LOADING

Type to search

国内開発の卵内雌雄鑑別技術、実用化なるか?

2024年3月22日の参議院農林水産委員会で、須藤元気議員が昨年に引き続き、採卵鶏のオスひよこが生後1日目に殺される問題について、このオスひよこの殺処分を解決するための技術である卵内雌雄鑑別技術が実用化の見通しがあるのか、質問しました。これに対し、農林水産省は以下のように進捗を報告しました。

卵内雌雄鑑別技術につきましては、農研機構では孵卵開始後7日目以内において、特定の光の波長を照射した鶏卵から放出される光のスペクトル、可視光などで得られた卵内画像を学習させたAI、よりまして、雌雄を判別する技術開発を行っております。これらの技術につきましては現在、特許出願中でございまして、実用化に向けて研究を進めている

特許出願がただちに実用化の道ではないにせよ、着実に国内でも技術が発展してきています。

一方で坂本哲志農林水産大臣は海外においての卵内雌雄鑑別の検査精度が悪いために生産現場に受け入れられていないと述べています。しかし、すでに卵内雌雄鑑別を行うなどで押すひよこを淘汰しない卵は数年前から売られており、生産現場で受け入れが始まっています。

須藤議員が「雄雛の70億羽殺処分という大きな課題」と述べている通り、70億もの命を毎年毎年奪い続けることは大きな課題であり、たとえ完璧でなかったとしてもより良い方法がああれば導入を行い、そこから改善を重ねていくべきものです。そして、経済合理性を超えて導入する覚悟が必要です。その勝ちがあるのです。

2022年11月に初めて須藤議員がこの問題を取り上げたときには、農林水産省の回答は不十分で真実でもなかったのでうが、今回は海外の技術も含め答弁されました。この1年で対応がずいぶん変わりました。須藤議員、そして世論を変化させている市民の皆様のおかげです。少しでも早くに孵化後7日目の非侵襲的な卵内雌雄鑑別法が実用化されるよう、さらに議論を大きくしていきましょう!

質疑全文

採卵鶏の雄と雌の鑑別法の開発状況についてお伺いいたします。以前、農林水産委員会において採卵鶏の雄の雛を殺処分する慣行について、ヨーロッパの国々で殺処分を禁止する動きがあることを踏まえ、日本においても雄の雛を殺処分する慣行をなくすための取り組みについて質疑を行いました。同じ雄としてですね、生まれてすぐに殺処分はちょっと、あまりにも不憫に思います。

農水省から、ヨーロッパでは採卵鶏の雄の雛を直ちに殺処分する慣行をなくすための取り組みの説明がありました。その上で、日本国内での動向について農研機構や京都大学において研究が行われているとのことです。まず、卵と肉の兼用種を利用する方法や、採卵鶏の雄の雛をそのまま肥育する方法について、日本国内での取り組みや研究の事例がないということは、様々な課題があるのかなと考えていますが、どのように捉えているのかお伺いします。

渡邉洋一畜産局長

お答えをいたします。採卵鶏の雄の雛を直ちに殺処分しないために検討されている手法には、議員ご指摘の通り、卵肉兼用種の利用ですとか、あるいはその採卵鶏の雄の雛を肥育する方法が考えられますが、卵肉兼用種の利用につきましては専用品種に比べて生産性や品質面がどうしても劣るということ、また採卵鶏の雄の雛を肥育する方法につきましては、肥育をしてもですね、飼料効率が悪いということなどですね。まあヨーロッパを中心に研究開発が進められているものの、広く商業利用が行われることにはならないものと考えてございます。

須藤元気議員

はい、効率ということなんですけれども、この卵の状態でこの雄雌この鑑別の技術開発成功すれば、雄雛の70億羽殺処分という大きな課題の解決になると思います。経済的・エネルギー的問題の解決のみならず、動物愛護・倫理に配慮した技術創出を期待しております。アニマルウェルフェアの向上を図る上で、本研究について早期に成果が得られることが期待されますが、農研機構における研究は実用化の見通しが見えてきているのか、現在の状況についてご説明いただけたらお願いします。

川合豊彦事務局長

お答えいたします。卵内雌雄鑑別技術につきましては、農研機構では孵卵開始後7日目以内において、特定の光の波長を照射した鶏卵から放出される光のスペクトル、可視光などで得られた卵内画像を学習させたAI、よりまして、雌雄を判別する技術開発を行っております。これらの技術につきましては現在、特許出願中でございまして、実用化に向けて研究を進めていると考えております。

須藤元気議員

ありがとうございます。ぜひ実用化できるように期待しております。ドイツでは2022年1月に、雄雛の殺処分が禁止されました。卵の雌雄鑑別法について、前回の質疑でドイツのライプツィヒ大学が開発した方法を紹介しましたが、その他にも世界で研究が進められ、商用化されている技術があると聞いております。現在、世界で実際に使われている鶏卵の雌雄鑑別法について把握しているものがあれば教えてください。

渡邉洋一畜産局長

お答えをいたします。世界の雌雄鑑別法についてのお尋ねでございますが、世界的にもですね、初生雛の段階で肛門を見る肛門鑑別法、あるいは羽毛を比べる羽毛鑑別法により鑑別することが一般的であると承知をしてございます。一方ドイツやオランダなどのですね、ヨーロッパの一部の国におきましては、卵内、卵の中の尿膜腔液を採取をして、抗体や代謝産物などを調べる手法もございますし、また卵にですね、光を透過させることによって、卵を傷つけることなく胚を調べる手法などがございます。これらの手法によって孵卵中のですね、雌雄鑑別を行っている実例もあると承知をしてございます。

須藤元気議員

ありがとうございます。この今説明いただいたように海外には既に実用されている技術があり、また国内でも研究が進められていると先ほど答弁いただきました。我が国においてもアニマルウェルフェアの向上を目指して、この、今説明いただいた卵内鑑別技術を積極的に導入していくべきだと考えます。大臣の見解をお聞かせください。

坂本哲志農林水産大臣

ドイツと海外におきまして、卵の段階での雌雄鑑別技術を使用している実例はあります。が、検査落ち度が高い、それから鑑別に時間を要する等の課題もあり、広く生産現場に受け入れられる段階にはないというふうに承知しております。農林水産省といたしましては、家畜のストレスや疾病を減らし、家畜本来の能力を発揮させる取り組みであるアニマルウェルフェアの推進は重要な課題であるというふうに考えています。このため引き続き、海外における雌雄鑑別技術について情報収集を行います。同時に、国内における研究開発を支援してまいりたいと思っております。

須藤元気議員

はい、大臣ありがとうございます。ぜひですね、この人間だけではなく動物にも優しい社会を作っていきたいと考えていますので、ぜひ、よろしくお願いします。

Leave a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *

暴力的または攻撃的な内容が含まれる場合は投稿できません

SHARE