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動かない厚生労働省 – と殺場で水が飲めない動物たち

屠殺場で水を飲みたいと焦がれながら殺されていく豚や牛たち

日本ではと殺における動物福祉について実行力のある規制がありません。多くの動物がと殺場で水が飲めない状況にあります。

北海道帯広食肉衛生検査所らが2010-2011年に実施した「と畜場の繋留所における家畜の飲用水設備の設置状況」調査によると、日本のと殺場における豚・牛の飲水状況は次の通りです。

牛と殺場 50.4%が飲水設備無し
豚と殺場 86.4%が飲水設備無し

調査によると、すべての動物を搬入したその日に屠殺すると答えたと殺場は7%だけということです。つまり、前日に搬入され次の日の屠殺までの長時間、喉の渇きに耐え、殺されていく多数の動物がいることになります。

アニマルライツセンターは2016年に独自で屠殺場へ動物福祉に関するアンケート調査を行いましたが、結果は2010-2011年の調査を裏付けるものとなりました(屠殺までに常時飲水できる状態にない割合は  牛:46%、豚:76%)。

水だけでなく、餌ももちろん与えられていません。前日搬入翌日屠殺などの長時間屠殺場で待機しなければならない場合であっても餌がもらえないというのも大きな問題です。
餌を与えないのは「屠殺前に餌をやっても肉にならないし無駄」ということと、給餌にかかわる労働力を割きたくないという考えによるものですが、その考えには動物福祉のかけらもありません。給餌についても改善を求めなければなりませんが、まずはせめて、最低限の設備として飲水設備を設置してほしいと思います。

私たちが食べるために命を奪っている動物に対して「水を与える」というのは最低限の配慮です。毎日多くの牛や豚たちが「水を飲みたい」と焦がれながら殺されていっているという状況は異常です。

次の動画は、夏に屠殺場に搬入される豚たちです。このような熱暑の日であっても、飲水設備のない屠殺場がほとんどというのが日本の現状です。

鶏はどうなのか?

鶏については調査が行われていませんが、アニマルライツセンターが複数の食鳥処理場(鶏の屠殺場)へ聞き取りを行ったところ、鶏へ給水している食鳥処理場はゼロでした。おそらく鶏への給水を行ってる屠殺場は皆無だと思われます。
一つのカゴに6羽根程度入れ、そのカゴを何列、十段近くに積み上げた数千数万羽の鶏たちに水を与えようとすれば多くの時間と労働力を要します。畜産利用される鶏たちがどのような扱いを受けているのかと、一羽の取引価格の安さを知れば、屠殺を待つ鶏への給水に余計な労働力を割くとは考えられません。餌については言うまでもありません。

OIEの国際基準では、と殺場での給水が要求されている

日本では屠殺に関する実行力のある法規制がありませんが、日本も加盟するOIEの基準はちがいます。屠殺場で畜産動物が飲水できることが求められています。
OIEの陸生衛生動物規約「動物福祉」の「と殺(Slaughter of animals)」の章には次のように明記されています。

・哺乳動物をと殺場に搬入後、すぐにと殺しない場合は、給水されなければならない
・鶏のと殺の場合、12時間以上絶水しないこと
・と殺場に到着後12時間以内にと殺しない場合は適宜、食べ物を与えること

「水を飲ませると肉質が悪くなる」

関係機関への聞き取りなどを通して分かったことですが、「水を飲ませない」という理由のひとつに、畜産農家や食肉処理業者の間に「と畜前に水を与えると肉質が落ちる」「水分をとったら腐敗しやすいから飲ませない」という考えがあることがわかりました。
しかし、 帯広畜産大学の2013年調査はこれらが迷信に過ぎないことを示しています。

『生産者にとって気になる枝肉格付を、「給水区」と「無給水区」で比較した。生体重に大きな差はなかったが、枝肉総重量は前者のほうが多かった。枝肉歩留(体重に対する枝肉の割合)は、「給水区」のほうが1%高い。その増加分を枝肉価格に換算すると、1頭あたり3320円もの利益になった。』

『肉の色の判定基準(BCS)や肉のし締まりなどの格付け項目は、給水の有無による差は認められなかった』

― 北方ジャーナル2014年6月号 連載第132回アニマルウェルフェア畜産の今(その4)屠畜場の飲用水設備をめぐって より引用

と殺場を管轄する厚生労働省「現時点では動けない」

前述したOIEのと殺の国際基準ができたのは2005年のことです。
それから現在にいたるまで、この基準に反した状態が続いているというのは、見過ごせない問題ではないでしょうか?

屠殺場を管轄するのは厚生労働省です。2015年1月、アニマルライツセンターはと殺場を管轄する厚生労働省に対応を求めましたが、回答のない状況が続きました。
そのため3月には、日本も加盟するOIEを介して厚生労働省へ要請し、ようやく4月中旬に厚生労働省と話をすることができました。しかし「動物福祉は環境省あるいは農林水産省の所管であり、厚生労働省は安全・衛生面を所管する」ため、厚生労働省としてこの問題に取り組むことは難しいとのことでした。

厚生労働省を訪問後、環境省へもこの問題への対応を求めて訪問しましたが、同じように「畜産動物については農林水産省、あるいは屠殺に関してなら厚生労働省ではないか」という姿勢でした。たしかに畜産動物の福祉をどこの省庁が担当するのか、明確な線引きはありません。しかしそれなら動物を扱う省庁すべてが連携して取り組めばいいだけの話ではないでしょうか?

昔のことを言っても仕方のないことではありますが、OIEの屠殺基準の策定時に、日本の厚生労働省もOIE屠殺基準(案)を回覧されコメントを求められているはずです。また、かつて厚生労働省は「と畜場の施設および設備に関するガイドライン」を作っており、それには係留所に「体表に付着した糞尿、泥等を除去するために、獣畜を効果的に洗浄する設備が設けられていること。また、獣畜の飲用水設備が設定されていること。」と記載されています。
屠殺場における畜産動物の飲水設備の設置が厚生労働省と無関係だと考える方がやはり不自然に感じられます。

せめてOIEの屠殺基準を各自治体に周知することはできないのかと厚生労働省の担当者に問いましたが、なんらかのきっかけがなければ厚生労働省から通知するのは難しいとのことでした。しかし農林水産省が輸送・と畜のガイドラインを作るなどのきっかけがあればもしかしたら動くことができるかもしれない、という期待は感じられたので、今後も要望は続けてまいりたいと思います。


厚生労働省が畜産動物福祉に取り組むきっかけとして、消費者の声というものもあります。国民から動物福祉に関する意見が多く寄せられることも、厚生労働省を後押しするきっかけとなります。

殺される最後の日に、喉が渇いても水を飲ませてもらえないというような残酷なことがなくなるよう、皆さんからも、ぜひご意見をおねがいします。

電話

厚生労働省 食品安全部 監視安全課 乳肉安全係(と畜場担当部署)

電話番号 03-3595-2337

メール

厚生労働省 「国民の皆様の声」募集 送信フォーム

http://www.mhlw.go.jp/houdou_kouhou/sanka/koe_boshu/

*「内容」に「厚生労働省 食品安全部 監視安全課 乳肉安全係様宛」と書き加えてください。

 

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