卵 - たまご

ケージ鶏舎は、放し飼いよりサルモネラ汚染が高い

2017/02/08

サルモネラ菌は、鶏、豚、牛などの動物の腸管や河川、下水など自然界に広く分布しており、2,500種類以上もの血清型が知られています。
鶏や豚や牛などの動物の消化管では常在菌として存在していますが、ヒトにおいては、消化管における保菌数が極めて少ないものとなっています。そのため、一部のサルモネラはヒトに対して病原性を示し、おう吐、腹痛、下痢、発熱などの食中毒を引き起こすことがあります。

原因食品の一つに卵やその加工品があります。
サルモネラに感染した鶏がサルモネラを含んだフンをし、そのフンが鶏卵の表面(卵殻)に付着し残ったままになったり、感染した鶏の体内で卵殻が形成される前に卵巣や卵管を経由してサルモネラが卵の中に侵入*してしまうことがあるからです。
*卵の中に侵入するのはごく一部の血清型。後述のサルモネラ・エンテリティディスなど

鶏がサルモネラに感染した場合、ヒナでは下痢などの症状が見られることがありますが、成鶏では多くの場合症状が見られません。しかし鶏肉や鶏卵を通じて人が感染した場合は、食中毒を引き起こす原因となります。
 

Salmonella Enteritidis
(SE:サルモネラ・エンテリティディス)


日本国内患者から検出されたサルモネラの血清型が、2007年、2009年、2011年ともに一番多かったのはSalmonella enteritidis(SE:サルモネラ・エンテリティディス)と呼ばれるサルモネラ菌です(*1)。

このサルモネラ・エンテリティディスについて、2004-2005年にEFSA(欧州食品安全機関)はEU内である調査を行っています。

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これは、ケージ(cage)、平飼い(barn)、放牧(free range standard)、オーガニック(organic)と、鶏の飼養形態ごとにサルモネラ・エンテリティディス(S.Enteritidis)を調査したものです。
これを見るとケージ飼育において、もっともサルモネラ・エンテリティディス率が高くなっています。
 

サルモネラ・ティフィムリウム
(ST:Salmonella Typhimurium)

また、日本国内患者から検出されたサルモネラの血清型が、2007年、2009年、2011年ともに上位に入っていたサルモネラ・ティフィムリウム(ST:Salmonella Typhimurium)(*1)についても同様の調査が行われています。
(サルモネラ・エンテリティディス、サルモネラ・ティフィムリウムともに届出伝染病に指定されているサルモネラ症です。)
サルモネラ・ティフィムリウムについても、2004-2005年にEFSA(欧州食品安全機関)はEU内で調査を行っています。

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こちらも、ケージ(cage)、平飼い(barn)、放牧(free range standard)、オーガニック(organic)と、鶏の飼養形態ごとにサルモネラ・ティフィムリウム(ST:Salmonella Typhimurium)を調査したものです。
これも、ケージ飼育においてもっともサルモネラ・ティフィムリウム率が高くなっています。

このEUの報告とは別に、2006年から2010年の間に行われた14の科学的研究のいずれもが、ケージ飼育においてサルモネラ菌の割合が高いと示しています(*2)。
 

強制換羽の影響

また、強制換羽を実施すると、次のような傾向があることも報告されています(*1)。
  • 鶏がサルモネラに感染しやすくなる
  • サルモネラに感染している鶏は、ふんの中に大量のサルモネラを排せつする。
  • サルモネラ・エンテリティディスに感染している鶏の卵の内部に、サルモネラ・エンテリティディスが侵入する割合が高くなる。

採卵効率をあげるために実施される給餌制限(強制換羽)は、鶏の免疫機能の低下や消化管細菌叢に大きな変化を引き起こします。給餌を制限されてストレス状態にある鶏は、サルモネラ感染のリスクが高くなります。


ウインドウレス鶏舎と開放型鶏舎の比較

また、国内の採卵鶏農場のサルモネラ陽性率の調査(2007年度)(*1)では、開放型鶏舎よりもウインドウレス鶏舎のほうがサルモネラ陽性率高いという結果になっています。

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ウインドウレス鶏舎の中で卵用に飼育される鶏は、卵をより効率よく産ませるために、光線管理が行われています。15時間点灯9時間消灯がもっとも生産的であると言われており、その明るさは10ルクス程度あればよいとされています(*3)。10ルクスは豆電球かロウソクほどの明るさしかありませんが、これ以上明るくするとコスト(電気代)がかかります。
鶏たちは明るい場所を好みますが、ウインドウレス鶏舎の中でそのような明るさは望むべくもなく、薄暗い鶏舎の中で一生のほとんどの時間を過ごさなければなりません。こういったストレスがサルモネラの感染率を高める要因になっている可能性があります。





*1 平成25年6月28日 農林水産省食品安全セミナー(微生物編) 資料2-4 鶏卵のサルモネラ属菌汚染低減に向けた取組
消費・安全政策課微生物チーム春名 美香
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_manage/seminar/pdf/siryou2-4_egg-salmonella.pdf

*2 An HSI Report: Food Safety and Cage Egg Production 
http://www.hsi.org/assets/pdfs/hsi-fa-white-papers/food_safety_risks_of_cage_egg.pdf

*3 畜産学入門(2012)


EFSA(欧州食品安全機関)の調査
Report on the Analysis of the baseline study on the prevalence of Salmonella in holdings of laying hen flocks of Gallus gallus, The EFSA Journal (2007) 97.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2007.97r/epdf

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