卵 - たまご

エンリッチケージ と バタリーケージ

2016/07/17

EUでは2012年から鶏のバタリーケージは禁止になっています。
しかしケージ飼育そのものが禁止されているわけではありません、ケージであっても改良型ケージ(エンリッチケージ)であれば合法です。
現在EUではこの改良型ケージか非ケージ(フリーレンジ:放牧、フリーバーン:建物の中で放し飼い)のみが容認されています。

 

では、エンリッチケージとはどういったケージのことでしょうか?

EU指令「採卵鶏の保護のための最低基準を定める 1999 年 7 月 19 日の理事会指令 1999/74/EC」(COUNCIL DIRECTIVE 1999/74/EC of 19 July 1999 laying down minimum standards for the protection of laying hens)にはエンリッチケージについて、次のような最低基準を設けています。
 
  • 1羽につきケージ面積 750 ㎠(うち利用可能面積 600 ㎠)以上
  • 全体が高20cm以上
  • 総面積2000㎠以上。ただし利用可能面積とは、幅30cm 以上、床の傾き14%以下、高さ45cm 以上を満たす部分の面積 
  • 巣箱・敷料・止まり木(1羽につき15cm以上)の設置 
  • 制約のない給餌容器の設置と長さ(1羽当たり12cm以上) 
  • 給水装置の設置と数 
  • ケージの各層間(90cm 以上)および建物の床と最下層ケージの間(35cm 以上)の距離 
  • 爪研ぎ用具の設置

(農林水産省 平成 25 年度海外農業・貿易事情調査分析事業(欧州)報告書 第 III 部 EU における動物福祉(アニマ ルウェルフェア)政策の概要より引用)

*非ケージシステムの場合も、エンリッチケージ同様に最低基準が細かく設けられています。例えば非ケージシステムの飼育密度は利用可能面積1㎡当たり9 羽以下と定められています。

 

本当にエンリッチ(よりよい環境)なの?

日本の92%*1で以上の養鶏場で使用されているバタリーケージは、その平均サイズが470㎠*2ですので、EUのエンリッチケージの750㎠はバタリーケージよりも広さはあります。しかし「エンリッチ」といっても所詮はケージです。最低基準750㎠というのは30㎝×30㎝にも満たない大きさなのです。
現在EUではエンリッチケージは認められていますが、消費者はエンリッチケージにも拒否を示し始めています。こういった世論を受けて世界中でケージ飼育そのものを廃止しようという動きがあります。

諸外国のケージフリーの動き

改良型ケージは、広さだけでなく高さの制約も鶏たちの行動を著しく制限しています。
EUの法律では改良型ケージの高さを最低45cmとしていますが、その高さでは、鶏たちが首を伸ばしたり、羽ばたいたり、身体を揺らしたりなどの当たりまえの運動が満足にできません。しかしこういった動きは鶏たちの羽骨を強くするために欠かせないものです*3。高さに制約がなければ、鶏たちは高さ56cmまで活動するという研究もあります*4。
改良型ケージでは砂浴び場が設置されていますが広さが足りないため砂浴び行動が制限されてしまいます。
鶏が頭を動かし地面をつつく行動(forage)も、ケージフリーの鶏よりも改良型ケージの鶏のほうが少ないことが指摘されています*5鶏は爪で引っかいたり餌をさがしたりするのに665から1217cm2、羽繕いをするのに800から1977cm2のスペースを使っているという研究もあります。
 

 

鶏たちが十分に羽ばたきしたりグルーミングしたり砂浴びをしたりしたいという要求は、改良型ケージの中で満たされることがないのは明らかです。
enriched cages hens あるいはfurnished cages hensなどと入力して画像検索してみてください。実感として「改良」になっていないと多くの人が感じると思います。
エンリッチドケージを含めたケージ飼育そのものを廃止する必要があります。





*1 2015年度国産畜産物安心確保等支援事業(快適性に配慮した家畜の飼養管理推進事業)飼養実態アンケート調査報告書参考
*2国産畜産物安心確保等支援事業(家畜飼養管理国際基準等対応事業)2008年採卵鶏の飼養管理実態調査
*3 Moinard, C., Morisse, J. P. and Faure, J. M., 1998. Effect of cage area, cage height and perches on feather condition, bone breakage and mortality of laying hens. British Poultry Science, 39: 198‐202. 
Appleby, M. C., A. W. Walker, C. J. Nichol, A. C. Lindberg, R. Freire, B. O. Hughes, and H. A. Elson. 2002. Development of furnished cages for laying hens. Br. Poult. Sci. 43:489–500. Axtell, R. C., and J. J. Arends. 1990. Ecology and management 
*4 Dawkins, M. S., 1985.  Cage height preference and use in battery‐kept hens. Veterinary Record, 116: 345‐347.
*5 Lay D et al, 2011. Hen welfare in different housing systems 2011 Poultry Science 90 :278–294

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