相変わらず日本の鶏肉のリスクは高いままである。
2025年にJournal of Veterinary Medical Scienceに掲載された帯広大学教の佐々木貴正教授の研究によると、日本で真空パック詰めされた鶏むね肉86.4%からサルモネラ菌が検出されたという。前年に掲載された研究でも85.2%であった。
これは他国の割合と比べると有意に高い汚染率だ。2020年以降のものに限定してみてみよう。(※日本の研究と同様のスーパーマーケットで売られている鶏肉に限定したため、一部の国に限られる。小売などと書かれているものも加えた。過去内は発表年)
86%が異常な数値だとおわかりいただけただろうか。
他の日本の研究では以下のような数字を出しているものもある。
いずれにしても高い数値であり、多くの研究はサルモネラ菌の汚染率とともに薬剤耐性をみているのだが、のきなみ、薬剤耐性をもったサルモネラの割合も高い。また、西日本の汚染率がより高いことも明らかになっている。
アニマルウェルフェアのあの地もないような高密度な飼育をしている日本の鶏肉産業。ひとびとの安全性も脅かし続けている。
近年の食中毒ではサルモネラよりもカンピロバクターのほうが多くなっている。
2023年の研究では、2022年の研究では、小売店で販売されている鶏肉の45.7%がカンピロバクター陽性で、8.4%は**高レベルの汚染(3.0 logCFU/g超)**と報告されている。この高レベルの汚染であった鶏肉、EUだったら指導対象になる。
サルモネラ菌同様、西日本のほうがあきらかに汚染度が高いことも明らかだ。真空パックの鶏の胸肉のカンピロバクターの検出状況は、西日本(64.2%)が東日本(26.6%)だったという。
カンピロバクターは感染者数が多く、実際、少量でも伝染るので拡散もしやすい。とはいえ、カンピロバクターは鶏の腸内常在菌で、なくしていくことは難しい。それでも、海外のスーパーマーケットなどがやっているように、その発生を監視し、減らすための策を見つける努力をし、飼育密度を緩和したり屠殺時や処理方法の改善をすべきだ。
カンピロバクターは神経系の後遺症が残る可能性があるが、致死率は低い。サルモネラのほうが敗血症など重篤になる可能性があり、致死率がカンピロバクターより高い。鶏の常在菌ではないため、飼育や屠殺工程、加工次第で下げることができるのは、サルモネラの方である。そのため、サルモネラが鶏肉の飼育から屠殺、加工、流通の品質を示していると考えるべきだろう。その指標となるサルモネラが86%なのは、日本の工程全般でなにか問題が起きていると考えるべきなのだ。