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生体輸出の禁止をWOAHに求める

アニマルライツセンター代表の私が一番最初に畜産動物の現状に衝撃を受けたのは小学校三年生の社会科の資料集に産業の説明写真として載っていた、生体輸出の1枚の小さな写真だった。

船に積み込まれる牛たち。

奴隷貿易だと思った。

アニマルライツセンターに入ってから、1枚の写真で受けた衝撃なんて遥かに超える苦しみ、痛み、悲劇があることを知った。
わかりやすい説明で言えば、過去30年間で見ると250万頭以上が船上で死亡している。この数字を見れば、生体輸送がどれだけ過酷で無残で無慈悲なものが分かるだろう。

あの資料集の写真を見てから40年ちかく経った今、この産業が終わりに近づいている

ルクセンブルクが第三国に屠殺目的で生きた動物を輸送することを禁止したのを皮切りに、ニュージーランドが、イギリスが、禁止した。
小学校の時の写真に載っていたのはオーストラリアの写真だったと思うが、そのオーストラリアでも羊の生体輸出が2028年に禁止される。

だが、どこかのが禁止しても、世界中が禁止しなければ同じことが続く。
世界動物保健機関は、今、生体輸送の基準の改訂時期だ。ここで禁止されるべきだ。
日本政府はしっかりと禁止に賛同すべきだ。
そして国内での長距離輸送のあり方を見直すべきだ。

現在WOAH(世界動物保健機関)は、陸生動物コードの第7.2章「輸送中の動物福祉」の見直しを行っている。日本は農林水産省内にWOAHを担当する部局があり、日本としての意見を提出するが、これに対し、意見を提出した。

WOAH協議文書 草案第7.2章「輸送中の動物福祉」に関する意見

拝啓

世界動物保健機関(WOAH)が現在、動物輸送基準の見直しを進めていること、とりわけ「輸送中の動物福祉」に関する統合第7.2章の策定を進めていることを歓迎いたします。この機会にいくつかの提言を申し上げます。

日本のWOAH代表としての立場から、本改訂を活用し、長距離の家畜生体輸送が動物に大きな負担や苦痛をもたらすことを示す蓄積された動物福祉科学の知見*に基づき、より強力な基準を支持していただくようお願い申し上げます。

近年、英国およびニュージーランドにおける生体輸出禁止、オーストラリアにおける羊の海上生体輸出禁止の予定、ドイツにおける一部第三国向け生体輸出証明書の停止など、生体輸送を終わらせる方向への政策的進展が世界各地で見られます。

私たちは、動物福祉の改善と輸送時間の短縮につながるあらゆる実効的措置を歓迎します。こうした観点から、WOAH加盟国として、今回の改訂を動物福祉に関する国際基準を強化する重要な機会として活用していただきたいと考えています。

現行の陸生動物衛生規約および統合第7.2章草案においても、

「輸送時間が長くなるほど動物福祉上のリスクは増大する」

「輸送は可能な限り短くすべきである」

と明記されています。

これらの原則が世界の動物輸送基準の改訂に反映されること、そして国内においても関係省庁と連携し、生体輸送に代わる肉類、枝肉、粉乳、胚、精液などの流通への転換を検討・促進することを求めます。また、日本がWOAHにおける議論を通じて、長距離生体輸送の段階的削減・代替への国際的な取り組みを支持することを期待します。

長距離輸送がもたらす動物福祉上の問題

近年の報道が示すように、地政学的要因により、牛や羊を輸送する船舶が紛争地域に向かうケースが発生しています。その結果、乗組員および動物が長期の遅延、負傷、死亡の危険にさらされています。

特に海上輸送では、

  • 糞尿の大量蓄積
  • 汚染された敷料
  • 不衛生な飲水・給餌設備
  • 過密収容
  • 高温多湿
  • 換気不足
  • 負傷および安楽死を要する事例

などの問題が繰り返し報告されています。

また、長距離陸上輸送でも、

  • 疲労
  • 脱水
  • ストレス
  • 負傷
  • 踏みつけ事故

などが発生します。

さらに、過密かつ不衛生な環境での長距離輸送は免疫機能を低下させ、人獣共通感染症を含む疾病の伝播リスクを高めます。

長距離輸送に内在する動物福祉上の課題

WOAH基準の強化は重要ですが、2026年4月に公表された南アフリカ獣医師会(SAVA)の声明は、長距離の海上輸送には本質的な動物福祉上の問題が存在すると指摘しています。SAVAは次のように述べています。

「本質的な害とは、あらゆる航海に不可避的に伴うものであり、船体の揺れ、大量の動物の管理困難、糞尿およびアンモニアの蓄積などを含む。」

さらに、

「海上生体輸送に伴う本質的な害と、それによって生じる動物の苦痛は、いかなる規制によっても防ぐことはできない。」

と結論づけています。

このような本質的な問題を踏まえ、世界全体として長距離生体輸送からの転換を進めるべきだと考えます。

WOAH草案に関する提言

以下の4点を提案します。

1.獣医師の同乗

3日を超える海上輸送には獣医師を同乗させるべきです。獣医師が不在の場合、疾病発生時や負傷動物への適切な対応ができません。

2.脆弱な動物の保護

以下のような脆弱な動物の輸送は可能な限り短くすべきです。

  • 妊娠動物
  • 哺乳中・離乳前の動物
  • 廃用牛や繁殖引退豚など生産寿命末期の動物

3.明確な受入保証なしの輸送禁止

購入者または輸入国による受入拒否は、動物が数週間から数か月にわたり海上で足止めされる重大な原因となります。したがって輸出国当局は、

  • 輸入国当局
  • 購入者

の双方から適切な受入保証が提出されていない限り、輸送を認めるべきではありません。

4.適切な輸送船の使用

多くの家畜運搬船は老朽化しており、本来家畜輸送用に設計された船ではありません。そのため、

  • 船齢30年以上の船舶**
  • 他用途から改造された船舶

については、WOAH基準を満たすことが厳格な検査で確認されない限り、動物輸送に使用すべきではありません。

結論

私たちは、WOAHによる今回の輸送基準改訂において、日本が協議プロセスに積極的に参加し、より強力な国際基準の策定を支持することを求めます。また国内においても、動物保護基準の厳格な実施を推進していただきたいと考えます。

これは、

  • 動物福祉の向上
  • 疾病リスクの低減
  • 紛争地域への動物輸送の防止

のために重要です。

さらに今回の改訂が、長距離生体輸送から肉類・枝肉・粉乳・遺伝資源の輸送への移行を促進する一歩となることを期待します。

敬具

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