豚-ぶた

ブタの去勢

2015/02/02

日本のオス豚の94.6%が*麻酔なしで去勢がおこなわれています。

去勢をするのは、肉の『雄臭』を防ぐためです。

雄の子豚は、生後1週間以内に、農家の人の手により外科的去勢(物理的に睾丸を除去)されます。
外科的去勢のやり方は、鋭利なカミソリでふぐり(陰嚢)を切開、睾丸を取り出し、一気に引き抜き、切り取る、というものです。
無麻酔で去勢されることで、心的外傷性疾患により死亡する子豚もいます。処置後に腹膜炎を起こして死亡したり、ストレスから発育や免疫力が落ちる傾向があることも知られています。
体の一部の切断は、切除時も、切除後も痛みが続きます。

『去勢直後の子豚は動きも少なく,ふるえたり足がぐらついたり滑ったり尾を激しく動かしたり,嘔吐する豚も見られたが,初めは皆横に寝そべったりはしないで,臀部の痛みが収まり始めてから横たわる。2~3日間これらの行動の変化のいくつかが引き続き見られることにより,痛みの持続期間を指し示した。』
http://jp-spf-swine.org/All_about_SWINE/AAS/21/21_28-48.pdf

インプロバック

オスの臭いを消すには、こういった外科的去勢ではなく、免疫学的去勢製剤「インプロバック」により去勢と同等の効果をあげるという方法もあります。この方法では、子豚が心的外傷で死ぬことも腹膜炎で死ぬこともありません。
睾丸の除去による免疫力の低下も防ぐことができます。
食肉の残留検査で、検出されることもありません。
また投与後のオス豚は、外科的去勢オス豚に比べると自然なパターンで発育することができるため、飼料効率がよく、糞量も少なく、環境にやさしいそうです。

雄臭?

また本当に"雄臭"が問題になるのか?という問題もあります。オスが性成熟に達するのは7ヶ月ごろ、一般的に豚が出荷されるのが6ヶ月ごろであることを考えると、問題ないと考えられます。現に性成熟に達する前に出荷するイギリスとアイルランドは去勢を行っていません。日本でも去勢豚と未去勢豚の「食べ比べ」が行われています。

2015年11月29日に開催された“「アニマルウェルフェア」を考える~豚の去勢について”では来場者45名に対して、どちらが未去勢肉であるか知らせずにA(去勢豚肉)とB(未去勢豚肉)の食べ比べが行われた。結果、もも肉についてはAが未去勢豚肉だと答えた人が16名、Bだと答えた人が24名、分からないと答えた人が5名であった。ロース肉については、Aが未去勢豚肉だと答えた人が10名、Bが26名、分からないと答えた人が9名という結果であった。
いずれの場合も「まずくて食べられない」などという意見はなく「独特の風味があって未去勢豚肉のほうがおいしい」という意見もあった。(参加者のレポートより)


(*パーセンテージは2014年農水省資料より)

 

子豚のうちに去勢すれば痛みが少ないのか?

アニマルウェルフェアの考え方に対応した豚の飼養管理指針では「去勢は、子豚への過剰なストレスの防止や感染症の予防に努めつつ、生後7日以内に実施することとする。」とされています。
しかし実際には、去勢の痛みは、豚の年齢によって左右されないという研究があります。早めに去勢をしても遅めであっても、いずれの場合も豚の苦痛度に変化がないという研究もあります。この研究は何日齢であっても豚は苦しむということを意味します。
Behavioural responses of piglets to castration: the effect of piglet age.2001 Jul 2;73(1):35-43.

海外と日本の状況比較

免疫強制製剤は、オーストリアでは、10年以上ににわたって広く一般的に利用されています。
ニュージーランドやヨーロッパ各諸国でも使用されるようになってきています。ヨーロッパでおこなわれた市場調査では約70%の人が、「外科的去勢より、免疫学的去勢製剤摂取により生産された豚肉をのぞむ」と答えています。

またベルギーのマクドナルドのように「外科的去勢をしている豚肉は使用しない」方針を打ち出しているところもあります。

sodexoは麻酔なしでの去勢の問題に取り組むと公表しています。 Sodexo Cracks its Commitment to Buy Cage-Free Eggs and Open Sow Housed Pork in the U.S.

ノルウェーとスイスでは麻酔なしでの去勢は禁止されています。
http://www.djurensratt.se/sites/default/files/best-animal-welfare-in-the-world.pdf


アイルランドと英国では、豚は100キロよりも低い体重(性成熟に達する前)で屠殺され、豚の去勢はあまり行われていません。
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/91

スペイン、ポルトガルなどもほとんど去勢をしていません。
alic 2017年8月号 EUの養豚・豚肉産業~多様な産地と経営体~

カナダでは2016年以降、麻酔なしでの去勢は禁止になります。
http://www.thepigsite.com/swinenews/36621/researchers-examine-pig-behaviour-to-assess-pain 

スウェーデンでは2016年から、ドイツでは2019年から、オランダは2015年から、麻酔なしでの去勢は禁止される予定です。

EUでは現時点(2015年9月)で豚の麻酔無しでの去勢は禁止されていませんが、その是非については長い間議論が続けられており、2018年からは、自主的に外科的去勢を「原則」終了すること、としています(ブリュッセル宣言)。
今後EUでは免疫学的去勢製剤と性成熟前の出荷、の両方の方向に進んでいく見込みで、麻酔も鎮静剤も無しの去勢は減少しつつあります。
EC to consider additional laws on animal welfare(2014.2 Grobal Meat)
http://www.globalmeatnews.com/Industry-Markets/EC-to-consider-additional-laws-on-animal-welfare


099a
(表の引用元:alic 2017年8月号 EUの養豚・豚肉産業~多様な産地と経営体~



またEUは海外の豚肉輸入時に豚の去勢について制限を設けていることがあり、たとえば、TTIP及び南米南部共同市場においては豚の去勢について交渉中であり、ブラジルについては、ブラジル産豚肉の50%が免疫学的去勢を受けた豚であるが、EUに輸出される豚肉は免疫学的去勢または無去勢の豚肉でなくてはならない、などの決まりをつくっています。

去勢についてのEUの状況まとめ

(2016.5月号「養豚情報」より引用)
◎無去勢オス豚の生産に長い歴史を持つ国:
イギリス、アイルランド、ポルトガル、スペイン
◎無去勢オス豚生産を近年開始した国:
ベルギー、オランダ
◎去勢脱却の準備を進めている国:
デンマーク、フィンランド、ルーマニア、ハンガリー、イアリア
◎緊急性がほぼ、またはまったく感じられない国:
チェコ、ポーランド、ルーマニア、ハンガリー、イタリア



いっぽう、日本では2010年にこのワクチンが認可されてはいますが普及しておらず、ほとんどの養豚農家で麻酔無しの去勢が行われている状況です。


ボランティア・サポート

動物の未来はあなた次第!ACTION!

チラシ配りをする
毛皮、動物実験、畜産と環境などのチラシの配布に協力してください。

寄付をする
動物のために活動を支えてください!

会員(アニマルライツメンバー)に登録する
一緒に活動してください!

チラシ:ごはんでエコ お肉を減らす4つの理由

チラシ:牛乳(ミルク)のウソ&ホント

NPO法人アニマルライツセンター公式Facebook NPO法人アニマルライツセンター公式Twitter NPO法人アニマルライツセンター公式Flicker NPO法人アニマルライツセンター公式YouTube

カテゴリ毎記事一覧

飼育方法
事件・事例
キャンペーン・アクション
アニマルウェルフェア
妊娠ストール
規制・法律
ページ最上部へ