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命の授業とは?福岡県立久留米筑水高等学校の授業

学校の名物授業?

2013年2月24日放送 情熱大陸(TBS)で命の大切さを教えるために、生徒に鶏を飼育・と殺解体させている福岡県立久留米筑水高等学校の授業が紹介されました。

番組では、1年生を対象に、教師が40人の生徒に一つずつ受精卵を手渡す「授業の始まり」から、3ヶ月飼育し、と殺・解体させ、食べるまでを追っています。
一人に一羽ずつ与えられた生徒たちは、鶏の懸命に生きる姿をみせられ、その 温もりと命の感触を感じ、鶏の成長とともに愛情を深めていきます。その生徒たちは最終的に「工場へ出荷する」「と殺する」のどちらかを選択させられます。
と殺の際には涙を流す生徒、ナイフを握らされ「ちょっと待ってください」とためらう生徒などもいました。
この取組みは16年前から続けられており、学校の名物授業として、TV番組の情熱大陸等、各種メディアで取り上げられています。
 
命について真剣に考える機会の少ない社会で、このように命に向き合おうと試みる学校は少ないのではないかと思います。しかし、この授業には見過ごすことのできない根本的な問題が3点あります。
 
1. 実際の畜産の現場は、この授 業のように畜産動物が一匹一匹丁寧に扱われ、人と動物が触れ合うというような素朴なものではない。この授業の飼育方法と、現実に商品として工場式に大量生産され市場に出回る畜産動物の飼育方法が大きく違うため、生徒は畜産業について誤った認識をしてしまう可能性がある。
 
この授業では、生徒たちは3ヶ月かけて、1羽1羽を丁寧に育てましたが、現実には何万という鶏が建物の中に一時に投入され、2ヶ月足らずで生きたままカゴに詰められ出荷されており、一羽一羽がかけがえのない命として扱われてはいません。歩けなくなったり病気になった鶏は淘汰(処分)され、鶏がその一生を過ごさなければならない鶏舎内の収容密度は16羽/㎡です。生徒の口に入る鶏肉の多くがそういった工場方式で育て られた鶏の肉であることを考えると、命の真実を伝えることから大きく隔たった授業になってしまっています。
 
2. 最終的に、生徒は「工場に出荷する」か「自らと殺する」のどちらかを選択せねばならない。鶏は必ずと殺され食べられるもの、という内容の授業のため「肉を食べなくてはならない」という誤った栄養学上の知識を生徒たちに与えるおそれがある。
 
現実には牛や豚や鶏の肉を食べずとも、必要な栄養素を摂取することは十分可能であり、健康面からベジタリアンになったスポーツ選手や著名人は少なくありません。命あるものを殺すことが、かわいそうだと実感したなら、「肉を食べない」という栄養学上なんら問題なく、動物にも優しい選択肢もあることを、教師は生徒に示す必要があ ります。
 
3. 殺すことで命の大切さを教えることはできない。
 

 
私たちは上記の問題をふまえ、福岡県立久留米筑水高校へ、16年続いている「命の授業」について再考していただけるよう要望しました。

要望書

はじめまして。
私たちは、人間と動物が穏やかに共存できる社会を目指し、1987年に設立されたNPO法人です。
娯楽や畜産、医科学など、さまざまな分野で利用される動物の権利の向上のために、消費者に対する全国的な啓蒙活動を行っています。
御校の、鶏を飼育し、と殺・解体し食べるという授業が、テレビで報道されて以降、当法人へ消費者の方から多くの意見が寄せられました。それらの意見を代表して、お手紙させていただいています。

この番組を拝見しましたが、肉が動物の命を奪ったものであることに、多くの人が気付いていない社会において、御校のように、生徒たちに動物の命に正面から向き合わせようとする姿勢は、すばらしいことだと感じました。

しかしこの授業の内容については、今一度御校にご検討していただきたいと思うことが2点ございます。

1. この授業での畜産動物の飼育方法と、現実に商品として工場式に大量生産され市場に出回る畜産動物の飼育方法が大きく違うため、生徒たちは畜産業について誤った認識をしてしまう可能性があると考えられます。
この授業では、生徒たちは3ヶ月かけて、1羽1羽を丁寧に育てられましたが、現実には何万という鶏が建物の中に一時に投入され、2ヶ月足らずで生きたままカゴに詰められ出荷されており、一羽一羽がかけがえのない命として扱われてはいません。歩けなくなったり、病気になったりした鶏は淘汰(処分)され、鶏がその一生を過ごさなければならない鶏舎内の収容密度は16羽/㎡です。現実には生徒の口に入る鶏肉の多くがそういった工場方式で育てられた鶏の肉であることを考えると、命の真実を伝えることから大きく隔たった授業になってしまっているように思います。また、殺すことで命の大切さを教えることはやはり不可能であると思われます。
以上のことから、現在の授業に替わり、現実に畜産動物がどのように育てられ、と殺されているのか、写真や動画、飼育密度などのデータを元に授業することを検討していただけないでしょうか。牛・豚の多くは病気を持っており、一部分のみが廃棄され残りの肉が流通経路にのせられています。福岡県内においてと殺され市場に出される牛・豚の肉の6割以上が、そのような病気の畜産動物の肉です。こういった事実を生徒たちに知らせ、一人一人が現代畜産業の問題点について考えることのできる授業にしていただきたいと思います。

2. 最終的に、生徒は「工場に出荷する」か「自らと殺する」のどちらかを選択せねばなりません。鶏は必ずと殺され食べられるもの、という内容の授業のため「肉を食べなくてはならない」という誤った栄養学上の知識を与えるおそれがあると思われます。
現実には牛や豚や鶏の肉を食べずとも、必要な栄養素を摂取することは十分可能であり、健康面からベジタリアンになったスポーツ選手や著名人は少なくありません。海外では都市ぐるみで「ミートフリーデー(肉なし日)」に取り組んでいるところもあります。また、地表面積の30%を占める畜産業は環境破壊の大きな原因となっており、国連環境計画などの国際機関は環境の維持のためには肉食を減らす必要があるとも言っています。
肉食を減らそうという取り組みが世界的に進められている中、「肉を食べない」という選択が、栄養上なんら問題がないだけではなく、環境にも優しい選択であることを、生徒たちへ示して頂けないでしょうか。

以上2点です。

命に真摯に向き合おうとされている御校におかれまして、この2点を考慮した授業をしていただけますことを、こころよりお願い申し上げます。
お忙しい中まことに恐縮ですが、上記2点につき、同封の返信用封筒で、ご回答をいただけますよう、どうぞよろしくおねがいします。

わたしたちは、動物の置かれている状況の真実を若い世代に知っていただきたいと思っています。また「動物を殺すことがかわいそう」と感じたのなら、「食べない」ということも選択肢の
ひとつだということも、知っていただきたいと思っております。現在の畜産業がどのようなものか、畜産業の問題点の改善のために国際的にどのような取り組みがなされているか、肉食と健康と環境との関係についてなど、御校の生徒たちにお話をする機会を与えていただければ、喜んでお伺いします。

学校からの回答

2013年5月10日、要望への回答をいただけなかったので、問い合わせをしました。
教頭先生と話をしたところ「今後もこの授業を続けます」とのことでした。

私どもが要望していた1点目の「現実の畜産業を、写真やデータをもとに教える授業に替えてほしい」という点については、こういった現代の畜産業とその問題点(鳥インフルエンザや抗生物質の投与など)については、生徒に教えている、ということでした。
2点目の『肉を食べずとも必要な栄養素を摂取することは十分可能である』ということについては「認知していなかった」とのことです。動物性食品を摂取することの健康への害もあわせて、「担当教諭に伝えます」とのことでした。

動物は農産物ではなく、ひとつひとつがかけがえのない命であるという私どもの考えと、畜産動物はあくまで経済動物、殺すことで『命に感謝していただくことを教える』という考えの間には大きな溝があると感じました。
しかし動物は、痛みを感じ苦しむことができる感受性のある生き物です。その生き物の命を奪うことで命の尊さを教えることはできません。

みなさんからも、メールやハガキなどで、意見を届けてください。
社会を変えるのは私たちの力です。

福岡県立久留米筑水高等学校
〒839-0817 福岡県久留米市山川町1493
info@kurumechikusui.fku.ed.jp

 

2013年9月2日
『肉を食べずとも必要な栄養素を摂取することは十分可能であること』『動物性食品を摂取することの健康への害』を担当の先生に伝えていただけたか確認したところ、『伝えました』とのことでした。
ただ実際に担当の先生が、ベジタリアンの栄養学や肉食の害について調べているのか、今後この授業(9月末から行われる予定だそうです)に反映させるのかは、先生に任せており分からないそうです。
『栄養学的に肉を食べないことがどうなのか、健康への害などを分かりやすくまとめた資料をおくるので、担当の先生に渡してもらえないか』というと、『送ってください。担当に渡します」とのことでした。

2013年9月10日

・「ベジタリアンの医学」蒲原聖可著
・「ベジタリアンは菜食主義ではありません」Natsumi著
・「ごはんでエコ」などのパンフレット
・ベジタリアンの栄養学についてまとめた資料
以上4点を久留米筑水高校へ発送しました。

 
2013年9月17日
久留米筑水高校 教頭先生に、書類が届いたことを確認。担当学科に渡し、「必要があれば授業に反映させるよう伝えました」とのこと。
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