもとめられる。

課題まとめ

  1. 畜産・と畜場では、法遵守の意識が大変薄い
  2. 暴力的な行為が一般化してしまっている
  3. 暴力が行われていても発見できない
  4. 畜産関係の公務員が暴力的行為を見つけても、動物愛護法やアニマルウェルフェアについての指導を行わない

法律をこう変えてほしい

  1. 畜産、輸送業、と畜場を動物取扱業に含める
  2. 動物愛護法内に産業動物についての条項を設ける
  3. 国際基準を守り、苦痛を与えない殺処分方法を規定する
  4. 連携機関に、”家畜保健衛生所””食肉衛生検査所””畜産に関わる地方行政部局”を含める

行政の反応は?

議員立法の動物愛護管理法で行政の意向が重視されるというのも不思議かもしれないが、実際に運用を行う行政の意向は、現実的な法律にするためにはやはり重要だ。

農林水産業は愛護法に関連するような事案に関し連携を取ることには前向きであり、都道府県にその旨通知している。アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針の周知にも取り組んでいる。虐待するような業者に対しては、以前より厳しい姿勢をとってくれている。

一方、屠殺場や食鳥処理場を所管する厚生労働省は、以前大臣答弁がなされたときのまま、アニマルウェルフェアは環境省であるからと逃げる。屠殺場や食鳥処理場の中に動物愛護の都道府県担当者が入っていくことはほぼ不可能であることは明白である中、このような考え方を示すのは、なんとも不合理であるし、あからさまな拒絶に見える。
食肉衛生検査所の職員は屠殺場にいつもいるのだから、虐待を見かけたときに指導くらいはしてほしいという最低限のことでしかない。これは職業上の義務でもあるであろうし、本来いち市民としても通報すべきところをしないものだから、連携機関に加えてほしいと要望しているのだ。

普通の感覚であれば、弱者が虐待されている様子を見つづけるのは苦しいことだ。これまでの判例の中には、以下のものがあり、見て見ぬふりができなかった人も中にはいる。

2010/7/6 栃木 産経新聞
牛を宙づりで窒息死 動愛法違反で再逮捕 食肉処理場で牛を宙づりにして窒息死させたなどとして、栃木県警生活環境課と大田原署は5日、動物愛護 法違反などの疑いで、群馬県伊勢崎市、回収業、男性被告(35)=食品衛生法違反罪で起訴=を再逮捕した。 容疑を認めている。県警などの調べによると、容疑者は2月中旬ごろ、栃木県大田原市の公営食肉処理場で、 牛1頭の前足にワイヤをかけて宙づりにし、窒息死させた疑いが持たれている。この方法では、牛が死ぬま でに20分ほどかかるため、県警は虐待に当たると判断した。容疑者は、同処理場から、食用検査で不合格に なった疾病牛の内臓を無断で持ち出したとして、食品衛生法違反の疑いで5月に逮捕された。

こういった人々は、動物たちの苦しみを前に、何もできないことを苦しいと感じてはいないだろうか。

 

農場や屠殺場の場から、あからさまな動物虐待がなくなることは、動物のためでもあると同時に人のためでもある。
だれか不都合を感じる人がいるのか?
いるとすれば虐待したいと考える人だけだろう。

より積極的な虐待防止への取り組みを望む。

 

*1飲水設備の設置割合:2011年⾷肉衛生検査所調査
*2飲水時間の調査:アニマルライツセンター調査
*3https://porkcdn.s3.amazonaws.com/sites/all/files/documents/Youth/dehydration.pdf 
*4 https://vet.uga.edu/ivcvm/courses/afip/conf06/wsc20/c02.htm

2018年11月3日 アニマルライツ勉強会【法律は動物を守れるのか】より

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