畜産動物の福祉 アニマルウェルフェア

東京オリパラ:動物福祉レベルの大幅ダウンは間違いなし

2017/03/24

2016年12月、東京オリンピック・パラリンピックに向け、持続可能性に配慮した食品を調達するための調達コード案が出され、パブリックコメントが募集されました。そのうち、畜産物の調達コード案のアニマルウェルフェア(動物福祉)に関しては以下の通りの基準とされていました。

④快適性に配慮した家畜の飼養管理のため、畜産物の生産に当たり、アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針に照らして適切な措置が講じられていること。

また、利用できる認証は、JGAPまたはGLOBAL G.A.P.とされており、またこれらGAP認証以外のものとしてその前段階的なシステムとなる「GAP 取得チャレンジシステム」も利用可能ということになります。

JGAPとは、農林水産省の補助金により、日本GAP協会が現在作成中の認証システムです。さらに「GAP 取得チャレンジシステム」は、認証を取るのは難しいであろうから、「自己点検をベースに、実施状況の確認を事業実施主体に行ってもらう手段(独立行政法人農畜産業振興機構 畜産の情報 2017年3月号より)」です。

いずれもアニマルウェルフェアに関しては、畜産技術協会作成の「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」をクリアすることとされています。しかし、JGAPの基準案では、アニマルウェルフェアのクリアはあくまで推奨であり必須項目にはなっていません。

「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」に基づいた対応が行われているかについてチェックリスト(附属書Ⅰ)を活用して、飼養環境の改善に取り組んでいる。

取り組んでいれば良いとされているのです。最終版はまだ発行されていませんが、改善の見込みは薄いと予測されます。

問題点

①アニマルウェルフェアレベルの測定が不可能

アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針は数値的なアニマルウェルフェアの基準値が規定されていないため、アニマルウェルフェアのレベルを測定することは不可能です。

②動物愛護管理法を無視

アニマルウェルフェア以外の項目では関連法規を遵守することとされている中で、アニマルウェルフェアに関して動物愛護及び管理に関する法律が含まれていませんでした。アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針が単なる畜産技術協会が発行する努力目標であるのに対し、法律は拘束力を持つ規制です。そして現在の畜産業の中ではこの法律に違反する行為が漫然と行われている実態があります。

③GLOBAL G.A.P.があるのにJGAP

畜産物の輸出や東京オリンピック・パラリンピックなど、国際的に通用する認証を作りたかったはずであるのに、このJGAP(畜産)は、日本国内の状況に合わせた日本独自の認証です。つまりGLOBAL G.A.P.と比較すると随分”ゆるい”のです。

④そもそもGLOBAL G.A.P.も通用しない

そもそも、欧米でGLOBAL G.A.P.がアニマルウェルフェアの基準として認識されてはいません。(それでも日本の基準よりも大きくリードしていますが・・・。)欧米のアニマルウェルフェア団体はどこもが「Global Animal Partnership」を思い浮かべ、GLOBAL G.A.P.を知りません。これまでのロンドン、リオオリンピック・パラリンピックで規定してきたアニマルウェルフェアと、東京オリンピック・パラリンピックの畜産調達コードの中のアニマルウェルフェアとでは、考え方自体に大きな差があります。

NHKも警鐘を鳴らす

このコード案が出される前の11月24日には、NHKくらし☆解説の中で合瀬宏毅 解説委員が「食で支える東京五輪」として東京オリパラでの食の調達について取り上げました。その中で特に大変としたのが畜産物。以下のように解説されました。

「例えばニワトリですが、日本では効率性を考えて狭いケージで飼われるのが一般的です。ところがニワトリは朝起きたら羽ばたきをし、毛繕いをし、砂浴びをするきれい好きの動物です。ゲージ飼いであればそうしたことはできません。
また豚はけんかをして、お互いが傷つかないように、生まれてすぐに歯を切断しますし、尻尾もすぐに切り落とします。こうしたことは、動物のためではありますが、一方で動物が意識ある存在であることを理解していないという見方もあります。
そしてたとえ短い一生であっても、動物の生態・欲求を妨げることのない環境で適正に扱うことを求めているのです。そうした取り組みが持続可能な社会をつくるという考え方です。」

オリンピック・パラリンピックはただのきっかけ

残念ながら、2017年3月中には確定すると思われる今回の調達コード案やJGAP基準案を見ると、バタリーケージの卵が、妊娠ストールを使う農場の豚肉が、24時間365日つなぎ飼育の牛の牛乳が、過密飼育の豚肉や鶏肉が、目の見えなくなった牛の肉が、苦しむ動物たちの畜産物が提供されることになる見込みです。

アニマルライツセンターでは各所への働きかけを継続して行っています。しかし東京オリンピック・パラリンピックはきっかけの一つでしかありません。この問題を前にすすめるためには、市民、企業、国が意識を変えなくてはなりません。
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