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ケージとストール廃止を求め農水委員会で質問「大臣、このままで畜産農業大丈夫でしょうか」

ケージとストール廃止を求め農水委員会で質問「大臣、このままで畜産農業大丈夫でしょうか」

2020年11月11日、衆議院農林水産委員会で、串田誠一議員(神奈川)が採卵鶏のバタリーケージ飼育と豚のストール飼育について世界に合わせていくべきであること、また競走馬の引退後の扱い、犬肉の撤廃について質問しました

冒頭、串田議員は東京オリンピックパラリンピックでの畜産調達について、海外オリンピアンから卵のケージフリー、豚肉の妊娠ストールフリーについての要望が出ていることに触れ、野上農林水産大臣には日本のアニマルウェルフェアをリーダーシップを取って更に牽引していただきたい旨と求めました。これに対し、野上大臣は、

アニマルウェルフェアは家畜を快適な環境下で飼育することにより家畜のストレスや疾病を減らす取り組みでありその推進は重要な課題である

と答え、推進していく方針を説明しました。しかしこれまで通り、ケージフリーやストールフリーなどの世界基準のアニマルウェルフェアを意図したものではありません。他国がケージフリーやストールフリーに向かって急速に変化しているのに対し、日本は妊娠ストール飼育が90%という状況です。串田議員は

今のような状況であるとするならば(日本の畜産業は)大打撃を受けるのではないかなと私はそういう風に思う

とし、農林水産省が考えるアニマルウェルフェアの5つの自由が何たるかを質問しました。しかし、これに対する葉梨農林水産副大臣の答弁、私達には理解ができません。

第五の通常の行動様式を発現する自由に関しては家畜同士に優劣の順序をつける習性があることから群れの構成に留意すること、などのことを示しまして、徹底を図っておるところでございます。

バタリーケージの中でも順位は付きます。ストレスが多く、自分の足くらいしかつつくもののない環境において、群れの構成比配慮されているということは何一つありません。通常の行動様式を発現する自由について、農林水産省は屁理屈を捏ね、事実ではないものを事実として信じ込ませようとしています。豚のストール飼育について農林水産省はこうも述べています。

ストールによる飼養自体、5つの自由の中で申し上げますと傷害(?)からの自由に繋がる様にも考えております。

5つの自由の解釈を誤っています。OIE(世界動物保健機関)はOIE陸生動物衛生規約 第7.1 章 アニマルウェルフェアの勧告に係る序論の中で、「動物は、健康で、快適で、栄養豊かで、安全で、不快な状態(苦痛、恐れ、苦悩など)に苦しんでおらず、身体的及び心理的状態に重要な行動を発現できている場合には、良好なウェルフェアを享受している。」と明記していますが、これは、5つの自由のすべてが揃っている状態が必要であるということを述べています。たったひとつ、疾病からの自由などだけを達成しても、アニマルウェルフェアが高い状態にはなりえないのです。また、ここで農林水産省が述べた内容は世界的に禁止になっている妊娠ストールではなく、(多くがやめていっているが)分娩ストールの説明でした。また、拘束期間についても「豚のストール飼育ですけど生涯ストールではございませんので。種付けから子供が離れるまでということでございます。」と答弁したが、子供が離れた後すぐに種付けをされるため、ほぼ生涯ストール飼育という状態であるし上、多くの農場が一切群れ飼育の期間を与えておらず、おとなになってからは殺されるまで24時間365日拘束され続けています。

このような嘘を真実と思わせようとする詭弁のような答弁をしてしまう農林水産省の意識の低さに、私達市民はとても不安を覚えます。

それとも、本当に知らないのでしょうか、それはそれで不安を覚えます。

串田議員は、この写真を参考資料として添付してくださいました。

動物たちの置かれている現状を見たら、「これはいけない」「これは人として継続してはいけないことだ」と多くの人が気がつきます。動物たちの苦しみを、議員の皆さんに伝えてくださったことに心から感謝申し上げます。

(アニマルライツセンターが書き起こした暫定的な議事録は最下部にあります)

競走馬の最期、どのように?

続けて串田議員は競走馬についても、引退後の支援を求めました。これに対して農林水産省は

4分の3の引退馬が他の用途に転用されている。乗馬用や、成績の良い馬の場合繁殖用、ホースセラピーなど多様にセカンドキャリアとして利活用されている。

と答えましたが、乗馬に行き、その後に肥育され屠殺されていくことには触れられませんでした。恣意的に屠殺されることを隠しているように聞こえますが、競走馬として不適合であった馬も含め、肥育されて太らされた後に屠殺されている事実を隠すことはできません。多くの国では嫌がれますが、日本人の多くが馬を殺して喰らうことに抵抗を感じていません。馬肉の需要はさほど高くは有りませんが、続いてしまっています。

馬肉について

競馬と日本における馬の利用とその問題点

馬肉のために殺される、カナダでの悲惨な肥育と日本での悲しい肥育

議事録抜粋

(仮のものであり、後日衆議院から発表されるものをご参照ください)

串田誠一くん

日本維新の会串田誠一でございます。今日は日本のアニマルウェルフェアを中心に質問させていただきたいと思いますが、オリンピックパラリンピック、そしてアニマルウェルフェアと検索致しますと多くのページが出てくる訳ですがその中で海外選手が東京オリンピックに出場するにあたっては選手村でケージフリーの卵、そしてストール飼育でない豚肉、100%のものを求めたいということを多くの選手が要望しております。その選手たちの発言は、日本はアニマルウェルフェアが非常に低いと、そういう抗議をされている訳でございます。そこで野上大臣には是非日本のアニマルウェルフェアをリーダーシップを取って更に牽引していただきたいという主旨で今日は質問させていただきたいのですが、我が国の畜産動物に対するアニマルウェルフェアに関して大臣としてどのように取り組まれていくのかをまずお聞きしたいと思います。

野上農水大臣

アニマルウェルフェアは家畜を快適な環境下で飼育することにより家畜のストレスや疾病を減らす取り組みでありその推進は重要な課題であると考えております。そのため農林水産省ではアニマルウェルフェアの取り組みを普及させるためOIEが示すアニマルウェルフェアに関する指針を踏まえて平成29年及び令和2年にアニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え方として畜産振興課長通知でありましてこれを発祥したところであります。この通知の中でアニマルウェルフェアの定義ですとか5つの自由を確保するための概要、あるいは家畜の飼養管理に携わるものの責務等を畜産農家に示してアニマルウェルフェアに取り組むよう指導を行っております。また今オリンピックの話もございましたがアニマルウェルフェアの実践も含んだGAPの認証取得にも取り組んでいます。今後もアニマルウェルフェアの一層の普及に努めて参りたいと考えております。

串田誠一くん

これまでの歴史からもオリンピックが開催されるたびに開催国がそういったアニマルウェルフェアを推進するということを行って来ているという経緯があるのですが日本のオリパラに関して、それではこのオリンピックだからこそアニマルウェルフェアここまで進んだんだということを何かあるでしょうかという点ではやはり選手たちが批判するのも無理かねるのもあるのかなという気もします。EUでは数年前からバタリーケージ、いわゆる卵を産ませる場合に今は巣も砂浴びも止まり木もない、ワイヤーだけのところに飼育させている鶏の卵は禁止するということになっておりますし、今日は参考資料でお送りしましたストール飼育ということでございますけれども、これもEUは全面的に禁止をしている、アメリカでも各州で禁止をしているところもある、ところが日本はこのストール飼育が90パーセント以上と言われています。豚はもう生涯、寝返りもできないようなところで飼育されているということでございまして独立行政法人の畜産振興機構のレポートによりますと、今アメリカではプレミアム世代、2000年代以降に成人になった人の人口が非常に増えていて、その人たちの食生活というのは今までは食の安全、味が重視されていたのがその背後にある飼養環境がどうであるということが非常に購買に対して影響を与えているというレポートが出されています。そういう意味で同じ豚肉でも提供される直前まではアニマルウェルフェアで快適に過ごしている豚なのかそれとも寝返りを打つこともできないようなということはこれから消費者動向として非常に重視される、だからこそオリンピックに来る、海外選手はそういうものを選手村で出されては困るということを抗議されている訳でございます、そういう意味でこの日本の畜産業においても、今後輸出をする、あるいは色々な部分の競争においてやはりこれは、高品質、高環境、そして高単価でも良いと思うのです。今のような状況であるとするならば大打撃を受けるのではないかなと私はそういう風に思うのですけれども、先ほどアニマルウェルフェアの答弁を大臣にいただきましたが、この5つの自由、飢えや渇き、あるいは苦しみ、生態的な自由な行動ができる、病気や傷、そういったものを負わないというのが5つの自由で、これからアニマルウェルフェアが発展していったと思うのですがどうもアニマルウェルフェアという言葉だけは前進しながらもそこに行き着くところは人間の健康というところに持って行ってしまっているような気がします。5つの自由というのを農水省としてどのように捉えているのかということをお聞きしたいと思います。

葉梨副大臣

ありがとうございます。答弁します前に豚のストール飼育ですけど生涯ストールではございませんので。種付けから子供が離れるまでということでございます。

このアニマルウェルフェアは大変大事だと思います。先ほど大臣からも御答弁ありましたように、本年オリンピックが開かれるはずでありましたので、本年の3月に改めてアニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え方という畜産振興課長の通知を発出致しました。これは各農水局に出した訳ですけど、そこから都道府県を通じて全ての畜産農家、それから動物愛護団体、そこら辺にもしっかり通知をしていただきたいということと、それから環境省とも当然連携を取っています。それでご説明いたしますと、飢え渇き、栄養不良からの自由という第一の自由については量と質のバランスが適切な栄養と生理的な欲求を満たす十分な飲料水を得ることができるようにすること。第二の恐怖、及び苦悩からの自由は、飼養管理施設について騒音が最小限になるよう維持、管理をすることや、家畜を追う際に留意すること。第三の物理的熱の不快さからの自由については快適な温度域は品種や発育段階によって異なるため家畜によって合わせた暑熱対策、更に寒冷対策を行うこと、第四の苦痛障害及び疾病からの自由については痛みを伴う恐れのある処置を行う場合、若齢時に実施することなどによって苦痛を緩和すること、第五の通常の行動様式を発現する自由に関しては家畜同士に優劣の順序をつける習性があることから群れの構成に留意すること、などのことを示しまして、徹底を図っておるところでございます。

串田誠一くん

葉梨副大臣には法務委員会でもずいぶんお世話になりました。今ご説明いただきましたが色々な日本の立場というものもあるかと思うのですが諸外国の流れがそういう状況になっておりまして特に2025年というのは大変大きな転機になるのではないかと思っております、今マクドナルドも2025年までには、今毎年20億個の卵を利用しているのですけど、全部ケージフリーにするということを宣言しておりますし、アメリカでは200以上の大手企業もケージフリーという様になってきているわけでございまして、日本も2025年というと大阪万博の頃なのですね、ですからオリンピックの時にはこうだった、そして万博の時までには日本はこうだったというようなことを積極的にアピールしていかないとかなり時代に追随出来ないのではないかとわたくし大変心配をしているのですけれども、大臣、このまま畜産農業、大丈夫でしょうか、大臣にお聞きをしたいと思うのですがいかがでしょうか。

葉梨副大臣

今、お答えいたしました様に特に今年3月に畜産振興課長通知を出してそういったこともしっかり配慮するようにと一生懸命努力をしております、さらには消費者に対してもアニマルウェルフェアに配慮した飼育を行っていると、それだけではないのですが持続可能性に配慮した鶏卵、鶏肉、JASという本年度から要素の中にアニマルウェルフェアに配慮しているということが入っておりまして特商JASマークのロゴや文言、これを利用できる様になっております、また平成28年からはアニマルウェルフェア畜産協会から畜産認証マークの使用、これを開始しています、また平成29年からは一般財団法人の日本GAP協会が認証を行っている日本JGAPの家畜畜産物がその要件としてアニマルウェルフェアを入れまして平成29年からJGAP認証マークが添付できる、そういうことになっております、諸外国においても民間のそうった団体が、オランダでもイギリスにしてもアメリカにしてもそういった努力を行っているということですので、私どもも平成28年からということです、最近からではございますけれども、しっかり努力をさせていただいております。

串田誠一くん

このアニマルウェルフェアを推進すると当然経費もかかりますし生産性も下がるということなのですね、EUなどではそれを国が補助することもあるかと思います。そういう様な施策をしている国からしてみると、安いもの、要するに環境が悪くても安ければ価格競争では負けてしまうということもあって貿易に関して何らかの制限をかける、WTOも含めまして条約として批准してきているということも考えられるという様なこともあります。そうなると急に日本の畜産関係の輸出輸入に大きな打撃を受けることになると思うのですがこの急激な変化というものに付いていくためにはやはり日頃から徐々にそれを進展していく必要があるかと思います。今副大臣が答弁していただきましたがEUではロゴマークつけてインセンティブをつけているとのことでしたが日本の消費者にとってはそのロゴというものが大変分かりづらいと言いますが、色々な複合的な要素を持ってロゴがつけられているということですけど、アニマルウェルフェアに特化したロゴというものはお考えいただけないでしょうか。消費者として非常に見分けしやすいということからインセンティブをとってそういう畜産業に関してのインセンティブを与えて経費をかけても、生産性が低くても、消費者として見分けをつけて選んでいただける、そういう様なことがまだ十分でない様な気がしますけれどもいかがでしょうか。

葉梨副大臣

先ほども御答弁した通りなのですが例えば特商JASマークというのは一つの要素である、他にはJGAPというのも一つの要素でありますけど、平成28年から使用開始しているアニマルウェルフェア畜産協会が民間の取り組みとして行っているものは、まさにアニマルウェルフェア畜産認証マーク、これを使用しています。わたくし共としては先ほど申し上げました畜産振興課長通、これに基づきましてやはりそういったことを生産者はもちろんですけど動物愛護団体や環境関係の方々に周知徹底をするということをしっかりやっていきたいと思っております。

串田誠一くん

このストールの飼養環境、ストールというのは閉じ込めるという意味があるのですけれども、まさに閉じ込められている画像なのですが、大変国民からの批判も多い、というわけなのですが大臣、この画像を見てですね率直な感想をお聞かせいただけないでしょうか。

水田生産局長

ストール飼育について若干ご説明させていただきたいと思います。我が国の養豚でございますが繁殖の雌豚につきましてストール飼育という管理方式が広く行われているわけでございます。これは他の雌豚からの攻撃を受けたりする、あるいは子豚が母豚の下敷きになって圧迫で死んでしまうということを防止するためにこのストール飼いというものが繁殖の雌豚にて行われているという状況でございまして、OIEの基準でございますが平成30年5月に採択した豚のアニマルウェルフェアに関する指針に起きましてはなるべく群れで飼うということが推奨されていますけれど群れで飼うことが義務とされているわけではございません。またストールによる飼養自体、5つの自由の中で申し上げますと傷害(?)からの自由に繋がる様にも考えております。

串田誠一くん

日本側のそういう説明はよく聞くのですけれども、諸外国がですね、そういうことで納得できるかどうかの観点も、やはり考えていかなければいけないのかなということも申し上げておきたいと思います。

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