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衆議院環境委員会で農場、輸送、と畜場のアニマルウェルフェアに言及

「と畜場での動物福祉の取り組みは行われていないというふうに言わざるをえない」

2017年12月5日、議論から抜け落ちている屠畜場を含めた畜産動物のアニマルウェルフェアに言及したのは僧侶であり衆議院議員である堀越啓仁議員。
この短い臨時国会でなかなか環境委員会が開かれなかったが、12月5日ようやく環境委員会がひらかれ、その中で初質問に立った立憲民主党の堀越氏は、最初の質問にアニマルウェルフェアを選んだ。

「特に命の大切さに関しましては山川草木悉皆成仏という言葉がございまして、山や草木川すべてに仏さんが宿っているという考え方でございます。それは人も動物の命あるもの皆同じであるという概念に既存しているわけでございますけれども、今日はそういった観点から、動物福祉のことについて質問をさせていただきたいと思います。」

このように質問を始め、動物愛護法の中で畜産動物が動物取扱業から除かれ、さらに個別の条項がないことを言及した。また2020年オリンピック・パラリンピックが控える中でのアニマルウェルフェアの取り組みが遅れていることに対し危機感を示した。東京オリンピック・パラリンピックの選手村や会場での畜産物の調達には基準が作られているが、その基準の拠り所となっている「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針」がOIE(国際獣疫事務局)のアニマルウェルフェアのコードよりもやや低めの基準であり、この指針が国際的に通用するのか、と疑問を投げかけた。

中川環境大臣からは、産業動物の飼養及び保管に関する基準を普及啓発するために関係省庁と連携するというとくに進展のない答弁がなされた。環境省や自治体の動物愛護行政が畜産動物の福祉に手をつくしてくれたことはほぼないように思うが、関係省庁である農林水産省も厚生労働省も、畜産動物の福祉面の話になれば必ず環境省の管轄であると主張する。環境省が責任を持って動物福祉を高め、虐待的な飼育が行われないよう、監視していかなくてはならないだろう。

今後の動物愛護法の議論の中にきちんと畜産動物が含まれるためのきっかけにはなることを期待したい。

国会中継の動画はこちらから
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&media_type=fp&deli_id=47638&time=3036.7

議事録

堀越委員 立憲民主党・市民クラブの堀越啓仁でございます。

本日は、諸先輩方から多大なる御配慮をいただきまして初質問に立たせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

私は、十月に行われました総選挙にて初当選をさせていただきました。新米議員でございますけれども、もとより、環境問題に関しては、私自身、非常に関心が高い事項が多いものですので、全力で取り組ませていただきたいというふうに思います。地域の問題あるいは地球環境の問題というのは、これは超党派で取り組まなければいけないことだと認識しておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

私は、これまでリハビリテーションの現場で働いておりました作業療法士でございます。医療、介護の現場で主に働いておったわけなんですけれども、それとあわせましてもう一つ顔がございまして、それは僧侶でございます。僧籍を取得してから、人の生き方、幸せとは何なのかということを見詰め直す一つの物差しとして、皆さんに仏教というお話をさせていただいておりましたけれども、特に命のとうとさに関しましては、仏教では山川草木悉皆成仏という言葉がございまして、山や草木、川、全てに仏さんが宿っているという考え方でございます。それは、人も動物も命あるもの皆同じであるという概念に依存しているわけでございますけれども、きょうは、そういった観点から、動物福祉のことについて質問をさせていただきたいというふうに思います。

これまで、動物愛護管理法は、さまざまな改正が行われる中で、動物取扱業の規制強化や動物虐待あるいは遺棄に係る罰則、実験動物への配慮などが盛り込まれてきました。我が国における動物福祉は、全体として進歩しているようにも見えるわけですけれども、畜産動物に関する内容についてはとても薄いものになっているというふうに考えております。先進国の中で見ても、世界基準にはほど遠い状況だというふうに認識しております。

日本には、動物保護に関する法律やガイドラインはあるものの、現在、その実効性を伴わない状況にあります。畜産業が動物愛護管理法の動物取扱業から除かれ、また、法文内に畜産動物に関する個別の条項が設けられているわけではありません。農水省所管の公益社団法人畜産技術協会等が作成したアニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針の啓発活動を通じて、産業動物の福祉を広めようとしているわけでございますけれども、この指針には強制力はありません。また、アニマルウエルフェアの向上を図っている国際機関であります国際獣疫事務局、OIEが策定した基準よりもやや低目の飼育方法が記載されているのが現状であります。そして、屠畜場については、厚生労働省の管轄となっておりまして、屠畜場での動物福祉の取り組みは行われていないというふうに言わざるを得ない状況ではないかというふうに思っております。

なぜ我が国がEUと比較するとおくれをとっているのか。この原因として考えられるものは、日本は、畜産物を輸入する国でありまして、輸出をしてこなかった国であるということで、欧米での動物福祉の高まりと比べて情報を仕入れる機会が非常に少なく、認知度も薄いのではないかというふうに考えております。このことが今後大きな問題になるのではないかということを私は懸念しております。

というのは、二〇二〇年に開催される予定であります東京オリンピック・パラリンピック、この祭典に選手村の食事などで使用する食材は、畜産物は、農作物の要件に加えて、持続可能性に配慮した畜産物の調達基準、アニマルウエルフェアが重要視されているからでございます。つまり、「快適性に配慮した家畜の飼養管理のため、畜産物の生産に当たり、アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針に照らして適切な措置が講じられていること。」とされており、その指針は、先ほどの畜産技術協会が作成した飼養管理指針をよりどころとしておりますので、この指針が国際的に認められるレベルかどうかが非常に問われるからであります。

当然、トップアスリートが集まる平和の祭典でございますので、とりわけ食に関しては関心が高い選手が非常に多いと思いますし、それだけではなく、アニマルウエルフェアによって飼育をされた食材によって栄養をとるということは、彼らにとっては当たり前のことになっておりますので、その辺に関しまして早急な対応が我が国でも必要になるのではないかというふうに考えております。

OIE基準を満たすアニマルウエルフェアに沿った畜産を国内に流通させる、そして、その上で、海外に自信を持ってこれから我が国から輸出をするチャンスに変えていくという選択肢をつくり上げられればというふうに考えております。もちろん命に対する尊厳は保った上で、それが当然であります。そういったことが実現した上で、我が国は初めて先進国と言えるのではないかなというふうに思っております。

インド独立の父で知られるマハトマ・ガンジーは、国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方でわかるとまで言われております。

そこで、中川環境大臣にお伺いいたします。

先進国、とりわけEU各国においては、日本と比しても産業動物の福祉の理念が非常に浸透しております。牛や豚などの産業動物については、飼養管理、輸送及び処分方法に係る法的規制を行う国もあると承知しております。

まず、我が国の動物愛護管理法における産業動物の福祉に関する取り組みについて確認した上で、産業動物に関する動物愛護管理法における位置づけについて、環境省の見解をぜひお伺いしたいと思います。

そして、今後、動物愛護管理法の見直し時期を来年に控えた中で、動物愛護管理行政への意気込みを大臣に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

中川国務大臣 動物愛護管理法におきましては、産業動物を含む動物を取り扱う場合に、動物の飼養の目的の達成のために支障を及ぼさない範囲で、必要な健康の管理等を行うとともに、動物の種類や習性等を考慮した飼養環境の確保を行わなければならないことを基本原則として規定しております。

また、動物の所有者等の責務として、その動物を適正に飼養することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めることとされております。

これらを受けて、環境省としては、産業動物の適正な取り扱いを確保するために、管理者等が遵守すべき産業動物の飼養及び保管に関する基準として、衛生管理や安全の保持に関する一般的な内容を定めているところでございます。

引き続き、産業動物の管理者等における取り組みが促進されますように、環境省としては、関係省庁と連携しつつ、同基準の普及啓発に努めてまいります。

そして、この動物愛護管理法でございますけれども、これは制定から数次の改正がございますけれども、いずれも議員立法によって対応されている経緯がございます。私も自民党の議員連盟に参加をしていたわけでございますが、自民党にも公明党にもございますし、超党派の動物愛護議員連盟がございまして、そこでこれから改正に向けていろいろな議論が煮詰まっていくものと思います。

そういう意味で、この動物愛護管理法がずっと議員立法で対応されていることからいたしまして、環境省としては、各党における御議論の動向等をまずは注視していきたいと思っております。

堀越委員 御答弁ありがとうございます。

オリンピック、パラリンピックで用いられる食材の量は、当然、国内消費の比率からすれば本当にごくわずかではありますけれども、しかし、今、国民の皆さんも、健康面、あるいは、それこそ動物愛護、ペットをめでる、そういう思いから動物福祉全体に対する関心は非常に高まっているというふうに認識しております。また、輸送ですとか屠畜の様子なんかも、今、インターネットが普及している兼ね合いでかなり国民の皆さんの目に触れる場面が多くなってきておりますので、ぜひ我が国でも、EU、OIEに基準した動物福祉への取り組みを私たちで全力で取り組ませていただければというふうに考えております。私も議員連盟の方には属させていただきますので、これから訴えをさせていただこうというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

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