卵 - たまご

採卵鶏のクチバシの切断(デビーク) - 日本の切断率:83.7%

2016/03/13

2014年の調査(*1)では、日本の養鶏場の83.7%で採卵鶏のクチバシが切断されているという結果でした。
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(画像:wikipediaより)

なぜクチバシを切断するのか?

鶏同士がつつき合い、傷つけあうのを防ぐため。

なぜツツクのか?

鶏は一日に15000回地面をつついて過ごす生き物です*2。
ほかのほとんどの動物と同様、鶏も本来なら一日の多くの時間を摂食行動に費やします。自然環境では雌鶏は1日の50%を餌を探してクチバシで嘴で地面をつついたり、肢で地面をひっかいて餌を探しながら過ごします(*3)。
つついて餌を探したいというのは、鶏の本能です。
しかし四方も床も金網のケージで囲まれ、つつく地面も、たった一本のワラも何もない環境では、鶏が持っている「つつきたい」という強い欲求を満たすことができず、転嫁行動として仲間をつついてしまいます。

敷料のない施設では高頻度で羽ツツキやカニバリズムが起こることは、すでに1986年に明らかになっています*5。

デビークのやり方・鶏に与える苦痛

雛の段階で、電気加温式断嘴器で、麻酔なしでクチバシを切断(デビークまたはビークトリミングと呼ばれる)します。
クチバシは複雑に神経が通う機能的な器官で、デビーク時には出血、デビーク時の痛みだけではなく、その後慢性的な痛みを経験すると言われています。
『摂食の減少、活動量の減少、永続的な無気力、警戒心が強くなる、神経症』などが引き起こされる *4
切断面から感染し、死亡率も高まります*8。

赤外線方式なら痛みはないのか?

UKでは(ツツキを抑制する必要がある緊急時を除いて)高温刃方式のビークトリミングは禁止*9されており、赤外線方式のみが許されています。日本でも一部赤外線のビークトリミングを行っているところがあります。赤外線方式のトリミングは高温刃方式よりも痛みが少ないという主張もありますが、一方で、赤外線方式のトリミングもまた生まれて数週間の間痛みを引き起こすという行動学上の証拠も研究により提示されています**10。ある研究は、赤外線方式のトリミングを「共食いとツツキ抑制のための理想的な解決方法であるとみなすべきではない。トリミングに代わる方法を、できる限り早急に調査し実施する必要がある*11」と結論づけています。
 

クチバシを切断しないで、ツツキを防ぐことができるのか?
できます。

鶏の習性を理解し本来の行動を発現できる環境を用意することでツツキは防ぐことが可能です。

  • 砂浴びと止まり木を設置
  • 栄養不足によるツツキを引き起こさないため、バランスの取れた給餌をする
  • ペレット状の食餌よりも、すりつぶした食餌を与える、なた繊維質の餌も食べる時間を増やし、ツツキの減少につながる。
  • 飼育密度を低くする
  • ワラ、木くずなどの敷料の設置
  • 群れの羽数を小さくする
  • 羽つつきの少ない品種(LSL Leghorn (white))を選ぶ
  • 雄鶏を混飼
参照元:*12

『どのような施設でもツツキは起こりうる。その重要な要因は、飼育者が雌鶏の飼育方法や性質を全然、あるいは少ししか理解していないためだ』-Martin Häne*5

また鶏をよく観察し、つつかれて傷を負っている鶏は早期に別飼育をするなどのケアも必要です。
鶏を理解しようとせずクチバシを切断するという暴力的なやり方は、つつきをしない環境をつくることで止めることができます。

デビークを規制する国

オーストリアではビークトリミングは行われておらず、それ自体が国家保証計画で禁止されています。フィンランドとスウェーデンにはビークトリミングを禁止する法律があります*6。デンマークでは2014年に産業界主導により、ビークトリミング禁止の範囲を、それまでのケージ飼育の採卵鶏から、鶏舎で飼われ、放し飼いされる採卵鶏にまで拡大する自主規制が実施されました。ドイツの一部地域では、業界団体が2016年8月からビークトリミングを中止し、2017年1月からビークトリミングされた雌鶏の飼育を止めることについて、政府と「自発的な拘束力のある合意」に署名しています。オランダはケージフリーでデビークを行わない鶏で行われた2017年の再調査から満足の行く結果が得られたため、2018年9月からビークトリミングの禁止する予定になっています。
ドイツとオランダでは、新たに導入された鶏の50%が、デビークを受けていません*7。




 
出典
*1 平成 26 年度国産畜産物安心確保等支援事業「採卵鶏の飼養実態アンケート調査報告書 」
http://jlta.lin.gr.jp/report/animalwelfare/H26/factual_investigation_lay_h26.pdf

*2  「アニマルウェルフェア」 佐藤衆介(2005年)

*3 Compassion in World Farming「PRACTICAL ALTERNATIVES TO BATTERY CAGES FOR LAYING HENS」
https://www.ciwf.org.uk/media/3818847/practical-alternatives-to-battery-cages.pdf

*4 USDA「Laying Hen Welfare Fact Sheet Fall 」2010年
http://www.ars.usda.gov/SP2UserFiles/Place/50201500/Beak%20Trimming%20Fact%20Sheet.pdf

*5 Heinzpeter Studer「How Switzerland got rid of battery cages 」2001年
http://www.upc-online.org/battery_hens/SwissHens.pdf


*6 http://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=422

*7 Layers with untreated beaks on a commercial farm(world poulty 2016.5.11)
http://www.worldpoultry.net/Health/Articles/2016/5/Layers-with-untreated-beaks-on-a-commercial-farm-2791165W/?cmpid=NLC|worldpoultry|2016-05-23|Layers_with_untreated_beaks_on_a_commercial_farm

*8 Natural Beak Smoothing at Eurotier 21-11-2016
http://www.roxell.com/en/about-roxell/news/~20161121_NaturalBeakSmoothing

*9 The Mutilations (Permitted Procedures) (England) (Amendment) Regulations 2010.

*10  Marchant‐Forde RM and Cheng HW (2006) Infrared beak treatment; Part 1, Comparative effects of infrared 
and 1/3 hot blade trimming on behaviour and feeding ability. Poultry Science Association Annual Meeting Abstracts 85: 104. 

*11  Angevaare, M.J., Prins, S., van der Staay, F.J. & Nordquist, R.E. (2012) The effect of maternal care and infrared beak trimming on development, performance and behaviour of Silver Nick hens, Applied Animal Behaviour Science, 140: 70 – 84 

*12 ツツキを防ぐ方法については、次のほか多数の資料を参照
FeatherWel, 2013. Improving feather cover. http://www.featherwel.org/Portals/3/Documents/Advice_guide_%20V1.2%20%20May%202013.pdf 

Qaisrani S et al, 2013 Effects of dietary dilution source and dilution level on feather damage, performance, 
behavior, and litter condition in pullets. Poultry Science 92/3: 591‐602  その他

 

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