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鶏がものすごく賢い気がして仕方がない

鶏は3歩歩いたら忘れるなんていう侮辱的な言葉があるが、この言葉を述べた人こそが、観察力と洞察力が皆無だった人なのだろうと思う。今は科学的にこれが誤りであることは明らかになっている。

私たちは、かつては犬や猫、そして今は鶏と豚とともに暮らし、活動している。どの動物も個性的だし、心が触れ合ったときのあたたかさは同じだ。だが、それぞれの社会性の特製やコミュニケーションが大きく違う。

豚が犬より賢いというのは、テレビゲームを器用に操る豚の実験によって証明されてきた。だが、鶏も相当に賢い。これまで保護してきた鶏たちが見せた賢さのエピソードを紹介していこうと思う。

小春

小春
里親に出た後

アニマルライツセンターが最初に保護したのは小春だ。もみじという品種のブラウンの鶏だった。彼女は一人だったときにはボールで遊び、ボールがベッドの下に入り込んで行方不明になったときは、人間にその在処を上手に教え、取ってもらうという行動をした。
許可をもらって隣の家の広めの庭で遊ばせてもらえるようになった後は、門扉を開けると一目散に走っていき、もっと遊びたいだろうに、呼べばちゃんと自分の足で家に帰って扉の中に入った。犬のように遠くに行ってしまって戻ってこれないという心配はなかった。その後里親に出て、仲間の鶏ができて満たされた様子だった。半年後、1年後など、遊びに行くと、ちゃんと私のことを覚えていて、里親に出る前習慣化していたのと同じように、肩に乗ってきた。

だい・ふく

ブロイラーのだいちゃんとふくちゃんの体重は4キロを超え(後に7キロになった)、保護当時はまだ生後50~70日程度の赤ちゃんだった。転がすと種が出てくる知育おもちゃはすぐに使い方をマスターした。
ブロイラーの体は異常に太らされており、本来届くべき尾羽の付け根にくちばしが届かない。尾羽の付け根には、尾脂腺(びしせん)と呼ばれる油やビタミン吸収に役立つ物質を含んだ分泌腺があり、羽繕いをするさいにこの尾脂腺が必要だ。だがこれに届かない。だいちゃんとふくちゃんは、お互いに羽繕いをし、お互いの尾脂腺をつついて使うことで、羽を清潔に保つ方法を取っていた。
ふくちゃんが亡くなった後、だいちゃんは大いに落ち込んだ。親友が死んだのだから当たり前のことだが、この当たり前の感情に多くの人が気がついていない。

小春
いつも寄り添っていた

りり

小春
右がりり

ひろい土地に移って初めて保護したバタリーケージでぼろぼろになったりりちゃん。完全に死んだ心を、太陽と土と水と空と人との関わりで生き返らせた。
1人だったりりのもとに、善というオス鶏が来た日、りりは善を自分の庭を案内して回った。1年後にやってきた5羽の保護鶏たも、1羽づつ、5羽全員を案内して周り、虫のとり方を教えた。りりがいる間に来た鶏は、外の世界に慣れるのが早かったし、とまり木に止まることを覚えるのも早かった。
いつもりりがリードして遊びに出かけ、一つのまとまりのある統制の取れた群れだった。ひとりも、脱走したりも電柵を超えたりも一度もしなかった。りりが自力で身につけた知恵が伝承していた。その1年後、突然りりが死んだ。すると、誰も遠くに遊びに行かなくなった。リーダーを失った群れは、また一から社会を学び始めなくてはならなかった。

すず

この5羽がりりが世話をしていたおかげであまり手がかからず、ひたすら自由を謳歌していた。手がかからないと、そんなに人間が入り込む余地がなく、勝手気ままに過ごしていた。そんな中の1羽、すずは一番弱かった鶏だった。
だが、すずは弱かったからなのか賢かったからなのか、エアコンのスイッチを入れる係をしていた。移動式のエアコンは上に乗ることができてしまうので、足で操作ができなくもない。これにいち早く気がついたのがすずで、スイッチを入れようと部屋に行くとすずがいて、もうスイッチが入っていた。うっかりスイッチを忘れた日も、ご近所さんに扉を締めてもらった日も、かならずエアコンは稼働していた。偶然と言われるかもしれないが、一度も欠かさずついていたのだから、偶然というよりは奇跡的だ。

小春
再び出かけるようになった5羽

うた

小春
再び出かけるようになった5羽

この夏、新しくやってきた5羽の保護鶏たちは個性的だ。3ヶ月、バラバラの行動をしてきた。暑い時期だったこともあり、慣れるのも遅かった。
かえでちゃんは換羽の弱り方が激しく、3週間ほどぐったりしていた期間がある。その3週間の間に、他の鶏は元気に遊びに行くようになったのだが、1羽ずっとかえでに付き添っていた鶏が居た。それが、うたちゃんだ。他の鶏が朝元気に飛び出していくと、自分も行きそうになる。だが、すぐにもどってきて、かえでに付き添った。
今はようやく2羽とも遊びに出かけるようになっているが、共感能力の高さと、辛抱強さ、遊びたくてもいかない思いやりには驚かされた。

オスの善は、間違いなく女子たちを守るために日々奮闘し、行ったり来たりしているし、不安があるときは女子は善を呼びに来て連れ出すことすらある。
善が新しい食べ物を見つけたよと呼びかければ女子が集まってくるし、おやつの時間には善は弱くて食べられない子に自分がおやつを取って渡すこともある。

社会性の高さ、仲間への対応、他の種への対応、興味、好奇心、いろんなものを見ていると、鶏の知能の高さは他の哺乳類よりも遥かに高いように思える。

そんな動物を年間800億以上殺す異常さ。地球上最大のジェノサイドであるし、巨大な損失だと心から思う。

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