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動物のゲノム編集、日本はアニマルウェルフェアの評価なし

ゲノム編集は動物を苦しめる結果をもたらしますが、すでにゲノム編集が動物に応用され、日本では他国に先駆けてゲノム編集されたマダイとフグが実用化されています。ゲノム編集と遺伝子組み換えはほぼ同意です。国によって規制が異なり遺伝子組み換えとしなくてはならないか、そうでないかが決まっているにすぎません。またゲノム(生物のもつ遺伝子(遺伝情報)の全体)の特定の場所で遺伝物質を追加、削除、または変更することであり、遺伝子レベルでの生命操作をしていることに変わりはありません。

新たな突然変異技術

ゲノム編集は、これまで長らく畜産動物でも行われてきた品種改良(育種改変)と原理は同じです。長い期間かかる育種改変を、遺伝情報を操作することで一瞬で終わらせられる技術です。新たな突然変異を生み出す技術とも言えます。

つまり、肉用鶏が3倍の速さで成長させられるように改変されてきたことも、採卵鶏が10倍以上多く卵を生むように改変されてきたことも、同じように遺伝的選択と突然変異を利用した遺伝情報の改変であり、ゲノム編集はそれと同じなのです。

最も一般的な方法が”CRISPR-Cas9”という方法。
CRISPR-Cas9は、他のゲノム編集方法よりも、速く、安く、効率的な方法だと言われ、日本のマダイとトラフグの改変もこの方法が取られています。

CRISPR-Cas9などでゲノム編集された食品の規制のあり方は国によってかなり異なります。

日本の規制、規制されないケースも多い

規制対象外

日本の場合、ゲノム編集していても規制が対象外になるものがあり、以下のものは届出のみで済まさ、安全性やアニマルウェルフェアなどの評価も担保もされません。
1:ゲノム編集技術を利用してできた生物のうち、他の生物の遺伝子を導入せずに改変した場合は、規制の対象外
2:ゲノム編集技術を利用してできた生物のうち、他の生物の遺伝子を導入した場合であっても、最終的にその外来の遺伝子が残っていない場合、自然界で起こり得るような変異であれば、規制の対象外

規制対象

以下は遺伝子組み換えと同じようにカタルヘナ法上の遺伝子組み換え生物、「食品衛生法」で定めている「組換えDNA技術」に該当するとして規制の対象になります。
3: ゲノム編集技術を利用してできた生物のうち、 他の生物の遺伝子を導入してそれが残っている場合
4: ゲノム編集技術を利用してできた生物のうち、 他の生物の遺伝子を導入してそれが残っていないけど、自然界で起こり得ない変異である場合

規制の対象であっても、食品安全委員会にかけられて審査が通れば流通可能になります。

EUは違います。ゲノム編集はすべて遺伝子組み換えとして規制されています。日本や南米が緩い規制を作っているのは、安全性よりも、一部の企業の利益を優先しているからなのです。

アニマルウェルフェアの規制や評価はなし

まず規制対象外になるケースが出てきてしまうことが問題で、この場合は安全性なども評価されていません。さらには、規制の対象であったとしても、その不確実性は消えないということです。

しかし、アニマルウェルフェア上の問題こそが、動物を改変するときの最大の悲劇です。

  • 日本はアニマルウェルフェアの評価を一切行っていない
  • もし評価を行ったとしてもアニマルウェルフェアの評価をしたとしても予期できるものもあるが、予期できないものもある
  • もし評価を行ったとしても 長期的な影響はわからない
  • もし評価を行ったとしても実用化や開発を中止させる制度もない
  • 開発における動物実験が行われ多数が犠牲になる
  • その動物実験も開示されないしどこで行われているかも不明
  • 生命倫理を破壊している
  • 自然への過干渉である
  • 生命価値の低下を招いている

ゲノム編集とアニマルウェルフェアについての問題点を提起したところ真摯に受け止めてくれた国会議員もいます。2022年3月16日の農林水産委員会で、須藤元気議員がこのゲノム編集の動物におけるアニマルウェルフェアの課題について質問をしました。

現在ゲノム編集されたマダイとフグが実用化されているが、海外では動物のゲノム編集技術についてアニマルウェルフェアの観点から躊躇する議論が多くあります。私も魚屋をやっていますが個人的にゲノム編集の魚を積極的に食べたいと思いませんですし、積極的に仕入れようと思いません。
ゲノム編集については、「十数年以上を要した品種改良に要する期間を大幅に短縮できるなどの大きなメリットがある」と昨年の私の質問のなかで、農水省からは回答をいただきました。
ゲノム編集とは違いますが、例えばEUでは長年かけて育種改良してきたブロイラーは、歩行困難になり、心臓発作になるなどの様々な課題があり、現在はより遅く成長する種に戻していく方向です。
ゲノム編集による動物への影響は、予期できるものと予期できないものがあり、不確実性が課題です。そこでお聞きしますがこのマダイとフグ、アニマルウェルフェアのレビューなどは行われているんでしょうか、行われた場合はその内容を教えて下さい。

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=6743#9124.0

この質問に対して農林水産省は、生物多様性の観点からの評価のなかにアニマルウェルフェアは含まれないため確認していない、と回答しました。

動物の苦しみについては、なにひとつ、考えられていないということです。

須藤議員の質問にあるように、何十年もかけた品種改良を経てきた肉用鶏(ブロイラー)は大変な苦しみを抱えた、異常で、不自然で、長くは生きられない動物になってしまいました。フグとマダイも、同じことになっていることは間違いがありませんし、今後その影響はさらに大きくなるでしょう。なぜなら、肉用鶏は年を追うごとに先天性疾患が増えていっているからです。長期的な影響を甘く見てはならないのです。

遺伝子組み換えも、ゲノム編集も、品種改良も同じように動物を苦しめる

遺伝子組み換えを避けたいと思う人は多いようです。しかし、おなじことを畜産ではさんざん品種改良という中でやってきました。皆さんが食べる肉は、もう、とっくに生命倫理を破壊しつくした、動物としてのあり方も無視した、自然ではありえない動物です。

品種改良された動物を食べることによる人間への影響があるのかないのか、それは科学的にはわかっていません。正直に言えば、あんなに不健康な動物を食べることは長期的に人間の体を蝕むだろうと直感的には感じるし、実際に動物性食品は健康に悪いことは数々証明されています。それでも、その程度の、つまり人間がすぐさま死ぬようなことがない程度だったら許容するということなのであれば、遺伝子組み換えも、ゲノム編集も許容されるのは人間の事情としては致し方ないことなのでしょう。

でも動物は違います。苦しめられ、命を曲げられ、自然な姿を奪われ、本能を発揮する身体能力を奪われています。健康に生きる権利を奪われているのです。

動物の品種改良を含むこれらの技術を許容しないでください。

CRISPR-Cas9:clustered regularly interspaced short palindromic repeats/CRISPR-associated protein
https://www.mhlw.go.jp/content/000659586.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000709708.pdf
http://www.famic.go.jp/ffis/feed/obj/r3_49_betten.pdf

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