宗教と畜-日本で行われている気絶無しの牛の屠殺

2017/05/13

普通、牛や豚のと畜(屠殺)は、まず牛の場合はボルトガン、豚の場合は電気ショックで気絶させてから頚動脈を切断する、という方法で行われます。
しかし日本では牛のと畜で、この気絶処理(スタニング)なしで、いきなり頚動脈の切断をするということが行われる場合があります。
意識のあるまま頚動脈を切断するわけですから、当然牛は暴れ、苦しみます。
暴れるのを防ぐために、次の動画のような装置が使われることもあります。

 ハラールと畜(動画は日本のものではありません)

動画は GAIA Belgiumより
http://www.gaia.be/nl

日本で宗教と畜するさいには、上の動画のような「装置」を使ってと畜する場合もあるし、人の手で行われる場合もあります。 人の手で行われる場合は、ロープで牛の足をくくり大勢で牛を倒して押さえつけて頚動脈をナイフで切断する、 というやり方です。

 

スタニング無しのと畜が牛に与える激しい苦痛

  1. イギリス政府の諮問機関、家畜福祉会議(FAWC)のレポート(2003年)
    「気絶なしのと畜は、気絶ありに比べ、頸動脈切断したあとの動物の保定レベルがはるかに大きい(切断後も、牛が動き続ける)」
    「気絶なしで行われる、皮膚・筋肉・気管・頚動脈など多数の神経と頸動脈の切断は、意識のある動物の脳へ知覚情報を引き起こし、無感覚に至るまでに大きな痛みと苦悩を与えるだろう」
  2. 動物衛生福祉に関するEU科学研究グループ(AHAW)のレポート(2004年)
    「気絶無しのと畜は、急速な出血でもたらされる血圧の急激な低下により、意識のある動物に、恐怖とパニックを誘発させる。また動物が気管内に出血した血液を吸い込んでしまうという問題ももたらす。気絶無しの首の切断から意識の消失までに要する時間はブタで最大25秒、羊で20秒、牛で2分、家禽では2分30秒を要する」
  3. 食肉処理施設の獣医師や研究者らによる科学的調査は、気絶なしのと殺が、動物に不必要な苦痛を引き起こす場合があることを実証しており、下記をはじめとして多くの団体が、屠畜前には気絶処理をすべきだとしている。
    ・イギリスで最も大きい慈善団体RSPCA(英国動物虐待防止協会 )
    ・オーストラリアのMeat & Livestock Australia
    (47,500以上の畜産会社が会員となっており、畜産業のマーケティングや研究開発を行う団体) 
    ・イギリス獣医協会(BVA)
    ・ヨーロッパ獣医師連盟
    ・DIALREL(宗教と殺に関する欧州の研究者グループ)


なぜスタニング無しでのと畜が行われているのか?

イスラム教ではハラール、ユダヤ教ではコーシャという決まりがあり、その決まりに沿った食べ物しか食べてはならないとされています。 ハラール、コーシャでは「死んでしまった肉は食べてはならない」という規定があります。 スタニング(気絶処理)をして万一死んでしまうとハラールやコーシャに反してしまうということから、スタニング無しのと畜が行われています。


どうしてもスタニング無しでなければならないのか?

世界に57カ国あるイスラム教国家すべてが、スタニング有のと畜を禁止しているわけではありません。例えば、日本からマレーシアとインドネシアにハラール肉を輸出する際はスタニングが行われています。しかし一方UAE向けへの輸出の場合はスタニングが行われていません。2016年12月時点でアニマルライツセンターが把握している輸出向けのスタニング無しの宗教と畜を行ってると畜場は2施設あります。
また、ハラールと畜は輸出だけではなく国内消費向けにも行われています。2015年12月時点でアニマルライツセンターが把握している限りで少なくとも二か所で国内消費向けのスタニング無しのと畜が行われています。


ハラールやコーシャの宗教と畜がスタニング無しでなければならないということはありません。上述したようにマレーシアやインドネシア向けの宗教と畜はスタニングが許されているからです。またUAE向けであっても2016年2月にUAE向け牛肉輸出機関として認定された株式会社北海道畜産公社はスタニング有で輸出することになっています。
「死んだ肉」が宗教上認められていないだけであったスタニングが認められていないわけではありません。牛の気絶処理で通常使用されるキャプティブボルトではなく、マッシュルームスタナー(動物の意識を失わせるが死には至らしめない)を使用すれば良いだけです。マッシュルームスタナーはハラールやコーシャにおけるスタニングとしてFAOのガイドラインも推奨している方法です*。国や団体がスタニング無しでの宗教と畜を求めてきたなら、マッシュルームスタンであれば「死肉」にはならないこと、スタニング無しが牛を非常に苦しめることを伝え、スタニングを受け入れるよう説得させるべきです。

 

ハラールやコーシャにおけるスタニング無しのと畜を禁止する国々

  • デンマーク 
    宗教と畜におけるスタニング無しでのと殺禁止を決定した、デンマークの農業大臣Dan Jørgensenは2014年2月に次のように言っています。「動物の権利は宗教より優先される」
  • スウェーデン
  • スイス
  • ノルウェー
  • 南ベルギー 
    2017年5月5日、議会で満場一致で禁止を決定。2019年9月1日に発効する。記事によると他のベルギーの地域でも同様の法案が提出されているという。 Belgian body bans ritual slaughter


*FAO Guidelines for Humane Handling, Transport and Slaughter of Livestock>CHAPTER 7: Slaughter of livestock>Religious or ritual slaughter (Halal and Kosher)
 

私たちアニマルライツセンターは、と畜を管理する厚生労働省に、一部で行われている気絶なしのと畜を廃止するよう要望しています。 日本には、と畜場での動物福祉を担保できる法令や基準がありません。

みなさんからも、ご意見をお願いします。


〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省 食品安全部 監視安全課 乳肉安全係
電話番号 03-3595-2337
国民の皆様の声送信フォーム
http://www.mhlw.go.jp/houdou_kouhou/sanka/koe_boshu/

 

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