EUやノルウェーでの卵内雌雄鑑別の浸透が記録的に速いという状況の中、ではどの技術が、どの程度、進んでいるのかをまとめた。
孵化9日目に羊膜液を採取し、ホルモンやバイオマーカーを分析して性別を判定する方法。
導入事例: ドイツ、フランス、オランダなどで導入され、殺処分を行わない卵が「Respeggtマーク」として販売されている。
AIを活用したMRIで卵の内部を非接触で撮影し、性別を判定する方法。
導入事例: ドイツを中心に一部の養鶏場で商業運用が始まっている。
卵に光を照射し、透過・反射した光のスペクトルを分析する方法。
導入事例: ドイツ、オーストリアなどで商業利用されている。ただし、羽色の異なる特定の品種に限定される。
卵から放出される揮発性有機化合物をセンサーで検知して性別を判定する方法。
進捗状況: 現在、いくつかの大学や企業がプロトタイプを開発中であり、商業化に向けた試験が進められている。 実用化見込み: 数年以内に導入される可能性がある
その他、遺伝子マーカーを利用した技術、音響振動を利用した技術などがある。日本ではゲノム編集技術を利用した方法も補助が出されているが、採卵鶏のメス自体には影響がほぼ出ないと思われるが、その卵を生む種鶏(母鶏)への影響はわからない。そのため優先すべき技術ではないと言えるだろう。
人間の手によるひよこの雌雄鑑別 | ハイパースペクトルイメージング | 磁気共鳴イメージング(MRI)技術 | 羊膜水による技術 | |
速度 | 1時間あたり約1,000~1,200羽 | 1時間あたり19,000~24,000個 | 1時間あたり最大24,000個 | 1時間あたり3,000~6,000個 |
精度 | 95% 熟練した場合は98% 疲労によるミスの増加が起きる | 97%~98.8% | 95% | 98.5% |
侵襲的か非侵襲的 | 侵襲的 | 非侵襲的 | 非侵襲的 | 侵襲的 |
動物の苦しみ | 卵の中での鑑別ではなく、ひよこになってからであるため動物の苦痛は100% | 孵化後14日以降の卵で鑑別 苦痛を感じている可能性あり。 | 孵化後12日の卵 苦痛はほとんどないと考えられる | 孵化9日目の卵のため苦痛はゼロと思われる |
上記の表の通り、すでに人の手によるものよりも速度は明らかに速い。そして精度も同等またはそれ以上の精度となっている。