動かない厚生労働省 - と畜場で水が飲めない動物たち

2015/04/30

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「と畜場でのどを渇かせて死んでいく動物たち」


日本ではと殺における動物福祉について拘束力のある規制がなく、ほとんどの動物がと畜場で水が飲めない状況です。
水だけではなく、餌ももちろん与えられていません。

日本のと畜場における豚・牛の飲水状況
【2011年の食肉衛生検査所の調査】
http://nichiju.lin.gr.jp/test/html/mag/06612/d1.pdf

牛と畜場、50.4%が飲水できない
豚と畜場、86.4%が飲水できない


※全家畜を「当日」と畜すると答えたのはと畜場は7%だけ

鶏については調査が行われていませんが、私たちがいくつか行った食鳥処理場へ聞き取り調査では、餌はもちろん水も与えているところは皆無でした。
鶏への給水を行ってる処理場はゼロだろうと思われます。なぜなら鶏は輸送用容器に7~10羽単位で積み込まれ、それを何段にも重ねて輸送されます。処理場に到着後も、と殺されるまで容器に入れられて積み上げられたままです。その鶏1羽1羽水を与えることはシステム上不可能だからです。

しかし、私たちが食べるために命を奪っている動物に対して「水を与える」というのは最低限の配慮です。
「水を飲みたい」と焦がれながら殺されている動物がたくさんいることは異常事態です。


「国際基準(OIEコード)でと畜場での給水が義務付けられている」


日本ではこのような状況ですが、と畜場において、水を飲ませなければならないというのは国際基準になっています。
OIE(国際獣疫事務局)の陸生衛生動物規約「動物福祉」の「と殺(Slaughter of animals)」の章には

・哺乳動物をと殺場に搬入後、すぐにと殺しない場合は、給水されなければならない
・鶏のと殺の場合12時間以上絶水しない。
・と殺場に到着後12時間以内にと殺しない場合は適宜、食べ物を与える。


と明記されています。
(OIEコード「Terrestrial Animal Health」section「Animal welfare」 Chapter 7.5.「Slaughter of animals」Moving and handling animalsより仮訳)
http://www.oie.int/index.php?id=169&L=0&htmfile=chapitre_aw_slaughter.htm


「水を飲ませると肉質が悪くなる」


関係機関への聞き取り調査では、「水を飲ませない」という原因のひとつに、畜産農家の間に「と畜前に水を与えると肉質が落ちる」という考えがあることがわかりました。
しかし、この考えが正しいものではありません。 給水が枝肉の食肉格付けに影響することは全くないことが帯広畜産大学の2013年調査で明らかになっています。
調査結果は、むしろ給水区のほうが無水給区に比べて枝肉総重量が無給水区より有意に高い、というものでした。    

『帯広畜産大畜産科学科を卒業した中尾絵美さんは、「屠畜場における牛への給水が枝肉格付や行動におよぼす影響」をテーマに卒業論文を書いた。北海道畜産公社十勝工場の繋留所に何度も通って調査を続けてまとめた、アニマルウェルフェアの促進に寄与する力作である。  (中略)  
生産者にとって気になる枝肉格付を、「給水区」と「無給水区」で比較した。生体重に大きな差はなかったが、枝肉総重量は前者のほうが多かった。枝肉歩留(体重に対する枝肉の割合)は、「給水区」のほうが1%高い。その増加分を枝肉価格に換算すると、1頭あたり3320円もの利益になった。  この農場は、年間1400頭余りを屠畜場に出荷しているので、「給水による利益は1年で478万円にもなり、繋留所での給水は枝肉歩留に関して非常に有効であることがわかった」と中尾さんは結論づけた。』  

― 北方ジャーナル2014年6月号より引用

と畜を管轄する厚生労働省-現時点では動けない


OIEのと殺の規約ができたのは2005年。
それから現在にいたるまで、国際基準のと殺規約に反した状態が続いているというのは、大きな問題です。
私たちは2015年1月から、と畜を所管する厚生労働省の担当部署に、この件について行政としての対応を要望し続けてきましたが、回答のない状況が続きました。
そのため3月にはARCの翻訳スタッフの協力でOIE(国際獣疫事務局)を介して厚生省へ要請。
その後ようやく4月中旬に厚生省の担当者と連絡がついて話ができました。最低限OIEコードを各自治体へ周知してもらえるようお願いしていたのですが、先方の回答は

「今のタイミングで周知するのはおかしい」
「日本はアニマルウェルフェアがまだまだだから」
というもので、
結論として
「厚生省としては、きっかけがなければ、この問題に取り組むことはできない」
ということでした。

と殺のOIEコード作成には日本の厚生労働省も関与しており知らぬ存ぜぬでは済まされないはずです。20年以上前ですが「と畜場の施設および設備に関するガイドライン」を厚生労働省は作っており、それには畜産動物の飲水設備についても言及されています。今になって「畜産動物の飲水は、うちの担当ではない」では筋がとおらないのではないでしょうか。
しかし厚生労働省として「OIEコードを各自治体に周知させる」などの作業を行うには、何かの「きっかけ」が必要だそうです。たとえば農水省が輸送・と畜のガイドラインを作るなど。



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皆さんからも、厚生労働省へ意見を届けていただけないでしょうか?
と畜場担当部署
厚生労働省 食品安全部 監視安全課 乳肉安全係
 
電話番号 03-3595-2337

メール
厚生労働省 「国民の皆様の声」募集 送信フォーム
http://www.mhlw.go.jp/houdou_kouhou/sanka/koe_boshu/
*「内容」に「厚生労働省 食品安全部 監視安全課 乳肉安全係様宛」と書き加えてください。

厚労省へも要望していかねばなりませんが、と畜場の動物たちの逼迫した状況を考えると、これ以上厚生労働省とのやり取りに時間を費やす余裕はありません。 この件については、現在アニマルライツセンターでは、関係部署、各自治体、現場への周知啓発に重点を置いて動いています。

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