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2018年11月21日、衆議院農林水産委員会で堀越啓仁議員がアニマルウェルフェアの推進の必要性、具体的な課題について質問を行った。
(※以下、答弁の内容は仮での文字起こしであり正式なものが発表され次第差し替えます)

OIEのPVS評価の勧告をどう捉えるか

2016年にOIE:国際獣疫事務局(世界動物保健機関)が日本のPVS評価が行われたが、その中のアニマルウェルフェアの評価が3と低いものであり、具体的な勧告(Recommendation)は非常に的をえたものであった。この勧告の内容について、どのように受け止めているのかと、どのように国内で取り組み、実効性を上げていくのか質問がなされた。

吉川貴盛農林水産大臣

アニマルウェルフェアにつきましては、家畜を快適な環境下で飼育することにより、家畜のストレスや疾病を減らしまして、結果として生産性の向上や安全な畜産物の生産につながることから、我が国の畜産において重要な課題であると考えているところでございます。
我が国に対する国際獣疫事務局による獣医能力組織評価、今委員から様々な形でご指摘をいただきました。本年7月にその結果が公表されたところでもございます。
その中でアニマルウェルフェアにつきましても、評価助言を頂いたところでもございまして、今後共ですね、頂いたこの助言も参考にしながら、生産者の理解を得ながら、アニマルウェルフェアを推進してまいりたいと思います。

濱村進農林水産大臣政務官

取り組みにつきましても質問いただきましたのでご答弁させていただきます。先程委員ご指摘の通りOIEからの助言は4点に渡ってされているわけでございますけども、農水省といたしましてはこの助言をうけまして、家畜輸送等につきましては現在畜産技術協会において指針の検討が行われているところでございまして、指針が策定されればその普及に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
また、関係省庁の協力等につきましては、まず引き続き3省での定期的な打ち合わせを実施するとともに、虐待等動物愛護法の違反事例がございますれば、地方組織も含め、情報を共有し連携して対応していくこととしております。今後こうした助言も参考にしつつ、生産者の理解もえながら、アニマルウェルフェアの推進をしてまいりたいと思っているところでございます。

また、堀越議員はアニマルウェルフェアの必要性について、東京オリンピック・パラリンピックの食材調達を絡め、強く求めた。

このアニマルウェルフェア、非常にこれからの日本で大きな問題となってくるのは、東京オリンピックにむけて、世界の目もかなり厳しくなってきているところでありまして、じつはこの東京オリパラ選手村で扱う食材について、オリンピック選手、アスリートの側からぜひこの食べるものを調達するときに、飼育環境を重視するアニマルウェルフェアに準じた食材に徹底してくださいという申し入れが都知事の方に入っております。主にこのメダリストの皆さんで9人から構成されている要望書というものが提出されましたが、選手の食べるものが、協議の結果に直結する、ストレスを与える方法で飼育されたグレードの低い栄養のものでは、それなりの結果しか出ないと強調されており、そしてその上で、ケージフリー、例えば平飼いであるとか放し飼いの鶏が生んだ卵や、妊娠中にストール、非常に狭い中で妊娠を強制されてそこで管理をされる、そういった豚肉などを使わないよう、訴えてるんですね。(中略)日本全体でこの農業畜産業をしっかり底上げしていくためには、このアニマルウェルフェア非常に重要な観点であるということをお伝えをさせていただきたいというふうに思います。

採卵鶏の長時間放置はどうなったか

採卵鶏を屠畜する際、その前日に食鳥処理場に搬入して長時間ギュウギュウ詰めで水も飲めず不衛生な状態で放置する問題について、これまでも予算委員会分科会、厚生労働委員会、環境委員会等でたびたび改善が促されてきた。2018年3月には通知が農林水産省や厚生労働省が、環境省からも事務連絡から発出されたが改善が、アニマルライツセンターの調査によると改善は進んでいないように見える。この点について質問がなされた。

農水省 枝元生産局長
今ご指摘いただきましたとおり、食鳥処理場で夜間を中心に成鶏が長時間放置をされる、こういう状況を防止改善したいということで、農林水産省では平成30年3月に関係団体等に対しまして成鶏の計画的な出荷を促す通知を発出するとともに、食鳥処理場を所管しております厚生労働省に対しても周知を依頼しているところでございます。農林省の方では同通知の主旨を周知徹底するために、関係団体に対しまして広報誌により通知の内容を照会するよう働きかける、また生産者団体なり、成鶏処理事業者団体との間での意見交換を通じて計画的出荷の必要性についての認識を養成する、こういう取り組みを進めてきてございます。また食鳥処理場での実際の食鳥の保管状況について、厚生労働省が調査いたしました。この中で、通知をうけまして、養鶏業者との間で出荷計画を調整して改善した食鳥処理業者がある一方で、一部の食鳥処理業者においては養鶏業者との間で計画的出荷の調整が困難であるという状況もあるというふうに認識をしてございます。
現在このような調整が困難とおっしゃっている処理業者の状況の詳細について、厚生労働省の方で確認中でございます。その実態に応じまして、厚生労働省また関係団体とも連携をいたしまして、通知の主旨のさらなる徹底をはかっていきたいと考えております。

行政は改善に向けた取り組みを継続している様子であるが、実行が伴っていない状態と言える。

乳牛の繋ぎ飼いをなくすなどの根本的なアニマルウェルフェアに取り組んでほしい

堀越議員の質問を引用しよう。(一部中略)

この畜産動物関係で言えば、優遇されている方かなと私は考えておりますが、牛に関してでございます。大切にされている方だと思いますが、しかしですね平成28年度農業災害補償制度家畜共済統計表によると、関節炎や股関節脱臼などの運動器病による乳牛の死廃事故は24.34%パーセント、21,866頭にも及んでいます。この数には胎児の事故は含んでいません。
これを改善するためには、繋ぎ飼いの廃止、そして搾乳牛であっても一定時間放牧させる必要があります。体重700キロにもなる牛を運動もさせずに本来の10倍ちかい牛乳を絞るのには無理があります。

私は作業療法士という現場で12年間働いてきました、関節の構造を我々は非常に重視しているわけですが、その観点から皆さんに「運動してください」というんです。「歩くのが大事です」と言うんです。歩くことによって、血液が循環し、関節を栄養することができる。だからこそ、運動してくださいということを常に言うんですが、健康状態を保つために、より良い乳牛を育てるために、やはり運動というのは動物においても非常に重要であります。これがですね、やはり北海道なんかだとそういったところが少ないわけです、吉川大臣のご当地でありますけれども、そういったところは非常に少ないんですが、全体で見ますと繋ぎ飼いというものをしているあるいは、タイストールで飼育するという酪農場は畜産技術協会の調査によると73%にものぼります。鼻輪で繋がれ、その下にコンクリートが敷いてある、たとえゴムマットが敷いてあっても、コンクリートの上に長く居続ければ身体中、特に関節に褥瘡(じょくそう)ができます。関節炎はひどくなれば細胞が壊死してしまう。これに対し、根本的な治療はやはり大変忙しいですから殆ど行われていないというのが現状であります。カウコンフォートを充実させたとしても繋ぎ飼いではアニマルウェルフェアは担保されないということは、科学的にも明らかなことです。繋ぎ飼いが関節炎、股関節脱臼、乳房炎、細菌性感染症、難産の原因になるということが明らかになっているわけでございます。先程も大臣からご答弁いただいた、生産性に関わることであります。
そろそろですね、日本においてもやはり、科学的根拠に基づいた具体的なアニマルウェルフェアを推進する時期である。先ほどお話をさせていただきました2020年東京オリパラもございます。そういった時代に我々日本も入ってきているのだというふうに考えておりますので、ぜひこの点についてご答弁をいただければと思います。
現在、農林水産省が推進するアニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針には、「アニマルウェルフェアへの対応において、 最も重視されるべきは、施設の構造や設備の状況ではなく、日々の家畜の観察や記録、 家畜の丁寧な取扱い、良質な飼料や水の給与等の適正な飼養管理により、家畜が健康 であること」とありますが、繋ぎ飼いや、バタリーケージ、拘束飼育などの構造や設備を改善する方向性は、いまだにないのでしょうか。
また、繋ぎ飼いや、バタリーケージ、拘束飼育でも、アニマルウェルフェアが良い状態に保てると考えている場合には、その根拠をお示しいただければとお思います。

農林水産省 枝元生産局長

OIEの指針では施設につきまして、水はけがよく、快適な休息場所が必要であること、また牛体の損傷を予防するため、鋭利な角、突起がないことにすることが求められておりまして、若干先生と認識が違うかもしれませんけれども、繋ぎ飼いそのものがOIEで否定されているというようには理解してございません。OIEの考え方も踏まえまして、我が国の飼養管理指針に置きましては、繋ぎ飼いを行う場合には、牛が困難なく起立横臥身繕いができるように配慮し、正常な姿勢がとれ、頭が自由に動くことと等が必要であると、そういうふうに記載しているところでございます。
このようなOIEの指針、または飼養管理指針につきまして、今後とも生産者の理解を得ながら推進してまいりたいと思います。
また先生からご指摘ございました繋ぎ飼いに関する考え方でございますが、ご指摘いただきましたとおり、アニマルウェルフェアの観点から見ますと、行動が制約されますので、運動不足に起因する関節炎だとか睡眠不足というふうになりやすい面がございます。他方で、牛の能力とか状態に合わせた個体管理が行わいやすい、牛同士の闘争とか競合が少ない、そういう意味では放し飼い等にあるそういう問題は起こりにくいという観点もございます。そういう意味からしますと、様々な観点があるんだろうというふうに認識をしてございます。

なお、OIE動物福祉規約には以下のように書かれている。

  • 「牛が、舎内、舎外にかかわらず、繋がれていなければならない場合には、最低限、妨げられることなく横臥し、立ち上がり、自然な姿勢を維持し、自分を毛繕いすることができるようにするものとする。タイストール牛舎で飼われている牛は、ウェルフェア上の問題を防止するため、繋がれない状態で十分な運動ができるようにするものとする。」
  • 「家畜飼養管理者は、牛が繋がれている場合には、ウェルフェア上の問題のリスクが高まることを認識しておくものとする」

また、コンクリートの上(薄いゴムマットが敷いてあっても)に繋がれた状態で糞尿をする場所に横臥しなくてはならないのは「快適な休息場所」にはなりえない。

繋ぎ飼いの状態で分娩させるのが「特別な配慮が、分娩に使用される区域の設備には払われるものとする」に適合するのか?するはずはない。

畜産技術協会が作成した飼養管理指針はあまりにゆるく捉えすぎている。直接的な言葉のみを捉え、都合よく解釈している。
日本が固執する拘束飼育の壁は今回の委員会答弁でも超えることはできなかったが、以前よりは間違いなくアニマルウェルフェアへの理解は進んでいるということは言える答弁であった。

 

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