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採卵用に飼育される鶏や、肉用に飼育される鶏(ブロイラー)が殺されるのは、屠殺の時だけではありません。
農場内で「淘汰」される時もあります。
奇形、歩行困難、病弱、採卵刑であれば「卵を産まない」などが淘汰の理由です。

基本的に商業用に飼育される鶏が外傷や病気で治療されることはありません。
ブロイラー養鶏業者が、ブロイラーの雛を購入するときの価格が75円程度*1。ヒナを肥育して肉用に販売する時の価格が1000-1500円。
採卵鶏の場合は933円程度*1で購入され、卵を産ませたあと「廃鶏(または成鶏)」として出荷される時の取引価格はタダ同然です。

「畜産」において、一羽当たりの単価が安い鶏を、病気の都度治療していては採算が合いません。
この安さが、鶏の扱いを劣悪なものにしている大きな要因だと考えられます。

この鶏たちを養鶏場で「淘汰」する時には、さまざまな非人道的な方法がとられています。

淘汰方法
非人道的で
間違ったやり方
・いつの間にか死んでいた
・放置死
・生きたまま焼却炉
・溺死
・ビニール袋に入れて窒息死
上記よりは苦しみが少ないと思われる方法・頚椎脱臼
・二酸化炭素
現在一番苦しみが少ないと考えられている方法・脳震盪式スタンガン(キャプティブボルト)
・電気的スタニング

国内では「非人道的で間違ったやり方」が行われているという実態があります。

 

▼非人道的で間違ったやり方

いつの間にか死んでいた

どのような「淘汰」が行われているのか統計が無いため推測に過ぎませんが、「いつの間にか死んでいた」というのがもっとも多いのではないかと考えられます。採卵用鶏の飼育羽数は一戸当たり5-6万羽。それを数名で管理しているのですから気が付かなくても不思議はありません。

2016年日本のブロイラー養鶏場
鶏舎の隅に寄せられていますが、死んでから相当日数がたっていることが分かります。

2015-2017年日本の採卵養鶏場

隔離後放置死

弱っている鶏を隔離してあげてたとしても、あとは水も餌も与えず死ぬに任せるというケースもあります。

生きたまま焼却炉

アニマルライツセンターには生きたまま鶏を焼却炉に投入しているという告発が数件入ってきています。
そのうち現場を抑えることができた1社については警察へ通報し、指導によりそのようなやり方を廃止してもらうことができました。

溺死

ある養鶏場では、淘汰する鶏をケージに入れてまとめて水死させていました。この業者とは、意見交換をして、人道的な方法への切り替えをすることを約束していただくことができました。

ビニール袋に入れて窒息死

2015年に、元養鶏場従業員から情報提供がありました。

非人道的で間違ったやり方がどれくらい行われているのか、私たちは把握するすべを持っていません。基本的に防疫の観点から外部の者が入れない、国内にある5000戸ほどもある養鶏場を監視するためには何らかの法的枠組み・ガイドラインが必要です。養鶏場従事者への動物福祉カリキュラムのようなものでも良いかもしれません。しかし国内にそういったものは存在しません。

 

▼上記よりは苦しみが少ないと思われる方法

頸椎脱臼

国内で実施可能な方法として、決して安楽ではありませんが、マシなやり方として「頸椎脱臼」があります。(ただし頸椎脱臼は死ぬまでに30秒かかるとも言われています*6)
頚椎脱臼の方法についてはイギリスで人道的と殺を研究している機関Humane Slaughter Assosiationが動画を公開していますので、リンク先の一番下の動画「Video demonstrating cervical (neck) dislocation」をご覧ください。
https://www.hsa.org.uk/pre-slaughter-handling–restraint/the-shackling-environment

※英語のため翻訳文をこちらに添付します。

HSA(Human Slaughter Association)は、頸椎脱臼は相応しい方法が他にない緊急時、少数の鳥のみでの使用を薦めている。
頸椎脱臼は鶏の首を伸ばし脳の下にある脊髄を切断し脳に供給している血管を破裂させることで死に至らしめる。
実際にやってみるとやり遂げるのは困難である。
ウズラやブロイラーの鶏のような小さめの鳥の頸椎脱臼のやり方は片方の手で鶏の脚を逆さにし、その手と反対側の腰の下側に近づける。反対側の手のひらを下に向け2本の指(人差し指と中指)で首を掴み親指を頭蓋骨の下に素早く固定し拳を脊椎脳に押し込みながら迅速に確固とした動きで首を後ろ向けにしたまま下に引っ張り、伸ばす。
頸椎脱臼は迅速に確固とした決断で行なわれるべきである。
常に確固に確信を持ち明確に行い、そして毎回鶏が屠殺されたかを確認すべきである。鶏の死亡は脊椎と脳に隙間ができ、眼はどんよりと固まり瞬膜や目蓋の反射、リズミカルな息づかいがないことで確実とされる。
ターキーやガチョウなどの大きめの鳥についてはHumane kilkersという屠殺器が使われるべきてある。
知識、確信、経験そして鳥に苦痛を与えることなく確実に計画しやり遂げることが極めて重要である。
(翻訳協力:C. Strother)

 

HSA(Human Slaughter Association)が頸椎脱臼方法の動画の中でも言っている通り、頚椎脱臼は「実際にやってみるとやり遂げるのは困難」で技術と訓練が必要になります。日本も批准しているOIE(世界動物保健機関)の”疾病対策のための動物の殺害”にも「力と技術が必要」「訓練が受けた人材が必要」とされています*3。しかし日本国内にはそのような技術を磨く訓練の機会はありません。

2017年12月号の雑誌「畜産コンサルタント」には、大手養鶏企業が「頚椎脱臼」について次のような記事を寄稿しています。

とはいえこの手法、口で言うほど容易なものではない。当社の農場長は20代から80代の男女から成り、各農場の従業員も入れると、「頚椎脱臼」を身に着ける必要のある老若男女はざっと500人ということになる。(中略)現状どんな鶏でも「頚椎脱臼」できる農場長・従業員はわずかである

 

【注意】
頸椎脱臼の方法として次の写真のようなペンチや絞り器を使用しては絶対にいけません。この方法は首を伸ばす頸椎脱臼とは全く違う、たんに押しつぶす方法であり、素早くも人道的でもない殺処分方法です*4。

 

二酸化炭素

OIE(世界動物保健機関)は動物福祉ガイドライン「疾病管理を目的とする動物の殺処分」のなかで、『二酸化炭素への曝露が意識の即時の喪失をもたらすことはなく、高濃度のCO 2を含むガス混合物が嫌悪を誘発する過程は、動物の福祉にとって重要な注意事項である。』としています。

鶏については、高濃度で意識の喪失が早く訪れるという研究がある一方、いくつかの研究は、高濃度の二酸化炭素を吸入すると鶏が苦しむ可能性を示唆しています*7。OIEのガイドラインは徐々に濃度を上げることで嫌悪が軽減されるとしていますが、短時間で高濃度にしたほうが苦しみが少ないと考える研究者もおり、どちらがよりマシなのかは結論が出ない状況です。ただどちらも苦しみを伴うことには違いありません。

濃度45%のCO 2で、20〜30秒以内に鶏は無意識になり、2分以内に死を誘発すると言われています*7。

どのような方法を選択するにしても、二酸化炭素を用いてできるだけ苦しみの少ない殺し方をしようとする場合は、濃度(鶏を殺すには40%以上の濃度が必要*7)などを適切に管理できるガスメーター付の鶏の様子が観察できる窓のついたチャンバーが必要ですが、そのようなポータブルの鶏殺処分機は日本では流通していない状況です。

 

 

▼現在一番苦しみが少ないと考えられている方法

(「苦しみが少ない」のであって安楽殺ではありません。本来の安楽殺は吸入式の過麻酔ですが、商業用に飼育されるコマーシャル鶏に対してはコスト的に不可能です。)

脳震盪式のスタニング

農場内で実現可能な、もっとも人道的だと言われる殺処分方法です。
この機械式の脳震盪装置(キャプティブボルト)は、鳥に即時の無意識と死を引き起こすことが可能です。
【注意】
鳥の死を確実にするために、ボルトガン使用後さらに頸椎脱臼やネックカットを行う必要があります*。

(写真)家きんや子豚、子羊などの小動物用のキャプティブボルト*5

ただしこの脳震盪式のスタニング器具は日本国内で生産されておらず、輸入実績がありません。また輸入したとしても「銃器」にあたるため銃刀法による免許が必要だというネックがあります。

電気的スタニング

農場で使用するための電気スタナーは、一般的に手持ち式で、一対の電極で鳥の頭を挟み、接触させ、スイッチを入れると電極間にある脳を電気が流れ、瞬時に無意識になります。ニワトリ程度の小さな鳥に関しては脳震盪式スタナー同様に福祉的であるといわれます。

日本では野生動物を殺す際に電殺器、または電気差し止め器が使われますが、同類のシステムですが、野生動物の場合は大きさの違いや保定の困難さが大きいですが、ニワトリの場合はよりたやすいと言えます。

 

脳震盪式スタナー同様に、意識を失わせた後に頚椎脱臼等で死に至らしめる必要があります。

 

 


 

現在日本には「経済動物」をできるだけ人道的な方法で殺さないといけないという概念も業界内に無いかもしれません。
経済利用される鶏であっても「動物の愛護及び管理に関する法律」の対象動物であり同法に基づく動物の殺処分方法に関する指針が適用されますが、養鶏場内では無法地帯と化している現状があります。

養鶏場内で焼き殺したり死んだことにすら気が付かないということが起こってしまっているのは

1.鶏を人道的に扱うことが求められていることを知らない
2.非人道的ではない方法を知らない

という二点が理由だと考えられます。

意見先

アニマルライツセンターは経済利用される鶏への非人道的な行為を中止するよう農林水産省や関係機関に要望をしています。皆さまからも、農場内の鶏の扱いを監視できるシステムや畜産業従事者への動物福祉カリキュラムの整備などを、農林水産省へ求めてみてください。

農林水産省意見先
https://www.contactus.maff.go.jp/voice/sogo.html

*1 http://www12.plala.or.jp/taacohya/Houki/KADENHO/pdf_files/HPAI/Bessi_Yosiki/bessi_2_all.pdf
*2 Concussion Stunning Equipment(humane slaughter assosiation) https://www.hsa.org.uk/concussion-stunning/equipment-4
*3 CHAPTER 7.6.KILLING OF ANIMALS FOR DISEASE CONTROL PURPOSES http://www.oie.int/index.php?id=169&L=0&htmfile=chapitre_aw_killing.htm
*4 Neck Dislocation Techniques https://www.hsa.org.uk/neck-dislocation/techniques
*5 http://www.acclesandshelvoke.co.uk/media/downloads/2017/August/user-manuals/CASH-Small-Animal-Tool-JUN-2017-V3.2.pdf
*6 News Jun 18, 2018 Unclear scientific terminology affects bird welfare
*7 Development and Extension of Industry Best Practice for On-Farm Euthanasia of Spent Layer Hens/2015 Poultry CRC Ltd

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