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卵の裏側:ケージ飼育される鶏の苦しみが明らかに。

アニマルライツセンターは国内のバタリーケージ養鶏場から屠殺直前の採卵鶏を引き取り保護し、2016年4月8日、そのうち3羽を鳥専門医で診察してもらった。 
はじめに、彼女たちがそれまで暮らしてきたバタリーケージがどのようなものなのか、内部告発された映像をご覧いただきたい。

保護した鶏たちはあちこち骨折、脱臼し、カルシウム不足に苦しみ、3羽の内1羽は回復不可能、1羽は膨張した腹の手術は困難だろうと診断された。

あおい(推定2才)

左足が動かず、体のあちこちの羽根が折れ、皮膚が露出
動かない左足だけでなく、両方の上腕骨(羽の部分)も骨折跡が複数あり、治療がされなかったため、誤った方向に骨が固まってしまっていた。 他のニワトリと同年齢と思われるが、体重が異常に軽く、体も小さい。 また、レントゲンを撮っても骨がほとんど映らないほど骨密度が低いとのことだった。

診断書

鳥種:鶏 性別:メス 年齢:約2歳 名前:あおい
体重:1.25Kg
主訴:羽が抜けている
検査:レントゲン撮影
結果:上腕骨左右とも骨折跡有り
左脛骨骨折跡有り
手根骨の透過性が悪く骨密度が低い可能性あり

診断:陳旧化した骨折跡の多さと骨密度から、カルシウム不足が疑われた。
羽に関しては、抜けている羽よりも千切れた羽が多いことから、飼養環境に問題があった可能があると判断した。(狭い等で羽が擦り切れた可能性を指摘)

処方:水溶性カルシウム剤、ビタミンD3を含む総合ビタミン剤

2016年4月8日

メイ(推定2才)

腹部が大きく腫れている状態
腹部には液体がたまり、その中に何かが浮いていることが分かった。卵管にレントゲンでは写らない黄身や白身が詰まっているのかもしれず、卵管に腫瘍ができている可能性もある。
腹圧を取らなければ呼吸が苦しくなり、放っておくと死んでしまうこともあるが、手術した場合、麻酔や手術時間に耐える体力、回復する体力が必要になってくるため、体力負けで死んでしまう可能性もある。
左尺骨(羽の部分)に骨折跡があり、すでに誤った方向に固まってしまっていた。
腹部の液体を抜くための利尿剤が処方された。利尿剤の効果が無ければ体力のあるうちに手術するという選択肢もあるが、手術はせずに日光浴をさせるなどQOL(生活の質)を高めてより良い余生を送らせてあげるという選択肢もあるとアドバイスを受けた。

診断書

鳥種:鶏 性別:メス 年齢:約2歳 名前:メイ
体重:2.05Kg
主訴:腹部膨隆
検査:エコー検査、レントゲン撮影
結果:エコー検査で腹部には液体が貯留していることを確認した。
レントゲン検査で、卵殻を含む卵材料は確認できなかったが、左尺骨に骨折の跡を確認した。
診断:エコー検査で液体貯留部の一部に隔壁が確認できたため、卵胞嚢腫と腹水、卵管内液体貯留の可能性が示唆された。また、レントゲンでカルシウム陰影は確認できなかったが、卵黄や卵白だけの貯留も考えられ、卵材貯留症は否定できなかった。

処方:膨隆部の液体を抜くために利尿剤(ラシックス)を7日分処方した。

2016年4月8日

梅(推定2才)

両足とも動かず、寝たきりの状態
右足は関節脱臼、左足は骨折しており、左足の骨折部分には内出血が見られた。それぞれ誤った方向に固まってしまっており、骨折跡を治そうとすれば全身麻酔でもう一度骨を折るという処置が必要になるため修復は困難とのことだった。
また、レントゲンで、異常なカルシウム沈着が見られたことからカルシウム代謝に異常の可能性を指摘された。
起立不能を外科的に治すことが困難なため、QOL(生活の質)の向上に努めて様子を見ることになった。体に合わせたドーナツ枕をつくり床ずれを防ぐ、口元に餌を盛っておく、羽根が汚れるのをとても嫌がる生き物だから汚れたら洗う、お尻周りの羽根が邪魔なら切るなどのアドバイスをもらった。

診断書

鳥種:鶏 性別:メス 年齢:約2歳 名前:梅
体重:1.9Kg
主訴:起立不能
検査:レントゲン撮影
結果:右膝脱日、左大腿骨骨折跡を確認した。また、腹腔内の恥骨周囲と大腿骨頭、膝関節部にび漫性に粟粒大の石灰(カルシウム)沈着を認めた。
診断:起立不能に関しては、右膝の陳旧化した脱日のためで、修復不能と判断した。
胸骨に擦過傷が認められたので、ドーナツ枕等で対処することを勧めた。

処方:排泄物に悪臭があっため、抗生物質(ケフレックス)を5日分処方した。

2016年4月8日

写真

全身の羽が折れ、皮膚が露出しているあおい。

あおいの左足は、骨折したまま治療されずに放置されたため、動かなくなったと考えられる。

へたれて白っぽいあおいのトサカ。この白さはカルシウム不足と考えられる。

触るのが怖いほど腹がパンパンのメイ。

膨れ上がった腹をかかえてうずくまるメイ。苦しいのか、じっとしたまま動かないことが多い。

梅の左足は脱臼、右足は骨折し、歩くことは望めないと診断された。

足が動かないため地面を這うしかできない梅。前に進もうとするがじきに疲れてしまう。


「採卵鶏の一番の問題は卵をたくさん産まされること」

今回廃鶏を診察した獣医師は大学時代、殺処分される150羽ほどの採卵鶏(廃鶏)を解剖したことがあるということでした。そのうち約9割は卵巣か卵管に疾患があったそうです。卵詰まりを起こしている鶏もいたし、卵巣嚢腫のような状態の鶏や、卵管に腺がんがあった鶏もいたそうです。
また、骨折や骨密度が低い採卵鶏の、カルシウムの問題についての話もありました。
ほとんどの動物の血中カルシウム濃度は一定に保たれているそうです。しかし採卵鶏はカルシウムを動員して卵を作ります。卵の殻のためのカルシウムを使った後で今度は卵管を動かすためのカルシウムを血液中のカルシウムを使ってしまうそうです。これらを繰り返した結果、餌からきちんとカルシウムを摂取していたとしてもカルシウムを出し入れする機能が狂ってしまうのだろう、ということでした。

鶏は本来ならば一年間に20個程しか卵を産まない生き物です。それを、よりたくさん卵を産ませようという品種改変の結果、年間300個以上という生き物に変えられてしまっています。
その結果、卵管と卵巣の使い過ぎで、きちんとした分泌も排泄もできず卵管に卵材料がたまってしまうこともあります。また、卵にカルシウムを奪われ、どれだけカルシウムを摂取してもカルシウムの備蓄機能がうまく働かなくなってしまうこともあります。そのうえ、本来だったら歩きまわり、多少の高さには飛びあがり、木の上で寝て、土の上をガサガサやって虫を食べたり草の芽を食べる生き物なのにバタリーケージでは運動量はほぼゼロです。このような状態では通常の健康状態を保つことは不可能ではないでしょうか。

鶏たちにこのような多大な負担を強いているのは私たちです。
卵の大量消費が続く限り、大量生産は止まりません。このような傷だらけの鶏たちがとどまることなく産みだされていくでしょう。
日本の卵の生産方法の真実を知ってください。
▼あおい  ▼メイ ▼梅  ▼写真 ▼今すぐ救う  ▶鶏のために寄付をする

 

今すぐ行動を!

  • 卵の消費量を抑える
  • 卵を食べるのを止める *卵から摂取できる栄養素は他のもので代替可能です
  • 放牧(放し飼い)卵など、動物福祉に配慮された卵を選ぶ
  • スーパーマーケットや企業に意見を届ける「放牧された卵をかえてほしい」「平飼い卵にかえてほしい」と伝えて下さい

消費者の意見が社会を変えます!

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