日本から海外へ輸出される肉と日本国内で消費される肉の、動物福祉の違い

2016/08/18

米・カナダ・香港・EU・ニュージーランドに牛の肉を輸出しようとする場合は、輸出可能なと畜場として認定されるために動物福祉に関する要件を満たす必要がある。

例えば米・カナダ・香港へ牛肉を輸出しようとする場合の認定要綱には、次のように書かれている。

「対米輸出食肉を取り扱うと畜場等の認定要綱」
「対カナダ輸出食肉を取り扱うと畜場等の認定要綱」
「対香港輸出食肉を取り扱うと畜場等の認定要綱」

第4 人道的な獣畜の取扱い及びとさつ
1 けい留場、導入路等は、獣畜に危害を与えないように必要に応じ修理補強を行い、その維持管理に努めること。
2 けい留中の獣畜には給水し、24時間以上けい留する場合は給餌を行うこと。
3 とさつペン室へ獣畜を追い込む際、獣畜に与える刺激や苦痛は最小限なものであること。
4 スタンナーによりとさつ処理を行う際には、1回の打撃で獣畜を無意識の状態にし、以後放血作業まで無意識の状態を保持させること。
5 スタンナーの整備を定期的に行い、その性能を保持すること。
6 スタンナーには安全装置を設けるとともに、使用に当たっては検査員、作業員に危害を与えないよう取り扱うこと。
7 非人道的な処理として、検査員に指摘された場合は、その指示に従い処理方法を改善すること。


EUに輸出しようとする場合はさらに厳しい動物福祉の要件を満たす必要がある。

「対 EU 輸出食肉の取扱要綱」

別添5 動物福祉に関する基準
1 一般的事項
(1)と畜場において、EU 向け輸出の牛の搬入からとさつまでの間、動物福祉の観点か
ら適切に取り扱われること。
(2)本基準を確実に実施するため、動物福祉に関する内容のマニュアルを整備するこ
と。また、施設に動物福祉責任者を置き、同マニュアルに基づき適切に実施されて
いることが確認されていること。
2 と畜場の設備等
(1)けい留所及び通路は、牛が動揺しないよう環境を管理し、通常の動作を容易に行
うための十分な広さを有すること。
(2)けい留所及び通路にタラップを設ける場合には、牛の落下を防止するための設備
が設けられていること。
(3)けい留所には、牛が常時支障なく給水できるよう、適切な給水設備を設けること。
(4)けい留所及び通路の床面は、凹凸を設ける等牛の転倒を防止する構造を有してい
ること。
3 と畜場における取り扱い
(1)と畜場に到着後、できる限り速やかに生体を積み下ろし、過度な遅延なくとさつ
すること。12 時間以内にとさつされない場合には給餌し、その後も適切な間隔で適
量の給餌をすること。
(2)積み下ろし後直ちにとさつされない場合には、常時飲水できるようにすること。
(3)次の行為は禁止する。
 ・手足又は器具による強打
 ・目、鼻、尾等過敏な部位の刺激
 ・頭や耳、角、脚、尾等の牽引
 ・鋭利な器具による突き立て
(4)電気ショックを与える器具の使用は避けること。なお、移動し難い成牛のみ使用
しても差し支えないが、1秒以内とし、繰り返し使用しないこと。
(5)ロープを使用して角、鼻環又は両脚を拘束、牽引等しないこと。ロープの使用に
当たっては、次のとおりとすること。
 ・牛が障害を受けることがないよう適切に結さつすること。
 ・牛が必要に応じて、横臥、飲食できること。
 ・牛の首が圧迫又は障害を受けない方法によること。また、その恐れがある場合には、
直ちに解放が可能となるよう措置すること。
(6)と畜場の開場時には、常に隔離所が使用できること。
(7)動物福祉責任者は、けい留場所における牛の健康状態を定期的に点検すること。
(8)スタンニングから放血までの操作は、1 頭の牛に対して連続して行うこと。
(9)放血後の剥皮等の作業は、牛の生体反応が完全に消失してから行うこと。

ニュージーランドに牛肉を輸出しようという場合には、「対米輸出食肉を取り扱うと畜場等の認定要綱」あるいは「対 EU 輸出食肉の取扱要綱」のいずれかの要件を満たす必要がある。
 
輸出されない場合には、動物福祉基準はない
しかし残念ながら、日本国内向けの牛肉消費にはこのような基準は存在しない。
例えば「と畜場における動物への給水」について、2010 年9 ~ 10 月と2011 年1 ~ 2 月に北海道帯広食肉衛生検査所などが行った調査では、と畜場で常時飲水できる牛は49%(豚は14%)という結果であった(*1)。また、2016年5月~7月にアニマルライツセンターが行った調査では、と畜場で常時飲水できる牛は53%(豚は25%)という結果であった(*2)。

同じ日本で飼育されてきた牛であっても、輸出される場合には動物福祉が求められるが、国内で消費される場合にはそうではないという状況だ。

この写真は2013年、日本で撮影された肉用に飼育される牛だ。
鼻輪で拘束され、ロープが短いため、横臥が困難な状態にある。と畜場でこのような方法で係留されていたら、EUへ牛の肉の輸出はできない。
201608180213_1-500x0.jpg
*1 2013「と畜場の繋留所における家畜の飲用水設備の設置状況」
*2

 
参照
厚生労働省 輸出食肉認定制度
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/other/yusyutu_syokuniku/

 

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