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「私たち人間の都合だけで、鶏を不幸せにしていいんでしょうか?」参議院農林水産委員会で言及

第190回国会
2016年3月10日(木曜日)参議院農林水産委員会で、小川勝也議員(民主党・新緑風会)が畜産動物のアニマルウェルフェアについて言及しました。
小川議員秘書の計らいで、傍聴に行ってまいりました。

小川議員は冒頭「私は日本は先進国だとならってきて祖国に誇りを持っていた。しかし近年日本が世界に劣っているなあと思う分野がいくつかある。その中でも一番劣っているのがアニマルウェルフェアの概念だと思います」と述べ、日本の畜産動物福祉の評価が、中国やフィリピンよりも劣っていることを明らかにしました。

そして、日本のと畜場で牛や豚が水が飲めない状況にあることを資料で明示し、このことはOIE(世界動物保健機関)基準に反する、OIE基準の存在を知っているかと森山ひろし農林水産大臣にと問いただし、アニマルウェルフェアの意識を高めることを求めました。

次に、海外と日本の規制の比較表を提示し(*)、豚のストール飼育、豚の歯・尾の切断、鶏のバタリーケージ飼育、鶏のクチバシの切断の問題について、一つずつ言及していきました。

妊娠ストールの母豚の写真が掲載された資料を示し「繁殖用のメスの豚です。だいたい身動きのできないところで育てられているのが私たちの国ではほとんどであります」、豚の歯の切断については「麻酔なしの歯の切断は悲惨だ」「人間の歯もそう変わりありません。想像してみてください。麻酔なしでニッパーで歯をカットしようとするとどういうことになるでしょうか」「ずっと痛みにさいなまされる豚もいます」と述べ、80%の養豚場で豚の尾が切断されていることも明示しました。

そしてバタリーケージについては次のように述べました。

「なるべく狭いケージで小さい鶏で、卵をたくさん長期間産むように改良に改良を重ねてきたのが私たちの国の鶏卵生産現場です。
そのおかげで物価の優等生といわれています。」

「私たち人間の都合だけで物価の優等生だということで鳥を不幸せにしていいんでしょうか?
クチバシを切断します。神経があるので痛いのではないかと言われています。
鶏という動物がどういう動物かというと、一日に15000回地面をつつく。
そして彼らも産まれてきた特徴があります。
止まり木が必要である、砂場が必要である。そして地面をつついて餌があるかどうかを探したい。
これを全部人間の欲望だけで、クチバシをカットしてバタリーケージに押し込めているのが、世界に冠たる経済大国、日本の姿なんです」

最後に小川議員は
「儲かる農業、これは否定しません。しかし私たちの国の農業は持続、共存これが大事だと思います。人間さえ良ければ家畜はどんなことをしてもいいんだという概念は私は間違っていると思う。もっともっといい国にしようじゃありませんか。」と述べ、ともに努力していこうと訴えました。

政治を担う人々が集まる国会という場で、このように詳細にわたり畜産動物の飼育の問題が取り上げられたのはおそらく初めてではないかと思います。「産業動物」というくくりで、その感受性についてクローズアップされることのほとんどない畜産動物たちの現状に、ほかの議員の方々も驚き、関心を持ったように感じました。

この小川議員の問題提起がきっかけとなり、畜産動物の苦しみを少しでも減らせるよう、私たちアニマルライツセンターは今後も尽力します。

*下記の比較表から「絶食・絶水による採卵鶏の強制換羽」「強制給餌(フォアグラ)」を除いたもの

https://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=422

会議録画

当日の小川議員の質疑は、下記のリンク先から動画で見ることができます。
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=3497&type=recorded​
アニマルウェルフェアについての質疑は2:25:37ごろから始まります。(動画視聴には期限があります)

当日の議事録

第190回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 平成28年3月10日

*国会議事録はこちらからどなたでもご覧いただけます。
http://kokkai.ndl.go.jp/
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